晩鮭亭日常

2017-03-30 サヨナラのサーだ。

サヨナラのサーだ。



 4時起き、バス始発前の駅への坂道を歩く。

 出張野外仕事がある日のルーティンの光景。寒暖の目まぐるしく入れ替わるこの時期の定番のウエアであるロングのダウンコートでは少し汗ばむくらいに暖かい朝だ。日中は18度くらいにまで気温が上がるらしい。

 最後の出張野外仕事が寒々とした日でなくてよかったと思う。就職してから今日まで30年近く続けてきたこの野外仕事の担当が今日で終わる。4月からは配置転換によって新しい屋内仕事の担当者になることが決まっている。ただ、ごく当たり前に最後まで仕事をしたいので今日まで担当を外されることは関係者には話していない。今日の仕事終わりに事実を伝え、区切りをつけようと思っていた。


 まだ、人影もまばらな野外仕事場所に着く。ここが謂わばホームグラウンドに当たる場所だ。毎年何度もこの場所に通ってきた。その間に周囲の状況もずいぶん変わった。仕事の合間に昼食を食べに行っていた近くの高校の前にあった喫茶店が姿を消した。ここで食べるオムライスが好きだった。その後に行っていた道路沿いの2階にある中華料理屋もやめてしまった。ここで食べる中華丼が好きだった。野外仕事場施設内にある食堂は家族経営の落ち着いた店なのだがいつも空席を探すのが難しいため外に食べに行っていたのだが、席があるときに食べるカツカレーが好きだった。この店も昨年暮れに施設の契約を解除され自動販売機だけが置かれる無機質なコーナーに変わってしまった。春になって今度は僕が消えることになった。


 長い間続けてきた仕事だが、一度も自分に向いていると思ったことはない。いつも仕事だからやっているのだと自分に言い訳をしながら続けてきた。もし、担当者が自分でなかったらもっといい結果が出てきただろうと毎回のように思わざるを得なかった。この仕事にありがちなマッチョな雰囲気も好きになれなかった。そんなこんなに嫌気がさすと施設内の隠れ家的休憩室に逃げ込んで、空き時間に本を読んだ。ここで読んだ本として記憶に残っているのはやはり、ロバート・B・パーカーの“スペンサー”シリーズということになる。就職してこの仕事の担当者となり、少し慣れてきた30代の頃によく読んでいたのが、ボストンの私立探偵・スペンサーを主人公としたハードボイルド小説だった。旧刊は文庫で、新刊単行本で買って読んでいた。シリーズ中の傑作と言われる「初秋」もここで読んだ。木々の多いこの場所で季節は秋だったのではないか。マッチョな雰囲気が嫌だったのにマッチョなスペンサーが主人公の小説を好んで読んでいたのが不思議だが、概ねハードボイルド小説の主人公の探偵(一人称)は、フィリップ・マーロウを筆頭に基本的に詩人なのでその詩人の部分を求めていたのかもしれない。このシリーズの大半をこの仕事場で読んだためか、今でもこの場所を歩いているとスペンサーが自分の名前の綴りを紹介するときの決め台詞「SのSIRだ」が頭に浮かぶことがある。


初秋 (ハヤカワ・ミステリ文庫―スペンサー・シリーズ)


 午後4時には仕事が終わる。仕事終わりには関係者でミーティングを行うことになっている。年度の最後なので、次年度の役割分担を発表し、本日の反省点などを確認した後、自分が担当者を外れたこと及び後任の担当者の説明を行った。反応を見るとやはり情報はどこからか漏れるものですでに予測をしていたものと全く知らなかったものが混在しているようだった。ミーティングを終えて解散の指示を出したが動き出す感じがないので不思議に思っていると代表者が小さな花束を渡してくれた。その後、以前の関係者が何人か駆けつけて来てくれる。どうやら事情を知っているスタッフが声をかけてくれたらしい。ただ、仕事がいつもより早い時間に終わったため、ミーティングの時間には間に合わなかったのだ。その後も花束や記念品を渡されたり、写真を撮られたりする。そのうちに新たに数人が駆けつけてきてくれる。「あれ、今日定年退職の日だったっけか?」と思ってしまう。明日からも普通に出勤するのが申し訳ないような気がする。


 皆と別れてひとりになって地元駅へ戻ってくる。家に花瓶がないことを思い出し、無印良品で花瓶代わりになりそうな水差しを買って帰る。水差しと高さのあるコップを使って貰ってきた花を飾る。



 野外仕事の汗と花粉を落とすために風呂に入る。湯船に浸かりながら今日の「たまむすび」を聴く。パーソナリティーの赤江珠緒が産休の為今日で番組を離れる最後の日の放送だ。それが今日の自分の姿とかぶる

 

2017-03-28 りんごが多い訳。

りんごが多い訳。



 春は名のみの風の冷たさ。

 陽射しは春だが、北風が冷たく吹いている中を野外仕事。30年近く続いたこの野外での仕事も今週いっぱいで終わる。そう思いながらやってはいるが、というかそう思ってやっているせいなのかもしれないが、思うようにはうまく進まない。


 4月からは屋内仕事に変わることがすでに決まっている。夏冬の野外の厳しさからは逃れられるとしても、場所が屋内に変わるだけで仕事量が減るわけではないし、これまでやっていない新しい仕事の分、覚えなければならないことも気苦労も多いだろう。まあ、やる前から心配しても始まらないし、とりあえずやりながらなんとかしていくしかないと今は開き直ってあまり考えないようにしている。


