晩鮭亭日常

2018-04-15 そして探偵はいらなくなった。

そして探偵はいらなくなった。


 新しい屋内仕事になってこの4月から日曜日に休めるようになった。朝、ゆっくり目覚めることができる幸せ。


 目玉焼きを作り、トーストを焼く。3枚目のトーストを黒く焦がしてしまった。「この世界の片隅に」の片渕須直監督がツイッターによく載せているトーストみたいだなと思う。監督はちょっと焦げているくらいのトーストお気に入りらしい。スライスチーズハムをのせればトーストの色も気にはならない。


 食後に朝風呂。湯船で、TBSラジオ荻上チキ session22」から片渕須直監督がゲストの“追悼 高畑勲監督、日本アニメーションに残した偉大な足跡をたどる”を聞く。

 高畑作品は、「おもひでぽろぽろ」、「平成狸合戦ぽんぽこ」、「ホーホケキョとなりの山田くん」、「かぐや姫の物語」を劇場で観ている。片渕監督が言っているように、高畑監督は一作ごとに手法を変えて新しいことにチャレンジするため、同じ監督作品かと思うほど映像の印象が違う。その違いの一端が、高畑監督自体は絵を描かず、演出に徹しているためでもあることをラジオで知った。話題にあがっているTVアニメーション赤毛のアン」、「アルプスの少女ハイジ」、「母をたずねて三千里」は知ってはいるがほとんどちゃんと観ていない。「じゃりン子チエ」はけっこう観ていたので懐かしい。思わずhulu”で第1話だけ観てしまう。やはり、中山千夏のチエと西川のりおテツが素晴らしい。


 時間があるので、昨晩観た三谷幸喜脚本野村萬斎大泉洋出演の「黒井戸殺し」の反響についてツイッターでチェックする。思った以上に原作を忠実に再現(それは犯人が誰かを多くの人が知っている状態を意味する)しながら、しっかりと見応えのあるドラマとして成立させていた質の高さに感服し、異形のポワロ(勝呂)を成立させた萬斎マジックと現実から突出してしまいそうな勝呂のキャラクターの足を地面にしっかりとつなぎとめるような大泉洋の受けの芝居の見事さに見入ってしまった。原作であるアガサ・クリスティーアクロイド殺し」は中学生の時に読んだ。読む前に「トリック大全集」的な本を読んでしまったために「アクロイド殺し」の犯人が誰かを知っていた。その時も犯人を知らずに読みたかったと思ったが、このドラマも犯人を知らずに観て最後にあっと言ってみたかったと思う。まあ、知っていても充分楽しめたからいいんだけどね。あまり、「ネタバレ」をうるさく言い募る風潮は好きではないけれども、犯人を知って読むのでは探偵はただの狂言回しになってしまいかねないから、ミステリーに関しては注意深くありたいと思う。ついでに言えば、同じく中学生の時に「オリエント急行殺人事件」を読んだ時にも事前に犯人を知っていた。たぶん、今回と同じ気持ちになるだろうが、未見の三谷幸喜野村萬斎コンビのドラマオリエント急行殺人事件」を観てみたい。



 その後、持ち帰りの仕事を少ししてから、月に一度の職場で使う布巾のアイロンがけ。ジャズアナログレコードを掛けながら坦々と30枚近くのシワシワ布巾をアイロンで伸ばして畳む。BGMレコードは最近到着したデアゴスティーニの「JAZZ LP RECORD COLLECTION」の2枚。

  • THE GIL EVANS ORCHESTRA「OUT OF THE COOL」(impulse)
  • MILES DAVIS「MILESTONES」(COLUMBIA)

Out of the Cool (Reis) (Rstr) (Dig)

マイルストーンズ+3

 このデアゴスティーニレコードは180gの重量盤なのはいいのだが、ジャケットの紙質が薄くてペラペラなのがちょっと残念。もう少ししっかりした厚みのあるジャケットだったらもっといいのだが。アナログレコードジャケット込みで音楽なのだと思う。不思議とCDではそんな気にはならない。



 

2018-04-04 転倒虫の讃歌。

転倒虫の讃歌。



 休みが取れたので、8時過ぎの新幹線に乗って京都へ向かう。


 車中の読書は、ジョルジュ・シムノン「モンマルトルのメグレ」(河出文庫)。トラブルを抱えて警察に来た水商売の女、冷たい雨の気配が漂う警察署内、前言を翻して出て行く女、そして彼女が絞殺されたという連絡がメグレに入る。物語はモンマルトルを舞台に進んで行く。雰囲気のある小説だ。何気ない細部の描写に味わいがある。20年以上前、ドガの墓を探してモンマルトルの墓地をあちらこちら歩き回ったことを思い出した。



 10時過ぎに京都着。いつもの出町柳のレンタル自転車屋で自転車を借り、桜が散り切ろうとする鴨川沿いを走る。夕方から雨の予報の京都であるが、まだ陽射しもあって明るい春の装いである。気温は初夏と言っていい。和装の花嫁衣装の新婦と紋付袴の新郎が桜のまだ残る鴨川を背景に写真を撮っている。しばらく走ると今度はウエディングドレスとタキシードのカップルも撮影していた。今日は大安か。


 まだ、朝の遅い古本屋は開いてないだろうから新刊書店から攻める。まずは誠光社から。

  • オオヤミノル「珈琲の建設」(誠光社)
  • 「かもがわご近所マップ」

 「珈琲の建設」はこの誠光社で出している本。本文が落ち着いた紫色で印刷されている。「かもがわご近所マップ」はミシマ社・誠光社・100000tアローントコが合同で出しているマップ。



 鴨川沿いをまた走り平安神宮方面へ。川風が吹いており、桜の花びらが舞い散って体に降りかかってくる。神宮前蔦屋書店に入る。


  • 「小辞譚」(猿江商會)


 帯に“辞書をめぐる10の掌編小説とある。作者は、文月悠光・澤西祐典・小林恭二中川大地・三遊亭白鳥藤谷文子木村衣有子・加藤ジャンプ小林紀晴藤谷治の10人。


 会計を済ませてトイレに入り、鏡の前に立つと頭に桜の花びらではなく、花びらが取れてしまったザクが1つのっていた。この頭で店内をうろうろしていたのかと思うとちょっと恥ずかしい。



 白川通に出てホホホ座に向かう。確か左側にコンビニがある所を右だったよなと記憶を頼りに進んで行くと、コンビニはないが見覚えのある路地が右側に見えたので入ってみるとそこにあった。前に見た記憶のあるコンビニは潰れてしまったのだろうか。




 金沢の限定本出版社龜鳴屋の本は通常直接版元への注文という通販なのだが、珍しく店頭で売っていたので購入。箱入りの小さな本で、函題紙と表紙は活版印刷で、本文は未綴じという凝った造本。




 銀閣寺前を過ぎて一乗寺方面へ。すぐ右には善行堂があるのだが、最後にゆっくりよりたいためにここはスルーして恵文社一乗寺店に向かう。途中空腹を覚えたので、白川通にある“天下一品”総本店に入ろうかと思ったが列ができていたので、諦める。


