ブログトップ 記事一覧 ログイン 無料ブログ開設

キャズムを超えろ! このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2013-03-04

サブブランドとメインブランドの狭間で 〜どうしてPanasonicはeneloopブランドをぶっ壊したのか〜

まず、本エントリーの執筆にあたってPanasonic関係者1名たりとも話を聞いていないので、すべて推測と妄想と予想で書かれている空想科学読本みたいなもんだと思って読んでほしい。

元ネタはこのへん『新しいeneloopのロゴデザインが酷すぎると話題に痛いニュース)』など多数。

パナのブランドまわり予備知識はこっちで。

で、まとめBlog界隈や観測範囲のヲチャー達の論点はだいたい一致していて

  1. eneloopというすごくいいブランドがあったのにこれを蔑ろにするとは何事だ
  2. eneloopという定着したブランドを捨てると売上悪化するだろうが
  3. パッケージのデザインがかっこわるくなった
  4. 買収しました自慢みたいに感じるよね

えーと、まぁ4は論外として1と2、ちょい3について。

サブブランドって本来的には使い方がすごくむずかしい。このBlogを読んでくださるようなアイアムビジネスマーン(シャキーン) アイライクニッケーイ(ジャキーン)みたいな人は全日本人の多数派ではない。いまや単三形ニッケル水素電池なんてものは中学生からシニアまで誰もが買う、歯磨き粉や整髪料レベルの商品カテゴリになったと言える時代。そんな一般的な顧客からみて、eneloop三洋電機が結びついている人は少数派だったろう。笑い話だが、Panasonicが出していたコブラトップっつぅ超絶懐かしいラジカセを中学・高校時代愛用していたけれど、まさかそれが松下電器産業株式会社の製品だなんて大学二回生になるまで知らなかったからねw まぁ個人的な無知の話はさておき、あそこまでブランドネームを前面に押し出すと、本当に誰が作っているかわからなくなり、ブランドだけが独り歩きしていって当該商品カテゴリはものすごく強化されるんだけれど、コングロマリット的超大企業でやってる意味がなくなる。つまり、eneloopが売れまくって認知されまくった結果、GOPANが売れる、Gorillaが売れるという話になってほしいわけである。

確かに定着したブランドを差し替えると変えると顧客が離れる可能性はいくばくかある。しかし、圧倒的な市場シェアを握ってしまった後であれば、これを変えてメインブランドの訴求に使ってやろうというのはなかなか良い方法ではあるのだ。圧倒的シェアを持っているということは市場の大半がブランド名なんてどうでもいいと思って買っている層であり、パッケージデザインで半ば自動的にかごに入れるぐらいとなっているはずだからだ。

わかりやすい話で例えよう。今日から平和堂のロゴがヨークマートのロゴに変わったとして、これは嫌だから、これは疑わしいから他の店(イオン等)に行こう、とはならない。ちなみに小ネタだが、平和堂ヨークマートセブン&アイHD)のロゴは酷似していてどちらもスーパーマーケットなのだが、平和堂セブン&アイHDの傘下企業ではなく、れっきとした独立企業である。


読者の皆さんが当事者にならないと話が理解しづらいというのなら、逆パターンをイメージしてみるといい。いつも使っているトマトケチャップ、どこの会社が作っているか知っているだろうか? 『デルモンテ!』と答えた人はeneloop三洋電機が結びつかない人と(食品業界においては)同レベルだ。パッケージをよーく見てみると、キッコーマンと書いてあるはず。でも、デルモンテトマトケチャップのパッケージがデザインそのまま文字だけ明日からキッコーマントマトケチャップに変わっても、多分人は気づかずいつものデルモンテだと思って買う。普及したブランドとはそういうものだ。トマトケチャップにおいてはカゴメとハインツがいるので話がややこしくなるが、実質的にデルモンテトマトケチャップが日本国内シェア90%というような状況であれば、上述した例は説得力があるはずだ。eneloopはいま、そういう状況なのである。

