The Police大阪公演記:その2

まだ興奮冷めやらぬ状態(しかも東京公演は今日からですし)ですが、大阪公演の振り返りを。

Message In A Bottle
「孤独のメッセージ」(「白いレガッタ」収録)
5thシングル(以後、特記がない場合はイギリスでのシングル発売順)英1位/米74位
イギリスでの初のNo.1シングル

オープニングは代表曲でもあり、リフが印象的なこの曲でした。盛り上がらないはずはない。ほとんどオリジナルと同じ演奏。スティングの声も良く出てました。体調不良説もあっただけにまずはほっと一安心。

Reggatta De Blanc (Dig)

Reggatta De Blanc (Dig)

Synchronicity II
シンクロニシティ?」(「シンクロニシティ」収録)
14thシングル 英17位/米16位

「孤独のメッセージ」に続いてこの曲は参った。もう観客も私も熱狂状態。当時のシングルヒットとしては今ひとつの結果でしたが、ファンの間では愛される曲なのでしょう。私もこの曲は大好き。途中のブリッジの部分でリズムが転調し、スティングも続けてサビの一部まで音程を下げて歌ってました。

シンクロニシティー

シンクロニシティー

Walking On The Moon
「ウォーキング・オン・ザ・ムーン」(「白いレガッタ」収録)
6thシングル 英1位

ドーム独特の音の悪さもあって、最初は何の曲かわからなかったのですが、アンディのギターカッティングが入ってやっとわかりました。この日のライヴは全般的にベースの音があまり聴こえなかった感じがしました。ミディアムテンポのこの曲で少し会場もクールダウン。スティングは割に忠実に音程を維持して歌っていました。

Voices Inside My Head / When The World Is Running Down, You Make The Best of What's Still Around
「果てなき妄想」「君がなすべきこと」(「ゼニヤッタ・モンダッタ」収録)

ゼニヤッタ〜」からのノン・シングルを2曲メドレーで演奏。「果てなき妄想」は歌詞が3行くらいしかないですし、「君がなすべきこと」も合わせて低い音程で歌っていました。ここまでかなりキツイ音程の曲が続いたので、スティングも一休みというところでしょうか。それにしてもスティングは「君がなすべきこと」が好きなんですね。ソロでもやってましたし。

Don't Stand So Close To Me
「高校教師」(「ゼニヤッタ・モンダッタ」収録)
7thシングル 全英1位/全米10位
初の米トップ10ヒット

さて、私が今回一番危惧していたのがこの曲。アルバム「シンクロニシティ」の後、解散状態だった彼らが86年に再始動しますが、新作はあえなく頓挫、唯一録音したのがなんとこの曲のリメイク。これがベスト盤に収録されて彼らは解散しました。で、この86年版がどうにもひどい出来(スティングがアレンジをこねくり回したらしい)で、もしライヴがこのヴァージョンだったらイヤだなぁとこの曲が大好きな私としては思っておりましたが、おかげさまで杞憂に終わり、ほとんどオリジナルに近い形で演奏されました。ただしスティングはほとんど音程を下げて歌っていたので、もともと一本調子なメロディの曲だけにイマイチ盛り上がりに欠けたのも事実。なんだかんだいってもスティングも50代ですから、無理できないでしょうし、高音で歌った部分はしっかり出てましたし、これは高望みといったところでしょうか。

Driven To Tears
「世界は悲しすぎる」(「ゼニヤッタ・モンダッタ」収録)

ゼニヤッタ〜」からの曲が続きます。この曲もスティングはソロでよくやってるので、お気に入りなのでしょう。というか、この曲は元が彼らにしては低い音程で作られた曲なので、歌いやすいのかも。アンディのビターなギターがかっこいい。

Zenyatta Mondatta (Dig)

Zenyatta Mondatta (Dig)

Hole In My Life
「ホール・イン・マイ・ライフ」(「アウトランドス・ダムール」収録)

この曲のイントロを聞いて「おっ!」と思いました。なぜならこれはアメリカ公演ではやってなかったはずだから。想定外の驚きでした。アレンジもエンディングをやめては繰り返す懐かしのパターン(笑)。シングル以外では1st屈指の名曲なので、うれしかったですね。

