晩鮭亭日常

2018-01-21 セザンヌの買い直し。

セザンヌの買い直し。


 昨日になって急遽本日の屋内仕事が中止となる。降って湧いたような休日。明日は、雑司が谷みちくさ市もやっているし、古書往来座に取り置きしてもらっている「名画座手帳2018」も取りに行くことができると心浮き立つ。たまたまSNSで見た“ナンプラーを使った鍋”でもやろうと土曜夕方の賑わいを見せるスーパー白菜鶏肉団子とヌクナムタイ料理よりベトナム料理の方が好きなのでこちらにする)を購入し、帰宅。水800mlにヌクナム大さじ2杯を入れ、本来ならレモン1個を搾るのだが買い忘れたのでポッカレモンで代用する。そこに鶏肉団子と白菜を入れてよく煮たら出来上がり。簡単で結構うまい。ヌクナムの味も久しぶりだ。締めに糖質ゼロ麺を投入してちょっと煮込んで平らげる。


 今朝は、昨日朝の「おかずのクッキング」(テレビ朝日)で土井善晴センセイがやっていたネギトーストを作る。長ネギ一本をみじん切りにし、黒酢砂糖醤油ごま油をそれぞれ大さじ1杯かけて混ぜたものをバターを塗ったトーストにのせるだけ。トーストネギなんて合うんかいなと疑心暗鬼で口に入れてみるとこれが予想以上にうまかった。ネギの辛味も黒酢砂糖コンビネーションでまろやかに丸め込まれていく感じ。


 溜まっていたワイシャツをクリーニング屋に出してから駅に向かう。途中でスマホに着信。電話は弟から。こちらのアクション(送ったシュトーレンや甥姪へのお年玉)へのリアクションではない、弟からのアクションの電話はいつも何かのトラブルや悲報の色合いを帯びることが多いので少し身構えてしまう。内容は父母が眠る墓地に関することだった。赤い警報ではなく、黄色い注意報といった内容だったが、時間とともに赤く色が変わる可能性は充分にあるだろう。頭の中で自分の銀行口座の中身を確認しながら話を聞いていた。



 みちくさ市が行われている雑司が谷へは地元から乗り換えなしで行けるのでありがたい。車中の読書は例の8,500円文庫本である三浦しをん広辞苑をつくる人」(岩波書店広辞苑第七版」予約特典非売品)。第1章国立国語研究所、第2章大日本印刷株式会社、第3章大片忠明さんと冨田幸光さん、第4章株式会社加藤製函所、第5章牧製本印刷株式会社にまえがきとあとがきがついた150ページほどの本だ。第1章に書かれている動詞の語釈検討の話が面白い。「こする」「する」「さする」「なでる」「なする」の違いや「炒める」と「焼く」の違いなど興味深い話が続く。


 雑司が谷の駅を過ぎて池袋駅まで行って下車。ジュンク堂書店古書往来座に寄ってからみちくさ市へいくつもり。ジュンク堂地元本屋になかった雑誌を1冊買う。



美術手帖2018年2月号



 特集が“テレビドラマをつくる”。「逃げるは恥だが役に立つ」の脚本家である野木亜紀子さんの対談が載っていると知って読んでみたかったのだ。「重版出来」や「俺物語」など漫画原作を見事にドラマ化する彼女の脚本に興味を持っている。そこへオリジナル脚本による新作テレビドラマ「アンナチュラル」が今月から始まった。どんなもんかと2話まで観たが面白い。「シン・ゴジラ」のヒロイン2人(石原さとみ市川実日子)が共演しているのも心踊る。


 古書往来座へ。瀬戸さんとのむみちさんに挨拶をして、店内を回る。いつ来ても充実した棚に顔がほころぶ。



 『三人展』は昭和44年1月に伊勢丹で行われた展示用に作られた冊子。今からほぼ50年前だ。それぞれの作家に関する写真と何ページにもわたる長文の紹介が載っている。安吾の担当は関井光男氏だった。

 その関井光男氏も関わっていた「定本 坂口安吾全集」を大学入学とともに神田の一誠堂で購入した(代金は親に借りた)。大学坂口安吾を研究するためである。その後、全集ちくま文庫版、筑摩書房版と新しく出版されたが個人的にはこの冬樹社全集への思い入れが強い。その全集刊行時のパンフレットはやはり欲しくなる。


 これらの本とともにカウンターで「名画座手帳2018」を入手。『本の雑誌』2月号で青山南さんが褒めていた若尾文子直筆の帯文「この手帳には私の青春が詰まっています」は実際に手に取ると一層感慨深い。個人的には橋本愛直筆の「私たち青春は、この手帳と共に進行していく。」もまた感慨深い。



名画座手帳2018


 古書往来座から歩いて雑司が谷へ。途中、肩にフクロウをのせている女性を見かける。池袋だからイケフクロウ洒落ているのだろうか。鬼子母神手づくり市をやっており、また先日「モヤモヤさま〜ず2」で雑司が谷周辺を取り上げていた影響もあるだろうか、人出が多い。みちくさ市にたどり着き、出店している店を回る。買ったのは以下の本。



 コミマサ本は“暢気文庫”から。ノンちゃんとも久しぶり。娘さんがずいぶん大きくなっていた。前に会った時はまだベビーカーに乗っていたんじゃないかな。

 洲之内本は鬼子母神前みちくさ市ブースから「気まぐれ美術館」シリーズは全て持っているのだが、「セザンヌの塗り残し」は箱のない裸本しか持っていなかったので綺麗な箱入りが安く手に入りうれしい。シリーズラストの「さらば気まぐれ美術館」も美本が安かったのでもう1冊買っておく。このシリーズなら重複しようと構いはしない。



 ゆっくりとしていたかったのだが、明日から一年で一番大変な仕事が始まり、まさに“絶対に休めない闘いがそこにはある”という訳で、早めに帰宅することに。まだ、大丈夫なのだがどうもこの一週間くらい体内に風邪インフルエンザかの菌が入っているような感じがする。半世紀ほど自分の体と付き合っているので体調を崩しそうな感じがなんとなくわかる。こういう時は暖かくして家にこもり、栄養と睡眠を取るしかない。どんな菌が入ろうと体調を整えて発症させなければこちらのものだ。このやり方で例年周囲のインフルエンザ罹患者を横目になんとか乗り越えてきた。


