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ヒラリー・ハーンのバッハ


年が明けてもう2週間近くが過ぎた。「この時期だから」というのが何月にもある。例えば、ベートーヴェンの第九は歴史の大きな節目に聴くのが相応しいが、私は日本人なのでやっぱり12月に聴きたい。では1月に何を聴こうと迷ったとき、ヒラリー・ハーンによるバッハのシャコンヌ・アルバムは結構合うのではないかと思う。


ヒラリー・ハーン デビュー! バッハ:シャコンヌ

ヒラリー・ハーン デビュー! バッハ:シャコンヌ


このCDはヒラリー・ハーンのデビューアルバムで、当時、相当話題になった一枚である。このCDは、シャコンヌを含む大曲・BWV1004を、 BWV1006とBMV1005で挟んだプログラムとなっている。


BMV1006の冒頭のパッセージが流れる時、あまりの清々しさに、私はまるで夜明けを告げる鶏のような気分だった。そして曲を通して描かれるのは、長大な交響曲にも勝るとも劣らない、深遠な世界。のびやかで瑞々しい音色で、聴き手はあれこれ考えずに演奏に身も心も委ねることができる。テンポは穏やかだが勿体ぶったところはなくて、バッハに対する畏敬と曲に対する真摯な姿勢だけが感じられる。当時、若干17歳だったヴァイオリニストがどうしてこれほどの表現力をもっていたのだろうか。いま振り返ると彼女の登場はクラシック音楽の世界において事件と呼べるほどのものだったのかもしれない。


いまではヒラリー・ハーンの才能について疑う人はほとんどいないだろうが、このCDを聴くたびに、「才能全開で世に出た」という凄みが感じされる一枚だ。一年の最初の月はこんなCDを聴きながら過ごしたい。


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