カルピスのいる味。

 今週は月・火・水と仕事が通常よりハードだった。同じセクションの同僚が緊急入院することになり、その分の仕事もこなさなければならなかったためだ。それに加えて、昨晩は夜に顧客との懇親会があり、日付けが変わる前に帰宅できてホッとした。


 今日は、職場の建物が年に一度の保守点検のため仕事は休み。この休みを心の支えにしてこの数日を過ごしてきたのだ。そのため昼近くまで寝ていたいところだが、マンションの防災設備点検日になっており、10時半には検査員が部屋を訪ねてくることになっているから、寝てもいられない。7時には起きて、風呂掃除も兼て朝風呂に入る。それから検査員が来るまで火災報知器のあるそれぞれの部屋の掃除と整理に汗を流す。なにせ各部屋のあちこちに本が置いてあるため、それをどかさないと火災報知器のある下まで辿り着けない場所がある。ついでに大掃除をしているとあっという間に時間が経ち、インターホンが鳴った。


 検査が無事終了したため、昼過ぎから出かける。横浜の伊勢佐木モールあたりに新しい古本屋ができたらしいので、馬車道方面に出て、関内のディスクユニオンでジャズのレコードを見たり、有隣堂本店で欲しい新刊を買ったりもしようと思って駅に行ったら、ちょうどいい直通電車がない。逆方向の列車が発車間際だったこともあり、あっさりと予定変更して神保町に向かう。


 カバンに入れていた本が、吉田篤弘「神様のいる街」(夏葉社)だったこともあり、結局この選択がちょうどよかった。「神様のいる街」は“神”のつく「神戸」と「神保町」という二つの街を回想する本なのだから。


神様のいる街[本/雑誌] / 吉田篤弘/著


 神保町に着いた時にはもう2時を過ぎていた。昼食がまだなので、東京堂三省堂で欲しかった本をサッと買ってからうどんの“丸香”へ行くことにする。


 まず東京堂書店で。


昼夜日記


 『本の雑誌』連載の「読書日記」と『小説現代』連載の「酒中日記」を抱き合わせで1冊にしたもの。上下2段組で、上が「読書日記」、下が「酒中日記」という構成。「酒中日記」の部分だけページに色をつけるという工夫が見られる。



 三省堂で。

  • 新井見枝香「本屋の新井」(講談社


本屋の新井 [ 新井 見枝香 ]


 三省堂本店勤務の新井さんの本だから、やはり三省堂本店で買いたいと東京堂ではスルーしてこちらで購入。



 本を買ったので丸香へ。さすがに2時半過ぎなので行列はなくすぐに入れる。前回来た時に耳に入ってきた謎の「カルピス」のつくメニューを食べてみたい。それが“釜玉カルピスバター”である。釜玉うどんにカルピス製のバターが入っているという品。秋らしい涼やかさがある日なので暖かい釜玉が嬉しい。卵とバターが絡まり、誰かが言っていたようにカルボナーラのような味わい。カルピスバターがコクと旨味を演出している感じ。美味しゅうございました。


 メロンパン屋の上にあるディスクユニオンに入る。ジャズレコードを漁るが欲しいものがなく手ぶらで店を出る。



 神田伯剌西爾でフレンドとかぼちゃタルト。近くのテーブルに就活スーツの男女が座っており、その女性のマシンガントークが炸裂している。性格のよろしくない知り合い女性の行状についての批判なのだが、淀みなく溢れ出てくる言葉の奔流にただただ圧倒される。考えるよりも先に言葉の方から出てきているとしか思われない。その話をずうっと無言で聞き続けている柳のような男性にも畏敬の念を覚える。自分にはとても無理だと思う。



 行きで「神様のいる街」を読み終えたので、帰りは「本屋の新井」を読みながら。『新文化』に連載したコラムを単行本化したもの。ひとつひとつが短いのでサクサクと楽しく読める。この人の文章の面白さと楽しさは前著で確認済み。もちろん、楽しいだけではない。書店における“図書カード”がどのような存在かを知り、驚く。貰い物の図書カードを使うのは仕方ないとして、職場のイベントの景品などとして大量に書店に発注し、プレゼント包装をしてもらうなどという行為は二度とするまいと思う。