 帰りの車内でも「広辞苑をつくるひと」を読む。広辞苑の箱を作る株式会社加藤製函所が出てくる。「セザンヌの塗り残し」の箱もここが作ったのだろうか。地元に着くまでに全体の3分の2ほどを読んだ。約5,000円の読書ということになるかな。



 駅ビルの靴屋があと数日で店じまいするため40パーセントオフセールをしている。明日・明後日の雪の予報を考え、滑り止めのついた雪雨用のショートブーツを購入。坂の多いこの街で雪に降られると転倒の危険と隣り合わせになる。予防しておくに越したことはない。それにしても、この店がなくなってしまうとこれからどこで仕事用の革靴を買えばいいのだろう。今履いている革靴は全てこの店で買ったものだ。馬鹿の大足で足に合う革靴を探すのにいつも苦労する。選んで買ってもしばらく靴づれに悩まされることもよくある。試しばきもできない通販で買うなんて考えられない。愛用の店がなくなるというのは本当に困る。



 帰宅して、買ってきた小松菜メキシコ産アスパラ(見切り品)にベーコンを入れてオリーブオイル蒸しを作る。粒入りマスタードオリーブオイル醤油を混ぜたものをかけて食べる。それにしても野菜が高い。自炊をする時は野菜中心を心がけているのでどうしてもエンゲル係数が上がってしまう。

2018-01-14 8,500円の文庫本。

8,500円の文庫本


 ふと気づくと水曜日から働いていない。と言いながら水、木、金、土と朝7時過ぎから職場へ行っている。土曜以外は夜7時過ぎまで約12時間いて、いつもの通りの業務をやっていた。しかし、タイムレコーダーには記録されていないので、労働時間にはカウントされていない。休日出勤1日=振替休日1日という概念のなかったこの業界にも、働き方改革の波は押し寄せてきて、親会社からのお達しで我が職場にも1日休日出勤をしたら1日休まなければならないという決まりができた。その上、これまで通常勤務扱いであった12月末と1月初めの屋内仕事や野外仕事も休日出勤扱いに変わった。職場はその分の代休を取れと言う。しかし、休日を取れる日がない。通常勤務の日に休んだら、その分の仕事を別の誰かが自分の仕事にプラスして働かなければならない。仕事の性質上、今日の仕事分を明日に回すということができないのだ。今日の仕事は今日やるしかない。自分しか担当者のいない屋内仕事は自分が行かなければ実施できない。屋内仕事の関係者に迷惑はかけられない。となると、代休の届けを出した上で、職場へ行き通常の業務をすることになる。しかし、タイムレコーダーは押せないから、働いているけど労働時間にはならない。通常の業務を通常通りやっているのだから、別に辛いというわけではない。ただ、この状況が続けば、実際の月の労働時間が基準を超えていたとしても記録としてそれが残らない形になってしまう。これはまずいことだろう。厄介なのは、職場は「休め」と言い、自分も「休みたい」と思っているのに、もし本当に規定通りに休んだら、自分の仕事に大きな穴が空き、それによって自分や職場がうまく回らなくなってしまうというこの状況なのだ


 今日も休日出勤の屋内仕事で朝から職場へ行く。これでまたどこかで代休を取らなければいけないのかと思うと気持ちが晴れない。午後からは、自分がひとりで担当している職場の会報誌の仕事をする。年末に印刷屋に入稿した原稿の校正刷が来たので、それを執筆者毎に切り分けて、締め切り等の事項を書き入れた紙に貼っていく。短い文章ばかりなので執筆者は軽く50人を超えてしまう。この校正用のシートを作るのに午後が丸々潰れる。単純な作業なのと、休日で職場にほとんど人がいないため、イヤフォンで音楽を聴きながら黙々と作業を進める。BGMにはこれを選ぶ。


【CD】いつか聴いた歌(3)ブロードウェイ・アンド・ハリウッドオムニバス [Blu-Spec CD][SICP-31059]


 和田誠画伯が選んだスタンダード集シリーズの「いつか聴いた歌」は1と2をすでに持っていたのだが、最近になって3が出ていたことを知り、手に入れた。クールテナー男性歌手が歌うスタンダードナンバーの心地よさに休日出勤でこわばった心も少し癒されるようだな。





 職場を出て、駅ビルの本屋に寄る。昨日から買うかどうか悩んでいたこ辞書を買うことにした。



広辞苑 第七版 普通版【三浦しをん書き下ろし文庫判小冊子「広辞苑をつくるひと」付】



 発売日の12日にこの辞書がこの店に並んでいるのを見て、手に取った。そして値段を見て驚いた。特別定価8,500円(税別)。えっ、「広辞苑」ってそんなにするの。この価格で一般の人が果たして買うのだろうかと心配になった。こちらは仕事柄辞書は必需品のため、いくつあっても構わないのだが、それでもこの値段にはちょっと衝撃を受ける。それは商品の価値に対して値段が高すぎるということではなく、このサイズの紙の辞書が「一家に一冊」と言えるようなものではなくなったという現実に直面したショックなのである。ネットで気軽に言葉の意味を検索できる現代において紙の辞書を地道に改訂して出版し続けることの大変さと困難さがこの値段に現れているのではないかと思えたのだ。


 辞書が好きで、仕事でも使う人間としては別にこの値段だから買わないということはない。実はすでに昨夜アプリ版の「広辞苑 第七版」を購入し、iPadiPhoneダウンロード済みである。やはり、いつでも持ち歩け、どこでも参照できるアプリ版はありがたい。それに老眼に向かいつつあることを考えると文字の大きさを調整できる電子書籍は便利である。しかし、紙の辞書も捨てがたい。しかも、予約特典ということで紙の「広辞苑」には三浦舟を編む”しをん「広辞苑をつくるひと」という文庫本が付いてくるという。昨夜、TBSラジオクラウドで聴いた「荻上チキSession22」でこの付録文庫本の内容が素晴らしいと激賞されていて、それは是非読みたいという思いを強くしていたところ、ここの店頭販売分にもこの文庫が付いていることを知り、やはり紙の辞書も手元に置こうと思った次第。辞書本体の内容はアプリで読めるのだから、結果的にはこの文庫本に8,500円出したことになるのか。多分人生で一番高い文庫本だと思う。

