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2008-10-03

『ドットおち』開発者 kuniさん (id:k_u) インタビュー 14:14  『ドットおち』開発者 kuniさん (id:k_u) インタビューを含むブックマーク

SQUARE ENIX主催、第一回 GAME BRAINゲームコンテスト最優秀作品『ドットおち』の開発者、kuniさん (id:k_u) にインタビューさせて頂きました。お忙しい中、ありがとうございました:)

パネキット

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kuniさんの代表作「パネキット」はPS3のダウンロードコンテンツとして絶賛発売中です :D

http://www.din.or.jp/~ku_/work.htm (kuniさん著作リスト

それでは早速、インタビューへどうぞ。

ゲームコンペへの参加について

--- GAME BRAINに参加したきっかけは?

はてなアンテナ経由で、DS版GAME BRAINが企画されていたというインタビューを知って、興味を持っていた。

子供が学校でも使えるような、スタンドアローンの開発環境が出来てくれるといいな、と応援したくなる。昔はポケコンみたいなものがあった。コンテストなどに応募や投稿をする前に、気軽に友達に見せられるような環境があってくれると良いなと。携帯アプリでも出来なくはないけど、その場で仕組みを見せたりはできないので、単体で出て欲しいなと。

--- ドットおちの開発期間は?

GAME BRAINに慣れる時間も含めて、実質二日ぐらい。

--- 自分で遊ぶと、何点ぐらい稼げますか?

ハイスコアは、調子が良くて5000〜6000点程度。

--- 作った後の手応えは?

目標としていた新奇性を「ありそうでない」くらいに出すことができて、それがプレイヤーにも伝わったようで満足している。

著作権譲渡が前提だったが、譲渡自体よりも、その後でどう活用されるかが気になっていた。幸いにもYahoo!ゲームという人目に付く場所に置かれ、フリーゲームとしての役割は果たせたと思う。どれくらいの人数に遊んでもらえたのかとか、反応が全く返ってこないのは不満だけど。

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ゲーム作りの取っ掛かり

まずはGAME BRAIN環境の速度を調べて、計算やキャラ表示が少なめのものが良いかなと。

次に「ジャンプアクション」というテーマを決めた。オーソドクスなジャンルだけど、実は殆ど作ってなかったので。テーマは持ち回りみたいなものなので、深い意味はない。もしダメなら他のテーマで、って感じ。今回は一つ目で上手くまとまった。

ゲームにおける引き算・足し算

よく言われてる「引き算をして作る」というのは、ゲームの場合には、単なる先祖帰りになることが多い。かといって何も無い状態から「足して作る」というのは、ぴったりハマる時はいいけど、量産も難しく、上手くいかない事が多い。組み合わせてもイマイチだった、という事は多々ある。

そこで、よく使っている手段は、「これはつまらない」って所まで一旦減らして、そこから足していくというもの。

--- 減らすというのは、どのぐらいの状態からですか?

地面と敵とプレイヤーが出てくる、ごく普通の2Dジャンプアクションゲームから。

--- 今回は、一旦どこまで削りましたか?

「敵のいないジャンプアクション」というところまで。そこまで行くと、よほどステージを練りこまない限り、つまらないことが明確になる。

そこで敵の持っている性質は何かと考える。「当たると死ぬ」というのもあるけど、敵というのは、一匹二匹と、違う動きのものが混じって迫ってくるのが大きい。そうすると、ジャンプしてこうすり抜ける、みたいな「先の動きを予測しながらのプレイ」というのが面白くなってくる。一匹の動きを予測するのは単純でも、それが何個も畳み掛かることでゲームになっていく。

それなら敵の代わりになる何かが無いかと想像すると、プレイヤーの「経路探査」があるなと思った。頭を使って、どこに向かうのが効果的かを考える楽しみ。とは言え、『巡回セールスマン問題』みたいなのをやらせても楽しくない。「一つの『重い』要素で遊べ」というのは「ゲーム」でなくて「作業」になってしまう可能性が大きく、面が固定されていて、「どういう順で登ったら頂上までたどり着けるか?」という仕様にしたら、よほど上手いステージが作れないと難しいだろうと。

ちなみに、経路探査というのは、「GoogleMapsを使ったゲームって何だろう?」って考えていた時に、「ビルの屋上をジャンプして、一番高いビルにたどり着くようなものは作れないかな?」と考えていたのが発端。

--- 削らないで足しちゃ駄目なんですか?