 自転車は原則、車道左側通行で通らなければならないが、路上駐車をしている車両も多い。それを避けて車道中央に出てしまうと後ろから来る車の邪魔になるだけでなく、こちらの安全にも関わることになるので、歩道車道を行ったり来たりしながら走って行く。路上駐車の自動車を避けるため、歩道に上がろうとして、歩道の段差でタイヤが滑り(入車角度が小さかったため)、転倒する。幸いに上は長袖Tシャツ、下は寒くなった時を考えて中にヒートテックのタイツ着用という二重防備であったため、着いた肘・膝とも擦過傷程度ですんだ。自分の運転技術を過信することなく、安全運転で行こうと肝に命じてまた自転車にまたがる。


 恵文社一乗寺店は相変わらずの賑わいであった。店舗の左側の建物恵文社のものになっており、来る度に大きくなっている気がする。たまに会う従兄弟の子供を見るような感じ。





 サイン本。さすが地元京都書店だなと思うようにサイン本がいくつか並んでいた中から、まだ持っていないこの本を選んだ。



 善行堂へ行く前に腹ごしらえと恵文社一乗寺店の近くにある“つばめ”というカフェレストランに入る。入った瞬間に自分が場違いな人間であると認識したが、出て行くわけにもいかないし、腹も減っている。厨房には女性2人。客もテーブル席の女性2人連れとカウンターPCに向かっている女性ひとりと全てが女性で占められている。チキンカツ定食アイスコーヒーを頼む。定食もやはり女性客を意識してかご飯の量も少なめ。炭水化物をあまり取らないようにしている身としてはちょうどいいかも知れない。味はどれも美味しかった。



 最初に恵文社一乗寺店に来た頃は、この商店街もちょっと寂れた雰囲気で、通りを歩いている人よりも、恵文社の中にいる人の方が多いくらいだったが、今は並びに恵文社一乗寺店のテイストに近い感じの店が増えて来ていて、この本屋の存在がこの街に何らかの影響を与えているのだろうなと思っていたら、ラーメン二郎のような別のテイストの店もできていた。どちらにしろ、街が活気づくのは喜ばしいことだ。

 


 さっき来た道を引き返し、善行堂へ。いつも予告なしの登場となるので、いつも善行さんには驚かれる。前もって行く旨を連絡しておけばいいのだが、急な仕事で行けなくなる可能性を考えるとそれも憚られ、どうしても突然の来訪となってしまうのだ。

 善行堂にアナログプレーヤーが入ってから初めてということもあり、色々とジャズアナログレコードをかけてくれる。いつもの如く、アレコレとおしゃべり。これが楽しいのですよ。





 持っていなかった曾根先生の本を手に入れることができた。僕が曾根先生の教え子であることを知っている善行さんが「これ持ってますか」と教えてくれたもの。

 「柴田宵曲文集」は倒産してしまった小澤書店が出していたもの。古書で1冊ずつ気長に集めている。第七巻は「漱石覚え書」などが入っている。中公文庫版も持っているが、小澤書店の端正な佇まいと丹精を凝らした作りの本で読んでみたい。小澤書店の本には精興社の文字がよく似合う。

 後の2冊も古本古本屋好きにとってうれしく、楽しい本。

 その他、村上春樹が巻頭エッセイを書いている『BOOKMARK』、善行さんがジャズの本についての連載をしている『WAY OUT WEST』などのフリーペーパーを貰う。


 自転車を返して、電車京都市役所前へ行き、雨がぱらつき始めたので、三月書房レコード屋を足早に流す。

 100000tアローントコで1枚。


Four


 ワークショップレコードで2枚。



The Best Of Max Roach And Clifford Brown In Concert クリフォード・ブラウン/マックス・ローチ・イン・コンサート [12

ダーク・ビューティー
Dark Beauty


 6時過ぎの新幹線で帰る。帰りも「モンマルトルのメグレ」を読む。最後に犯人と思われる人物が死んで終わるのだが、その人物がどのように犯行を行ったのか、そしてその動機も明確にされないまま幕を閉じる。これが謎解き重視の本格派推理小説であれば、「おい、なんだよ」ということになるが、メグレ世界ではそれでいいのだろう。一言でいえば「大人小説だな」というところか。アガサ・クリスティの「アクロイド殺し」や「オリエント急行殺人事件」を貪り読んだ中高生時代の自分が読んだらこの小説面白さはきっと分かんなかっただろうな。この年になって読むからまた面白いのだろう。人生や自転車で何度も転倒してきた甲斐があるというものだ。


 

2018-04-01 April in Paris。

April in Paris


 数日前に夜遅く帰宅するとポストに封書が入っていた。

 封筒にはマンションの自分の部屋のちょうど真下に当たる部屋番号とその部屋の住人の名前が書かれている。嫌な予感がして、部屋に入って封筒の中にあった文書を早速読んでみると、その予感は当たっていた。「最近、深夜2時過ぎまで騒音が続き、安眠することができない。どうもその騒音の元はあなたの部屋ではないかと思われるので何とかして欲しい。」という内容であった。普段、夜12時就寝・朝5時起床という生活を続けているため、その騒音がこちらの生活音であるとは考えにくい。音楽を大きな音で聴くことも、洗濯・入浴も夜10時以降にはしないように心掛けている。就寝時にはエアコンを切り、稼働しているのは音の静かな空気清浄機だけという状態である。その旨を文書に記して、封筒に入れ、その部屋番号のポストに入れた。

 ただ、仕事などのストレスから夜中に寝ながら暴れたり、叫んだりしていないかどうかは一人暮らしの人間にはわからないので、スマートフォンのボイスメモをオンにしてその晩寝てみた。5時間にわたるボイスメモには己のイビキが録音されているだけだった。思ったより大きなイビキを自分がかいていることにちょっと衝撃を受けたが、階下の住人が眠れなくなるほどの音量とも思えない。それにしても、おっさんが自分の寝息を1人部屋で聴いているなんていうのは滑稽な光景だなと思わず苦笑い。

 翌日、帰宅するとまたポストに同じ封筒が入っていた。なんだか、文通でもしているみたいな感じになっている。内容は、「昨夜はあなたが帰宅する前の午後6時ごろから騒音がしており、音の発生源があなたの部屋ではないことがわかった。誤解をして申し訳ない。」というものであり、ホッとする。


 その後、ポストに封書が入ることなく、4月を迎えた。3月末日の昨日、一年携わった屋内仕事を終えたのだが、今日は新しい担当者との引き継ぎのため休日出勤する。部外者の立場に立って現場を見ているといかに自分が場違いな存在であったかいかに自分が無力であったかを思い知らされる。残された者には申し訳ないが、これでよかったのだと思うしかない。明日からは、新しい屋内仕事の現場が待っている。今度はそれを専門とする同僚がいてこちらはその補助的な立場であるため、これまでよりは辛い状況にはならないとは思うが、見方を変えれば「いてもいなくてもいい存在」とも言えるわけで、30年近く関わってきたこの方面の仕事における己の存在価値のなさに何やら立ちすくむような感じ。


 引き継ぎは昼で終わった。職場の桜ももうあらかた散ってしまった。花見の代わりに「神保町さくらみちフェスティバル 春の古本まつり」に行くことにする。


 神保町までの車内ではこの本を読む。



本好き女子のお悩み相談室 (ちくま文庫)