Every Little Thing She Does Is Magic
「マジック」(「ゴースト・イン・ザ・マシーン」収録)
10thシングル 英1位/米3位

この曲の演奏が始まると一気に盛り上がる! 「高校教師」を除けば非シングルが続いたこともあったせいでしょう。さて、個人的にはこの「ゴースト・イン・ザ・マシーン」収録曲をライヴでどう演奏するかも今回の楽しみの一つでした。このアルバムはシンセやブラスなど多重録音を駆使した作品なので、今回3人だけでどんなふうにやるのだろう?と。結果はほとんど違和感なく楽しめました。アンディのギターがシンセラインも含めてカバーした感じ(というより元々この曲はあまりギターが聴こえない)。どんなアレンジをしようと原曲が良いからでしょうね。

Ghost in the Machine (Dig)

Ghost in the Machine (Dig)

Wrapped Around Your Finger
「アラウンド・ユア・フィンガー」(「シンクロニシティ」収録)
13thシングル 英7位/米8位

おまたせ、スチュワート大活躍。もちろん他の曲でも現役バリバリなドラミングを聞かせてくれてますが、パーカッションでこの曲の独特のダークな雰囲気を出してました。この曲がポリスの中でも一番好きな私としては、感激しきり。スティングも丁寧に歌ってくれて大満足。アンディのギターエコー(?)は再現されず、カッティングのみ。全体的なアレンジの印象はオリジナルとずいぶん違うものの、曲のイメージはそのまま。不思議な曲です。

De Do Do Do, De Da Da Da
「ドゥドゥドゥ・デ・ダダダ」(「ゼニヤッタ・モンダッタ」収録)
8thシングル 英5位/米10位

以前からこの曲がイギリスではともかくアメリカでも売れたのかまったく理解できませんでした。歌詞はナンセンスだし、曲調も能天気だし、彼らにしてはヒネリのないところがあまり好きになれない曲。今回会場では有名曲ゆえに盛り上がりましたが、私は軽くスルーするつもりでした。ところがライヴではいいんですね、この曲の雰囲気。ちょっと好きになりました。ただ観客とのサビのコール&レスポンスは恥ずかしくてしませんでした(笑)。まああの恐怖の日本語ヴァージョンでなくて良かった。

Invisible Sun
「インヴィジブル・サン」(「ゴースト・イン・ザ・マシーン」収録)
9thシングル 英2位(アメリカはシングルカットなし)

ポリスのシングルヒットの中でも比較的地味な扱いを受けている曲。というのもアメリカじゃシングルになってませんし、歌詞がアイルランド紛争(だったっけ?)をテーマにした政治的内容の濃いものであったせいでしょう。私は好きですが。ライヴでは大幅にアレンジが変えられ(元がシンセ主体のため)、イントロ後しばらくは曲がわかりませんでした。ステージのスクリーンに世界各国の子供たちのモノクロ映像が流れ、シリアスな感じの曲であることをより一層伝える演出がされていました。

Can't Stand Losing You (incl.Regatta de blanc)
「キャント・スタンド・ルージング・ユー」(途中「白いレガッタ」を含む)(「アウトランドス・ダムール」「白いレガッタ」収録)
3rdシングル 英42位(後に再発されて英2位を記録)

「え、もうこの曲?」と思ったのは、アメリカ公演の曲順を知っていたため。「あれ?『マテリアル・ワールド』は? パンフにも書いてた『トゥルース・ヒッツ・エヴリバディ』は?」と疑問符だらけでしたが、なにしろレゲエからロックに転調する当時の典型的パターンの名曲。音数が少なくてももともと成立する曲なので、この曲は映えました。スティングも声を張り上げて若き頃の曲を熱唱。途中で強烈なアンディのギターソロが入りつつ、「白いレガッタ」が登場。「♪ディオ〜ディオ〜」のおなじみ掛け声で盛り上がりました。

Roxanne
ロクサーヌ」(「アウトランドス・ダムール」収録)
2ndシングル 英12位(再発後)/米32位

今回チャート記録を紐解きながらこの記事を書いてますが、この曲イギリスでトップ10に入っていないんだと知って驚きました。要はこの曲は先にアメリカでトップ40に入り、それがイギリスに飛び火した形でブレイクしたということなんですね。もうこの曲のイントロが流れただけで会場は大興奮。この日は会場もよくコーラスで参加していて、この曲でもよく聞こえました。逆にアンディのコーラスが聞えないくらい。アレンジはオリジナルのまんま。「キャント・スタンド・ルージング・ユー」やこの後の「ソー・ロンリー」もそうなんですが、もう逆にこれ以外のアレンジが思いつかないほど元々贅肉をそぎ切った曲だからでしょう。

