「確認検査機関には過失は無い」との判決

建築確認審査のあり方を決める国の責任はどうだろうか。


(加筆 22:22 2008/10/29)
建築確認審査において法に不適合であっても「やむを得ない」という制度は6.20以降も変わらない。建築士の区分に応じて特例が適用される。認定制度で図書省略・審査省略も続けられる。建材認定でも簡単に取り消しもされる。認定をした責任は無い。人を認定する事が資格制度だが、その認定者が作成する申請書や認定した工法や建材にもし虚偽があれば行政としては法に不適合であっても「やむを得ない」という事だろう。
建築確認制度は行政が責任を持てる部分だけに限ったらどうだろうか。現行では全ての部分に責任は持てないのだろう。審査はするが責任は持てないという状態はどうなんだろうか。

耐震偽装で損害賠償を命令

  1. 29日の判決で、奈良地方裁判所の坂倉充信裁判長は、ホテルの開業を持ちかけた東京の経営コンサルタント会社「総合経営研究所」と建築確認を行った東京の確認検査機関「イーホームズ」については「偽装にはかかわっておらず見抜けなかったとしてもやむを得ない」などとして賠償責任はないという判断を示しました。
  2. その一方で、ホテルを建てた、熊本県八代市にあった木村建設については、強度が不足するホテルを引き渡した責任を認めたうえで、木村建設と連帯保証を結んでいた熊本市の建築会社に対して、4億7500万円余りを支払うよう命じました。

施工会社側に賠償命令 耐震偽装建築のホテルで奈良地裁

  1. サンホテル奈良(奈良市)のオーナー会社が施工業者・木村建設(熊本県八代市、破産)の債務保証先である日動工務店(熊本市)などに損害賠償を求めた訴訟の判決が29日、奈良地裁であった。
  2. 坂倉充信裁判長は「建築基準法の技術水準を満たすのが当然の契約内容」として、日動工務店にほぼ請求額通り約4億7500万円の支払いを命じた。
  3. 木村建設を紹介した総合経営研究所(東京)や建築確認をしたイーホームズ(同、廃業)も訴えられたが、判決は「違法性の認識や偽装の指示はなく、偽装を見抜けなかったとしても過失とはいえない」などとして賠償責任はないと判断した。
  4. 日動工務店は「偽装は知らなかった」と主張したが、判決は偽装認識の有無については判断せず、「耐震基準を満たしていない以上、施工上の瑕疵(かし)があり、賠償責任を負う」

建設会社に4億賠償命令 耐震偽装ホテルで奈良地裁

  1. 開業指導した「総合経営研究所」(総研、東京)や、確認検査機関イーホームズ=廃業=への賠償請求は棄却した。
  2. 判決理由で坂倉充信裁判長は「ホテルは耐震基準を満たしておらず構造上主要な部分に欠陥があった」と認定。
  3. 木村建設には「瑕疵担保責任」があり、偽装を知らなくても欠陥による損害賠償に応じるべきだとした上で、保証人の日動工務店に支払いを命じた。
  4. ホテル側は「総研はコスト抑制のため鉄筋量を減らすよう指示した」と主張したが、判決は「総研や内河健所長が偽装を指示した事実は認められない」と退けた。
  5. 偽装を見抜けなかったイーホームズにも過失はないとした。