 また4月から職場で使っていたグループウエアが廃止され、これまでの仕事用メールアドレスやカレンダー機能が使用できなくなる。その代わりに、自分のスマホiPhoneと職場で貸与されているiPadと自宅で使っているMacBook Proに入っているカレンダー機能にスケジュール管理を変更しなければならない。春になって否応なしに物事が変わっていくのを感じる。



 帰りに駅ビルのスーパーりんご(サンふじ)とデコポン熊本産)を買う。前に、TBSラジオ「たまむすび」にゲスト出演したフルーツ研究者の中野端樹さん(フルーツしか食べないで生活している)の話を聞いてから毎日フルーツを食べるようにしている。そうしてみて初めて自分がりんご好きであることを知った。もちろん、手に入りやすいということもあるのだが、気がつけば毎日りんごを食べている。そして、あれこれ食べてみて「サンふじ」が一番好みの味であることも分かった。好きなものだから、毎日食べても飽きないし、「りんごの医者いらず」とも言うので日々りんごを食べ続けることになる。



 帰宅し、野外仕事でたっぷり浴びた花粉を風呂で落とす。風呂場にiPadを持ち込み、TBSオンデマンドで「マツコの知らない世界」の見逃していた中野端樹さんの登場回を視聴。



 TBSオンデマンドに加入したのは、先週終わったドラマカルテット」の録画できていなかった第1回から4回までを視聴するためだった。仕事から帰って湯船に浸かりながらiPadで「カルテット」を見直すのは、花粉を落とすのと同様気持ちの良い時間の過ごし方だった。ドラマ放映中はコミカルでシリアスでミステリアスなこのドラマにハマって毎週たのしみに過ごしてきた。終わってしまったのが寂しく、シナリオを読む習慣がないにもかかわらず、本屋シナリオ本を買ってしまった。



カルテット1


 今期楽しみに観ていたドラマはこの「カルテット」とテレビ東京「バイプレイヤーズ」の2本。その「バイプレイヤーズ」も今週の金曜が最終回だ。これも寂しい。竹原ピストルの歌うエンディングテーマ「Forever Young」が気に入ってダウンロードして聴いているのだが、その弾き語りヴァージョンの入ったサントラ盤も買った。


ドラマ バイプレイヤーズ〜もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら〜 オリジナル・サウンドトラック[CD] / TVサントラ (音楽: 佐藤洋介)


 気持ち的に何やら落ち着かないのか、1冊の本に集中できず最近はこれらの本をつまみ読みしている。



村上春樹 翻訳(ほとんど)全仕事

お言葉ですが…(別巻 7) [ 高島俊男 ]

愛さずにいられない: 北村薫のエッセイ




 北村薫さんのエッセイ集「愛さずにいられない」で語られる本を読むことに対する手放しの喜びを読むと、もっと本を読むことにのめり込まなければと思う。読書に対する気持ちの入り方がどうも薄っぺらいんだよなあ最近と自分を反省。



 風呂を沸かす間に録画しておいたアニメ鬼平」(テレビ東京)12話「あきれた奴」を観た。このアニメを観るのは初めて。この回に声優として、のん能年玲奈)が参加していると聞き、それじゃあ観てみようと思って録画しておいたのだ。声優としての彼女の力量は映画「この世界の片隅で」で実証済み。ただ、30分の時間では彼女の見せ場はあまりなく、同心の小柳と彼が信じて逃がしてやる盗賊(のんはその妻役)との心の交流も説得力を持って描くだけの余裕が足りなかったような感じでちょっと残念だった。吉右衛門版「鬼平犯科帳」のファンとしてはどうしてもアニメ版イケメン鬼平には点が辛くなってしまうのかもしれない。

2017-03-11 BLUE MOON。

BLUE MOON




 昨日の誕生日は、野外仕事と歯医者で終わった。


 麻酔を何本も打たれ、歯をガリガリやられた自分を慰めるように本を買う。



BLUE GIANT 10 (ビッグコミックススペシャル)

BLUE GIANT 10 (ビッグコミックススペシャル)

本の雑誌406号2017年4月号

本の雑誌406号2017年4月号




 愛読している漫画の「BLUE GIANT」の最終巻とその続編「BLUE GIANT SUPREME」が同時発売されていた。19歳だけのジャズバンド“JASS”が衝撃的な解散をし、主人公の「大」はドイツアルトサックスを携えて渡っていく。一つの終わりを告げる最終巻の濃い青と新たな旅立ちを告げる第1巻の明るい青の対比もいい。


 「漢和辞典的に申しますと」は著者が色々な媒体に書いていた漢字に関するコラムセレクトした文庫オリジナル。何度見てもこの円満字二郎という著者名は己の職業を予見するような見事な名前だなあと感心する。


 『本の雑誌』を雑誌棚で見て「えっ、白い」とちょっと驚く。今号から表紙のデザインが和田誠さんからクラフト・エヴィング商會に変わったとのこと。ただ、中身はいつも通りの『本の雑誌』なので安心する。