2018-01-07 昨日の茄子、今日の林檎。

昨日の茄子、今日の林檎



 昨日の土曜は、午後3時前に仕事を終える。来週からの本格的な仕事始めに合わせて、新しい仕事用の手帳を準備しなければということで横浜そごうにあるLOFTに向かう。


 仕事場ではほぼ日手帳のカズンという大きめサイズの物を使っている。この手帳はネットでも買えるが送料がかかるので、取り扱っているLOFTに直接買いに行くことにする。そごうのLOFTの隣には紀伊国屋書店もあるからそこで買いたい本もあった。


 無事1月始まりのほぼ日手帳カズンを購入後、紀伊国屋書店へ。ここで地元書店では買えなかった本を2冊手に入れる。



茄子の輝き

右であれ左であれ、思想はネットでは伝わらない。


 「茄子の輝き」は昨年地元本屋で見かけた時に、その題名とカバーの茄子の絵に思わず目が釘付けになった。なにせこちらは茄子好きなのである。先日も茄子油揚げ味噌汁を具沢山で作り、大きめの椀で2杯飲んだくらいだ。しかし、どうしたことかその時は見送ってしまった。そしてその店の棚に「茄子の輝き」は二度と姿を見せてくれなかった。神保町でも何度か探したのだが、見つけられず、久しぶりにその姿を目にして、やはりいい題名とカバーであることを再確認した。


 坪内本は最近個人的に好感度が高い幻戯書房から出た新刊あとがきによると「ストリートワイズ」「後ろ向きで前へ進む」(共に晶文社)に続く3冊目の評論集で、そして《たぶん、これは私の最後の評論集になるでしょう》とのこと。第1章は「戦後論壇の巨人たち」ということで、“福田恆存”から“丸山真男”まで24人を取り上げている。第2章「文藝春秋をつくった人びと」、第3章「滝田樗陰のいた時代」と続く。こちらの『文藝春秋』及び『中央公論』という2つの雑誌を扱った章の方により興味がわく。関連年表と索引がついているのも嬉しい。




 今日は午前中が屋内仕事で、午後は机仕事と一日職場にいる。同僚から林檎を2つもらう。それと職場から貸与されているiPadをカバンに入れて帰宅。これで都合リンゴが3つになった。iPadを持ち帰ったのは職場にWi-Fi環境がなく、ソフトウエアアップデートをするためには自宅のWi-Fiに繋がなければならないため。



 帰宅して林檎を剥いてカマンベールチーズとともに食べ、iPadアップデートをする。BGMソニー・クラーククール・ストラッティン」(BLUE NOTE)。このアルバムが録音されたのが1958年の1月5日。今から60年前になる。2日遅れの還暦祝いのつもりでレコードを聴く。いつ聴いても大好きなアルバム。そう、茄子と同じくらいに。


クール・ストラッティン +2 [ ソニー・クラーク ]

2018-01-03 御慶。

御慶。



 年が明けた。


 元旦は、例年通り朝風呂に入りながら古今亭志ん朝「御慶」を聴く。暮れに富くじで千両当てた男が正月に裃つけて挨拶回りをするドタバタ劇。善人しか出てこないし、内容もオメデタイ(祝賀と脳天気)のでやはり年の初めに丁度いい。

 風呂から出てTVで“ニューイヤー駅伝”を観る。毎年見ているが、今年は暮れに放映されたドラマ陸王」でこの大会が重要な舞台となっていたので、注目度が多少は高まったのではないかと思う。ドラマランナーと同名の“茂木”という選手旭化成の1走で出場するなどまるで演出かと思うような偶然もあったしね。


 駅ビルが元旦休業のため、本屋食堂もやっていないので、一日家で本を読んだり、年賀状の追加を書いたりして過ごす。年賀状を出しに外へ出ると風もなく陽射しも暖かく穏やかな正月だった。マンションの4階から見る富士山は今年もくっきりと鮮やかだった。



 2日は、昼過ぎまで箱根駅伝往路を観てから外出。今年は母校が出ていないので箱根駅伝もあまり楽しくないな。暮れに行った大掃除の流れで処分することにした漫画コミックス)を30冊程大きなカバンに入れて今日から営業を開始するという地元古本屋へ売りに行く。この店に本を売るのは初めて。5分ほどで金額が出る。それぞれの作品ごとに細かく買取値段を出したものを見せてくれる。丁寧で誠実な応対をしてくれる店だなと好感を持つ。もともとその品揃えから好印象を持っている店だったのだが、やはり間違ってはいなかった。本をお金にすることよりも、部屋のスペース確保のための処分だから買い取ってもらえればそれで充分ありがたい。手にした金額で待ち時間に目をつけておいたこの本を買う。



故旧哀傷: 私が出会った人々


 雑誌ユリイカ』に連載していた詩人による友人知己回顧集。中村光夫大岡昇平安東次男、武田百合子といった名前に惹かれた。これを買って500円ほど手元に残る。


 今日から始業の駅ビルの本屋で今年の本の買い始め。



13・67


 『週刊文春』のミステリーベスト10の1位になったそうなのだが、それが理由なのではなく、ノンフィクションライター高野秀行さんがツイッターでこの作品を人生で読んだミステリーの中でベスト3に入ると激賞していたのを読んで興味を持った。先月の海外出張の時機内で高野さんの「ワセダ三畳青春記」(集英社文庫)を遅ればせながら読み(面白いという噂は以前から聞いていた)、評判通り面白く、高野さんに対する関心が高まっていたところだけに、その言葉がストレートに気持ちに届いたといった感じ。同じ機内で読んでいたのが、高野さんと同様に旅をしながらノンフィクションとフィクションのあわいを表現する作家ブルースチャトウィン「ソングライン」(英治出版)だったから、チャトウィンの重量感とは違う高野さんの軽みが一層楽しめたとも言えるかもしれない。



ワセダ三畳青春記 (集英社文庫)

ソングライン (series on the move)