デルモンテトマトケチャップキッコーマントマトケチャップに名称変更してその他キッコーマン商品のブランド強化に寄与させる、ということができないのは、トマトケチャップ市場に強大なライバルが2社いるからに他ならない。デルモンテ名を捨てた瞬間にケチャップ市場でのシェアを大きく失う可能性があるからだ。しかし、eneloopにはその可能性がほとんどない。なぜならばほぼ1社独占といえるほどの市場シェアを誇っているからだ。であれば、変更して他ブランドに良い影響を与えてやったほうが得というわけ。


結果、至る所でPanasonic柄の電池が目撃されるようになり、ブランドが刷り込まれ、そこまで深く調べて買おうということのない商品を買うときにPanasonic製なら安心かなとか、よくわからない、なんとなくな理由によりPanasonic製を選ぶ人が増えてくれる。その"なんとなく"はなるたけサブブランドを抑えてメーカー名を全面に出したコモディティプロダクトが醸造してくれるというわけ。なので、一般的にはコモディティ品ほどサブブランドを避ける方向に行く。ニッケル水素電池って5年前はまだまだコモディティになってはかったのでサブブランドありだったのだろうが、今の普及具合を見るともうその時期は終わったのかなと読む。単にブランド統廃合の手間かかっただけなのかもしれんけどさw

そういう意味....つまり、サブブランドが爆発的に普及して市場を寡占してしまったらメインブランド名に戻して他商品への+α効果を期待する、というアクションが一般的だとすれば、モバイルブースターをやめてパナソニックモバイル電源ってしたのはちょいとだけ早すぎた気もしますが、英断だったのかなーという気はする。あの件について、業界人は名前がダサいよねという話にはなるんですが、それは先の例に出したデルモンテトマトケチャップキッコーマンになったらきっとみんなダサいというでしょw それといっしょかなと。 



もっとも、そういう世界は徐々に狭くなってきている。少しでも調べれば豊富に情報が出てくる時代となり、何となくのブランドイメージでものを買う文化は縮小傾向だ。だからこそ、こういう仕事をやっているのであるw

おまけ: LUMIXPanasonicでは異色中の異色

そうそう、一応これ書いておこう。私の知る限り、Panasonicロゴよりサブブランドやプロダクトネームが大きく、目立つよう表示されている商品は今のところLUMIX系だけである。結構面白いので調べてみるとよい。ちなみに国内有名カメラメーカーの製品で前面にメーカー名が出ていないのはリコーのGRとPanasonicLumix系のみである。リコーGXRでは前面メーカーロゴを復活させていることから、全モデルでサブブランドのみを前面表記しているのはPanasonicだけということになる。だからどーしたという話だけれどw

おまけ2: ソニーのバイオ&エクスペリア系サブブランドについて

ソニーがバイオをサブブランドと設定しているのかプロダクトネームと設定しているのかは知らないが、ここでは仮にサブブランドと呼ぼう。

ソニーモバイル機器まわりのサブブランドは結構色々あってヲチしていて面白い。ノートPCを中心としたブランドとして知られるが実は1号機はAV編集用デスクトップPCだ。家庭用PC/AT互換機参入、ってことで付けられたサブブランドだったわけだが、その後ノートPC中心とするサブブランドとして確立。一昨年から携帯電話ブランドのXPERIAが合流した中でiPadショックが起き、さぁこれからはタブレットもやらにゃいかんぞとなったとき、気合が入りすぎたのか、『ソニータブレット』として驚きのソニーブランドでの展開を開始。

ちなみに商品名にソニーって入ってるソニー商品って実はめっちゃ少ないのでは?

