都知事選の論評を始めるに当たって

 まず確認しておきたいのは、本ブログは選挙運動それ自体を行なおうとしているわけではないということである。選挙に関する論評(都政のこれまでのあり方の検証、主要候補の主張の検討)を行ない、以て本ブログの読者(そんなものが万一いたとしての話だが)に、より相応な投票を行なうための判断材料を提供するのが目的である。もちろん、これから投票日までにその種の論評はメディア上で盛んに行なわれるのだろうが、既存のメディアにそれを任せておいて良いとは思えないので、ここでも行なうという次第である。当然ながら、筆者自身には候補の好き嫌いはあるが、ここではあくまで事実に基づいて論評を行なうつもりである。


 公職選挙法はこれまでに何度も改正の対象となっているが、その何度目かの改正が1994年に行なわれ(この時の改正は連座制の厳格化を主旨としていた)、その際参議院の委員会で附帯決議が全会一致で可決されている。その文章をここに引用しておきたい。

    参議院 政治改革に関する特別委員会 5号 平成06年11月18日
    公職選挙法の一部を改正する法律案に対する附帯決議


 政治改革を求める国民の声に応え、選挙における腐敗行為の防止を徹底するため、政府は、本法施行に当たり、次の諸点について、遺憾なきを期すべきである。
 一、組織的選挙運動管理者等に係る連座制の創設及び重複立候補者に対する連座制の適用の強化については、本委員会における審査の過程において明らかにされた立法趣旨等を十分踏まえ、その適正な施行を図るとともに、立法の趣旨及び内容の周知徹底について、万全を期すること。
 二、公職選挙法違反の取締りについては、今回の連座制の強化に伴い、その影響が一層広い範囲に及ぶこととなることにかんがみ、従来に増して厳正公平を旨としてこれに当たるとともに、国民の選挙運動への自発的参加を損なうことのないよう十分留意すること。
 右決議する。

 「[当局は]国民の選挙運動への自発的参加を損なうことのないよう十分留意」しなければならない、と立法府が決議していることは、重く受け止められるべきだろう。