 駅ビルの大戸屋で昼食。野菜を食べたいので野菜の上にチキンがのったバジルチキン定食を頼む。暮れから何度かここで食事をしているが、BGMジャズを流しているのがちょっと気になっている。ジャズ好きだから流れていること自体は問題ない。ただ、その選曲ジュリー・ロンドンの「クライ・ミー・リバー」(『彼女の名はジュリー』収録)だったりするのが気になる。個人的にはこれって夜(しかも真夜中)のイメージなんだよな。それを明るい午後の店内で聴く違和感がどうしても拭えない。まあ、こんなことを気にするのは極少数なんだろうけど。


彼女の名はジュリー Vol.1&Vol.2



 今日(3日)は、箱根駅伝復路を見た後、外出。明日から仕事が始まるので、何日も引きこもりのような生活をしていると社会復帰が難しいだろうと電車に乗って外へ行く。と言っても行く先はいつもの如く神保町。今年初の神保町詣で。車内では元旦から読み始めたR・D・ウィングフィールド「フロスト始末」を読み進める。家に籠っていれば読書が進むかと思っていたが、気がつくとTVを見たり、ふと思いついた家事をやったりと予定していたほど読書が進まない。やはり、一番集中して読めるのは移動の車内ということになる。フロストもやっと下巻中程まで進んだ。



 神保町に到着。東京堂は明日からだが、三省堂はやっている。


角川新字源 改訂新版

壁の中【新装普及版】


 「新字源」は去年の秋に出た改訂新版。辞書好きなのと、去年漫画アニメで久しぶりに「舟を編む」に触れて(小説は以前に読んでいる)辞書への関心と好感が強まり、すぐに買おうと思っていたのだが、なぜか辞書コーナーを持つ地元本屋ではいつまで経っても入荷しない。行くたびに棚を覗くのだが目にすることができなかったので、ここで買った。

 「壁の中」は中央公論社文芸雑誌『海』に連載されていた後藤明生小説小林信彦「私説東京繁盛記」を読むためにこの雑誌を購読していた。その時から気になっていたのだが、これまで読んだことがない。多和田葉子坪内祐三の文章がついて新しい本として再出版された。この機会に読んでみたい。



 神田伯剌西爾もやっていたので、チーズケーキとブレンド。店は満席の盛況だった。



 ディスクユニオンレコードを買う。新春セールで10パーセント引きだった。



グランド・エンカウンター

スウィンギング・ギター



 帰りの電車も「フロスト始末」。フロスト警部はいつものように同時多発的事件に忙殺されながら、幸運と不運を繰り返しつつ、事件解決へと進んで行く。明日から、仕事かと思うと気持ちが少し重くなるが、ジャック・フロストの日々から比べればなんてことないと思えるのもこのシリーズの利点だろう。

2017-12-31 フロストの年末。

フロストの年末。


 今年の仕事は28日までだった。26日頃に風邪をひき、楽しみにしていた忘年会も諦めて、なんとか年末の仕事をやり遂げる。そのうち古書往来座へ行って2018年度版の「名画座手帳」を買おうと思っていたが、叶わないうちに売り切れの報を聞く。残念。


 できれば29日に日帰りで京都に遊びに行きたいと思っていたが、体調不良の状態で行っても楽しめないのと、年末の帰省ラッシュで新幹線の座席が取れないだろうということでこちらも諦める。


 29日は家で体調回復に努めた。


 30日は体調も回復したので、一日大掃除。窓を全開にして動き回っていたが、暖かい陽射しが降り注ぎ、助かる。今年はこの為にケルヒャーのスチームクリーナーを購入した。窓、網戸、外壁、トイレ、台所、フローリングと至る所をスチームでクリーニングする。目新しさと面白さで飽きずに大掃除を終了できた。



 今日は、朝風呂でTBSラジオラジオクラウドで「荻上チキ session22」の”池上彰さんと荻上チキが語り合う〜2017年ニュース対談”を聴く。今年のニュースを回顧する番組を大晦日に聴くのは気分的にしっくりくる。そのまま風呂掃除をしてから上がり、カビ防止のスモークを焚いて昨日から続いた大掃除を締めくくる。



 昼に駅前まで下りて行き、今日明日の食材を買い込む。本屋にも寄る。今年最後に買った本はこれ。


フロスト始末〈上〉 (創元推理文庫)


 この日記を読んでいただいている方の中には「あれ」と思う人もいるのでは。そう、今年の6月に買ったことをここに書いた本であるからだ。これまで読めずに来て、この暮れに読もうと楽しみにしていたのだが、なぜか下巻はあるが上巻が見当たらないのだ。この年末年始の休みを逃すとまた読むチャンスを失ってしまうと思い、泣く泣く上巻だけまた買ったというわけ。情けない。それでも読めないよりは読めた方がいい。愛読してきたシリーズの最終巻でもあるしね。自分だけ3巻本の特装版を買ったと思うことにしよう。


 帰宅して、TBSドラマ逃げるは恥だが役に立つ」一挙放送をTVで流しながら、年賀状を書く。毎年ギリギリになるのだが、今年はついに大晦日まで残ってしまった。「逃げ恥」が終わったので、毎年恒例の古今亭志ん朝「芝浜」を聴く。一種のファンタジーと言っていい噺なのだが、そのファンタジー感が大晦日にふさわしい。



 夕食はすき焼き。これが実家の大晦日の鉄則だったので、父母がいなくなってもひとりでそれを続けている。長ネギを炒め(本当は牛脂を使うのだが、無かったのでバターで代用)、そこに醤油みりん・かつ節・砂糖で作った割り下を入れ、白菜・焼き豆腐・シラタキ・牛肉を煮る関東風だ。



 すき焼きを食べ終えて、テーブルミカンを用意し、紅白歌合戦を見始める。加湿器のタンクイオンカートリッジと浄水器クリンスイのカートリッジも新しいものに取り替えた。ドアの前に無印良品で買った正月飾りも掛けた。自分ができることは一通りやった。



 では、この日記をお読みいただいている皆さま、今年もありがとうございました。来年もマイペースで日記を続けていくつもりです。計画倒ればかりですが、これからもよろしくお願いいたします。