King Of Pain
「キング・オブ・ペイン」(「シンクロニシティ」収録)
15thシングル 英17位/米3位

ロクサーヌ」が終わって、メンバーはフェイドアウト。もちろんこのままで終わるわけがない。ステージは「ゴースト・イン・ザ・マシーン」のジャケでもおなじみのデジタル表示のメンバーがスクリーンに映し出され、会場をじらします。3人がステージに戻ると、スチュワートがドラムキットから離れてパーカッションの方へ。そしておなじみのあのイントロが…。オリジナルではピアノのパートをスチュワートが担当。そして「アラウンド・ユア・フィンガー」と同じく途中からドラムスへ移動。この曲も私は大好きなんで、楽しみにしてましたし、会場もイントロで既に盛り上がってました。スティングはサビの部分もイントロ部と同じ音程で歌い切ったのでそこは残念。ただし最後の「I'll always be...king of pain!」はオリジナルと同じように歌っていました。

So Lonely
「ソー・ロンリー」(「アウトランドス・ダムール」収録)
4thシングル 英6位(再発時)

間髪入れず2曲目のアンコール曲は「ソー・ロンリー」。この曲はすでにふれたように、アレンジ的に変えようがない曲。ポリスの中ではそれほど好きでもない曲なんですが、アップテンポで覚えやすいリフレインがあるから、やはりライヴではイヤでも盛り上がりますわね。

Every Breath You Take
「見つめていたい」(「シンクロニシティ」収録)
12thシングル 英1位/米1位
米で7週連続1位

あーそしてこの曲へ。イントロで泣いてしまった方も多かったようで。私ももちろん「ポリスとして」この曲が生で聴けるとは今回の再結成まで夢にも思わなかったので感激しましたが、つくづくこの曲はある意味でポリスっぽくないなとも思いました。当時から「『シンクロニシティ』B面はスティングのソロ」という批判もありましたが、「キング・オブ・ペイン」や「アラウンド・ユア・フィンガー」のような緊張感と複雑なアンサンブルのある曲はともかく、この曲や「サハラ砂漠でお茶を」あたりはポリスで演奏する必然性をあまり感じない曲です(あくまで主観)。つまりヒネリが少ないといいますか。もちろんアンディ作のあのリフやスチュワートのタイトなドラミングあってのこの曲であり、それがヒットにつながった要因であることは認めた上ですが。もう1点、前からこの曲のライヴ・ヴァージョン(83〜84年当時の演奏)を聴いていて、ライヴではイマイチだなと思っていたことがあります。それは今回のライヴでも同じでしたが、スティングのベースがレコードでは「ドドドドド」と連続音なのに対し、ライヴでは「ドッ・ド・ド」と間引いて弾いていることです。このリズムのせいで、元がメロウな曲ゆえにややダレて聞こえるのです。しかし今回後半はちゃんとレコード通りスティングも弾いていました。そこからはやはり演奏が締まって聞こえました。

Next To You
ネクスト・トゥ・ユー」(「アウトランドス・ダムール」収録)

「終わったなぁ」と思いつつも、「あれ?アンコールは2回あったはずだ」と思ってステージを見ると、なぜかアンディだけが帰らない(笑)。アンディは観客に向かって「あいつら帰っちゃったよ」とでもいうようなジェスチャーを見せ、「このまま終わっちゃダメだよな」とでもいった感じでギターを弾き始めました。するとすぐに二人も登場し、「ネクスト・トゥ・ユー」へ。「あ、そうかこの曲があったっけ」と私も思い出して最後の姿を焼きつけておこうと凝視しました。この曲は1stアルバムの最初の曲。この曲をラストに演奏するあたりに今回の再結成の意図が見えるような気がしたのは考え過ぎでしょうね。

Outlandos D'Amour (Dig)

Outlandos D'Amour (Dig)

ネクスト・トゥ・ユー」が終わると、3人がステージ前に並び、手をつないで挨拶。これには正直感激。あのケンカばかりしていた3人が手を取り合うことがあうとは…。03年頃に3人でインタビューを受けている記事があって、3人が罵倒合戦をやっているのを読んで「うひゃあ」と思ったものですが。
さぁ、果たしてニュー・アルバムは作るのか? まだまだ目が離せないようです。

※追記:他公演での演奏曲詳細はこちらを⇒http://d.hatena.ne.jp/vivelerock/20080214/1202999456

東京はというと…。

はてなダイヤリーで東京公演を見た人の日記を読んでみたところ、案の定「ウォーキング・イン・ユア・フットステップス」を演奏していて、大阪より1曲多い。やはり大阪は少し手抜きしたのかと(そうは思いたくないのですが)。
ところがレビューは意外と辛口なものがあって、実際のところはどうだったのかまたかえって気になったりして。まああの東京ドームなんで、大阪より音が悪かったのかも。