 この本は、北海道から沖縄までの10代から40代の35組・39人の本好き女子の悩みの解決に役立ちそうな本をそれぞれ3冊著書が挙げて答えるという体裁で作られている。「はじめに」と「おわりに」にも書かれていることだが、ここに登場する本好きの女性は各地で行われている“一箱古本市”と呼ばれる形式の古本イベントに関わった女性たちであり、形は違えど、“ミスター一箱古本市”の南陀楼さんが以前に書いた「一箱古本市の歩きかた」(光文社新書)に連なる作品であることが読むとわかる。前著が主に場所や主催者の側から“一箱古本市”を描いたものだとすると、この本はそこに参加した個人(女性)の側から描いたものと言える。どういう経歴や嗜好を持った女性たちがこのイベントを支え、そして楽しんでいるのかを群像劇として見せながら、ブックガイドとしても使えるものにしているのが面白い。


一箱古本市の歩きかた (光文社新書)



 神保町で下車し、まずは東京堂で欲しかった新刊を購入。


曇天記

そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))



 「曇天記」を手に取り、開き、そこに並んだ文字に目を走らせる。いつもの“精興社文字”かと思ったが今回は違った。同じような細身でありながら少しクセがある文字で組まれている。雑誌東京人』連載のエッセイ100回分が収録されている。同じ著者の「坂を見あげて」の次に読む枕本とすることに決定。

 「そして夜は甦る」は私立探偵・沢崎シリーズの第1作。先日、14年ぶりのシリーズ最新作「それまでの明日」(早川書房)を読んだ。これまで読んだことのないシリーズだったので、いつもなら最新作を取っておいてシリーズを順番に読み進め、それまでの流れを踏まえてから最後に読むのだが(北村薫太宰治辞書」の時はそうした)、今回は遅れてきた者の特権として最新作を読んでから過去の作品に遡って読み進めることにした。「それまでの明日」は過去の作品を読んでみたくなる面白い小説だった。事件が解決した後に起こるラストシーンには心震えるものがあった。


それまでの明日


 古書店街の歩道古本のワゴンが並んでおり、そこを流して歩く。文庫を1冊選ぶ。


 以前は、ソフトカバー文庫で沢山出ていたこのメグレシリーズも古本しか手に入らなくなった。



 diskunionにも寄る。

The Clifford Brown Quartet in Paris

Sextet In Paris

Quartet

スタン・ゲッツ・プレイズ+1



 クリフォード・ブラウンの2枚は未開封。古いレコードなので安かった。「モンマルトルのメグレ」は1950年の作だが、ブラウンがこの2枚をパリで録音したのは1953年。この天才トランペッターパリで遭遇した事件をメグレ警視解決する物語を読んで見たいとふと思う。



 帰宅して、録画しておいた「アンナチュラル」最終回を観る。第1話から一日1話ずつ観直して今日で最後。全て本放送で観ているからこれで2巡目だ。毎回番組後半で米津玄師「Lemon」が流れると目頭が熱くなる。まるで「水戸黄門」の印籠シーンを毎回楽しみにしている年寄りみたいだなあと思いながらも、やはり反応してしまう。おっさんが1人でドラマの録画を観ながら目をウルウルさせているなんて滑稽な光景だが、いいものはいいんだから仕様が無い。

 

2018-03-25 単行本が文庫になる間に。

単行本文庫になる間に。


  今日は午後から休日出勤の屋内仕事。寝室の障子越しに春の朝日が眩しく差し込み目覚まし時計よりも早くまぶたが開く。


 朝風呂でTBSラジオ「たまむすび」の2017年3月30日の放送を聴く。1年前にパーソナリティの赤江珠緒が産休に入る前最後の放送である。4月から彼女が復帰すると知り、聴き直してみたくなった。やはり、ピエール瀧赤江珠緒掛合いは面白い。現在のピエール瀧と外山アナウンサーのコンビも大好きだし、やはりピエール瀧にハズレなしだなと思う。4月からも楽しみだ。

 4月の年度始めとなると色々と物事が変わって行く。「たまむすび」金曜日に出ている吉田豪がニッポン放送に移るというような噂を聞く。残念。自分自身の屋内仕事もあと一週間で終わる。一言では言い難い複雑な気持ち。うれしさと罪悪感とアレコレと。


 職場へ向かう途中に来た知人からのメールに「ローワン・アトキンソン主演の『メグレ』が面白かった」とあり我が意を得た思い。昨年、日本版のDVD発売を知り、すぐに購入して観た。あの「シャーロック」の英国BBC制作ドラマなのでクオリティは間違いなかろうと思っていたが、その通りだった。最初はコメディアン・アトキンソンがシリアスな演技をしていることと、フランスパリで英語を話すメグレたちが動き回っていることに少し違和感を抱いたが、そのうち気にならなくなった。「シャーロック」のようなケレン味(これも大好きであるが)や本格的謎解きの醍醐味はないが、しっとりと落ち着いた警察ものの人間ドラマとして楽しめた。シーズンが2話しかないのが残念だったが、今日調べてみるとシーズン2として2話が制作・放映されたようで、日本でもこの4月にCSAXNミステリーチャンネルで放送されるらしい。「アンナチュラル」ロスのこの気持ちを埋めるためにもなんとかして観てみたいものだと思う。


MAIGRET/メグレ DVD-BOX



 夕方、屋内仕事を終えて退勤。本屋へ。給料が入ったばかりなので、文庫ガバリと買う。



本で床は抜けるのか (中公文庫)

思考をあらわす「基礎日本語辞典」 (角川ソフィア文庫) [ 森田 良行 ]

いろごと辞典 (角川ソフィア文庫)

現代語縮訳 特命全権大使 米欧回覧実記 (角川ソフィア文庫)

ジャズの歴史物語 (角川ソフィア文庫)




 「本で床は抜けるのか」は単行本発売時に買っている。この本が出た3年前まで木造家屋の2階で20年ほど暮らしていた。その間、日々本が溜まっていき、本棚をあふれた本や雑誌が床に平積みとなり、それが仕事部屋から寝室へ、そしてダイニングキッチンへと浸食を続け、いつかその重みで階下に住む大家さん一家を押しつぶしてしまうのではないかという危惧を抱きながら生活していたことを思い出す。人殺しになる前にと今のマンションを買い、ダンボール数十箱分の本を古本屋に売り、スリムになった上で、ひと部屋を潰して書庫を作って生活空間に本が浸食しないようにと配慮して新生活を始めたのだが、単行本文庫になる間に書庫の床には本が平積み、リビングの床の一部や寝室の枕元にも本は列をなし、この本を二度買うくらいに床を心配する状態となっている。さあ、どうしますか。


 それにしても最近の角川ソフィア文庫は頑張っているなと思う。「いろごと辞典」なんてよく文庫にしたものだ。「性」に関する言葉の辞典なので、眉をひそめる人もいるかもしれないが、言葉のバリエーションを楽しんだり、見立の技法を感心したり、豊かな本である。「鴨の腹」「甘露水」「恋相撲」「騒水」など直接書くのをちょっとはばかる言葉がこのように形を変えれば気軽に使える。まあ、どこで使うのかという問題はあるけれども。