2017-12-25 聖夜の伯父さん。

聖夜の伯父さん。


 23日・24日の土日ともに仕事だったので、今日は休みを取った。


 知人からシュトーレンのお礼にともらったLUSHの入浴剤を入れて朝風呂に入る。”ドラゴンの卵”という名前のまるでドラゴンボールかと思うような球体を湯船に放り込み、湯面がカラフルに泡立つのをしばし眺める。魔女の煮る鍋の中に入っているような不思議な感じを抱きながら、神田松之丞の講談「慶安太平記 宇都谷峠」を聴く。先週聞いた「箱根の惨劇」の前段に当たる話だ。気がつくと小一時間風呂場で過ごしていた。


 10時過ぎに家を出て、電車日比谷へ向かう。今日はTOHOシネマズ日劇で「スターウォーズ・最後のジェダイ」を観る予定。車内の読書はこれ。



TOKYO海月通信


 年末に出る『サンデー毎日』連載のコラムをまとめたこのシリーズを読むと「ああ、年の瀬だなあ」とオートマティックに思うようになっている。銀座に近い月島に住んでいる中野さんのコラムには銀座周辺がよく登場するので、銀座周辺へ向かう今日にうってつけの一冊だろう。


 正午頃に日比谷駅に着き、歩いて銀座方面へ。マリオン周辺のモスバーガーで昼食を済ませ、マリオン11階の日劇へ上がる。月曜日なのでauマンデーで700円割引でチケットを入手。さすがにウィークデーの13時の回は空いていた。この手のスペースオペラ(もはや死語であろうか)はやはり大きなハコで観たい。となればここになる。宇宙空間に文字が流れていくオープニングに続いて「ジャーン」という大音声とともに“STARWARS”のロゴバーンスクリーンに大写し。水戸黄門の印籠のように「おお、来た来た」ってなもんでテンションが上がる。「フォース覚醒」のラストで登場したルーク・スカイウォーカーマーク・ハミル)が思いの外出番が多く、レイア姫キャリー・フィッシャー)との再会シーンには同窓会で何十年ぶりに小学校時代のクラスメイトに会ったような気分を感じる。まあ、それが味わいたくて観に来ているようなものだけどね。ダース・ベイダーの孫にあたるカイロ・レンと彼の伯父にあたるルークとの決闘は第1作のベイダーとオビワン・ケノービーとの戦いを思い出させる。ベイダーがオビワンを殺せなかったようにカイロ・レンもルークを殺すことができない。レンがルークに向かって物凄い火器の一斉放射を行った後に何事もなく煙の中から現れたルークが、ちょっと服のホコリを払うシーンで観ているこちらはニヤリとする。こういうユーモアを忘れないところがハリウッド映画のいいところだと思う。



 映画館を出て、本の教文館へ。銀座映画を観にいくという行為はここで本を買うという行為とセットのようなものだ。今日はこれを選ぶ。




ぼくの伯父さん 単行本未収録エッセイ集



 60年代と70年代のエッセイ和田誠画伯が絵を添えたカラーページなどがある。文字組も一段組、二段組そして枠線に囲まれたコラム風の三段組などがあり、古の晶文社が出していたバラエティーブックの趣がある。著者の父である映画監督及び文筆家であった伊丹万作ファンである身としては「父、万作のかるた」といったエッセイが載っているだけでも欲しくなる。



 教文館のあとは山野楽器で輸入ジャズレコードを漁る。数は多くないが2階の一角レコードコーナーがあってここを覗くのが楽しみなのだ。今日はウォルター・ビショップ・ジュニア「スピーク・ロウ」を購入する。モノクロ録音の重量盤。店の外に出ると銀座の街はクリスマスのデコレーションで溢れており、店頭のクリスマスツリーや和光ディスプレイなど至るところでシャッターが切られている。みんななんでそんなに写真を残したがるのだろう。スマホを構える多くの人がそこに自分の姿を入れようとしている。自分が写った写真を観るのがそんなに楽しいのだろうか。自分の写真を見るのが苦痛寄りの人間にはちょっと理解に苦しむんだよな。とりあえず、撮影の邪魔にならないようにすぐに地下鉄の入口に向かう。



スピーク・ロウ<LP> SPEAK LOW<LP> [Analog]



 帰りの車内では、今朝ダウンロード購入しておいた「町山智浩映画ムダ話」の“スターウォーズ 最後のジェダイ”を聴く。この映画がこれまでのスターウォーズのお約束事を色々と破壊している作品であること、そしてスターウォーズ神話とともに世界神話の構造を壊した世界になっていることを熱く語っている。その他、画面の美しさが繰り返し強調される。確かにレジスタンスが逃げ込んだ塩の惑星での戦闘シーンは以前の作品で描かれた雪の惑星での戦闘を思い出させる白い一面の世界にその下に隠れた赤い塩が舞い立つ見事な絵になっていた。アナキン・スカイウォーカーから始まったスカイウォーカー一家の物語はこの作品で幕を下ろした。次回はどうなっていくのか。中学生から見始めたこのシリーズの完結を生きているうちに観られるのだろうか。予定では次回作は2019年に公開されるというが。



 地元に戻り、駅ビルの本屋井上ひさし「新版 國語元年」(新潮文庫)を買って帰る。来年のNHK大河ドラマ西郷どん」に合わせた“明治維新150年”記念の新装版の刊行らしい。教文館でも売っていたが、地元本屋で買えるものは地元で買うことにしているのでここで手に入れた。



新版 國語元年 (新潮文庫) [ 井上 ひさし ]



 帰宅して、今日がクリスマスその日であることをネット等で知る。そうか、今日なのか。もう11月の初めからクリスマス仕様の街で生活しているのでいつがクリスマス当日であるかという感覚がなくなってしまったよ。クリスマスケーキであるシュトーレンは残念ながら職場の冷蔵庫の中。代わりに毎年聴いているビング・クロスビーホワイト・クリスマス」のレコードを出して聴く。クリスマスへの挨拶を済ませた後は、今日買ってきた「スピーク・ロウ」を聴いた。



