UA×菊地成孔@渋谷オーチャードホール



会場1階35列目上手(かみて)に席があり、1曲目「Over The Rainbow」の演奏が終わったあと、着席。席は昨日同様上手スピーカーの延長線上だったが、スピーカーから、またステージからだいぶ離れたことになる。しかし中・高音中心に偏って聴取される傾向は変らなかった。昨日よりはだいぶましだと思いつつも、なかなか音楽の響きにのめり込めなかった。ただし藤井氏の抑制の効いたドラミングや、ヴァイオリンの高音域のニュアンスはある程度感じとることができた。ゲストトランペットの類家氏の極上の演奏スキルでコントロールされたポスト・ビバップ・スタイルの演奏は印象的だった。


ポリリズムを使用したいくつかの楽曲(例えば「マネージャングルのジャンヌ・ダルク」や「Honey and Scorpion」)は、今回の演奏/楽器編成にあわせてリアレンジされており、UAファンに向けてかポリリズムを「こんなリズムがあるんだよ。ほらほら」という感じで提示するような具合だったが、イマイチな音響に妨げられて、どれだけ客席にその妙味が伝わったのかは定かでない。迫力のある演奏やったね、うん、UAおもろいなあ、ていうかあのドレスすごいなあ、あんな服着て服に着られないのがやっぱりスターなんやろね(なぜかあやしげな関西弁)てのが大方の感想だとは思う。


今回の演奏はおそらく商品化されないだろうが、記録のためにも録音がされているだろう。その録音を是非とも聴いてみたい。わたしが客席で聴取した音楽とは全く別の音楽が鳴っているに違いない。