2018-03-11 檸檬と満月。

檸檬満月



 昨日は、有給を取っていたのだが、一昨日トラブルがあった関係で、職場へ行くことに。トラブルの処理は終わったのだが、昼に人事発表があると聞いたので、それまで残っている。屋内仕事は継続となったが、仕事の種類は変更となった。これで日曜の出勤はずいぶんと減ることになりそうだ。僕が抜ける今の屋内仕事は担当者が増員になった。これで残る同僚も少しは楽になるのではないかな。



 次年度からのあれこれを頭であれこれしながら、職場を出る。せっかくの有給(すでに退勤時間過ぎまで職場にいたのだが)なので、自宅に帰らず神保町まで足をのばす。


 道中の車内は岡崎武志「人と会う力」(新講社)を読む。いつも通りの読みやすい文章と大きめの文字でおじさんでもスルスルと読み進められる。パート1は岡崎さんの“人との出会い”をベースとした昔語り。パート2と3は映画文学音楽から面白い出会いのエピソードを選んで、語る。ここが古本ライター書評家の著者の主戦場だ。読んでいてやはり楽しい。最後のパート4は日記形式で日々の出会いを描く。ビジネス書自己啓発本のような題名を持ちながら、カバーに描かれた著者による人物イラストが軽やかにその誤解から身をかわしている。



人と会う力



 すでに2時をはるかに過ぎ、空腹は頂点に達しようとしている。ガッツリとトンカツでも食べたいと思って、ふと思い出した。“とんかつ いもや”が3月いっぱいで閉店するはずだ。それなら最後に行ってみようと神保町交差点水道橋方面に歩いて行く。するとまず“天丼 いもや”が見えてくる。こちらも3月閉店だそうだ。店の前には30名程度の長い列が見える。僕にとっては“いもや”はとんかつ天丼の方は一度入ったことがあるくらいなのではないか。そのため、店の前を過ぎとんかつの方へ向かう。


 “とんかつ いもや”の前にも長い列があった。普段は行列のできる店は敬して遠ざけているのだが、もう来られないとなれば別だ。「人と会う力」を読みながら、列に並ぶ。30分ほどして店内へ。もう5年以上食べていないだろうこの店のとんかつ定食を食べる。800円。特別な所のない、いたって普通の真っ当なとんかつ。そうそうこれこれ。腹一杯になった。


 東京堂へ。地元で買えなかった本を買う。




 

幸福書房の四十年ピカピカの本屋でなくちゃ! [ 岩楯幸雄 ]

祝祭の日々: 私の映画アトランダム

史上最悪の英語政策—ウソだらけの「4技能」看板


 一度も行ったことのない代々木上原にあった街の本屋(今年2月閉店)の店主がその顛末を語ったこの本を買ってしまうのは、閉店すると聞いて“いもや”へ行ってしまうのと同じことなのだろうか。どちらにしても、閉店は金銭的な問題を内包しているだろうから、僅かでも自分が食べたり買ったりすることで金銭的な補助となればとは思う。

「祝祭の日々」は映画に関するエッセイ集だが、目次を見ても草森紳一色川武大織田作之助村上春樹荒木一郎片岡義男田中眞澄など魅力的な人名が続々と出てくる。パラパラをめくってみると黒岩比佐子さんの名前も文中に出てくる。面白そうだ。




 帰りの車内も「人と会う力」。最寄駅に着く頃にはほぼ読了


 歌手米津玄師が3月10日生まれであること知る。「アンナチュラル」のエンディング近くでかかるこの人の歌う「Lemon」が好きで最近繰り返し聴いている。同じ誕生日であることを知ってなんだかうれしい気持ちになる。




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 今日は、午後から屋内仕事。昼前には職場について机仕事をいくつか済ませ、屋内仕事へ。この仕事も残りひと月と思うとやはりちょっと感慨深い。職場自体は休みなので、黙祷の放送はない。黙祷だけが追悼のカタチではないとも思うので、屋内仕事が終わって、担当者の話になった時に、そのことに触れる。先週のTBSドラマ「アンナチュラル」で松重豊演じる神倉所長のセリフ「「死ぬのに、良い人も悪い人もない。

たまたま命を落とすんです。そして、私たちは、たまたま生きている。たまたま生きている私たちは、死を忌まわしいものにしてはいけないんです。」を思い出す。死者を追悼することは、自分が生きているということを確認することであり、生きている人間にしか追悼することはできない。たまたま死なずに生きているその僥倖を前向きにとらえていかなければならないと思う。



 

 自分の誕生日の翌日はこの歌を聴く日となっている。何ができる訳ではないが、ただ忘れずにいたいと思う。


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2018-02-22 何回でもカツカレー。

何回でもカツカレー


 今日は、職場挙げての野外イベントの日。時折みぞれの混じる小雨の降る中で行われたこのイベントに20回以上参加しているが、今日が一番寒かったのではないかと思う。


 イベント会場で出されるカツカレーで昼食を済ませ現地解散。仕事終わりが早いのがこのイベントの一番の魅力と言っていいだろう。


 帰りの車内で気が重くなることがあった。自分に責任のあることなので、それを責められるのは仕方ないのだが、もう何年も前に起こってしまったことを変えることはできないし、直接責められるのであれば、何度も謝罪するのだが、ただ遠くからその話が聞こえてくる状況ではどうしようもなく、ただ本に目を走らせていた。


 関係者のいなくなった電車に乗ってそのまま一本で行ける神保町へ出る。気分転換のためのアイテムがここにはあれこれ揃っているのだ。



 東京堂書店で本を買う。


寺島靖国 テラシマ円盤堂: 曰く因縁、音のよいJAZZ CDご紹介 (ONTOMO MOOK)

絶景本棚

臆病な詩人、街へ出る。 (立東舎)



 ジャズ喫茶Meg」のオーナーでジャズ評論家の寺島靖国氏のムック本。アナログレコードの事にもっと触れてくれているかと思って買ったのだが、取り上げられているジャズアルバムはほとんどCDだった。それでもテラシマさんの語るジャズアルバムオーディオ話は好きなので構わない。

 「絶景本棚」は『本の雑誌』の巻頭連載“本棚が見たい!”を書籍化したもの。本のカバー写真にも使われ、第2章不撓不屈篇に登場する根岸邸は何度もお邪魔しているので、我が事のように胸がときめく。まあ、行ったことのない家の知らない人の本棚でも胸はときめくのだけど。

 詩人の文月さんは一度古書往来座での外市の時にお見かけしたことがある。まだ大学生で中原中也賞を受賞した詩人だと教えられ、現役の詩人を初めて目の当たりにして呆けたように「ああ、詩人が目の前にいる」と思ったことを思い出す。詩人の書く散文というのは小説家随筆家や評論家の書く散文よりもちょっと贅沢な気がするのは自分だけだろうか。