ホワイト・クリスマス

2017-12-17 パンと墓参。

パンと墓参。


 久しぶりに屋内仕事のない日曜日


 朝寝を楽しんだ後、湯船に浸かって神田松之丞「慶安太平記 箱根の惨劇」を聴く。内容は由井正雪幕府転覆計画に関わるエピソードの一つで、金を持った坊主が襲って来たゴマのハイを返り討ちにする話なのだが、松之丞は“惨劇”という言葉を軽々と超えてコミカルに描き出す。題名から日曜の朝に聴くのはどうかと思っていたが、楽しい気分で湯から上がる。



松之丞ひとり~名演集~



 気がつけばもう師走も中旬を過ぎようとしている。部屋にも『本の雑誌』2018年1月号“本の雑誌が選ぶ2017年度ベスト10”や『週刊読書人』“二〇一七年の収穫!”などの年末アンケートものがあれこれと増えていくことがそれを実感させてくれる。


 年内に墓参りにも行っておきたいし、クリスマス前に知人のパン屋に行ってクリスマス用の焼菓子シュトーレンも買っておきたいしということで出かける。


 車内の読書は、あちらこちらでベスト1を取ったというこのミステリーを選ぶ。




屍人荘の殺人


 不思議と年末になるとミステリー小説が読みたくなる。年末の忙しなさや煩わしさを忘れるのに大いなる混沌を探偵が神のように整然と秩序づける本格ミステリーが心地よいのかもしれない。その意味でこの作品のとんでもない設定は大風呂敷も大風呂敷、こんな状況の中で本格推理小説を成立させることができるのかと思いながら読み進める。これがデビュー作ということなのだが、よく考えられていることが感じられるし、読みやすく、読者を楽しませるツボもしっかり押さえている。こちらもまさに“惨劇”と呼ぶべき状態を面白く読ませてくれる。



 半分くらい読んだところで墓のある霊園の最寄駅に着く。川沿いにある霊園には冷たい風が強く吹き、墓を拭く雑巾を絞る手を震え上がらせる。同じ霊園にある伯父の墓参りも済ませてとりあえず年越しの準備を一つ終えたということにする。


 霊園から駅までの川沿いの道を歩いて戻る。寒さを忘れようとイヤフォンで落語を聴きながら歩く。立川談笑粗忽の釘」のマクラ師匠談志の一周忌追悼の話をしている。おや、墓参り帰りに丁度いいじゃないかと思ったが、そこは談笑師匠弟子の誰が談志追悼でもうけたかという話題で笑いをとる。



め組の喧嘩



 駅に戻ってまた少し東武線に揺られると姫宮の駅に到着。歩いてすぐの知人のパン屋へ。ドイツ修行した彼の店はドイツパンを中心とした品揃えが売りであり、その中でもこのクリスマスシーズンの一押しはドイツ焼菓子シュトーレンクリスマスまでの限定で今シーズン600個を超える数を焼いたという。5年ほど前に彼の店で初めてシュトーレンと出会い、それ以来この店のこの味に魅せられて毎年何個も買ってしまう。職場の同僚にもファンが多い。自分の持ち帰りの分と同僚の分をカバンに入れ、実家その他へ送る分の依頼をして知人と少し話をする。10代前半から知っている彼も今年で不惑の年になったと聞き、己の年齢を思い知らさせる。今年生まれたばかりの彼の娘(パンしか食べないらしい)の顔も見る。店に流れているクリスマスソングは以前手土産で持って行ったCDからセレクトしてくれている。今回は手土産のBGM用のCDとしてこれを持ってきた。




アニメンティーヌ?Bossa Du Anime?



 アニメソングをフランス語歌詞にしてボサノバ調で歌うアルバム。「うる星やつら」「天才バカボン」「崖の上のポニョ」「サザエさん」「ドラえもん」「タッチ」など子供連れの多いこの店のBGMには丁度いいだろうと選んできた。ドイツパンの店にフランス語の歌が流れているのは如何なものかという問題は考えないことにする。今流れているクリスマスソングはほとんど英語だしね。




 帰りもひたすら「屍人荘の殺人」を読み進める。密室化した建物に閉じ込められる登場人物がほぼ大学生か20代の男女という設定であるから、恋愛の要素もあるし、その若者たちがどうなるのかというドキドキのホラー要素もありと、あれこれと盛りだくさんに詰まっているのに消化不良を起こしていないのも見事だな。また魅力的な探偵誕生と魅力的な登場人物の劇的な退場もある。シリーズ化してほしいと思うが、これ以上の極限状態を設定しないと第1作のインパクトを超えることはできないという大きな足かせを抱えた作品でもある。なにはともあれ、筆力のある作家誕生を祝福したい。



 神保町途中下車して東京堂書店を覗く。地元で買えなかった本をまとめ買い。



フリースタイル37 特集 THE BEST MANGA 2018 このマンガを読め!

おすすめ文庫王国2018

文学問題(F+f)+




 

 『フリースタイル』は年末恒例の“THE BEST MANGA 2018”。僕の読んだものの中でベスト10に入っていたのは6位の熊倉献「春と盆暗」だけだった。

 『おすすめ文庫王国』も年末の楽しみの一つ。こちらは文庫本の各ジャンルのベスト10を挙げている。本の雑誌社が選ぶ文庫ベスト10うち4冊持っているが読んだものは一冊もないので自分の怠惰を反省する。このムック本の他に本の雑誌社が作った浅尾ハルミンさんのイラストがあしらわれた文庫カバーも一緒に入手。濃い赤色がちょっとクリスマスっぽい。

 「文学問題(F+f)+」は夏目漱石ロンドン留学時代に構想した「文学論」を論じた本。それにしても幻戯書房は頑張っているなと思う。魅力的な本を積極的に出しているという印象がある。だから応援したという思いもあり、安い本ではないが迷わず購入した。

 魅力的な本を出している出版社だから応援したいという意味でやはり夏葉社の本は買ってしまう。味わいのある本の復刊で定評のある出版社がまた素敵な写真集を復刊した。写真家の石亀泰郎が自分の子供(年子の2人)を撮った「ふたりっ子バンザイ」。1965年刊行といえば僕が生まれた翌年だ。だからここの写真に写っているあれこれは僕が生まれて初めて目にした物たちが溢れている。僕にも年子の弟がいるのでまるで自分の家の古いアルバムを見ているかのような喜びを感じる。