まぁそれぐらい気合入れて飛び出したソニータブレットの結果がいまいちだったのかどうかは知るよしもないが、翌年モデルから『XPERIAタブレット』にまさかの名称変更。最初は某通信キャリアさんとのお上同士の話し合いでメーカー名を製品に入れるのはやめてくれ的な話だったりしたのかなーとか勘ぐっていたんですが、海外の展示会でもSony tabletの名称をやめてXperia tabletというものだから、これはやっぱりブランド設定で何かあったなと。まぁ平易に勘ぐるならうまくいかんかったんでしょうねと。さっきのeneloopの話とは逆方向ですが、大きな会社であればあるほど本体ブランドで攻めるというのは商品のカラーが薄まることになる。当然、大きな会社とは様々な商品を出していることが多く、様々な他商品のイメージからユーザが勝手に商品のイメージをつくりあげてしまう。

ソニーといえばオーディオ機器という感じのユーザからは、『ソニータブレットってんだから、音にこだわってるんでしょ?』という感じで。そういう方向でハードルを上げて商品を見に行って、そこが拘られてなければ落胆してしまう。本当はソニーといえばレコーダー、というユーザの心を掴みたくて作ってDLNAまわり作りこんだのに!!という裏があったとしても、前述のユーザには伝わらない。で、肝心のレコーダーのユーザーはレコーダーのブランドを冠してないが故に目にも止めてもらえず二兎を追って両方外した的なことになりうる。だったらスゴ録タブレットとかにすればよかったじゃない!というのが現状で、Xperiaブランドで再出発となったんだろうなぁと。あ、レコーダーユーザー向けに作ったとかは例え話で勿論嘘っぱちですよw DLNA周り頑張って作りこんでいたのはしっているけど、あくまでオマケって感じだったし。

eneloopの事例に近いけれど、ちょっと違うところでSonyは最近この業界では珍しい『サブブランドやーんぴ』をやった。それが例に出したレコーダーだ。10年ぐらい続けたスゴ録というサブブランドをやめて、『ソニーブルーレイ』に帰ってきた。これはちょっと面白い流れ。ちなみにレコーダー業界では、TOSHIBAもバルディアをやめてつい最近『レグザブルーレイ』に名称変更した。こちらはサブブランドをやめたのではなく、ブランド名変更である。レグザブランドとの相乗効果を狙ったものと思われる。

どうしてソニー無印に戻ってきたのか? は色々と思うところはある。でも、スゴ録は以前からすごく違和感があるサブブランドで、商品にロゴが付かなかったんですよね。そりゃ、日本語はかっこ悪いでしょ、という話なんだけれども。あれだけスゴ録!ってCM打ってたのに商品にロゴなしってのも珍しいケースでしたなぁと。


ちなみにシャープはそもそもDVDレコーダー時代、HDD/DVD時代で出遅れ、AQUOSブルーレイから実質参入してきたようなものだが未だAQUOSブランドで統一のまま。

PanasonicDVD時代の頭はサブブランドなしとし、HDD/DVD時代最初はHS系の名前だったがすぐDIGAとし、テレビのVIErAと併存を現状も維持。

東芝はRD→VARDIA→REGZAレコーダと迷走している感じ。

ソニーClip-onという名機に続く無印(RDR)・スゴ録PSXCoCoonの怒涛4並列時代を過ぎたらスゴ録だけが生き残ってその後"ソニーブルーレイ"へ。

まとめ

サブブランドなし時代→サブブランド時代→→→またまたサブブランドやめる時代、って流れなのかなーと。ソニーのレコーダーはまさにその流れを通しでやった感じ。SANYOからパナソニックに変わったので違和感あはるが、SANYO電池eneloop→SANYO電池(社名変わったんでPanasonic電池だけど)となっただけで、この業界よくある話じゃないのさ?というのが個人的な感想である。個人的にはPanasonicがひっそりとD-Snapブランド最後の一品であるポータブルオーディオプレイヤーをディスコンとし、数十年続いたポータブルオーディオプレイヤーを商品群から外したのが残念でならない。最初はカメラだったのにいつのまにかオーディオ機器のブランドになっていた変態プロダクトネームだったのになぁ、D-Snap(www