 暗い気持ちを振り払うためには、好きなものを買い、好きなものを食べるのがいいと思っている。今日昼に食べたカツカレーなどは好きなものの1つなのだが、数年前から糖質制限のようなことをやっているのでほとんど食べなくなっていた。今日食べたのも職場から配給された食券がカツカレーだったからだ。でも、やはりカツカレーは好きだと食べて再確認した。そして、今は好きなものを思い切り食べるべき時だ。そうであるならば、カツカレーを食べよう。数時間前に食べたからといって何を遠慮することがある。すでに軽く空腹を胃のあたりに感じているではないか。このすずらん通りにはあの“キッチン南海”がある。ずいぶんあの店のカツカレーを食べていない。そういえば、最近この店が閉店するという誤報がネットで流され、もうあのカツカレーが食べられなくなるのかとガッカリしたではないか。「店をやめるつもりはない」という店主の方のコメントをネットで読み、よかったまた食べられると思ったではないか。それなら何をためらうことがあるとキッチン南海の前に立つ。


 これだけ自分に言い訳したのは、流石にカツカレーのハシゴはやったことがなく、最近の糖質制限を大きく逸脱するこの行為に踏み切るために必要なプロセスだったということだろう。店に入り、カツカレーを頼む。他の客の注文もやはり7割方カツカレーだった。ちょっと気になったのは、その7割の人の5割が(何か紛らわしい言い方だな)「ご飯少なめで」と言い添えていることだ。前に来ていた時は女性で言う人はいたが、男性ではあまり聞いたことがなかった。僕と同じように糖質を気にしている人が増えたということだろうか。こちらはその制限を撤廃して来ているのでそんなことは言わない。ただ、久しぶりに見たそのライスの量の多さは記憶を凌駕していたのでそう言いたい気持ちはよくわかった。ご無沙汰していたここの真っ黒なカツカレーはやはり美味しかった。食べてよかった。しかし、夕食は抜かないと糖質だけの問題ではなく明らかに食べ過ぎだな。



 好きなものは本だけではなく、ジャズアナログレコードもそうなので、diskunion神保町店へ。


ハウス・オブ・ブルー・ライツ

ブルース・イン・ザ・クロゼット

Roots



 エディ・コスタ盤はジャケットパンチ穴が開いているため300円で買えた。盤面の状態はAだから何の問題もない。

 パウエルは前期の神がかったものよりも、後期の良かったり悪かったりする人間臭いものの方がしっくりくる。このレコードは悪かった時期の良かったものと位置付けられている。

 「ルーツ」はオールスタージャムセッション。A面のピアノビル・エバンスが弾いているというのが売りらしい。B面はトミー・フラナガンピアノフロントラインにあまり聴いたことのない奏者が入っているのもこの手のアルバムの面白いところ。




 帰宅して、買って来たレコードをかけながら、高田漣CDを探す。昨日急逝した俳優大杉漣がその名前を敬愛する歌手高田渡の息子の名前からもらったと知り、それならギタリストとして活動している高田漣じゃないかと思ったからだ。アン・サリーの参加しているアルバムを集めていて、高田漣アルバムに出会った。REN TAKADAWONDERFUL WORLD」の表題曲アン・サリー嬢が歌を歌っている。


Wonderful World


 昨晩、放送されたテレビ東京バイプレイヤーズ」は、映画界華やかかりし頃のオールスターによる正月映画のような豪華さだった。男性・女性のバイプレイヤーたちがこれでもかと出てきて、大杉漣逝去の報を聴いて観ているとまるで何かのはなむけのような印象さえ受けた。このドラマ撮影中に倒れたのだという。残り2話分が放送されるのかが気になる。

2018-02-11 キッチリ買いましょう。

キッチリ買いましょう。



 今日も職場イベントの関係で屋内仕事がなく休み。


 TBSラジオ荻上チキsession22」の“球春到来!あの投手の、あの魔球がスゴい!”をラジオクラウドで聴きながら朝風呂。その後、トーストチーズハムポテトサラダコールスローなどをあれこれのせて食べる。普段炭水化物を少なめにした食事をしているので、休日の朝だけは8枚切りを4枚バッチリ食べる。以前は6枚切りを3枚だったが、最近は8枚切りくらいの厚さが好ましい。


 昼前に家を出る。仕事の関係で本を新刊で2万円ほど購入しなければならない。それと先週神保町で見つけられなかったオスカー・ピーターソンキャノンボール・アダレイレコードも手に入れたい。となると有隣堂本店とdiskunion横浜関内ジャズ館のあるみなとみらい線馬車道駅が行くべき場所となる。


 携帯本をどうしようかと積読の山を探していて手に取ったのはこれ。


死してなお踊れ: 一遍上人伝


 この人の本は、すでに「村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝」(岩波書店)を読んでいる。その時、文章(語り口)の持つ、独特のグルーヴ感とでもいうべきものに当てられた感じを抱いた。この本でもそれは変わっていない。《わたしはセックスが好きだ。》で始まる“はじめに”からそれはグイグイと迫ってくる。漢字をあまり使わず、ひらがなの多い文章も軽快なリズムとよくマッチしている。一遍上人の祖父が壇ノ浦平家と戦った伊予水軍の武将・河野通信であると知った。大河ドラマ平清盛」を観直したくなる。視聴率の良くなかったこの作品は「真田丸」以外で僕が最初から最後まで観た数少ない大河ドラマの1つなのだ。それに最近楽しみに観ているTBSドラマ「アンナチュラル」の主要キャスト2人が崇徳上皇と平重盛として出演していたのだった。それももう一度確認したい。



 馬車道駅に到着。地上に出ると陽射しは春めき、暖かい。歩いて有隣堂本店へ。以前は全階本屋だったと思うのだが、現在は途中の2フロアが文房具売場になっていた(確か文具売場は別の建物にあったはずだ)。横浜を代表する書店の規模縮小は少し寂しい感じがする。仕事の担当部署の図書購入予算が未使用のままとなっていることとその請求期限がすぐそこに来ていることを知り、休日返上で図書購入に来たと言うわけだ。こんな休日返上なら正直毎週でも構わない。それに仕事に資する図書なら構わないので、選書はこちらに任されている。店内をあちこち歩き、辞書事典類3冊と文庫本を10冊以上購入。ちょうどとはいかないがほぼ予算額の買い物をする。


 せっかくなので自分の買い物もする。


すばる2018年3月号

本の雑誌417号2018年3月号



 『すばる』は通常地元書店に並ぶはずなのだが、『新潮』、『群像』、『文學界』の3月号しか置いていなかった。今月は読みたい作品が掲載されているので、ここで購入。『本の雑誌』は毎月買っている。



 diskunionへ。キャノンボール・アダレイはなく、オスカー・ピーターソンはあったが状態が悪いので見送る。ともにジャズレコードとしては定番中の定番なのだが不思議と探すと思ったようには手に入らないものだな。もちろん、手ぶらで帰る気はない。


  • JOHNNY SMITH「In a Sentimental Mood」(ROOST)
  • JACKIE McLEAN WITH THE GREAT JAZZ TRIO「NEW WIEN IN OLD BOTTLES」(EAST WIND)
  • HOWARD RUMSEY'S LIGHTHOUSE ALL-STARS「Oboe/Flute」l(contemporary)

