『プライスコレクション−若冲と江戸絵画展』in京都
→『プライスコレクション−若冲と江戸絵画展』公式HP
→全109点の絵が見られる「若冲と江戸絵画」展公式ブログ
京都で見た『プライスコレクション−若冲と江戸絵画展』は素晴らしかった。
私の中では間違いなく今年のベスト1に位置する展覧会だった。
(1)狩野派ほか京都の正統的な絵画から、
(4)江戸の美人画、
というふうにに日本画の歴史に沿いながらも、順序に一種のサプライズを取り入れた凝った構成。
とくに長沢芦雪の「白象黒牛図屏風」は面白かった。
絵の保存状態は素晴らしく、また作品によってはガラスを取り払った展示もあって、
絵そのものを堪能することが出来た。
伊藤若冲は評判どおりで、これくらい大規模な作品群が見られることは滅多にないだろう。
「鶴図屏風」、「花鳥人物図屏風」での大胆なディフォルメ。
圧倒的な「鳥獣花木図屏風」。
丸山応挙、長沢芦雪。価値ある体験が出来た。
鈴木守一の「扇面流図屏風」は青がとても鮮やかだった。
そして特別展示も良かった。
1Fの、障子越しの自然光の中で見る、酒井抱一の絵「十二か月花鳥図」。
天候・時間によって表情が変わる。
夕方に行った初回と、朝方に行った二度目とでは絵の雰囲気が違っていた。
朝方の青みがかった光の中で見る絵が良かった。
とにかく全部で100枚を超える展示は圧巻だった。
◇ ◇ ◇
伊藤若冲は現在では非常にポピュラーな画家だが、伝統的な日本画家ではなくどちらかといえば異端の人だ。
伊藤若冲は、はじめ狩野派に学びながらもその方法に満足せず、中国の絵を学び、最終的にオリジナルでユニークな画風を身につけていった。経歴こそ異端で、錦小路の青物問屋の跡取り息子として生まれたものの、30代で絵を始め、40代で家業を弟に譲って引退し、その後は、絵を描くばかりの生涯を送る。
作風は非常に緻密な筆と、計算された構図、大胆な色遣いを特徴としていて、エキセントリックな画風は、現代人にさえ新鮮な印象と共感をもたらしている。
「伊藤若冲」再考と人気沸騰については、いくつかの出来事がある。
2000年の京都国立博物館での展覧会。
2002年、宇多田ヒカルのプロモーションビデオ『SAKURAドロップス』(映像に伊藤若冲の絵が使われた)。
もちろん、伊藤若冲のコレクションを中核とするプライスコレクションの功績は大きいだろう。
2006年8月15日号『BRUTUS(ブルータス)』での特集「若冲を見たか」。
『プライスコレクション−若冲と江戸絵画展』東京国立博物館での展覧会(2006年7月4日〜8月27日)
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関連書籍や画集も発売されていて人気を呼んでいる。
◇ ◇ ◇
京都での展覧会は、京都生まれの伊藤若冲の里帰りという面を持つ。
酒井抱一や鈴木其一ら江戸琳派にとっては、東京が里帰りだったが、若冲は京都の錦の出身だ。
いろいろと感銘を受けた展覧会だったので書こう書こうと思っていたのだが、京都国立近代美術館での展示期間を終えていた。
展覧会の期間中、私は2度足を運んだが、うっかりしているうちに、展示替え以降に行くのを忘れていた。
『プライスコレクション』の次の展示会場は、
2007/1/1〜3/11 九州国立博物館
2007/4/13〜6/10 愛知県美術館
となっている。
私は九州か愛知まで行こうかどうか真剣に迷っている。
とはいえ、2007年のはじまりとともに、伊藤若冲をはじめとするプライスコレクションの作品がまた日本の土を踏むこととなる。
これは喜ばしいことだ。
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