 今日は、午前中に出張野外仕事を終えてから昼過ぎに職場へ。

 職場のコンピューター施設を使って行われるある検定試験の試験監督の仕事がヘルプで入る。試験開始は1時30分。試験時間は60分だから紙のテストなら2時30分には終わる計算になる。しかし、このコンピューターを使ったテストは、パソコン等の操作を必要とするため本試験の前に必ず練習問題が入ることになっている。この練習問題をやっている時間は試験時間に含まれない。そのため、試験開始から試験終了まで60分以上かかり、最大何分になるかはその受検者が練習問題にどれくらい時間を費やすかで変わってくるという試験監督泣かせの検定である。しかも、うちの職場がやっているのではなく、外部の団体がやっている検定であるため、こちらで勝手に開始時間を変更することもできない。そして、今日は3月11日である。例年職場では2時46分に1分間の黙祷を捧げることになっている。それは今年も同じだ。しかし、1時半に始まった試験が2時半に終わっている保証はない。むしろ2時半には終わっていない可能性の方が高い。黙祷の時間までに試験の終わっていない受検者がいた場合、こちらで試験を1分間中断して黙祷をしてもらってから再開するということができない。外部団体の検定ソフトはその間も刻々とタイマーの持ち時間をきっちりと1分間減らして行ってしまう。2時46分が近づいた時、検定会場に残っていたのは若い女性ひとりだけだった。我々監督者は彼女に、黙祷は気にせず試験を続行して構わない旨を伝えた。黙祷は強制されるものでも、義務でもない。そして、我々も検定が行われている以上、目を閉じることはできない。2時46分を告げる放送が流れた時、彼女は自分から試験終了のボタンを押し、試験を終えて目を閉じた。それを見た我々もまた目を閉じ、黙祷を行なった。この検定ソフトには試験終了ボタンがあり、持ち時間がまだ残っていてもこれで試験を終えて構わないと受検者が判断した場合、そのボタンを己の意思で押すことができる。彼女はそのボタンを押して我々にも黙祷のチャンスを与えてくれた。多分、状況から考えて彼女の残り時間は1分程度だったと思う。その1分程度を検定ではなく、黙祷に使うことを選んだのだろう。




 帰宅して、例年のごとくアン・サリー嬢の歌う「満月の夕」を聴く。

D

2017-03-05 プロジェクト6。

プロジェクト6。


 3月に入って、6年間携わってきたプロジェクトが終了した。このプロジェクトは自分が育てたというよりは、プロジェクト自体が己自身で勝手に育っていったようなものだったなと思う。とりあえず、無事に終わったことを喜びたい。


 一昨日はプロジェクトのスタッフとともにお疲れさん会の打ち上げを代官山イタリアンレストランで行なった。洒落た店内、美味しい料理ワイン、そのワインを選んでくれたのはイタリアで資格を取ったソムリエ等々、これぞ代官山という店にあって客の我々だけがその場の雰囲気に馴染んでいないのは否定できない。それでもほぼ貸切の店内で楽しく2時間余りを過ごした。二次会は、その店の地下にあるbar。天井が高く、座り心地の良い高級なソファとジャズのライブのためのウッドベースが置かれたこちらも洒落た店だった。気心の知れたメンバーが残っていたので、話は盛り上がり、あっという間に時間が過ぎた。すでに次年度の人事は発表されており、プロジェクトのスタッフたちはバラバラになり、それぞれの部署に分かれていく。僕はこれまでにない異動の仕方をされており、今の自分が上司からどのように思われているのかが嫌という程分かる。半分は自分から望んで引き起こした事であるから別にショックという訳ではない。この状況を好機と捉えてやっていこうと思う。





 今日は休日。仕事はしない。午前中ゆっくり過ごし、昼過ぎにカバンに村上春樹「騎士団長殺し」(新潮社)を入れて家を出る。

 先日『Hanako』のパン特集を見ていたら、木村衣有子さんが、この近くにできたコッペパンの店を紹介していたので昼食はそこにする。その駅で降りると駅前にその店があった。知人の店があった時はよく訪れていたこの街から知人が引っ越したここ数年はすっかり足が遠のいてしまっていた。そのためこんなパン屋ができたなんて全く知らなかったのだ。岩手福田パンやその影響を受けた東京吉田パンと同じように、コッペパンにいろんなものを挟んで売っている店。記事に載っていたコンビーフポテトとつぶあんマーガリンを買う。テイクアウト専門店なので店内で食べるわけにはいかない。そうだ、近くの川縁にカフェを併設しているあゆみブックスがあったから、そこでコーヒーを買って、天気もいいからそこの土手で食べようと店の前まで行くと、「2月で閉店しました」の貼り紙が。他の街であゆみブックスが閉店したという話を聞いていたのでもしかしたらと思っていたが、ここも無くなっていたらしい。この規模の店としては品揃えもよく、地元本屋で手に入らない本があるとこちらまで買いにくることも何度かあった。地元から本屋が無くなるようなことがあったらここまで買いに来ようとも思っていたが、どうやらこちらの方が早かったようだ。残念。



Hanako (ハナコ) 2017年 3月9日号 No.1128[今、食べたいのは なつかしいパン。]


