確認というのは、責任を負わないための概念ですね

第1回「問題点の整理と分析」2006年6月23日

  1. 吉岡和弘(弁護士) 「形式的審査権」というキーワードがあります。確認申請図書の書類だけで、その設計がおかしいということが分かっているにも関わらず、それを見逃した場合には行政に責任があるが、書類そのものに不備がなければ実際に建てられた建物に問題があったとしても、それは実質的な審査権、たとえば現場へ行ってチェックをする必要はないという裁判所の考え方があります。形式的審査権という議論を前提にしたとしても、今回の姉歯さんの場合はあきらかに矛盾した書類が出ているわけですから、それをちょっと注意して書類チェックをすれば見抜けたか、見抜けたとすれば過失になるだろうということになって、民間の検査機関に落ち度があり、損害賠償金が発生する。そして、それを監督している行政にも責任があるという構成です。
  2. 河野  なぜ許可ではなく、確認だという議論がありますよね。本来、官なり、チェック側が責任を持つのであれば、許可ではないかという話ですが。
    1. 吉岡和弘(弁護士) 確認というのは、責任を負わないための概念ですね。
    2. 本郷  許可にしてしまったら、資格制度はいらなくなるのではないですか。誰が設計しても、許可さえもらえればいいわけですから。建築士法はいらないっていう話になってくるから、確認なのではないですか?