買った本 3

 ブックオフだけではなく、久しぶりに普通の新刊も買いました。
 まず一冊は、次のものです。

新書735谷川雁 (平凡社新書)

新書735谷川雁 (平凡社新書)

 谷川雁さんのものは、ほとんど読んだことがありません。
 自分で購入したのは、ただ一冊「極楽ですか」という晩年にかかれたもののみで
あります。
極楽ですか

極楽ですか

 当方の若い頃には、いまだ谷川雁さんは影響力のある思想家・行動家であったと思い
ますが、60年代後半からは株式会社テックという会社に関わり、そこで組合つぶしを
主導したと叩かれていたのが記憶に残っています。テックというのは、どのような会社
であったのかと思っていました。
 これだけでは、この本を購入しなかったでしょう。
最近は、なによりも矢川澄子さんとのつながりで谷川雁さんに関心がいっています。
この本に、矢川澄子さんはほとんど名前があがってこないのですが、目についたのは、
この一カ所です。
「75年3月、かって『試行』を一緒に起こした三名のうちの一人でもあった村上一郎
自刃した際の通夜の晩のこと。埴谷雄高吉本隆明らと十年ぶりに再会し、二次会は
夜中の三時すぎまで続いたのだが、その飲み会が解散した際、松本健一に対して、
『ぼくは会社の車を待たせてあるから一緒に乗っていかないか』と誘って同乗させてく
れたという(『谷川雁革命伝説』)』・・・・個人的な通夜参加に運転手付きの社用車
で参加した挙句、延々と夜中の三時すぎまで待機させておくなんて経営者の風上にも
おけないではないかと。しかも矢川澄子(翻訳家。雁を『神様』と敬愛して後に黒姫の
雁宅の近くに移住)の年譜をみると、松本健一をどこかで降ろしたあとには、なんと
明け方彼女宅にも押し掛けているのだから公私混同の極みだ。」
 矢川澄子さんの年譜というのは、「ユリイカ」臨時増刊号「総特集 矢川澄子」に
あるものでしょう。
ユリイカ2002年10月臨時増刊号 総特集=矢川澄子 不滅の少女

ユリイカ2002年10月臨時増刊号 総特集=矢川澄子 不滅の少女

この年譜の1975年3月30日のところには、「自殺した村上一郎の通夜の帰りに谷川雁
来訪」とだけあります。これをみるだけでは、明け方の来訪とはわからないのですが、
この時、矢川さんは45歳でありました。