 諦めて歩き出すと、以前には無かったカフェができているのを見つける。スタバでもドトールでもない、知らないオレンジ色の看板の店でコーヒーテイクアウトして河原に出る。天気もよく、風もほとんどない。土手沿いに菜の花が咲いており、その前は家族連れが多く座っているので、少し離れた護岸用コンクリートの上に腰掛けてコッペパンを食べる。この土手は就職してから約30年間、野外仕事の仕事場として利用してきた馴染みの場所だが、プライベートで来たのは初めてのようなもの。その野外仕事も上司の口約が守られればもう直ぐ担当から外れるはず。そうすれば、この河原にくることもほとんどなくなるだろう。そう思いながら、パンを二つコーヒーで流し込む。



 電車に乗り、馬車道へ向かう。車中は「騎士団長殺し」。まだ第一部の前半を読んでいる。とりあえず、これまでの村上春樹作品のショウケースのような小説だなあと思う。これをマンネリと思う人は嫌気がさすかも知れないが、僕はそれを面白がる方なので「あはは」と笑いながら楽しく読んでいる。



 馬車道駅で下車し、馬車道通りを歩く。日曜のこの通りは人出も多い。いい天気なので恋人たちも濡れる心配はない。目的地はこの通りにあるディスクユニオンジャズ中古レコードを買いに来たのだ。僕は、じっくり時間をかけて新入荷の棚を見て回り、ジーン・アモンズとサルサルバドールアイク・ケベックアルバムを抜き出し、それをレジに持っていった。店員が「メールマガジンの登録はありますか?」と聞くので「ありません」と答えると「そうですか、ではこれとこれは黄色いラベルなのですが定価になります。これは新品なので定価になります。」と言いながら会計をする。どうやら、メールマガジンに登録していると黄色いラベルの中古品は10%引きになるらしい。それは別に構わないのだが、一つひとつ割引にならないことを伝える必要はあるのだろうか。なんだが自分が正当な手続きを取ることを忘れた間抜けになったような気がした。



ジャミン・ウィズ・ジーン

ジャズ・ジャイアンツに捧ぐ

ボサノバ・ソウル・サンバ+3



 馬車道駅から各駅停車に乗って帰る。別に急ぐ訳でもないので、途中で急行の待ち合わせがあったが乗り換えもしなかった。窓から午後の暖かい日差し差し込み、「騎士団長殺し」を読んでいた目を閉じていつの間にか寝てしまった。

2017-02-22 私のたどりかた 本屋通いのいま・むかし。

私のたどりかた 本屋通いのいま・むかし。


 仕事帰りに改装なった本屋に行ってみた。



 2日間だけの期間で改装できるのだろうかと思っていたが、目に飛び込んできたのは店の左側のスペースだけ白いシートで覆われているこれまで見慣れた本屋の姿だった。ただ、左50坪分がなくなっているわけだから棚に入っている本の配置は結構変わっていた。これまで中央のスペースにデンと構えていた文芸書は一番右奥の壁側に移動させられ、元からあった哲学などの人文書の棚と合体させられている。明らかに文芸書の量は以前より減っている印象だ。このスペースに置かれていた自己啓発やビジネス書はなくなったのかと思ったらその奥にこれまで通りの売り場面積を確保していた。このことから考えると文芸書よりビジネス・自己啓発本の方がこの店では売れているのだ。文庫の棚はほぼ以前の面積を死守しているが、新書は明らかにスペースを狭められていた。新しい新書シリーズが増え続ける中、それに呼応して売り場面積を拡大してきていた新書コーナーもそれに見合う売り上げを実現できていないということなのか。雑誌コミックス、学参は以前のままの場所に以前の姿でそこにあった。全体としては以前と同じレイアウトが残っている分、その棚に挿された本の種類が違うことに脳が混乱してしまい途惑う自分がいる。まだ、この店を気持ちよく回遊するルートが見出せない。


 そんな迷い子のような気持ちを抱きつつ、改装祝いに2冊購入。




 共に発売を知ってはいたがこの間の本屋休業で買えていなかったもの。両者とも題名及び副題の漢字とひらがなの配分に意識をしているなあと思う。戦争に向かって行く時代を背景とした銀座の姿や古書並びに古書業界について硬く書こうと思えばいくらでも硬くなるところを柔らかく読みやすく書こうという著者たちの姿勢が感じられる。

 