2013-01-29

エレベーターの閉じる/開くボタンのUI改善 〜日本マーケット向けの決定打は『ひらく』ボタンの撤廃だ〜

fladdictさんところで話題になっていた『エレベーターの閉じる/開くボタン、間違って押す。あそこのUIはよくない』という話。いろんな人を巻き込んで、こういうUIなら閉じる/開くを押し間違えないぞ、というUIアイディアコンテスト状態に。なんて面白いことやってるんだ俺も混ぜろ!ってことで考えてみたのだけれど、どうにもデザインを提案しているみなさんの方向性が皆して『ひらくボタンを目立たせよう、大きくしよう』という方向に。詳細はこちらのNAVERまとめ参照

........なんでやねん!と。100回言いたい。

何十年と使い込まれたエレベーターを見て、とじるボタンのほうが明らかに押されまくって印刷がかすれたり、傷だらけになったりしているのをみんな知ってるだろうに。ひらくボタンは緊急性が高いから目立たせようという話なんだろうけど、だったら故障時の緊急呼び出しボタン(係員と電話するアレ)のほうが100倍緊急性が高かろう。


そもそも根本的な話として、ひらくボタンはどういう時に使うのか? それは閉まりかけのドアに無理に入り込もうとする人を助けてあげるときや、先に入った人が後からくる人のために開けて待っているというシチュエーション。でもそれって、エレベーター利用者全体のUXを悪化させていると思うわけですよ。そもそも駆け込み乗車(乗籠?)は危険だからやるべきじゃぁない。また、Aさんが先に入って、歩みの遅いBさんのために開けたまま状態を延長することは他の階で待つユーザのUXを悪化させる。ひらくボタンが存在することによって悪化するUXはもっとある。駆け込み乗車しようとするCさんを先に乗った(こちらも急いでいる)Aさん見限るケースもそうだ。Cさんとしては『あ、あいつひらくボタンを押さずに俺を見捨てやがったな』と感じるし、Aさんとしても『もしAさんが間に合ったら、ここでひらくボタンを押さなかった私を恨むだろう。でも私だって急いでいるからあなたを待ちたくはないのだ....』と心おだやかではなくなるはずだ。


そこで、最高の解決策として『ひらく』ボタンを撤廃してしまう。こうすることで、AさんBさんの事例はそもそも存在しえなくなる。Aさん+Cさんの例においてCさんは恨む対象がなくなるし、Aさんも『Cさんを助ける手段がないからしょうがないよね』となる。いいことじゃないかと。


そんなことより何より、大多数の『とじる』ボタンを押すユーザ、という立場にたったとき現状のUI設計はだめすぎる。閉じるボタンを押してから閉まり始めるまでのタイムラグがユーザーを不快にし、結果として『とじる』ボタンを連打しながら『ちっ、おせぇなぁ....』と感じてしまう。これはよくないUX。


というわけで、急いでいる状況でエレベーターにのって1秒でも早く目的階にたどり着きたいという多数派日本人のためのUI設計してみた。

エレベーターの閉じるボタンUI改善案



このUI設計は下記のような流れで行われた。まず、現状の洗い出し。

  1. とじるボタンとひらくボタンを押し間違える(fladdictさんの元ネタで、最重要な要改善UXと設定)
  2. とじるボタン/ひらくボタンの場所がわかりにくく、認識して押すまでに1テンポ遅れて不快
  3. とじるボタンを押してからドアが閉まり始めるまでにラグがあり、何度も押してしまう(イライラする)
  4. 自分は急ぎたいが、駆け込み客のためにひらくボタンを押さないと悪者扱いされる恐れ

そこから改善案を出していく。まずはUIを作る前に何をするかのリスト出し。

  1. とじるボタンを目立たせる
  2. ひらくボタンを撤廃
  3. とじるボタンを押したことを明確にフィードバック
  4. ボタン操作から操作完了までの間に時間がかかる処理は、残り時間を明示

