おしまい

終わった。


初めて(確か1つ上の)先輩の漕ぎを見たとき、一年間合宿してしっかりしたコーチに見てもらってこの程度にしかなれないのかと驚いたけれど、やっぱり最後までこのチームで納得のいく漕ぎを見ることは一度もなかった。
誰もかれも本当に一生懸命やってたのに。ちぐはぐだったんだろうな。


嶋の乗った付きフォアがゴールした時、俺の10年の現役生活に終止符が打たれて、4年前のことがよぎった。高校最後のレースの後、太一さんに「お疲れ様」と声を掛けられたあの時にどうして涙が止まらなくなったのかが分かった気がした。
大好きなボートがもう続けられないことがつらかった。多分それは自分にとってかけがえのない人間が死んだのと同じことで、その死が受け入れられなかったんだと。