仕事師集団の議会
午後は議決はなく、市民公聴会のようなスタイルでした。
問題になっていたのは、都市計画の線引きの話。
どっからどこまでを都市再開発の枠に入れるか、みたいな話でした。
境界線上の住民にとっては死活問題だもんね。
税金も変わってくるし、テナント料にも影響したり。
そういう個人の利害と、全体の都市計画のせめぎあいって感じでした。
そういう情報もすべてオープンにして議論するのね。
午前と同じく、議員の先生が結構事務的なレベルの話まで、議場で詰めてたのが印象的でした。
とりあえず話を聞こうっていうポーズじゃなくて、ホントに今この場で話を先に進めようっていう気持ちが双方にあるから、着地点も見えてくるってかんじ。
でも、よく考えたら、日本の議会と比較するからアメリカの議会がすごく先進的に見えるけど、民間の企業の会議を考えたら、これが普通かもしれない。
全社会議で出された宿題を、部署に持ち帰って話し合って、それで次の週の全体会議に持ち寄ってっていうスタイルは、普通の会社が普通にやってることだもの。
議会のスケジュールっていうのも配布されてて、それ見ると、毎週本会議があって、6月までびっしり議題も決まってるの。
でも、それも当たり前なんじゃないかなって。
ここでは、議員の先生方ってみんな仕事師なんだなあ、って思った。
モントゴメリー州議会では、9人の議員がいますが、委員会は6つ。ひとりが二つの委員会に所属するシステムのようです。
モントゴメリー州の人口は約100万人だそうですから、議員一人あたりの住民は約10万人。
年収が約1,000万円くらいだから決して少なくはないけれど、ほぼフルタイムで働いていることを考えると妥当な数字かも。
とにかく議員の先生方、とてもよく勉強してらっしゃいます。
数字だけでごりごりに議論を進めるわけではなく、かといって情に訴えるだけでもなくて、ほんとにバランスのとれた議論をなさっていると思いました。
質問している議員は、委員会で話し合ったことを積極的に出して、議論を進めています。
公聴会では、市民だけでなく、カウンティの幹部職員とか、アドバイザーみたいな人も発言してたけど、中には、委員会の報告とは違うことを言い出す人もいたらしく、そういう人には、
「あなた、金曜日の委員会で言ってたことと違うじゃない?どこで情報が変わったのかしら?」
なんて、指摘している議員もいた。
「金曜日の5時以降に判明しまして」
なんていい訳してたけど、議会っていうより、普通に会議を傍聴してる感じだったわ。
今気づいたけど、会議っていうと実務的な感じがするけど、議会っていうと形骸化されたお話し合いっていう感じがしない?
話がそれた。
議会と名のつくところで、なあなあのお話し合いじゃなくて、ほんとに議論が建設的に行われていくところを見たんで、ちょっと感激しちゃいました。
日本の地方議会、まだまだアメリカに学ぶところが多いわ。