守るべき実装仕様を確認し、齟齬がないか確認。

  1. 日本語が読めない・色弱視力が弱い・車椅子といったハンディキャッパーにとってのUX悪化がないか → ひらく撤廃はむしろシンプルで良い方向
  2. 危険性はないか → 駆け込み乗車は危険。このUIは駆け込みを抑止する。挟まる人が居ても怪我はしないようエレベータ側にFailSafeが仕込まれている

実際のUIに落としこみ、確認....という感じか。階間移動中に閉じるボタンをinactive状態で保持するかどうかは結構悩ましい。一応ドア閉まりきったらactiveに戻す仕様で作ったけれど、目的階についてドア開ききるまではinactiveのままというほうがフレンドリーかなぁとは思った。ここは微調整のエリアですな。

lionel_messilionel_messi 2013/01/30 15:37 確かに全開状態で「開」を押す状況もありますね。

2通りだけというのはちょっと強引でした。んじゃー「開」を押したあと、そのまま押し続けたら全開を保てるでどうでしょう。これって今の動作とほぼ同じじゃないですか?

ちなみにランプ表示を推したのは、やっぱり分かりやすいからです。ドアや扉っていう表示だけだと、全開の時にドアがどっちを求められてるか、自分がどっちを求めてるか分からないですし。
「閉」ボタンを押す直前に自動的に閉まり始めると開く動作になってしまうというのも、ほんの少し表示を早く切り替えればいいかと。つまり閉まりはじめる少し前に(ほんの一瞬早く)「開」が表示されればいいのでは?
その表示や動き始めてるドアに気づかないのはそれはミスということで。

コスト度外視ですみませんが。

2012-12-05

3Dプリンターってもんが起こすであろう革命と現在の3Dプリンターの限界、そしてもっと知るべきCNCのチカラ

3Dプリンタが革命を起こすのは10年以上...贔屓目に見ても5年以上先

クリス・アンダーソン(以下、クリス)が書いたMAKERSって本はモノづくりベンチャーをいい意味でバズらせてくれたので感謝しきりなのだが、3Dプリンターを悪い意味でバズらせてくれたことについては閉口する。もっとも、クリスは100%完璧に正しいことを言っていて、読み手とそれを取り上げるメディアが曲解して悪い方向にいっているだけなのでクリスに罪はないのだが。

あの本に書いてあった3Dプリンターについての記述をまとめるとこうだ

3Dプリンターというすごいテクノロジーが出てきて、ここ数年で急速に進化している。今はまだ特定の用途にしか使えない特定業務用の技術だが、数年後〜十数年後に驚くような進化を遂げるだろうと予測される。そうなれば、第2の産業革命が起きるやもしれない。

3Dプリンターの技術革新はすごい。ほんの25年前は何十万円もした高性能なx86プロセッサーの数千倍もの性能のx86プロセッサーが今2万円ぐらいで買える時代となったように、この進化が止まらなければ25年後に第2の産業革命が起きている可能性はとっても高い。だが、2012年の今、3Dプリンターが産業革命を起こそうとしているかというと、それはNOだ。Completely NOだ。今日の3Dプリンターは、2400bpsのインターネット通信に成功したのをみて、数年内には世界中の人がFacebookでつながる!的なことを言っているようバズりかたをしているといっていい。


3Dプリンターによって2012年現在起こっている革命はあるか? 答えはYesだ。とっても小さな小さな革命のタネであるが。それは、”企業としては”極小のコストでメカ構造の試作を繰り返すことができ、量産プロダクトの試作スピードと試作コストを劇的に下げていること。これによって、Cerevoのようなモノづくり系ベンチャーをはじめることがより容易くなるし、大手企業にしても製品化サイクルをいくばくか早めることができる*1