2017-02-21 街は文具で溢れてる。

街は文具で溢れてる。


 この2日間、珍しいことに仕事帰りに本屋に寄っていない。それは忙しいからではなく、寄りたくても本屋がやっていないのだ。いつも行く本屋が昨日今日とシャッターを降ろし、店を休んでいる。シャッターに貼られた告知にはそれが改装の為であることが書かれているが、そこに気になる文言が入っている。「文具コーナー50坪増設のための改装」という言葉である。駅ビルに入っているこの本屋の隣にはカフェがあり、この店はつい先月改装を終えたばかりだからここが文具コーナーになることはない。ということはシャッターの向こう、つまり本屋の元々の敷地内に50坪増設されるということだ。なんだよ、それって本屋が50坪小さくなるということではないか。この街唯一の新刊書店が縮小されてしまうのは、日々この店で好きな本や雑誌を買うことを楽しみとも生きがいともしている者にとって残念な状況である。この改装に関して告知の紙にはこんな文言もあった。「お客様のご要望により」である。文具コーナーが50坪増えることが客の要望なのだろうか。この駅ビルにはすでに女性客で賑わう文房具屋が入っているし、文具が置いてあるダイソーも無印も出店している。そして駅ビルを出て100メートルも歩けば、天井が高く、余裕のある棚並びで店内を歩いているのが気持ちいい個人的に気に入っている大きめの文具店が20年以上前から既にある。この環境の中でどれだけの客が文具コーナーの増設を希望するだろうか。多分、これは売り上げの少ない書籍部分を縮小するための方便なのだろう。そうか、店が小さくなってしまうのか。もちろん、本屋の魅力は広さと比例するわけではない。他の人のことを考えないのなら、京都三月書房の広さと品揃えがここにあれば正直文句はない。でもここに望まれているのは、セレクトショップ的な本屋ではなく、これまで一般的に捉えられてきた町の本屋なのである。ただ、その中で欲しい本を手に入れたい僕にとってはある程度の広さ(つまり本の量)が必要なのである。マニアックな品揃えがなくても、マイナーな出版社の本がなくても大手出版社単行本新書文庫本雑誌があればいい。ここで手に入らないものは、神保町に買いに行けばいいのだからそれでいい。ただ、仕事帰りに毎日散歩のように棚の間を歩ける店のスペースをなくさないで欲しいのだ。最初に単行本小説本の棚とノンフィクション本の棚に挟まれた通路から歩き始め、文芸誌のコーナー前を通り、文庫新書の棚を左右に見る通路に曲がり、文庫両面の通路を折り返して、コミックスの平台をチェック、学参コーナーの前を通って左折すると雑誌コーナーに出る。そこを突きあたりまで歩いてまた右に折り返すと旅行ガイドと漫画雑誌の通路。そこを過ぎて今度は左に折り返すと映画落語美術の棚と趣味の本の棚の間を通って店の入口前に戻ってくる。ここで終わらず、周回で気になった棚にもう一度足を伸ばす。その頃には最低1冊は手に買うべき本か雑誌を持っている。これが僕の日課である。改装後はもう二度と同じ道を歩くことはないと思われるのでここに記録しておこう。


 明日、本屋部分だけ開店するらしい。増設される文具コーナーはもう少し後になるとのこと。本屋部分を先に開けるのは24日に迫った村上春樹新刊「騎士団長殺し」の発売に間に合わせるためだろう。全国の書店の稼ぎ時を逃してはなるまい。もちろん、僕もこの店でこの本(上下巻)を買うだろう。この街から本屋がなくならないようにこの店で本を買い続けることしかできないから。


 とりあえず、これからドラマカルテット」(TBS)を見て、明日は改装なった店に本を買いに行こうと思う。

2017-02-19 詩とシフォンケーキ。

詩とシフォンケーキ




 日曜だが、休日出張のため7時過ぎの電車に乗って神保町へ。


 車中の友は、池上彰・竹内政明「書く力」(朝日新書)。読売新聞の名物コラム編集手帳」を書いている竹内氏を迎えて池上さんが文章(コラム)を書くテクニックについて話す対談本。「編集手帳」を半年分まとめた中公新書ラクレを買っている読者としては読んでいて面白いのだが、読売新聞論説委員朝日新聞社から本を出して大丈夫なのかがちょっと心配になる。



 人影もまばらな神保町に出て本日の出張先まで歩く。今日の出張はいわば支社に勤めている僕が、本社のからの依頼を受けて本社の仕事をチェックして意見を言うというようなもの。案内された7階のガラス張りの部屋からはよく晴れた休日のオフィス街の空がよく見渡せる。しかし、目の前のディスプレイにはデジタルの時間表示が刻々と時の過ぎるのを伝えており、時間に縛られた仕事であることをこちらに告げている。休日返上のぼやけた頭をコーヒーで起こしてなんとか与えられた仕事を完了する。お偉いさんの挨拶を受け、その後は別室に用意された昼食の弁当を食べ、帰りには手土産の菓子折りまで渡される。さすが支店に当たるわが職場とは予算規模が違うなあ。弁当菓子折りもいらないからその分を他の必要な予算に回せばいいものをと思う。まあ、ゆるい糖質制限をしている身に白米のみっしり詰まったトンカツ弁当はちょっと重いのと、これから神保町で買い物をしていこうとしている身には菓子折りの紙袋は手ふさがりであると言うのが本当のところだけれど。




 歩いて神保町へ戻り、東京堂書店この街で手に入れようと思っていた1冊を購入。



http://natsuhasha.com


 ツイッター書影は見ていたが判型は思っていたよりも小ぶり。それがまさに“詩集”そのものの姿であるという感じでなんともよい風情である。早起きと緊張からの解放による眠気に襲われまたコーヒーが飲みたくなる。神田伯剌西爾コーヒーシフォンケーキ。「美しい街」を手に取り、ページをめくり、数編の詩を読んでみる。1頁に収まってしまう小さな詩と重さを感じさせないシフォンケーキの取り合わせが丁度よいように感じる。


 疲労感が強いのでそそくさと店を出て電車に乗って帰る。車中で「美しい街」の巻末に添えられたエッセイ、能町みね子「明るい部屋にて」を読む。この人の文章をちゃんと読むのは初めてかもしれない。いい文章だな。


しかし、詩というのものはたいがい短く、亀之助のものは特にそうである。そのため、詩集は散漫に読むのがいい、と私は決めつけました。一篇を読むこと自体は一瞬で終わってしまうできごとで、次から次へと読んでしまうとひとつひとつがあまりに軽くなり、申し訳ない。》