 帰宅後、買ってきたパンで夕食。十勝産の小麦粉で作ったバゲットやブドウが入ったもっちりとしたレーズンブールなどもまだ残っているのでパンで三日は食いつなげそう。師走のパン祭状態で過ごすことになりそうだ。

2017-11-05 うまい、うますぎる。

うまい、うますぎる


 金・土・日と続く三連休も当然のように仕事が続く。

 ただ、今日は昼過ぎまでの屋内仕事だけだから、午後だけでも休日気分を味わおうと足早に神保町行きの電車に乗るために駅へ向かう。改札口前の駅前広場中央クリスマスツリー状の大きな飾りがデンと鎮座している。11月になったと思ったらすぐにツリーが立った。数日前に仕事の備品を買いにダイソーに行ったら店の正面の棚一面がクリスマスの飾り用品になっているのを見てちょっとギョッとした。11月はどこへ行ったのだろう。いつから11月は12月になったのだろう。


 車内の読書はこれ。



愛と狂瀾のメリークリスマス なぜ異教徒の祭典が日本化したのか (講談社現代新書)


 さっきクリスマスの飾りを見たばかりだからまさにタイムリーな本だな。キリスト教伝来から500年の日本という異教徒の国にクリスマスいかに根付いてきたかを探る。落語本とディズニー本で有名な著者によるクリスマス論となれば興味津々。ただ、寝不足気味なので途中で本を閉じてウツウツラしてからまた読書再開。


 神保町駅下車。地上に出ると予想通り人波にのまれる。“神保町フェスティバル”の最終日で、晴天の日曜となればこうなるのは当然と言えるだろう。すずらん通りの車道にずらっと並んだ各出版社ブースに多くの人が列をなしている。時間は2時半過ぎ。昼食をとっていない空腹の体ではそこへ突進する力が出ない。先ずは腹ごしらえ。すずらん通りの三省堂の向かいに最近できた「タレカツ」という店が比較的空いていたので入ってみる。タレに浸したトンカツが売りの店らしい。野菜フライヒレカツのセットになった野菜カツ定食を頼む。

 定食がくるまでさっき立ち寄った東京堂で購入したこれを手に取る。


  • 『たべるのがおそい vol.4』(書肆侃侃房)

文学ムック たべるのがおそい vol.4


 この文学ムックの個人的なイメージは今村夏子の小説が載っている冊子という感じ。今回は彼女の作品は載っていないが、その代わり宮内悠介ディレイエフェクト」という短編小説が載っていて、その評判を聞いて読んでみたくなった。少し読んで、その設定(アイディア)に驚いたところで定食が来た。タレの染みたトンカツというのもなかなかいい。


 腹を満たして外へ。さてと腕まくりをして本のワゴンの海へ。店の前が筑摩書房のワゴン。すでに本はほとんど売れてしまっていて200円均一のちくま文庫が10冊ほどあるだけだった。しかし、このフェスティバル限定販売のトートバックを売っていたので、購入する。黒地に白で青山二郎デザインのロゴマークが入り、武者小路実篤揮毫で“筑摩書房”と書かれている。シンプルで気に入った。


 次は本の雑誌社。欲しかった新刊サイン本などをゲット。



文字と楽園〜精興社書体であじわう現代文学



 ソフトな精興社書体フェチである僕にとって「文字と楽園」はまさにど真ん中。当然のごとくこの本の印刷は精興社。精興社書体に拘泥る作家堀江敏幸が取り上げられているのは同好の士を見つけたように嬉しい。


 工作舎のワゴンには石原さんの姿が。半額セールのこちらを入手。



歳月の鉛



 いろいろと話題になった『ハイスクール1968』の続編。工作舎らしい美しい本だ。


 そして晶文社へ。



ロンサム・カウボーイ

町からはじめて、旅へ



 1976年に出た本の2015年改版。ちょうどワゴン前に来た時に「今から50%OFFから75%OFFにします」と声がかかる。この2冊で800円は申し訳ないくらい。


 

 人波を離れて神田伯剌西爾でひと休み。いつものシフォンケーキとブレンド。「ディレイエフェクト」の続きを読む。2020年の東京オリンピックに向かう現在の東京に1944年の戦時中の東京が二重写しになるという不可解現象が起こり、妻の曽祖父と曽祖母そして祖母の生活をそこに見ながら主人公と妻と娘は生活する。1945年の3月10日の東京大空襲の日に物語は一つの転回点を迎え大団円へと向かっていく。アイディアを一つの世界に見事にまとめあげている。うまいなあと思う。楽しめた。



 神保町から白楽へ。六角橋商店街のアーケード入口にある“switch box あけ/たて”に初めていく。目的はクラムボン「モメント ep2」。このCDは一般のCDショップ通販サイトでは扱っておらず、限られた取扱店でのみ買うことができる。店の業種も多種多様で、美容院・鍼灸院・鮨屋など本当かいなと思うような店の名前がリストアップされている。養老乃瀧まであるよ。そして自宅から一番近いのがこの店だった。この店舗には以前古本屋“Tweed Books”が入っていて一度来たことがあるから場所はすぐわかった。目的の「モメント ep2」を無事入手。


 白楽駅まで来たところで、この先に移転した“Tweed Books”の店舗があることを思い出し、せっかくなので行ってみることにする。コーヒー焙煎テラコーヒーレコード屋GOKURAKUの前を通って少し歩くと“Tweed Books”があった。広い店内、木の存在感のある内装、本の品揃えなど想像していた以上にいい古本屋であるのに気持ちが上がる。店内を何度も回遊し、1冊選んで購入する。



 アメリカに住んでいる大岡昇平の息子夫婦が娘(大岡昇平の孫)に「萌野」と書いて「もや」と読ませる名前をつけた違和感が書かれている小説ということを昔読んで気になっていた作品。ここで出会えた。店内に洋品店のようにスーツの上着が飾ってあるのだが、どう見ても生地がツイードではないよなあと思っていたらレジにいた店主の方がツーイドのジャケットを着ていたので思わず顔がほころんだ。


