本日の新聞から

 本日の朝日新聞朝刊 高橋源一郎さんの論壇時評の見出しには「戦争と慰安婦」と
あります。元過激派左翼の高橋源一郎に好きなことを言わせおってと、朝日新聞
眼のかたきにする陣営の方たちは、反撃ののろしをあげるのでありましょう。
 高橋源一郎さんが取り上げているのは、読売グループのドン渡辺恒雄さんが「文芸
春秋」に書いた文章でありました。
 高橋さんの文章には、「わたしは、渡辺とは多くの点で異なった考えを持つが、
戦争を語るときの真摯さにはうたれる。」とあります。ナベツネさんも元共産党
から、高橋さんはシンパシーを感じているのだろうよという話では、もちろんありま
せん。
 ナベツネさんは、自分のことを「戦争体験者の最後の世代に属するもの」と規定
しているとのことです。戦争を直接体験した人と、そうでない人たちとにある亀裂が
大きくなっているようです。
 当方は、もちろん戦争をまるで知らない世代でありますが、それでも親が戦争を
直接体験した世代であったこともあり、最近制作された戦争映画などの予告編を見て
も、こんな兵隊あり得ないと思うことです。すくなくとも戦争体験した人たちが
見たら違った国の話のように思うでしょう。小生がこどもの頃には内務班の意地悪い
上官といえば、南道郎さんなんて役者がいまして、それこそ理不尽な暴力の権化の
ように思えたものです。戦争というのは、徹底的に理不尽が支配している世界と思い
ました。
 高橋源一郎さんは、この渡辺恒雄さんの文章に続いて、古山高麗雄さんの作品を
取り上げています。
 古山さんは、好きな作家のお一人でありまして、できるだけ本を集めていこうと
思っておりますが、高橋さんが取り上げている作品が収録されているのは、次の
ものです。

二十三の戦争短編集 (文春文庫)

二十三の戦争短編集 (文春文庫)

 この文庫には帯がついていますが、それには「戦争の語られ方が、いよいよおかし
い。 日常としての戦争を経験した最後の兵士が、三十年に及び言葉にならぬ怒りと
悲しみの声を書き遺した。」とあります。