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2018-03-05

海水ウランの大いなる可能性

アゴラに投稿し掲載してもらった。

http://agora-web.jp/archives/2031414.html

こっちにも載せておこう。


「海水ウランの大いなる可能性」

日本の原子力の現状

 日本はエネルギー自給率が低く、それを解決するために原子力及び高速増殖炉による核燃料サイクル計画が立てられたが、福島第一原発事故やもんじゅの失敗により、その先行きは暗い。日本は高速増殖炉開発をフランスに相乗りする形で続ける方針だが、そのフランスでも開発縮小が伝えられている。高速増殖炉がなければウラン資源は限りあるエネルギーであり、今後中国やインドが原発を増設すれば入手が難しくなる可能性もある。原子力は準国産エネルギーとされているがウランは純輸入品であり、今のままでは反対運動がなかったとしても脱原発せざるを得ない。

海水ウランとは

 一方で日本は海に囲まれた海洋国である。海にはウランがわずかながら溶け込んでおり、それを回収できればウランの枯渇の心配はなくなる。海水ウランは使っても減らないと言われており、事実上無尽蔵で再生可能エネルギーと言ってよい。原子力は再生可能エネルギーの仲間入りができ、純国産エネルギーの仲間入りもできる。海水ウランが実用化できれば原子力は環境の点でも自給の点でも制御性の点でも申し分ないエネルギーになることができる。海水ウラン捕集の実験はすでに行われており、実際にウラン抽出の実績もある。技術的に可能であることは実証されている。

 

海水ウランの実情

 ところが、海水ウランは非常に薄いためその回収には多大のエネルギーが必要で、海水ウランを作って発電しても発電エネルギーが回収エネルギーを下回るということが起こりうる。例えば年間1200tのウランを回収する計算では沖合に係留した167万本もの捕集材を使用する。回収する船は1000t積み116隻が年間を通して稼働する。船の燃料に重油を使うようだとそのエネルギーも必要、コストも必要、CO2も出てしまう。ウランを回収しても軽水炉で使うには精製、濃縮が必要である。これらのエネルギーが発電エネルギーより大きければせっかく海水ウランを回収してもエネルギーはかえって赤字だ。これまで海水ウランのエネルギー収支の報告はなく実態は不明だが、海水ウランがエネルギー源として役に立たない可能性は高い。

再生可能エネルギーはどうか

 では、太陽光発電風力発電などはどうか。これらは再生可能エネルギーであり、燃料費ゼロの純国産エネルギーであり、温暖化ガスも出さないし、導入ポテンシャルも十分あり、世界的にも望ましいエネルギーとされ日本でもFIT制度のもとで導入が進んでいる。ところが、太陽光や風力などの変動性再エネは制御性がないので大量に導入すると、発電するときは皆一斉に発電するので電力が余ってしまい、発電しないときには皆一斉に発電しないので電力が不足する。稼働率が20%程度しかない再エネで十分な量のエネルギーを確保しようと思えば時により最大需要の5倍発電してしまうこともある。これを対策するためにEVやFCVの活用が提案されているが、すべての車をEVにしてもすべてため込むのは無理であり、ため込める電力量も限られる。水素ならため込む量の制限はないが、体積はかさばるし漏れやすく危険でもあり、大量かつ長期の貯蔵性には難がある。変動性の再エネがエネルギー供給の主体となったとき、その変動性をいかに克服するかは難しい課題であり、各国とも頭を悩ませている。

海水ウランの活用

 そこで再び海水ウランが登場する。海水ウランは回収や濃縮にエネルギーが必要だ。そのエネルギーを回収したウランから得られなくても太陽光や風力発電の余剰エネルギーを使えばウラン燃料はできる。これは太陽光や風力の余剰エネルギーをウランに貯めていることに相当する。ウランは非常にエネルギー密度の高い燃料だ。つまり、どんなに太陽光や風力の余剰エネルギーがあってもウランにしてしまえばその貯蔵は楽なのだ。しかも安定だから一度作ったウラン燃料は長期保存も可能。いくらでも余裕のある揚水発電のようなものである。今日の昼発電した電気を今日の夜使うというような用途には向いていないが、去年の再エネの余剰エネルギーを来年使うというような使い方が海水ウランで可能になる。