ニュー・ワイン・イン・オールド・ボトルズ

Oboe/Flute


 ジョニースミスは完全にジャケ買いジャッキー・マクリーンソニー・クラークはマイ・アイドル

ハワードラムゼイ盤では4曲でソニー・クラークピアノを弾いている。




 遅めの昼食をとりに馬車道十番館へ。1階の喫茶コーナーでハッシュドビーフライスを食べる。横浜洋食の老舗らしく客の年齢層は高い。給仕係もこちらより随分と年上の男性。この落ち着いた雰囲気も悪くない。『すばる』の野崎歓堀江敏幸対談(井伏鱒二特集)や『本の雑誌』の笈入建志(往来堂書店)・田中淳一郎(恭文堂書店)対談などをつまみ読み。窓から明るい陽光が射し込んでくる。穏やかな休日でよかった。




 帰宅して『すばる』から木村紅美「羽衣子」を読む。芥川賞候補になった「雪子さんの足音」もそうだったが、普通の生活をしている普通の人間のもつ歪みのようなもの、狂気と言い切ってしまうには少し足りないその微妙な歪みの感覚が見事。振り切るのは簡単だが、振り切る手前ですっと止めるのは難しい。その難しいことをうまくやっている感じと言えばいいのだろうか。不思議な読後感を与えてくれる作品だった。



雪子さんの足音



 明日も朝早くからイベントの道案内の仕事があるので、早く寝よう。最近の枕本(寝る前に1編ずつ読む本)はこの2冊。



 ともに短い文章なのだが、前者は味わいが濃いし、後者は知らない短編が多いので読みでがあるため後を引かない。それも枕本の条件として大事なことだと思う。


坂を見あげて (単行本)

一度は読んでおきたい現代の名短篇 (小学館新書)

2018-02-04 ソロだけれどソロじゃない。

ソロだけれどソロじゃない。



 1年でもっとも職場が慌ただしくなる時期が来た。ここ半月ばかりはそのイベント一色になり、独特の緊張感と神経性の胃炎インフルエンザへの恐れが職場をうっすらと覆っていくことになる。


 この時期は通常業務とは違う配置につかされる事が多い。先週は2日間に渡り最寄駅で職場への案内板を持って立っているというサンドイッチマン担当となった。朝の通勤・通学客でゴッタ返す駅頭で看板を持って立っている仕事である。雪は降らなかったが、薄曇りで日が差さず、冷たい風が吹き過ぎていく。当然スーツの下には極暖のタイツとヒートテックのアンダーウエアを着込み、スーツの上にはダウンのロングコートを着用するが、それでも動かずただ立っている状態では体はなかなか暖まらない。


 この仕事は朝だけではなく、午後にも行われる。駅近くに大学があるためこの時間帯には多くの大学生たちが看板を持って突っ立っている謎のおじさんを胡散臭そうに眺めていく。未来を見つめる若人たちからすれば、「あの歳になって寒空の下で看板を持ってただ立っているような惨めな仕事にだけはつくまい」と思うだろうが、こちらからすれば、「この歳でもし仕事をクビになったら再就職は難しいかサンドイッチマンでもなんでもやって食っていかなければならないのだからいい訓練だ」くらいなものである。



 昨日は通常業務。寒かった一週間の締めくくりとして夜は湯豆腐にするつもりだったので、駅ビルで材料を仕込んでから帰宅。朝「おかずのクッキング」で見たやり方で湯豆腐を作る。1人用の土鍋に木綿豆腐を丸のまま一丁入れ、そこに水と昆布煮干しと塩。他の鍋でつけ醤油を同時に作る。醤油1カップにみりんと水を2分の1カップ。そして昆布鰹節を入れて昆布が大きくなるまで弱火でゆっくり煮立たせる。熱くなった豆腐をあたたかいつけ醤油で食べる。本当はここに刻み葱と生姜を入れるのだが、そこまでは手が回らなかった。それでも充分にうまい。


 今日は明日のイベント準備のため職場の施設が使えないから屋内仕事がない。つまり休日である。目覚ましをかけずに寝ているのに、朝の6時前に目が覚めてしまい眠さはあるのにもう睡魔は訪れない。なんだか損した気分。それでも布団の中で7時半くらいまでグズグズしてから起床して朝風呂。


 風呂の中ではラジコタイムフリーで先週の日曜日に放送されたTOKYOFMの「山下達郎サンデー・ソングブック」を聴く。これは先週買った『BRUTUS』の特集が「サンデー・ソングブック」だったから。自身が選んだものやリスナーからのリクエスト曲を“最高の選曲と最高の音質でお届けします”というフレーズ山下達郎プライドを感じる。


BRUTUS(ブルータス) 2018年2/15号No.863[山下達郎のBrutus Songbook]


 『BRUTUS』の中でジャズについて語っていてそこで上がったジャズアルバムキース・ジャレット「Some where Before」、キャノンボール・アダレイ「Mercy,Mercy,Mercy!」、オスカー・ピーターソン「We Get Requests」。 最初のキースのものはレコードで持っているが、他の2枚のレコードは持っていない。これは手に入れて聞いてみたい。では、早速探しに行こう。それに他に手に入れたいものがある。この時期に出る雑誌地元本屋にはなく、大きな本屋しか手に入らないアレが読みたい。レコード本屋となれば神保町だ。



サムホエア・ビフォー

マーシー・マーシー・マーシー

プリーズ・リクエスト



 電車神保町へ。車中の読書小谷野敦純文学とは何か」(中公新書ラクレ)。“純文学”の定義を知りたいというよりも、“純文学”というお題に関していつもの小谷野節が聞きたいというセレクトなので、その意味で充分楽しめる。


純文学とは何か (中公新書ラクレ)


 東京堂書店に入るとすぐそこの棚に平積みになっているアレを見つける。


  • みすず』2018年1・2月号“読書アンケート特集”


 そうこれが欲しかったのだ。その他にこれらを購入。



針と溝  stylus&groove

石上三登志スクラップブック:日本映画ミステリ劇場


 これらを持って神田伯剌西爾へ。神田ブレンドとシフォンケーキを頼んで早速『みすず』の“読書アンケート特集”を読み出す。地下の一室で、少し落としめの照明の下でびっしりと細かい活字(と呼びたい)の並んだ頁をめくっていると何やらいけないことをしているような隠微な楽しみにふけっているようなそんな気分になる。様々な人が様々な本を挙げているが、その中で何度も目にするのは国分功一郎「中動態の世界 意志と責任の考古学」(医学書院)。以前から気になっているのだが、まだ手にしていない。地元書店では姿を見ないんだよな。気の済むまでつまみ読みをしてから店を出る。


 通りを渡ってdiskunionへ。残念ながら探していたオスカー・ピーターソンキャノンボール・アダレイレコードはなかった。代わりにこの3枚を購入。



レナード・フェザー・プレゼンツ・ “バップ”【紙ジャケット仕様】

トリオ(紙)