 なるほど、と思ったので「美しい街」の詩は少しずつ、折に触れて読んでいこうと思う。ただ、「明るい部屋にて」で言及されていた散文「泉ちゃんと猟坊へ」は探して読んだ。尾形亀之助についても能町みね子についても自分がほとんど何も知らないことに気づかされる文章だ。最後の一文に気持ちが軽くなる人がいるだろうことは僕にも想像できる。




 帰宅して、録画しておいたTVドラマ「バイプレーヤーズ」を観て(主役の6人プラス竹中直人が1つの画面にいる濃さったらない)、その後30分ほど仮眠をしてから起き出し、昨日届いた熊本野菜の詰め合わせから、里芋とごぼうを選び、土井善晴レシピを見ながら“里芋のバター焼き”と“ごぼうのきんぴら”を作った。里芋は量が多すぎて食べきれなかった。きんぴらの方はジップロックのタッパーに詰めて明日職場の昼食のサイドメニューにするつもり。

2017-02-12 Blue Kaba in Book Cover。

Blue Kaba in Book Cover。



 昼過ぎに家を出る。


 陽射しはあるが、風が少し冷たい。部屋でレコードでも聴きながら、本でも読んでいたい気持ちもあるが、せっかくの日曜だから出かけることにした。最近できた本屋で行ってみたいところがいくつかある。今日はそこへ行くつもり。


 まずは駒込にある“BOOKS青いカバ”。店の隣にまだ行ったことのない東洋文庫があるのも魅力的だ。ネット検索すると地下鉄三田線千石駅地下鉄南北線駒込駅のどちらからでもほぼ同じ時間で行ける場所にあることがわかる。三田線南北線のどちらも乗り入れている駅が地元駅なのでどちらでも一本で行けるのはありがたい。駅についたら最初に出るのが三田線だったのでこちらに乗った。


 車内では多胡吉郎「漱石ホームズロンドン」(現代書館)を読む。書きあぐねている別ブログ漱石倫敦ホームズLONDON。」に景気をつけるための読書。題名がかぶっている感じだが、こちらも20年前から考えていた題なので気にしないことにする。ホームズの作品世界を補助線として漱石ロンドンにおける“南北問題”(リッチな北側と貧しい南側)を論じているのが面白い。






 千石駅で下車して、都立小石川中等教育学校の前を通り、駒込警察署横の東洋文庫へ寄り道。ランチタイムが2時半までだったので、まずは施設内のカフェに入り、昼食をとる。このカフェ小岩井農場と提携しているらしく、肉や乳製品が売りらしい。それではとハンバーグランチを食べてみる。つなぎのない100パーセントハンバーグは肉の味わいがあってうまい。後から来たお客さんが「食事の時間が終わっているのですが、それでよろしいですか?」と聞かれていたので、間に合った喜びも味わいのひとつになったかもしれない。


 腹を満たして、満を持して東洋文庫ギャラリーへ。階段を上がるとそこに写真で見た“モリソン書庫”が。正面と左右の壁が見上げる高さの書架となっており、薄暗い間接照明にそれが浮き上がっている光景は本好き、本棚好きにはたまらない。大英博物館でグレンヴィル・ライブラリーを見た時と同じような蠕動を身中に感じた。


 満足して東洋文庫を出ると、すぐ横に今日の目的のひとつである今年の年明けに開店したばかりの本屋・BOOKS青いカバがある。京都善行堂を思わせる青い看板が目印。店頭の均一棚を眺める。ただ本が挿してあるのではなくて、それなりにジャンルを意識した並びになっているのがわかる。文庫の棚から復刊されそうもないので持っていたいちくま文庫を一冊選ぶ。

 店内に入ると数名のお客さんが棚を見ている。思っていたよりも奥行きのある作りで、圧迫感がなく、ゆったりとした気持ちで本を探すことができる感じ。店内に入って正面に平台が置いてあり、そこに平積みや立てられた面陳の本を並べている。ここが店の顔を客に見せる場所なのだろう。隣の東洋文庫で“ロマノフ王朝展”をやっているのを意識してロシア関係の本がさりげなく置かれているのは店の気配りが感じられる。店内の棚を見て回るといい感じに肩の力が抜けていて色々なジャンルの本をバランスよく並べている。セレクトショップ感の強い店にありがちな息の詰まる雰囲気がないのがいい。

 それに対してレジ横に置かれている新刊本の棚には店のこだわりが感じられる。日々大量に出版される新刊の中から選ばれた本だけがそこに置かれているのだから嫌でも店の思いが出る棚になる。そこに並んでいる本を見れば、ここが信用のおける店であることがわかる。まあ、単刀直入に言えば自分好みの本屋だということなんですけどね。先ほどの均一本の他に、古書1冊、新刊1冊の計3冊を購入した。




Record Covers in Wadaland 和田誠レコードジャケット集

Record Covers in Wadaland 和田誠レコードジャケット集

古本屋ツアー・イン・京阪神

古本屋ツアー・イン・京阪神





 買った本にカバーを巻いてもらう。無地の茶紙のカバーに青インクでカバイラストと店名の入ったスタンプが押される。これがなかなかいい。気に入りました。



 冷たい風が吹く中をJR駒込駅まで歩く。そこから山手線日暮里駅へ。今日もう一軒行ってみたい新しい店があるのだ。舎人ライナーのある方の出口から出て、三井住友銀行が右にある通りを歩いて行くと左手にひぐらし小学校があり、その四角を右手に曲がり、スーパーいなげやの隣にお目当の“パン屋本屋”があった。

