インドとのビジネス距離

数カ月前、シリコンバレーではインドに関係する大きな催し物が二つあった。 
一つは Indian Institute of Science (IISc)が来年設立100周年を迎えるそうで、その前年祭というもの。もう一つは、噂ではMITより入学が難しいと言われているIndian Institute of Technolory (IIT)の卒業生の大規模な集会であった。


IIScは、まだ英国統治下にあった時代、TATA財閥の創始者がその反対を押し切ってインドの科学振興のために設立した大学兼研究機関だそうだ。
インドではトヨタの中古車にしか乗れないのに、米国に来れば少なくともIITの卒業生であれば新車のBMWに乗れると言うことで、優秀なインド人が沢山来ている。独立直後設立されたIITは半世紀の間10万人の卒業生を出したが、そのうち25%が米国に来て働いているそうだ。IITの集会ではMs. Clintonが衛星経由で祝辞を述べた後に、GEのCEOのImmelt氏が講演したが、GEにはIIT卒業者が1,500人働いており、幹部600人の内35人がIIT卒業生だそうである。噂ではGEは最近インドの医療関係機関に$数十Bの投資を行ったそうである。


さて話題は少し変わるが、先週インド人でバイオの専門家であるRajと言う友人から興奮した口振りの電話がオフィスにかかってきた。 彼によると、9月18日に開かれた最近退任したばかりのインドの前大統領 Abudul Kamal 氏の講演会があり、講演後彼と親しく話が出来たということだ。
Kamal氏は、インドのロケット研究のパイオニアで、インドの人工衛星を初めて打ち上げに成功した人だそうだ。Rajが強調していたのは、Kamal氏は科学の分野に造詣が深く、NanoやBioに関する質問にも的確に答えていたことだ。彼のメッセージは,彼のロケット開発の経験を踏まえて、“Take risks,Don`t be afraid. Succeed. Share the benefits. Make the nation great.”だったそうだ。 また彼は詩人でもあり次のような素晴らしい自作の詩(SF Chronicle紙からの抜粋)を披露したそうだ。


Tuesday night in Milpitas, former Indian President A.P.J. Abdul Kalam led an audience of 900 in a recitation of his vision for the future:


Where there is righteousness in the heart, there is beauty in the character;
Where there is beauty in the character, there is harmony in the whole;
Where there is harmony in the whole, there is justice in the nation;
Where there is justice in the nation, there is peace in the world.


Rajによれば、彼はムスリムなのにパキスタン人には不評だそうだ。なぜなら彼はパキスタンではなくインドのためにロケットを打ち上げたからだそうだ。 ともかくRajは彼の学識の広さと、人柄にすっかり魅了されたらしく、珍しく興奮していた。


この様にインドと米国のビジネス距離はとても近いようです。日本はどうなのでしょうか?


Rajが送ってくれた写真を2枚添付します。1枚目はKamal氏、
2枚目はKamal氏の隣にいるRajです。

蛇足ながらRajは71歳のUCSFの名誉教授、インドの1社、シリコンバレーの数社のベンチャー企業にかかわっており、米国・インド間を元気に飛び回っています。