SOLO ON VOGUE ソロ・オン・ヴォーグ [12



 帰宅してレコードを聴きながら、買ってきた本を手に取る。「針と溝」はまさにレコードを聴きながら見るための本だ。だってレコード針レコードの溝の写真集だから。本当に針と溝の写真ばかり。自分で買っといて言うのもなんだがこれ誰が買うんだろう。こんな本よく出したなあと感心する。僕が使っているレコード針SHURE M44-7とSHURE M44G)の写真もある。針の先が接写で大きく載っているので、自分の使っている針の先がこんな風に尖っているのだということがよくわかる。そして、レコードの溝の写真。これがなんともシュールなものになっている。黒いビニール盤の上を不規則に刻まれた何本もの溝。その写真の横にはレコード名が記入されている。その歌手名や曲名とその溝の間にどのような関係性を見出したら良いのか途方に暮れてしまう。そのぽかんとしてしまう感じが何とも言えずいい。


 買ってきた本を一通り眺めた後、今度は先日届いた本を手に取る。


  • グレゴリ青山「コンパス綺譚」(龜鳴屋)

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 金沢にある限定本を出版している龜鳴屋からでたグレゴリさんの新刊。限定531部中の226番が手元にある喜び。雑誌旅行人』に2004年から2007年にかけて連載された著者初めてのストーリー漫画舞台は1927年から1936年にかけての大連青島・哈爾濱・上海東京横浜安西冬衛、三船敏郎、金子光晴、森三千代魯迅など当時その場所にいた実在の人物たちがあるコンパスを巡って繰り広げる架空の物語。自分の大好きなものをあれこれ調べながら描いているグレゴリさんの楽しさが伝わってくる作品になっている。この手のノンフィクションの皮を被ったフィクションは好きなので楽しく読んだ。本屋では手に入らないので興味のある人はなくならないうちに龜鳴屋へ頼んだ方がいいですよ。


 レコード棚を眺めていてショックを受ける。今日買ってきた「ソロ・オン・ヴォーグ」がすでに棚に入っているのだ。今日買ってきたレコードはまだ床の上にある。ということは前に買ったことを忘れてもう1枚買ってしまったことになる。安かったから金銭的なショックは少ないが、実はすでに二度同じことをしているのだ。二度あることは三度ある。先人たちの先見の明にただ敬服するのみだな。

2018-01-21 セザンヌの買い直し。

セザンヌの買い直し。


 昨日になって急遽本日の屋内仕事が中止となる。降って湧いたような休日。明日は、雑司が谷みちくさ市もやっているし、古書往来座に取り置きしてもらっている「名画座手帳2018」も取りに行くことができると心浮き立つ。たまたまSNSで見た“ナンプラーを使った鍋”でもやろうと土曜夕方の賑わいを見せるスーパー白菜鶏肉団子とヌクナムタイ料理よりベトナム料理の方が好きなのでこちらにする)を購入し、帰宅。水800mlにヌクナム大さじ2杯を入れ、本来ならレモン1個を搾るのだが買い忘れたのでポッカレモンで代用する。そこに鶏肉団子と白菜を入れてよく煮たら出来上がり。簡単で結構うまい。ヌクナムの味も久しぶりだ。締めに糖質ゼロ麺を投入してちょっと煮込んで平らげる。


 今朝は、昨日朝の「おかずのクッキング」(テレビ朝日)で土井善晴センセイがやっていたネギトーストを作る。長ネギ一本をみじん切りにし、黒酢砂糖醤油ごま油をそれぞれ大さじ1杯かけて混ぜたものをバターを塗ったトーストにのせるだけ。トーストネギなんて合うんかいなと疑心暗鬼で口に入れてみるとこれが予想以上にうまかった。ネギの辛味も黒酢砂糖コンビネーションでまろやかに丸め込まれていく感じ。


 溜まっていたワイシャツをクリーニング屋に出してから駅に向かう。途中でスマホに着信。電話は弟から。こちらのアクション(送ったシュトーレンや甥姪へのお年玉)へのリアクションではない、弟からのアクションの電話はいつも何かのトラブルや悲報の色合いを帯びることが多いので少し身構えてしまう。内容は父母が眠る墓地に関することだった。赤い警報ではなく、黄色い注意報といった内容だったが、時間とともに赤く色が変わる可能性は充分にあるだろう。頭の中で自分の銀行口座の中身を確認しながら話を聞いていた。



 みちくさ市が行われている雑司が谷へは地元から乗り換えなしで行けるのでありがたい。車中の読書は例の8,500円文庫本である三浦しをん広辞苑をつくる人」(岩波書店広辞苑第七版」予約特典非売品)。第1章国立国語研究所、第2章大日本印刷株式会社、第3章大片忠明さんと冨田幸光さん、第4章株式会社加藤製函所、第5章牧製本印刷株式会社にまえがきとあとがきがついた150ページほどの本だ。第1章に書かれている動詞の語釈検討の話が面白い。「こする」「する」「さする」「なでる」「なする」の違いや「炒める」と「焼く」の違いなど興味深い話が続く。


 雑司が谷の駅を過ぎて池袋駅まで行って下車。ジュンク堂書店古書往来座に寄ってからみちくさ市へいくつもり。ジュンク堂地元本屋になかった雑誌を1冊買う。



美術手帖2018年2月号



 特集が“テレビドラマをつくる”。「逃げるは恥だが役に立つ」の脚本家である野木亜紀子さんの対談が載っていると知って読んでみたかったのだ。「重版出来」や「俺物語」など漫画原作を見事にドラマ化する彼女の脚本に興味を持っている。そこへオリジナル脚本による新作テレビドラマ「アンナチュラル」が今月から始まった。どんなもんかと2話まで観たが面白い。「シン・ゴジラ」のヒロイン2人(石原さとみ市川実日子)が共演しているのも心踊る。


 古書往来座へ。瀬戸さんとのむみちさんに挨拶をして、店内を回る。いつ来ても充実した棚に顔がほころぶ。



 『三人展』は昭和44年1月に伊勢丹で行われた展示用に作られた冊子。今からほぼ50年前だ。それぞれの作家に関する写真と何ページにもわたる長文の紹介が載っている。安吾の担当は関井光男氏だった。

 その関井光男氏も関わっていた「定本 坂口安吾全集」を大学入学とともに神田の一誠堂で購入した(代金は親に借りた)。大学坂口安吾を研究するためである。その後、全集ちくま文庫版、筑摩書房版と新しく出版されたが個人的にはこの冬樹社全集への思い入れが強い。その全集刊行時のパンフレットはやはり欲しくなる。


 これらの本とともにカウンターで「名画座手帳2018」を入手。『本の雑誌』2月号で青山南さんが褒めていた若尾文子直筆の帯文「この手帳には私の青春が詰まっています」は実際に手に取ると一層感慨深い。個人的には橋本愛直筆の「私たち青春は、この手帳と共に進行していく。」もまた感慨深い。



名画座手帳2018


 古書往来座から歩いて雑司が谷へ。途中、肩にフクロウをのせている女性を見かける。池袋だからイケフクロウ洒落ているのだろうか。鬼子母神手づくり市をやっており、また先日「モヤモヤさま〜ず2」で雑司が谷周辺を取り上げていた影響もあるだろうか、人出が多い。みちくさ市にたどり着き、出店している店を回る。買ったのは以下の本。