 パン屋本屋が同じ建物の中にあるのかと思っていたが、手前がパン屋で奥が本屋。その間に中庭のようなスペースがあるというちょっと贅沢な造りの店舗だ。奥の本屋へ。こぢんまりとした店内には子供連れの家族や若い夫婦が数組、その客層を裏付けるように絵本料理食べ物などの本が充実している。コンパクトな店だから、迷わず方向性を持ったセレクトをしていることを感じさせる店だな。レジ横の棚には店の名前に対応してパンの本がずらり。もちろん、木村衣有子さんの「コッペパンの本」(産業編集センター)も置いてある。その棚に村上春樹パン屋再襲撃」(文春文庫)が並んでいる遊び心がいいね。岸政彦「断片的なものの社会学」(朝日出版社)や植本一子「家族最後の日」(太田出版)が並べられている棚もあり、絵本パンだけの店ではないことをしっかりと教えてくれていた。気になるパンの本は持っている本ばかりだったので、パンに合うコーヒー関係の本を買う。




コーヒーと小説

コーヒーと小説


 庄野さんは徳島にある自家焙煎の店“アアルトコーヒー”店主。ここの豆を何度か通販で買って飲んだことがあり、庄野さんの名前に馴染みがあった。この本は庄野さんが選んだ短編小説アンソロジーコーヒーが出てくるわけではなくて、コーヒーを飲みながら読んでほしい作品を集めたということらしい。何せ最後に載っているのが坂口安吾「夜長姫と耳男」なんだからコーヒーの出る幕はないよね。それが面白くて買ってしまった。



 並びのパン屋にも寄ってアンパンクリームパンラスクを買って帰る。







 帰宅して、昨日ポポタムで買った武藤良子さんの題字が目をひく「石神井書林古書目録100号 特集 練馬区関町」を眺める。「コーヒー小説」に小説「グッド・バイ」が収められている太宰治関係の本もあれこれと載っている。その他、名前の出てくる作家が、小山清井伏鱒二木山捷平上林暁尾崎一雄庄野潤三小沼丹とくればマイナーポエット好きにはたまらない目録だな。そういえばポポタムのキャラクターもカバだったなあと思う。

2017-01-02 富士とスニーカーの今日。

富士とスニーカーの今日。



 年が明けた。

 元日は風もなく、晴れた穏やかな日だった。例年通り、古今亭志ん朝「御慶」を朝風呂で聴く。おせち料理雑煮もないが、これで正月気分になれる。テレビニューイヤー駅伝を見て朝昼晩と食事を作って食べ、その片付けをしているうちに何となく1日が終わる。食料の買い足しに一度コンビニに行ったのが唯一の外出。その時、マンションの4階の廊下から富士山の一糸も纏わない姿を見る。御慶。


 テレビに飽きると音楽を聴きながら読書読みかけであったこれを読み終えた。


続 聞き出す力

続 聞き出す力



 BGMはこれ。







 今日は朝から箱根駅伝を見る。駅伝を見るのは好きだが、選手物語を聞かされるのは苦手。ただ、走らせてあげればいいのにといつも思う。



 午後、箱根駅伝が終わったので昼食を食べに街へ降りていく。今朝まで4食自炊だったので他人の作ったものが食べたくなった。今日も富士がよく見える。

 正月2日の駅ビルは思ったより空いていた。新春セールの無印も人はまばら。セール品の食器洗い用スポンジと半額のスニーカーを買った。



 本屋で今年の本の初買い。




吾輩は猫である (定本 漱石全集 第1巻)

吾輩は猫である (定本 漱石全集 第1巻)



 全集コーナーもない地元書店漱石全集が棚差しされていようとは思ってもみなかった。既に新書版の漱石全集と初出本文をベースにして出された平成版の全集を持っている身としては新たな全集を揃えようなどという気は毛頭ない。ただ、昨年の漱石没後100年に関する色々なイベントやテレビドラマ(「漱石の妻」NHK)などによって久しぶりに「吾輩は猫である」を読み返してみたくなったことと、20年以上前になるが毎年正月の帰省時に漱石全集を1冊持って行って読んでいたことを思い出し、今年の1冊目にすることにしたのだ。



 いつもは入口前に順番待ちの列ができている大戸屋も空席の方が多い。商売的にはよろしくないのだろうが、僕としてはこの方がうれしい。いつもの鶏と野菜黒酢あん定食を頼む。食事が来るまで携帯本の遠藤哲夫「理解フノー」(港の人)を読む。小さくて薄い本なので、こういったちょっとした待ち時間にさっと出してちょこっと読んで料理が来たらすっとしまえる。ちょうどいい。


理解フノー (四月と十月文庫7)

理解フノー (四月と十月文庫7)