 

再エネ社会の完成

 

 こうしてできたウランは再生可能エネルギーであり、純国産エネルギーであり、温暖化ガスフリーであり、しかも制御性もよい、理想のエネルギー源になる。再エネが余れば余るほど、ウランをため込むことができ、それは日本のエネルギー安全保障を確かなものにする。再エネは原子力を救うのだ。一方で太陽光、風力などの変動問題を原子力が解決できる。ウランというこの上なくエネルギー密度の高い蓄電池を活用することにより再エネの導入制限もなくなる。原子力で再エネも救われるのだ。

 

再エネと原子力の共存

 

 福島事故から7年。原発推進派と再エネ派は互いに反目しあっている。その理由の一つに変動性の再エネと出力制御を行わない原発の共存が難しいという側面がある。しかし、海水ウランを活用することにより再エネの変動を海水ウランで吸収出来る。同時にウランの枯渇問題を再エネが解決する。変動性再エネと原子力はお互い必要不可欠な存在になる。再エネが多くある方が余剰エネルギーも増えて原発の燃料がたくさんできるし、原発の出力制御も50%程度は十分可能であり、原発が十分あれば再エネの変動も原発の出力制御で解決できる。原発か再エネかではなく、両者ともお互いのためにお互いが増えることが有利になってくる。

 

原子力の環境整備

 

 海水ウランの活用のためには原子力活用の環境が整っていなければならない。海水ウランが活用できるなら原子力は未来永劫使えるエネルギー源である。その活用のためには未来永劫原発が受け入れられる社会環境が必要だ。しかし現在の状況では原発の新設・増設は見込めない状況にあり、原子力の活用ができる環境とは言い難い。約一年前、日本社会が原発を受け入れやすくするアイデアの一つとして「根室原発特区構想」を提案した。日本のすべての原発を根室に集中立地する提案だ。これと海水ウラン活用を組み合わせれば日本のエネルギーは未来永劫安泰だ。そうなる鍵は技術でなく社会にある。既存原発再稼働、核燃料サイクルだけが原子力ではない。過去の路線は白紙に戻し、未来に向けて社会が納得する原子力の姿を考えていくべきだろう。

参考資料

ウランは充分あるか? http://agora-web.jp/archives/2022455.html

海水ウラン回収技術の現状と展望 https://www.jaea.go.jp/03/senryaku/seminar/s09-3.pdf

根室原発特区構想 http://agora-web.jp/archives/2024855.html

2015-10-07

日本のエネルギー

1次エネは化石、再エネ、原子力しかない。化石は供給安定性問題、地球温暖化問題、枯渇問題、価格問題という問題があり、特に地球温暖化対策のため今世紀末にはゼロにすることを求められている。つまり化石の分は再エネ、原子力に移行するしかない。そして再エネ、原子力は主に電力だ。つまり今世紀末にはほとんどのエネルギーを電化する必要がある。そして原子力の在来型燃料は今世紀後半には枯渇する可能性がある。よって基本は再エネへの全面移行だ。

再エネは不安定、高コストの問題があるが、そもそも電化の際に蓄熱、蓄電池、水素化、メタノール化等の蓄エネルギーは必須であり、化石の電化と再エネ導入を平行して進めていき、償却済み設備のメンテナンスを図り、設備を長期間動かしていけば安定性もコストも解決していくだろう。

