唇からナイフ

DVD「山猫」。貴族ドロン29歳。きっぱりビスコンティが苦手で、これまで二度挫折した完全版187分をドロンパワーを得て遂に制覇。しかしやっぱりこれはランカスターの映画だよなと。

スターチャンネル「太陽はひとりぼっち」。相場師ドロン27歳。ミケランジェロ・アントニオーニは「赤い砂漠」も「情事」も尋常ならざる努力で観たことあるけど、きっぱり「欲望」以外はいったいどこの誰が嬉しいねんみたいな苦行みたいな映画ばかりで、この映画も例に漏れず。土人踊りだけ面白かったモニカ・ヴェッティのダルな演技ももうええちゅーねん。街灯のラストシーンは吾妻ひでおの漫画で観たことがある。

スターチャンネル「ブーメランのように」。元ギャングでいまは実業家ドロン41歳。自分がドロンファンになったきっかけ「暗黒街のふたり」と同じジョゼ・ジョヴァンニ監督でタイトルもカッコよく(直訳だけど)楽しみにしていた映画。そして「暗黒街のふたり」と真反対の展開とドロンの演技とも悪くなかったけど、終盤のアクションシーンはフランス映画にはあまりにも唐突かつ蛇足で心からうんざりした。しかしドロンはドロンさえて出てれば良かった(喩えるなら仮面ライダーさえ出てればいい仮面ライダーみたいな)時代の作品より、やっぱり演技も考え出した晩年の作品のが好みでいい。

シネフィルWOWOW「サブウェイパニック」。監督が「地球爆破作戦」のジョセフ・サージェントで観たかった映画。脚本も映像も期待通りの傑作。なかでもこれと「がんばれ!ベアーズ」しか観たことがないウォルター・マッソーの台詞回しが抜群で、なんたってラストシーンが素晴らしい。それだけにこのあとサージェントがテレビシリーズの監督に戻ったのは実に残念。1974年。