 帰宅して、先日スキャナーで取り込んだ昔職場の出版物に書いた自分の文章をワード文書に直す作業に没頭する。漢字の誤変換や文章の脱落や余計なスペースを直すのに思いの外手間取った。なぜ、こんなことをしているかというと、今年の自分自身への課題として今から20年前の1997年に職場の海外研修で一月ほどイギリスに滞在した時につけていた日記をリライトして(そのままでは意味の通る文章にならない)別ブログとしてやっていこうと考えているから。自分としてはほぼ最初の海外渡航であり、色々と思い出深い体験であったため、いつか文章としてまとめておきたいと思っていた。そこに新しい「漱石全集」と英国BBCでこの正月にドラマSHERLOCK」シーズン4の放映が重なり、これは丁度いい機会だなと考えた次第。とりあえず、リライトする必要のない、職場の会報等に書いた2つの文章をプロローグとエピローグとしてブログ漱石倫敦ホームズLondon。」(http://d.hatena.ne.jp/vanjacketei+johnwatson/)にアップしてみました。この題名にした理由はプロローグを読んでもらえればご理解いただけるかと思います。実際に日記に出てくるのは漱石関係ばかりでホームズ関係はほとんど出てくることはないのだけれど。ただ、ロンドンを歩きながら絶えず、ここがシャーロック・ホームズ舞台となったロンドンかという高揚感を抱いて過ごしていたのは紛れもない事実なのだ

 ほとんど自分のためのブログなのですが、もし興味がおありならたまに覗いてみてください。この「晩鮭亭日常」以上に不定期更新になるはずです。



 夕食は「土井善晴和食アプリで知った小松菜味噌汁小松菜ベーコンの炒め物を作って食べる。


 明日は職場に行かなければならない。「孤独のグルメ」新春スペシャルを観てから寝よう。


 遅くなりましたが、今年もよろしくお願いいたします。

2016-12-31 二個玉で大晦日。

二個玉で大晦日。



 気が付けばもう大晦日。


 大掃除は昨日の窓拭き等で一応終わったことにして、出かける。


 二子玉川のTOHOシネマで2度目の「この世界の片隅に」。

 前回、テアトル新宿で観た時はその印象を言葉にすることができず、心の中にモヤモヤとしたものが残った。その後、町山智浩映画ムダ話」を聴いたり、原作・こうの史代この世界の片隅に」(双葉社)を読んだりした。それぞれに感銘を受けたし、その素晴らしさを同僚に語ったりもした。それでもまだ、自分の中でうまく着地してくれた感じはなかった。


この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)


 大晦日でもあり、年越しのイベントのような感じでエグゼクティブシートを奮発した。ところが、周囲のエグゼクティブシートに座る子供の多さにこの地にはどれだけ金持ちの親がいるのだと贅沢の背徳感を下敷きにした自分の喜びがなんだか馬鹿らしいものに思えてしまう。アニメとは言っても小さい子供たちにはちょっと難しいのではないかと心配したが、みんな騒ぐことなく静かに観ていた。この映画の持つ力を過小評価していたと反省する。



 2度目はストーリー展開を知っていることもあり、素直に笑ったり、ハラハラしたり、そして涙を浮かべることもできた。映画館を出ると気持ちが軽くなった。ただ、「いい映画だな」と思う。「それでいいじゃないか」と思った。この映画に出会ったことで、こうの史代という魅力的な漫画家を知ることもできたし、「夕凪の街 桜の国」(双葉社)を読むこともできた。



夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)

夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)



 映画館の下にある蔦屋家電に入る。先日の知人宅での忘年会でここが本屋でもあるということを知ったため、是非寄っておきたいと思ったのだ。円環状の通路とそれに沿って設えられた本棚。思ったより本の量も多く、初めての僕にはまるで迷路のようにどこまでも本棚が続いているように感じられてちょっとゾクゾクした。夏葉社の本やミニコミ『ヒトハコ』も並んでいるのも好感が持てた。そこでこの2冊を購入。




神保町

神保町



 「冬の本」は2冊目。増刷したと聞いていたので贈答用に1冊買っておくことにした。


 それにしても二子玉川という街はドレスコードでもあるのかと思うほど街を歩いている人たちの服装が高価そうで余所行きで何となく僕には息苦しい。駅周辺はどこもかしこもピカピカで落ち着ける淀みのようなものがないんだよな。



 帰りの乗り換え駅である自由が丘で下車して昼食。この街はいい意味で少しくすんでいて居心地がいい。夜にご馳走を食べる予定なのでここはマクドナルドグラコロバーガーで済ませておく。この街に来るときは必ずよる駅前の不二屋書店で1冊。



ミシマ社の雑誌 ちゃぶ台 「移住×仕事」号

ミシマ社の雑誌 ちゃぶ台 「移住×仕事」号



 ミシマ社が以前にこの自由が丘にあったからだろう“地元出版社ミシマ社コーナー”があるのがうれしい。そのためミシマ社雑誌ちゃぶ台』の創刊号を買っておく。益田ミリ内澤旬子、ホホホ座、佐藤ジュンコといった執筆者もいい。




 最寄駅の駅ビルでいい牛肉を奮発し、しらたき、長ネギ白菜、焼き豆腐も買った。今晩はすき焼きだ。実家は昔から大晦日にすき焼きをする。弟が実家を仕切るようになってもそれは変わらなかった。ふた親がいなくなった実家に帰省することは昨年からなくなった。大晦日はひとり家で過ごす。でも、すき焼きはやっておきたいのだ。



 玉子を二個使ってすき焼きを食べ(牛肉がうまかった)、蜜柑をむきながら紅白歌合戦を見つつ年が暮れていく。


 今年もありがとうございました。こんな不定期で長期更新なしのブログを読んでいただき感謝しております。


 また、来年もよろしくお願いします。