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同じ道 -「大衆宣伝の神話」

大衆宣伝の神話―マルクスからヒトラーへのメディア史

大衆宣伝の神話―マルクスからヒトラーへのメディア史

本書はドイツ社会民主党の「宣伝史」である。活字メディアによる宣伝によって党組織の拡大には成功したものの、その後登場したメディアであるラジオやグラフ雑誌は使いこなせず、結果としてナチスの台頭を許してしまう。「イノベーションのジレンマ」の典型といってもよいのかもしれないが、何とも痛ましい。

そして現代日本の政党も同じような道を辿るのではないかと思わずにはいられない。第二次安倍内閣はテレビは巧みに使いこなしていると評されることが多い。ただ、活字メディアの延長として捉えることができるTwitterは使えても映像メディアであるYoutubeを巧みに使っている政党は今のところ見当たらない。ワイマール共和国の二の舞とならないことだけを切に祈るしかない。