永久構造物に対するICタグの利用

鋼構造協会/鉄骨履歴をICタグで管理/移設効率化へ実証実験、利用モデル検討

  1. ICタグを利用して鉄骨構造物の移設を効率化する取り組みが本格的に動きだす。
  2. 日本鋼構造協会(JSSC)は、大手ゼネコンや国土交通、経済産業などの関係省庁とともに、ICタグを使った鉄骨構造物の移設実験を実施する。
  3. 解体前の位置など鉄骨の履歴情報をデータベースに集約しておくことで、再び建設する際の設計・施工作業を効率的に行えるか検証するのが狙いだ。
  4. ICタグを使うことで設計・施工作業でどういったメリットが得られるかも見極める。
  5. 循環型社会の構築に向け、資材を再使用する動きが加速していることから、実験の成果次第では、移設の効率化を目的としたICタグの利用が、土木構造物や建築物の分野で一段と進みそうだ。
  6. JSSCは、耐震性能の確認などのために建設した鉄骨構造物の移設をICタグで効率的に行いたい考え。
  7. 既に建築研究所や大手ゼネコンの技術研究所などを交えてICタグの利用方法を検討している。
  8. 鉄骨の寸法や、解体前の建物のどの位置に鉄骨を利用していたかといった履歴情報のほか、施工手順などを電子データで管理できれば、解体して再び建築する際の設計・建設作業の効率化が期待できることから、実際の作業を想定し、ICタグの利用モデルを詰めている。
  9. 具体的には、登録してある情報と実際の鉄骨を照合することで寸法チェックや品質管理などの作業を省力化したり、清掃や運送時の順序管理などを効率的に行ったりできる仕組みを検討している。
  10. 移設によって建物の管理主体が変わる際に情報をどう引き継ぐか、解体作業の内容をどの程度保存・伝達するか、いわゆる永久構造物に対するICタグの利用といった課題も整理する。
  11. JSSCは、建築面積約360平方メートル、高さ15メートル超の規模で、鉄骨を約100トン使う構造物の移設にICタグを利用する計画。
  12. ICタグの利用モデルの検討を進めながら、3月には鋼材を発注し、今夏に予定している鋼材の加工段階でICタグを鋼材に取り付ける。
  13. 建物は11月ころに完成させ、09年1月ころまで耐震実験などを行い、同年3月に解体する。
  14. 移設場所は、現在選定中だ。