記識の外 このページをアンテナに追加 RSSフィード

記識(きし)…… 書きつける。記しておく。

外(そと)…… 表に現れた部分。表面。外面。

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2006-01-31

[]こんな話が美談みたいに語られるのは、なんかおかしい。

引きこもりがちな青年の就労を支援する東広島市の「翼の会」の取り組みが実を結んできた。スタートして一年半、これまでに九人を受け入れ、うち四人が自立の道を歩み始めた。仕事に就かず学校にも行かない「ニート」が社会問題化する中、会の活動は解決に向けたヒントを与えてくれる。(治徳貴子

 同市高屋町杵原の高屋福祉センターにある三十五平方メートルの一室。三十歳代の男性二人が、市内の車の部品工場から請け負った部品の不要物をニッパーで取り除く作業を黙々と五時間こなす。翼の会が毎週月、木曜の午前九時から開く「仕事体験講座」だ。

工賃は一個一円。一人が一日に仕上げるのは約六百個という。「一カ月でわずか四、五千円。ただ、収入よりも一つの作業を根気強く長く続けることを学ぶのが狙い」。指導する妹尾敏昭さん(71)は説明する。

中国新聞・地域ニュース

「部品の不要物をニッパーで取り除く作業を黙々と五時間こなす」ことが、どんな社会復帰につながると言うんだろう。こんな単純極まりないルーチンワークをこなしていったとしても、ますます働く気力というものが削がれるだけじゃないだろうか。

想像してみてほしい。今後もずっとこんな単純作業を超低賃金でこなさなければならない、という情況を。

この記事で気になるのは、「ニート」という言葉がなにやら何らかの不健康さと関わりがあるかのように見なされていることであり、「福祉」の対象だと見なされている点だ。「ニート」はいつの間にか「ひきこもり」と並んで語られるようになってきており、これは「ニート」は「引きこもり」と同程度には心的な問題である、ということを意味する。

この記事の語りにおいて、「ニート」である現状は、本人には「治しようがない」何らかの資質に関わりがあるかのように読める。そしてそれがゆえに、「ニート」は「福祉」の対象と見なされて当然だとされつつあるのであり、また、その「社会復帰」のためには「授産」という名の超低賃金労働すら許される、とされる。

要は、気づかないうちに「ニート」は病理化されつつある、というわけだ。きっと遠くない未来に、「ニート」は「労働意欲欠乏症」とか「ニート脳」とかいった名前のもと心身症の一種とされるのかもしれず、そこでは「社会復帰のための職業訓練」という名のもとに、様々な超低賃金労働に「ニート」たちは動員されるようになるのかもしれない。

onionskinonionskin 2006/01/31 13:47 念のために書いておきますが、引用記事中の翼の会はおそらく「引きこもり」を対象に活動している団体と思われます。これをいわゆるニートと同一視して扱っているのは中国新聞記者の意図です。

「引きこもり」の中には実際に病理的な側面を持つ人もそれなりに含まれ、その場合は医療的なアプローチ(作業療法など)が有効なケースもあるでしょう。
もちろんそのようなケースは切り分けてちゃんと福祉あるいは医療の枠組みの中で行うべきで、超低賃金労働という形を取るべきでない、という意見もあるかもしれません。しかし草の根的な団体の最初の一歩としてはこのような形でスタートせざるをえないのかもしれませんし、福祉で扱うべき境界の線引きは常に困難です。

批判すべきなのは、個別的要因をどうしても無視できなかった「引きこもり」問題に対して「ニート」という新しい言葉を与えることで無条件に一般化するという(主に政府とマスコミによる)図式です(そういう意味で危惧しているポイントは using_pleasuresさんとあまり変わらないと思いますが)。

onionskinonionskin 2006/01/31 14:39 肝心なことを書き忘れたので読みづらいですね、すみません。
件の「仕事体験講座」のケースは、まさに作業療法的なやりかたで引きこもりの人に効果を与えていてる、福祉医療的な観点では割とうまくいっている例だと思うわけです。ただしそれが有効な対象はある程度限られているので、それを安易に「ニート(?)」に拡大することはできないし、拡大させようとする視点そのものに問題があるのでは、という話でした。

fromdusktildawnfromdusktildawn 2006/01/31 15:26 いろんなニートがいるから十把一絡げはよくないと。 まとまった金が入ったので仕事もせずにぶらぶらしてる人なら、知り合いに何人かいるけど、ありゃニートじゃないのか。

using_pleasureusing_pleasure 2006/02/01 02:06 >引用記事中の翼の会はおそらく「引きこもり」を対象に活動している
>団体と思われます。これをいわゆるニートと同一視して扱っているの
>は中国新聞記者の意図です。

その点は承知していますので、大丈夫です。
というか、このエントリで問題にしたかったのは、まさに「ひきこもり」と「ニート」とを並べて語ることで、「ニート」の病理かに貢献する記事の構成や「語り」なのでした。

とはいえ、この記事における「ひきこもり」の捉え方にしても、「ひきこもり」を治癒の対象としてしか見なしていない、という点では偏ったものであるように思いますが。

TONITONI 2006/02/02 00:44 三十歳代の男性が一カ月でわずか四、五千円・・・
この先、これでどうやって暮らしていくのか激しく疑問。
奴隷ですか?

ゅうきゅうき 2006/02/02 20:55 >市内の車の部品工場から請け負った
どうしても、時給100円程度の内職を斡旋している業者に見えてしまいます。

神鷲獅子神鷲獅子 2006/04/01 23:02 >こんな単純極まりないルーチンワーク

ニートがやらなくても結局誰かがやらなければならない訳ですから、「ニートにはもっとまともな仕事を与えろ」と主張するのはその仕事に従事している人達に失礼です。
大体ニートにそんな大した仕事は任せられないでしょう。


>超低賃金労働

歩合制の労働の賃金が法で定められた最低賃金の600〜700円を下回るのは昔からの事ですから、ニートの存在は関係ないと思いますよ。

datemedateme 2006/04/30 10:19 給料もらうのが怖いんですよ、僕らは。