 コミマサ本は“暢気文庫”から。ノンちゃんとも久しぶり。娘さんがずいぶん大きくなっていた。前に会った時はまだベビーカーに乗っていたんじゃないかな。

 洲之内本は鬼子母神前みちくさ市ブースから「気まぐれ美術館」シリーズは全て持っているのだが、「セザンヌの塗り残し」は箱のない裸本しか持っていなかったので綺麗な箱入りが安く手に入りうれしい。シリーズラストの「さらば気まぐれ美術館」も美本が安かったのでもう1冊買っておく。このシリーズなら重複しようと構いはしない。



 ゆっくりとしていたかったのだが、明日から一年で一番大変な仕事が始まり、まさに“絶対に休めない闘いがそこにはある”という訳で、早めに帰宅することに。まだ、大丈夫なのだがどうもこの一週間くらい体内に風邪インフルエンザかの菌が入っているような感じがする。半世紀ほど自分の体と付き合っているので体調を崩しそうな感じがなんとなくわかる。こういう時は暖かくして家にこもり、栄養と睡眠を取るしかない。どんな菌が入ろうと体調を整えて発症させなければこちらのものだ。このやり方で例年周囲のインフルエンザ罹患者を横目になんとか乗り越えてきた。


 帰りの車内でも「広辞苑をつくるひと」を読む。広辞苑の箱を作る株式会社加藤製函所が出てくる。「セザンヌの塗り残し」の箱もここが作ったのだろうか。地元に着くまでに全体の3分の2ほどを読んだ。約5,000円の読書ということになるかな。



 駅ビルの靴屋があと数日で店じまいするため40パーセントオフセールをしている。明日・明後日の雪の予報を考え、滑り止めのついた雪雨用のショートブーツを購入。坂の多いこの街で雪に降られると転倒の危険と隣り合わせになる。予防しておくに越したことはない。それにしても、この店がなくなってしまうとこれからどこで仕事用の革靴を買えばいいのだろう。今履いている革靴は全てこの店で買ったものだ。馬鹿の大足で足に合う革靴を探すのにいつも苦労する。選んで買ってもしばらく靴づれに悩まされることもよくある。試しばきもできない通販で買うなんて考えられない。愛用の店がなくなるというのは本当に困る。



 帰宅して、買ってきた小松菜メキシコ産アスパラ(見切り品)にベーコンを入れてオリーブオイル蒸しを作る。粒入りマスタードオリーブオイル醤油を混ぜたものをかけて食べる。それにしても野菜が高い。自炊をする時は野菜中心を心がけているのでどうしてもエンゲル係数が上がってしまう。

2018-01-14 8,500円の文庫本。

8,500円の文庫本


 ふと気づくと水曜日から働いていない。と言いながら水、木、金、土と朝7時過ぎから職場へ行っている。土曜以外は夜7時過ぎまで約12時間いて、いつもの通りの業務をやっていた。しかし、タイムレコーダーには記録されていないので、労働時間にはカウントされていない。休日出勤1日=振替休日1日という概念のなかったこの業界にも、働き方改革の波は押し寄せてきて、親会社からのお達しで我が職場にも1日休日出勤をしたら1日休まなければならないという決まりができた。その上、これまで通常勤務扱いであった12月末と1月初めの屋内仕事や野外仕事も休日出勤扱いに変わった。職場はその分の代休を取れと言う。しかし、休日を取れる日がない。通常勤務の日に休んだら、その分の仕事を別の誰かが自分の仕事にプラスして働かなければならない。仕事の性質上、今日の仕事分を明日に回すということができないのだ。今日の仕事は今日やるしかない。自分しか担当者のいない屋内仕事は自分が行かなければ実施できない。屋内仕事の関係者に迷惑はかけられない。となると、代休の届けを出した上で、職場へ行き通常の業務をすることになる。しかし、タイムレコーダーは押せないから、働いているけど労働時間にはならない。通常の業務を通常通りやっているのだから、別に辛いというわけではない。ただ、この状況が続けば、実際の月の労働時間が基準を超えていたとしても記録としてそれが残らない形になってしまう。これはまずいことだろう。厄介なのは、職場は「休め」と言い、自分も「休みたい」と思っているのに、もし本当に規定通りに休んだら、自分の仕事に大きな穴が空き、それによって自分や職場がうまく回らなくなってしまうというこの状況なのだ


 今日も休日出勤の屋内仕事で朝から職場へ行く。これでまたどこかで代休を取らなければいけないのかと思うと気持ちが晴れない。午後からは、自分がひとりで担当している職場の会報誌の仕事をする。年末に印刷屋に入稿した原稿の校正刷が来たので、それを執筆者毎に切り分けて、締め切り等の事項を書き入れた紙に貼っていく。短い文章ばかりなので執筆者は軽く50人を超えてしまう。この校正用のシートを作るのに午後が丸々潰れる。単純な作業なのと、休日で職場にほとんど人がいないため、イヤフォンで音楽を聴きながら黙々と作業を進める。BGMにはこれを選ぶ。


【CD】いつか聴いた歌(3)ブロードウェイ・アンド・ハリウッドオムニバス [Blu-Spec CD][SICP-31059]


 和田誠画伯が選んだスタンダード集シリーズの「いつか聴いた歌」は1と2をすでに持っていたのだが、最近になって3が出ていたことを知り、手に入れた。クールテナー男性歌手が歌うスタンダードナンバーの心地よさに休日出勤でこわばった心も少し癒されるようだな。





 職場を出て、駅ビルの本屋に寄る。昨日から買うかどうか悩んでいたこ辞書を買うことにした。



広辞苑 第七版(普通版)



 発売日の12日にこの辞書がこの店に並んでいるのを見て、手に取った。そして値段を見て驚いた。特別定価8,500円(税別)。えっ、「広辞苑」ってそんなにするの。この価格で一般の人が果たして買うのだろうかと心配になった。こちらは仕事柄辞書は必需品のため、いくつあっても構わないのだが、それでもこの値段にはちょっと衝撃を受ける。それは商品の価値に対して値段が高すぎるということではなく、このサイズの紙の辞書が「一家に一冊」と言えるようなものではなくなったという現実に直面したショックなのである。ネットで気軽に言葉の意味を検索できる現代において紙の辞書を地道に改訂して出版し続けることの大変さと困難さがこの値段に現れているのではないかと思えたのだ。


 辞書が好きで、仕事でも使う人間としては別にこの値段だから買わないということはない。実はすでに昨夜アプリ版の「広辞苑 第七版」を購入し、iPadiPhoneダウンロード済みである。やはり、いつでも持ち歩け、どこでも参照できるアプリ版はありがたい。それに老眼に向かいつつあることを考えると文字の大きさを調整できる電子書籍は便利である。しかし、紙の辞書も捨てがたい。しかも、予約特典ということで紙の「広辞苑」には三浦舟を編む”しをん「広辞苑をつくるひと」という文庫本が付いてくるという。昨夜、TBSラジオクラウドで聴いた「荻上チキSession22」でこの付録文庫本の内容が素晴らしいと激賞されていて、それは是非読みたいという思いを強くしていたところ、ここの店頭販売分にもこの文庫が付いていることを知り、やはり紙の辞書も手元に置こうと思った次第。辞書本体の内容はアプリで読めるのだから、結果的にはこの文庫本に8,500円出したことになるのか。多分人生で一番高い文庫本だと思う。