いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

【映画評】アフター・アース 40点

ウィル・スミスが、実の息子ジェイデン・スミスと『幸せのちから』に続く2度目の共演を果たした、SF大作。

人類が自分たちのなした環境破壊によって地球を追われ、別の惑星で暮らすことになった未来を舞台に、英雄的戦士レイジの息子キタイが、一人前の戦士へと成長を遂げていくまでを描く。
ウィル・スミスが映画という莫大な金・人間が費やすメディアを使い、「いつかオレみたいなビッグな男になれよマイソン」と教育を施す、と考えると、ものすごく私的な内容にみえる。

それはともかく、2人はある惑星への道すがらで事故にあい、立ち入り禁止区域の惑星に不時着する。飛行船は大破し、生き残ったのはたった2人。足を負傷した父親にかわり、息子には「はじめてのおつかい」さながらのミッションが授けられる。手負いの父親を母船に残し、彼はSOSを送信するための発信機探索の旅に出る。


ジェイデンくんが頑張っていることを認めるのにはやぶさかではないのだが、映画として意外性は少なく、驚くほど単調だ。何か瑕疵があったというより、何より「物足りない」という表現が一番近い。監督はM・ナイト・シャマランだが、彼が毎作仕掛けてくるような大どんでん返しも存在しない(序盤に『猿の惑星』チックな何かがあるけれど)。

必要以上に単調にみえてしまうのは、登場人物の感情の起伏が見えづらいのにも由来しているだろう。ジェイデンは子どもなりに頑張っていたが、問題はお父さんで、ウィル・スミスが終始仏頂面なのだ。
でもこれは設定の側に原因があって、レイジはそもそも恐怖心を抱かないという特異体質なのだ。彼が恐怖を抱かないという設定が、人類の英雄足りえるという根拠なのだが、この設定が実は足かせになっている。
いくら主人公たちが絶望的な状況に追い込まれても、お父さんは終始ムスッとしていてその実感が伝わってこないのだ。

反対に、ジェイデンくんは素晴らしい。映画の冒頭で、父親の血を引いてやはり優秀な兵士なのかと思いきや、蓋を開ければ全然で、終始失敗ばかりする。おまけに、ちょっとダメになるとすぐにへこんで、弱音を吐き始める。この、弱音を吐くときのハの字眉毛になった情けない表情が見事で、お父さんとはまた違ったタイプの性格俳優になるんじゃないかと期待される。