うたたね日和♪読書メモ

本との出会い徒然に

 シャバはつらいよ   

シャバはつらいよ (一般書)

シャバはつらいよ (一般書)

大野更紗さんの『困ってるひと』は以前から読みたいと思っていた。
順番は前後したが、その続編『シャバはつらいよ』を図書館で借りる。
一日で読んでしまった。
翌日『困ってるひと』の文庫本を購入。これも一日で読破。
さらに『さらさらさん』を図書館に予約し、今途中まで読んでいる。
最近、停滞気味だった読書が加速した。
本の底力かもしれない。活字には『健全な好奇心』が満ちている。


方法がなければ、考えればいい。これまでなかったら、今つくればいい。
「何ができる?」
<中略>「生きのびること。わたしもほかの人も」
(本文より)

 困ってるひと

([お]9-1)困ってるひと (ポプラ文庫)

([お]9-1)困ってるひと (ポプラ文庫)

避けようのない運命の理不尽さに行き当たったとき、ひとはどのようにして生き延びていけるのだろう。
『難』を救済する立場から、『難』そのものの当事者となった筆者、渾身の闘病記・・・ではなく、生きるための覚悟を問い、社会のありかたを考え、読んだ人が自身の人生を違った視点でなぞらえるための指南書である。
病を得てからの体験談は読んでいて辛いが、悲壮感がほとんど感じられないのは、筆者の文章力によるものだろう。きっと本書に現れていないことの方がたくさんある。
絶望と不安、耐え難い痛み、友情の亀裂、信じていることのうらぎり。底なし沼でもがくような現実を、冷静に見据える強靭さ。
おそらく彼女は、自身を『取材、インタビュー』し、文章に立ち上げ『書く』という、第三者としての『わたし』を構築できる稀有な人なのだ。