まず自分のストレスを和らげる

 以下は武蔵野大学人間関係学部の大山みち子さんが中越地震の際にお書きになったものの抜粋です。

<人と接するストレス>

 今回の地震のような出来事では、さまざまな立場の人と接することが多く
おありと思います。そうした人々は頼りになり、人と会うことが気持ちの
張りを与えてくれる一方で、たくさんの人と接することは、それだけでも
ストレスになりがちです。

 団体旅行や披露宴などで後からどっと疲れたことがおありでしょう。うれ
しいこと、計画していたことでもストレスになります。楽しいことでも、
知らず知らず周囲に気を遣っているはずです。大変なことや思いがけない
ことで人と会うのであれば、なおさらです。

 まずは、人といるだけでも疲れることを前提にお考えください。心の不思
議な現象として、楽になれると同時に疲れるということも、しばしばある
ことです。また、ずっと一人きりでいるのはよくありませんが、人といる
のに孤独を感じるのもよくありません。


<疲れている時のサイン>

 人とのやりとりで、相手の話が入ってこない感じがしたことはないでしょうか。
「少し休んだら?」「働きすぎだよ」などといわれて、「無理だよ」「わか
ってないなあ」と感じたり、むっとしたら、少し休むことをお勧めします。
休めないからといって休まないと、後が続かなくなるかもしれません。少し
涙もろくなったり、ひがみっぽくなったりするのは、疲れている時は誰に
でもありますが、いつもの自分らしい判断ができなくなると、後々の仕事や
大切な人との関わりに差し支えることがありますので早めに対処しましょう。


<休むヒント>
 身近な小さなことが、自分を助けてくれることがあります。たとえばこん
なことが役に立つかもしれません。どれも今は難しいかもしれませんが、
できるだけ取り入れてください。自分の体をいたわる、自分をかわいがる
ことは何でもけっこうです。たとえば…


・きれいなものを見る〜雑誌や写真などでも、きれいな色や形のものを見つけて…
・やわらかいものに触れる〜書類や段ボールだけ触るのではなく…
・横になる〜眠れなくても、少しでも…姿勢が変わるだけでも…
・暖かいものを飲む〜お茶やコーヒーを入れるといった仕事もゆっくりていねいに…
・ストレッチをする〜体の筋をゆっくり伸ばして…
・ヘアブラッシング・頭皮のマッサージをゆっくり…頭に血が上りがちです。
いつもと別の分け目でていねいにすると血行がよくなり効果的…
・ ひとりの時間を確保する〜トイレの個室などの時間は大切に…

「こころのケア」ボランティアについての注意事項

 これも中越地震の時、新潟県がまとめた「こころのケア」ボランティアについての注意事項です。善意の活動ではあっても、災害心理についての知識がなく却って被災者の方々の症状を悪化させては本末転倒だということで…

1 被災者に震災の時の様子などを無理に話させることは避けてください。

 被災者が話したい話を丁寧に聞いていただくことは、被災者の心を和ら
げる場合が多いのですが、話したくないのに話させることは、震災のとき
の恐怖や不安が強まり精神的に不安定になるおそれがあります。


2 ボランティアの方は、持参したお薬や栄養剤などを、被災者に渡さない
ようにして下さい。お薬については適切な用法・用量に基づく服用の必要
から、県から派遣した医療チームが処方します。


3 不安で夜眠れない、食欲がない、気持ちの落ち込みが激しい、不安で
落ち着かない、体の調子が悪いなどの症状がある人などについては、医療
機関や「こころのケアチーム」等の専門家にまかせてください。ボラン
ティアだけで対応しないようにして下さい。


4 被災者の話を聞くことで、ボランティアの方自身が動揺したり、精神的
に不安定になることもあります。また、がんばりすぎて疲れてしまうことも
あるので、自分自身の健康に注意し、休養を心がけてください。


5 被災者の方々は、相手が善意であっても自分の意に添わない支援は当然
断ることが出来るということを念頭に置いて活動してください。

 ということで、今日は受け売りなんですが、自分が避難されてきた方々とお会いするときのために何か心がけるための覚書です。