- 作者: 柏葉幸子,佐竹美保
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/08/09
- メディア: 単行本
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佐竹美穂さんの摩訶不思議なイラストが目をひいた。
この和洋折衷な、ちぐはぐさはなに?
本の側面を見れば、ページの色が二色に分けられている。
答えは読後、すとんと腑に落ちる。
話の中に、もうひとつの物語が真珠のように生きているのだ。
本を開いたとたん、主人公のカズといっしょになって「帰命寺」の謎を夢中になって追っていた。ファンタジーを読んで背中がぞくぞくする感覚はひさしぶりだ。
謎の少女「あかり」を追ううち、次第に「あかり」を守っていく立場になるカズ。カズを強くさせたのは、命の重み、生きることへの思い。失ってはいけない大切なものに気付いたからだ。
登場してくる大人たちは自分たちの考えを押し付けるばかりで、ちっともカズの味方にはなってくれない。むしろカズのじゃまばかりをする存在として立ちはだかってくる。
大人も子供もない。意志と意志の対等なぶつかり合いなのだ。
最後に作中話と本編とのラストが切なくもやさしく重なっていく。ステレオタイプなハッピーエンドで終わらないところが、たまらなくクールだ。
大人にもぜひ読んでもらいたい珠玉の物語。
『つづきの図書館』と同じく再読したい本がまた一冊増えた。