発熱

天気の良い休日。「オットが風邪を引いたかも」と騒いで何度も体温を測っていたが、
その都度平熱で、せせら笑っているうちに一日が終わる。
夕方から散歩に出かけたが、帰宅後突如オットの容態が急変。いきなり熱が出てくる。
夕飯は家呑みした。ということで今日のつまみ

  • ふかひれのスープ
  • スコッチエッグ
  • カボチャの炒め煮
  • その他   私は日本酒できめる。もちろんオットは呑まず。


オットは食事の途中で「寒い!」と退場。こたつで眠り込む。
私は一通り呑んで片付けた後、常備薬をチェック。その間にもオットの熱はみるみる上がっていく
「ルル」しかなかったので、コレではラチかあかないと、薬を買いに本日二度目の散歩?と相成った。
10時閉店のドラッグストアにギリギリ滑り込みセーフ。
エスタックイブ」とスポーツ飲料をGetして一人極寒の帰り道を急ぐ。
寒さに耐え切れず思わず「ロイヤルミルクティ」を買って飲んでしまった(こんな時間に)。
帰宅後、直ちにオットに薬を飲ませて布団に追いやる。しばらくして熱が劇的に下がった。
新型インフルエンザではないかも。(クーラン)

「イングロリアス・バスターズ」(ネタバレ)…タランティーノの鮮血の美学

イングロリアス・バスターズ
監督:クエンティン・タランティーノ出演:ブラッド・ピット クリフトル・ヴァルツ メラニー・ロランを観た。
傑作です。しかしながら、万人お勧めできる作品ではない。
だってゲテモノ映画だから。
頭の皮を剥いだり、傷口に指を突っ込んで拷問したり…、残虐なシーンが連続する本作は
大好きな映画は?と問われ「ローマの休日」とか答えてしまう上品な貴兄には不評でしょうね。


又は、主演がブラッド・ピットということで、「ジョー・ブラックをよろしく」のようなサラサラヘアーの
美青年の麗しい姿を堪能したい方もキツイだろう。
かつて「トルゥー・ロマンス」の主演をクリスチャン・スレイターに持っていかれた彼にとって念願の
タランティーノ作品は、終始「アイーン」な感じでアゴを突き出し、ダミ声で喋る中尉殿というキワモノ的な
キャラクターなのだから。


しかし、平日の昼間、たまたま放送していた映画を何の予備知識もなく観ていたら、日常の平穏を
引き裂く悪魔のような作品(※)で、嫌悪と驚愕に苛まれるが、やがては、無味乾燥な毎日から逃避
すべく、こうした作品との出会いを求めて映画館の暗闇に身を置くことを常としてしまった人(私)
には堪えられない作品なのである。
(※)例えば「悪魔の墓場」「メイクアップ」「人喰い生物の島」「バニシング」「ウィークエンド」など。


あらすじ
国民社会主義ドイツ労働者党《ナチス》によるユダヤ人狩りの追求を逃れ、フランス人エマニュエル
として第二の人生を送っているショシャナ(メラニー・ロラン)。彼女の今の職業は映画館の支配人。
ある日、ドイツ軍の若い兵士ツォラー(ダニエル・ブリュール)に声をかけられ、ふたりは顔見知りに。
実は、ツォラーは連合軍250人殺しのドイツ軍の英雄だった。
彼の英雄噺は自身主演で映画化され、ナチスプロパガンダとして用いられていた。
やがて、ツォラーの強引な説得により、当該オレ映画をショシャナの映画館でプレミア上映することが
決定する。
そこには、かつてショシャナの家族を皆殺しにした通称「ユダヤ・ハンター」のランダ大佐
(クリフトル・ヴァルツ)やヒトラーも来訪することに。
ショシャナは、ナチスに対する積年の恨みをはらすべく復讐を決意する。


一方、アルド中尉(ブラッド・ピット)率いるユダヤアメリカ人を中心とした連合軍の殺人部隊
イングロリアス・バスターズ」も、この上映会の情報を入手。
劇場爆破のミッションを遂行すべく一行もフランスへ赴くが…。


イングロリアス・バスターズ オリジナル・サウンドトラック
ブラピ率いるバスターズは、ナチスとみると容赦なく殺す。
主義主張なくバンバン殺す。
タラはアクション・シーンの撮り方が巧くなった。
不謹慎極まりない。しかしこの確かな充実感は
『たまには戦争だってしたいんだ、僕たちは!』
と声高に謳った矢作俊彦大友克洋の傑作エンタテインメント巨編
気分はもう戦争」と同様のものだ。


気分はもう戦争 (アクション・コミックス)

気分はもう戦争 (アクション・コミックス)

言うまでもなく戦争なんて現実にはあってはならないことだが、あまたの戦争映画が内省的な側面以上
にアクション映画として成立している事実(あの「地獄の黙示録」でさえも)は、我々が好戦映画を
求めていることを雄弁に物語っている。


戦争映画ではないが、例えば「ダイ・ハード」。
「罪を憎んで人を憎まず」なんて格言とは無縁に、ベレッタの弾丸を悪人にブチ込んで皆殺しにした
挙句、妻と仲直りした主人公はハッピーエンドでメリー・クリスマス…って、
これが良識あるキネマ旬報ベストテン第1位なんだから、推して知るべし。


これは虚構と現実を区別して認識することのできる正しい大人のためだけに許された娯楽ということ
なのだと思う。一瞬の夢はスクリーンの向こう側にだけ存在するから許されるのだ。
故にバスターズのハチャメチャな活躍もショシャナの皆殺し計画も楽しむことができるのだ。
こういう映画はあっていいと思う。
生真面目な文芸大作ばかりじゃ単調な日常生活に何の潤いもなくなってしまうから。

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以下、思い付くままに雑感。
・「最高傑作ですネ」のひとことで、何の余韻もなく唐突に終了する本作は、正に前述の嫌悪と驚愕に
苛まれる「あの感じ」だ。
・このラストシーン、被害者側の主観で見たあおりの構図は、70年代のホラー映画によく用いられたもの。
こうした構図を選ぶセンスもまたたまらない。
こんな感じ↓

・既存の楽曲の流用が相変わらず素晴らしい。
タランティーノは、
ジャッキー・ブラウン」で「シャーキーズ・マシーン」に使われた「Street Life」を
デス・プルーフ」で「クルージング」に使われた「It's So Easy」を
そして今回「キャット・ピープル」で使われた「Putting Out The Fire」をクライマックスの
イチバン良いシーンに使用しており過去これらの作品にアツイ眼差しを送っていた私にとって
「タラはオレのために映画を作ってくれている!」と思ってしまう。
(多分、同様の想いを抱いている人が世界に1,000,000人くらいいると推察する)
・ゲスト出演のロッド・テイラー!
ロッド・テイラーといえば、「闇の閃光」。
のちに「燃えよドラゴン」を監督するロバート・クローズの初期作品。
劇場未公開ながらTV(もちろんテレ東)放映されたこの作品も死ぬ程音楽がカッコ良かった。
いつかタランティーノも自作で使用するかも。


一本の映画からさまざまな映画に繋がっていく素晴らしさ。
または、この作品をきっかけにゲテモノ映画の麻薬的な陶酔にはまるひとがいるとしたら、
それも素敵じゃないか。