 店を出て白楽駅まで戻る。何度もこの日記に書いたがこの街は20代後半を過ごした場所である。ここを歩くと就職したばかりのあの頃の自分や街並みが思い出される。まるで「ディレイエフェクト」の二つの東京のように二つの白楽がダブって見える。ただ、最近来るたびに今の白楽の方が面白い街になっていると思う。何だろう中央線沿線の街に近い面白さというのだろうか。またここに住んでもいいような気がしてくる。


 帰宅して「モメント ep2」を聴く。5曲しか入っていないのが残念に思うくらいに充実しているアルバムだ。今は最後に入っている「タイムライン」が一番しっくりくるかな。それにしても原田郁子ボーカルワンアンドオンリーだとしみじみ思う。


D


 ドラマ陸王」も今日で3話目。埼玉行田市舞台としたこの作品は埼玉出身者としてはやはり応援したくなる。先週の2話で埼玉銘菓十万石まんじゅう」が出て来たときは思わず笑ってしまった。うまい、うますぎる

 

2017-10-30 木枯らしは休まない。

木枯らしは休まない。


 昨日の日曜は午後から屋内仕事。

 今日は屋内仕事がない日なので、午後から年休を取っていたのだが、急なアクシデントのため夜8時まで職場にいる。

 外に出ると木枯らし1号が体をグイッと押して吹き抜けていく。ここ最近繰り返し視聴している動画を思い出す。


D


 今年の6月の野外コンサートアン・サリーの最新アルバムに入っている小沢健二「僕らが旅に出る理由」を彼女が歌っている。この動画の中でも今日のように風が吹いている。この夕暮れの空間に自分も居たかったと思う。


 帰りに買ったのはこの3冊。


BLUE GIANT SUPREME 3 (ビッグコミックススペシャル)

猫のお寺の知恩さん 5 (ビッグコミックス)

〈女帝〉の日本史 (NHK出版新書 529)


 今夜は漫画デイ。仕事で気分が落ち気味なので、漫画に浸って今日をやり過ごそう。

2017-10-23 BLUE IN GREEN。

BLUE IN GREEN


 台風21号の関係で、22日・23日の仕事がキャンセルとなり、思いがけない連休がやってきた。もちろん、台風ももれなく付いてくるのだが。

 とりあえず、選挙に行く以外はひたすら家でグダグダすることに決める。せっかくの休みだから休んだ気になるように悔いなくグダグダするのだ。


 22日は当然のように朝から雨。昼前に近くの小学校に投票に行く。校門前選挙ポスターは赤と青と緑の3色。この選挙区の立候補者は3人。結局は赤・緑VS青の図式かな。白と青と緑の用紙をそれぞれの箱に入れて投票終了。昼近いせいか雨にしては投票所に向かう人の数は多いように感じた。


 自宅に戻り、読書にいそしむ。

 まずは雑誌MONKEY』vol.13から堀江敏幸「あの辺り」を読む。特集が“食の一ダース 考える糧”であるため、12人の作家による食の出てくる短編が掲載されているうちの1編だ。「雪沼とその周辺」に連なる感じの世界観を共有する作品。寒冷地の冬に食べる糟汁が作中人物の回想と現在に登場する。落語の「二番煎じ」をちょっと思い出す。


MONKEY vol.13 食の一ダース 考える糧



 その後、最近買ったカズオ・イシグロ忘れられた巨人」(ハヤカワepi文庫)を読み始める。恥ずかしながら、ずうっと気になっていた作家であるが、その作品を読むのはこれが初めて。ノーベル文学賞を受賞したから急にその作品を読んだりすると動機のミーハー加減に眉をしかめる人がいそうだが、自分のことを棚に上げて言えば、本を読み始める動機に貴賤の上下などないと思っている。どんな動機だろうが本を手に取り、そして読書を楽しめればそれでいい。その本や作家が読まれないより読まれた方がずうっといいはずだ。ずいぶん前に「日の名残り」の文庫本を手に入れたような気がするのだが、見つからなかった。ジェームズ・アイヴォリー監督・アンソニー・ホプキンス主演の映画は見たのだが、本はまだ読んだことがなかった。カズオ・イシグロは僕の中ではまさに“忘れられた巨人”ということになる。


忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)



 さっきまで読んでいた『MONKEY』の表紙と同じ緑のカバーの文庫を少し読んだところで、先週から探していたこの本を見つけてしまう。


陸王


 TBSドラマ陸王」が始まる前に原作を読むつもりだったのだが、見つからずついにドラマは先週スタートしてしまった。しかし、今週は選挙特番で「陸王」放映はない。これはドラマのイメージが頭に定着する前に本を読むチャンスという訳で、緑の文庫の代わりに青い単行本を読み始めることとする。

 池井戸本を読むのも初めて。さすがドラマの原作に引っ張りだこのヒットメーカーの作品だけあって、面白く読ませてくれる。ジェーン・オースティンの作品のように嫌な奴の存在が物語を動かして行くのも王道だな。池井戸ドラマでお馴染みの中小企業VS大企業の戦いに茂木というマラソンランナーの再起の物語をからめ、それを両輪として展開して行く。この原作をドラマがどう描くのか、悪役・小原をピエール瀧がどう演じて行くのかが楽しみだ。


 読書と並行してジャズレコードを聴く。



ベイシー・アット・ニューポート(完全版)(紙ジャケット仕様)

モーション

カインド・オブ・ブルー+1

ポートレイト・イン・ジャズ+1



 最初の2枚はディアゴスティーニジャズLPレコード・コレクション。選挙から帰ってきたら届いていた。後の2枚はBILL EVANS作曲の“blue in green”を共に収録しているアルバムを選ぶ。緑や青のポスターや本を見ていたらこの曲を聴きたくなった。


 とりあえず、今は緑よりも青の気分なのだろう。



 23日の今日も一日自宅でグダグダ過ごす。久しぶりに簡単な料理を朝晩作る。朝はコンソメに生姜の絞り汁を入れ、レタスをさっと煮たスープ。晩はキャベツカレー煮。なんだか野菜ばかり食べている。

 明日から仕事かと思うと少し気持ちがブルーになる。今日はもう少しグダグダしていよう。