駄目というわけではないが、調整が難しくなる。

たとえばシューティングに「新しい武器」を追加したとしても、普通に「弾」が撃てたら、それだけでゲームが成り立ってしまう。

もともと上手い人も多い、弾という「古い要素」と、そのゲーム内で上達を促す「新しい要素」が共存すると、どの場面でどちらを活用させるのか、十分に注意して誘導を行わないと、開発者とプレイヤーの間に意識のズレが生まれる。

もちろん、遊び方が広がりを持つのは良いことだが、自分のプレイが本筋なのか横道なのかくらいは判断できないと厳しい。

画期的だったテトリス

テトリスのような落ちものパズルの方法を引用した。落ちゲーが画期的だったのは、それまでのゲームのような「面クリア型」「スクロール型」という方法とは違う、「部分的に消えて詰まることにより、プレイヤー主導で局面を変化できる」というところにあった。「詰まっていく」ことによって、後の展開を予測していく楽しみが出てくる。この方法は応用が効きやすいと思う。

落ちゲーを引用と言っても、「上から何かが落ちてくる」ことをセットで使わなくても構わない。

完成までの調整

--- 一通りゲームになった後はどうしていますか?

更に組み替えることも可能だけど、でも一旦は完成ということにして、プレイヤーの意見を聞くのが良い段階。

たとえば消してしまった敵を、途中から登場させても構わない。敵という「それだけでゲームが成り立ってしまう」要素があると安心してしまうが、ゲームの方向性が決まって、プレイヤーがゲームの流れをつかんでからなら、あまり混乱せずに使える。

また、「付けて、外して」というのを更に繰り返すのも有りなんだけど、それを繰り返しすぎると、良くも悪くも最初のテーマから離れてしまうので注意が必要。特に「目的」や「操作系」に手を出すのは、かなり難しいので覚悟の上で。

誰に向かってゲームを作る?

--- どんなプレイヤーを想定してゲームを作るようにしていますか?

良い結果よりも楽な過程を選んでしまう、ぬるいプレイヤー。

そういうプレイヤーを想定すると、スコアやタイムといった数値の価値が低くなってしまうので、「見ているだけ」「触っているだけ」で楽しい状態を作るのが、より重要になってくる。

ドットおちでは「くっついた状態で消すと高得点」なわけだけど、それは得点と消える面積を連動させて、少しでも画面を派手にしようと努力した結果。

また、「何となくブロックに乗せたくなる」「何となく落ちるとイヤそう」といった基本的な感覚は元のジャンプアクションから継承しているため、「組み替えてはいけないルール」として注意した。

「ノルマや駆け引きの面」と「触っていて面白い」というのが両立するのが理想。

リスク・リターンだけに目がいって、感覚的な面を無視すると痛い目に会う。最低限、自分で触っていて楽しい、ぐらいの操作感になるまでは作りこむようにしている。

細かいルール・仕様について

--- ジャンプの高さが絶妙だと思います。

画面の上下幅から大雑把なジャンプ力を決定したのだが、ジャンプの最高点でブロックにギリギリ届くように調整した。そのため、ブロックが登場する上下位置は8ドット単位と粗くなっている。

--- 空中で、比較的大きく左右に移動できるの理由は?

ドットおちでは、常に経路を考える必要があるので、ギリギリ頭が混乱するぐらいの状態になるように (方向修正できるように)、空中であれだけぶれられるようにした。途中バージョンまでは、慣性が全く着かなかったんだけど、それだと簡単すぎたので修正した。

--- 難易度を上げるために「長いブロック」を出すというのが秀逸だと思いました。繋がりやすく高得点を目指せるリターンと、死にやすくなるというリスクですよね。

狙いはその通り。例えば、上下の振れ幅を大きくする事で難しくしていくと、絶対にクリアできないパターンに直結しやすい。先ほど触れたように、「ビルの屋上をジャンプしていく」というアイディアがあったので、元々のアイディアに先祖帰りをさせただけ。

--- ユーザーはどう楽しんでいくと想定していましたか?

最初は低い方、低い方に飛んでいく。でもって、上に登るのが無くなってゲームオーバー。あ、登っていかないといけないんだなと分かっていく。そしてまとめて消す事を覚える。

この先のゲーム業界

--- 子供たちが、簡単にゲームを作るべきだと思う理由は?

若い世代が作ったゲームを遊んでみたい、という気持ちがある。正直、ゲームに飽きかけてきているので、それでも遊びたくなるような変わったゲームが出てくれればと。

「変わったものに意味があるの?」と言われれば、「さぁ」と答えるしかない(笑)。何にでも多様性は必要な気がするが、どちらかと言えば、一人のプレイヤーとしてのエゴに近いかもしれない。

また、業界的な話になると、若いうちにゲーム作りの面白さに気付いてもらって、少しでも開発者層を広げることは重要と思う。

仕事としてゲーム業界を選んでもらえるような、良い環境を作るほうが効果的かもしれないけど、それはまた別の話として。

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参考プレイ

D

17020点。これはすごいw この人には、私の見えない世界が見えている……。遊ぶ前には見ない方がいいと思います :D

トロ・ステーション第268回

D

kuniさん登場!

id:k_u 『読みかえしてみて、ちょっとだけ補足を。「触っていて面白い」「感覚的な面」インタラクションと言ったほうが、解りやすい人も多かったかも。「引き算で作っても先祖帰り」 > 特徴的な要素が追加されたゲームから、元々あったオーソドクスな部分を引けば先祖帰りにはならない。が、それはパクりと紙一重。』