うたたね日和♪読書メモ

本との出会い徒然に

 青い目の王子

青い目の王子

青い目の王子

佐竹美保さんの表紙イラストがとてもきれい。ブッダの生誕を創作ファンタジーに置き換えた物語。「青い目」の王子が辿る過酷な運命。その強さとやさしさが静かな感動を呼ぶ。
↑偶然にも、このあと読んだ『ミムス』も、王子さま受難の物語だった。どちらかというと、「青い目」のニラナーヤナ王子より、「チビミムス」のフロリーン方が、子どもらしくて身近に感じた。

 ミムス

ミムス―宮廷道化師 (Y.A.Books)

ミムス―宮廷道化師 (Y.A.Books)

本の厚みもすごいが、中身も重かった。出口の見えない迷路に主人公といっしょに放り込まれたような閉塞感・・・。でも、おもしろかったので、良しとしよう(笑)
過酷な運命に翻弄される主人公、フロリーンは王子さまなのだが、けっこう打たれ強いし、聡明で勇気もある。敵の罠にはまり、生きるために宮廷道化師に身を落とす王子。
その師匠になる<ミムス>が実にすばらしい。敵か味方かさっぱりわからない謎の人物なのだが最後に真骨頂を見せてくれる。タイトルが彼の名前(職名?)なのも納得なのである。
敵国の姫君でありながら、公平な目を持つアリックスも魅力的な少女だった。フロリーンとアリックスの世代になれば、両国の平和は確実なものとなるだろう。セム、ラドボド、ベンツオ、など身分に関わらない友情の絆も良かった。終始、重く息苦しい展開だが、終わりは案外あっさりしていた。ホッとしたと同時に、こんなに簡単でいいのか、と少々疑問がわく。
ラスト、フロリーン自身が考えた紋章のデザインが、彼の成長のすべてを現しているようで、うれしかった。
東逸子さんの美麗なイラストが、さらにこの本の魅力になっている。