新潟にて

 9月2〜3日、新潟市に行ってきました。
 新潟出身の作家・坂口安吾の読書会である「安吾の会」の特別企画として、今年はじまった「夜の安吾ゼミ」に、ゲストとして呼んでいただいたんです。
 新潟市民映画館シネ・ウインド代表で「安吾の会」会長でもある齋藤正行さんが、烏有本・坂口安吾『アンゴウ』を気に入ってくれたのが切っ掛けでした。(シネ・ウインドについてはこちら→新潟・市民映画館シネ・ウインド
 そこでどんな話をしたのかはコッパズカシイので内緒ですが、人前に出てメインで話すのがほぼ初めて、先日前座を務めた千代田図書館での話を含めても2度目だったので、話があっちゃこっちゃ飛んでしまい、あまりの拙さに参加いただいた方々には申し訳ない気持で一杯……

 ところで、新潟に行く前にちょっと予習しておこうと思って読んだのがこの2冊でした。
 『HAB(Human And Bookstore) 新潟』
 『LIFE-mag. Vol.007 シネ・ウインド編』(この号の表紙に写っているのが齋藤正行さん)
 『LIFE-mag. Vol.007』を読んでいて思ったんですが、齋藤さんが中心になって作ったシネ・ウインドって、凄い存在ですね。単なる映画館ではなくて、文化の発信地ですよ。「流行」じゃなくて、「文化」の。それを作り上げた齋藤さんが無類の安吾好きというのがまた嬉しい。「夜の安吾ゼミ」の話が来る前に『LIFE-mag.』を読んでたら、恐れ多くて辞退してたと思う。


 当日は昼過ぎに新潟駅に到着。まずシネ・ウインドに立ち寄って荷物を預かっていただき、その足で「安吾風の館」に。

 開催中の企画展示は「安吾と探偵小説──不連続殺人事件を中心に」でした。
 「不連続殺人事件」には苦い思い出があります。
 大学時代に友人と電話で話していて「『不連続殺人事件』読んだか?」と聞かれ、つい「読んだよ、○○のやろ」と答えたところ、「なに! ○○が犯人なのか!」という展開に。友人はちょうど読んでいる最中だったんですね〜。「すまん、本当にすまん……」と友人に言いつつ、心の中で「安吾さん、ごめんなさい。犯人ばらしちゃった」と謝っていました。
 あと、風の館から徒歩数分のところには安吾誕生碑が建っていますし、突っ切って浜辺に着けばそこは「ふるさとは語ることなし」の碑が建つ寄居浜。どれも見逃せないスポットです。


 その後、『HAB 新潟』と『LIFE-mag. Vol.007』にも登場している北書店さんに立ち寄りました。

 ちらっと後ろ姿が写っている佐藤雄一さんが一人で切り盛りしているのですが、とても丁寧に刈り込まれた棚ばかりで、すごくいいお店でした。目的のジャンルや新刊棚だけをチェックして出てくる、というのではなくて、散歩感覚でぐるっと一回りするのが楽しいお店ですね。
 すべて佐藤さんが一人で選書しているそうなので、全体に統一感があって、なおかつお客さんの興味の違いによって自然にメリハリがつくので、ずっと見て回っていても飽きないのかな。いずれにせよ、とても居心地のいいお店でした。
 あと、こんなこと書いちゃうと佐藤さんに怒られるかもしれませんが、おしゃれすぎないのもいいです。(たまに見かける「いかにも」なセレクトショップって、なんだか居心地悪いんですよね。それとは対極的な、新刊本屋なのにどこか古本屋っぽかった書原新橋店とか、大好きだったんだけどな……いや、北書店さんが古本屋っぽいという意味ではないですよ、念のため)
 北書店さんでは、このブログでもお馴染み、新潟出身のタイプディレクター・小林章さんが何度かイベントを開いていることもあって(→「北書店のブログ」より)、以前から烏有タイポ本を置いていただいてました。

 で、今回から文学本も置いていただけることに。これで烏有本コンプリートです。
 佐藤さん、ありがとうございます!


 その後シネ・ウインドに向かったんですが、新潟駅→シネ・ウインド→安吾風の館→安吾誕生碑→北書店→蔦屋書店新潟万代(たまたま通り掛かって飛び込み営業)、と、ほぼ5時間ほど歩き詰めで、6時に再びシネ・ウインドに着いたときにはもうヘトヘト汗だく。そのおかげか、いい具合に緊張がとれて話をすることができました。で、その後に飲んだビールと日本酒の美味しかったこと。


 翌3日は、市内の紀伊國屋さんとジュンク堂さんに伺ったあと、會津八一記念館とか付近を散策して帰ってきました。(手抜きでスミマセン。久々に長文書いて疲れてきました)


 最後に、せっかく小林章さんの故郷に行ってきたので、今回撮ってきた「まちモジ」をば。(あ、シネ・ウインドの写真を撮り忘れてた!)


(「市役所前ビル」の文字がいい具合に傾いててカッコ良かったんだけど、この写真じゃわからないかな……)