一方、原子力は燃料枯渇を避けるFBRや海水ウラン等の候補があるが、実用化は不透明であり、仮に実用化できたとしても化石の置き換えには大量導入が必要であり、地震津波洪水等自然災害が多く福島原発事故を経験している日本国内で化石燃料を置き換えできるほどのFBRや軽水炉の大量導入は政治的にもリスク管理の面でも疑問だ。なにしろ化石燃料を原発で置き換えるには国内に原発を500基設置する必要がある。事故前の50基に戻すのも困難ななか500基設置などありえない。ただし、FBR等持続可能な原子力技術が世界に普及すればそれによる電力や水素、メタノールの形で輸入することはできるだろう。

なお、再エネだって日本のエネルギーをまかなおうとすれば、現状の200倍に増やす必要がある。再エネが毎年10%増加しても50年で200倍に達しない。しかし、再エネに投資する人を今の200倍にすることはできるのではないか。というわけで自分もその一人になろうとしている。山間部の太陽光は12月4日完成予定!年内か年明けには連系するだろう。

2013-09-24

アゴラの興味深いコメント

アゴラに「福島原発事故、専門家は責任から逃げるな」というエントリーがあってそのコメント欄に興味深いコメントがあった。

「反保 元伸 · トップコメント投稿者 · JAEA Post-Doctoral Research Scientist

軽水炉の安全研究は、30年前から途絶したと、先輩から聞いています。その理由を簡単に言えば、「安全といわれる原子炉がすでに動いているのに、安全かどうかを研究するというのは矛盾するからだ」と言っておりました。多額の研究費を電力会社からもらっていた当時としては、会社の意向に逆らうことはできなかったんでしょうね。」

JAEAの現役の研究者らしい方のコメントである。JAEAとはいわゆる原子力研究所であって、高崎の原研もその一部である。研究所といえば俗世間に関係なく研究をやっているイメージがあるが、ここまで電力会社の魔の手が伸びてきて安全研究をストップさせていたということは、日本では30年間原子炉の安全研究はどこもやってないということだろう。私は原子力は活用できるものなら活用したほうがいいと思っているが、こんな話を聞けばやはり日本は脱原発するしかないのかなーと思う。

f:id:vaceba:20130924071340p:image

2010-12-15

トリウム炉

世の中CO2削減とか電気自動車とか言っているのであれほど反対運動の根強い原子力発電をどんどん作ろうとしている。というか作らざるを得なくなっている。原発を人々がいやがる理由は様々ある。事故が怖いこと、廃棄物処理の方法が困ること、核爆弾の材料になること、いずれウランだって枯渇すると思われることなど。ところがこれらを一気に解決する技術は実は存在していた。それがトリウム炉である。ウランより2つ軽い側にある元素で、中性子をあてるとU233になり、それが核分裂してエネルギーを取り出す。核分裂し始めると自分の起こした中性子でトリウムがウランにかわっていくので燃料が減らない。燃料自身を液体にでき、怖い液体ナトリウムなんて使う必要がない。液体なので一か所に集中しないためメルトダウンなどが起きにくい。燃料液体は500度以上の高温なので300度程度しか上げられない軽水炉なんかより熱効率が高い。核生成物として超ウラン元素など難しいものが少なくさらにうまく消滅できる可能性もある。トリウムの埋蔵量はウランの数倍もある。資源は地理的に偏っておらず調達がウランより容易。プルトニウムなどが生成しないので核兵器への転換は困難。どうですか。こんなすぐれた技術があるんだったらこれで発電して電気自動車を使えばCO2削減なんて簡単。太陽電池とか風力とか安定性のない電源に頼らなくて済む。CO2のことをまじめにかんがえるならもんじゅや燃料電池なんかより先にトリウム炉を研究してほしいものだ。平和憲法を持ち財力があり、CO2の2050年半減を目指している国である日本が世界に率先して研究すべきでしょう。それこそ日本が世界に誇りうる技術になりうるのに。でもほとんどやってないらしい。日本政府って国の借金のことにしてもやっぱりなんか真面目に考えてないというか、それとも考え方のセンスがないのか。もったいない。