また、CNCで作ることができない特殊形状ワンオフ品(数個レベルで製造する品)の世界では3Dプリンターによって既に革命が起きている。


だが、待ってほしい。みんな忘れていないか? CNCを。クリスは意図的に軽くしか触れなかったのではないかと思うぐらい、MAKERSのなかではCNC(以下、CNCマシニングセンタを差す)についての取り上げ方がネガティブだ。3Dプリンターに読者の注意を集めたかったが故に軽く扱うことにしたのではないか、とうがった見方をしてしまうほどに。しかしながら、2012年から向こう数年程度のスパンで見ると、CNCは3Dプリンターなんかよりも遥かに現実的な加工方法で、これをうまく使えばもっと短期間で、もっとモノづくりを改革してゆくことができる。十数年後に起こるかもしれない3Dプリンタによる「革命」ほどドラスティックではないかもしれないが、手がとどき、イメージすることができる2012年、2013年の”今”起こっていることなのだ。

CNCって何? その特性は?

CNCとは、全自動・超高速・超高精度な彫刻だと思えばいい。丸太から仏像を彫り出していく仏像職人を思い浮かべてほしい。何種類ものノミを使って、仏像の匠がリアリスティックな仏様を彫り出していく。この作業が、仏像の3Dデータさえあれば全自動で数十分、数時間といった時間でコンマ何ミリという精度で完成させてしまうことができる機械がCNCだ。

意味がわからんという方はこちのビデオでも見て頂けばとおもう

D


CNCが面白いところは、金型代を支払うことなくこういった複雑な形状を作ることができるということ。それから、元の素材が持つ特性をそのまま活かすことができるということ。3Dプリンタのように一度組織を破壊してつなぎ合わせるようなことはないから、アルミニウムをCNCで削ったものはアルミが元来持つ特性を100%保持することができる。強度等はもちろん、表面の美しさなどもだ。

入力データを変えてやれば金型代なしで100通りでも1000通りでも自由な形を作ることができるという点は3Dプリンタと同じだ。もちろん、金型を使ってインジェクションするプラスチック成形品(インジェクション時間は大きな部品でも3秒程度)と比べると切削に時間がかかるため1つあたりの単価は高いが、3Dプリンターの遅さの比ではない。また、3Dプリンターに充填する素材はまだまだ鬼のように高い。それに引き換え、CNCで削る素材はただのアルミやプラスチックや木材であり、安い。

3Dプリンターと違って中古品のCNCマシンは市場にあふれており、ボロボロのCNCを中古で買って加工業をはじめようという中国は深セン付近の起業家の数は数え切れない。これを使えば試作品ではなく量産品が作れるのだから、たった一人でも本当の意味での工場としてやって行くことができるからだ*2

身のまわりにあるCNC加工製品

と、CNCを持ち上げるようなことを書いてきたが、CNCがあることで小ロットでも美しく、強く、そして価格もそれなりにこなれた製品が世の中に溢れていることを知るべきだ。まぁ必ずしも小ロット用というわけではなくなってきているのだけれど、そこはそれ。

皆さんのもっとも身近にあるCNC加工製品はAppleMacBook PRO, Macbook Air, Mac MiniそしてiPhone5だ。これらの筐体はすべてアルミニウム素材をCNCで加工したものが使われている。もちろん、AsusのZenbookなどもそうだ。

小ロットのところでは、自動車用、自転車用のマニア向け部品なども多い。こちらのロータスヨーロッパ用アルミ削り出しウォーターポンププーリーなんてものはその典型だ(CNCか旋盤かって話はさておき)。

http://store.shopping.yahoo.co.jp/oriflame/k-1980-026-aly.html


そしてCerevoが発売した最新のライブ配信機器、LiveShell PROの外装もCNCを使って加工し、小ロットにも関わらず低価格、それでいて美しい外観を実現している。

クリップボード01


重要なことは、LiveShell PROの筐体と同等の質感を現在の3Dプリンターで出力することはできないし、2年後ぐらいにそれが実現できるだけの技術革新が起こったとしても、CNCで出力した時のような価格になるまでにはさらに5年を要するだろうということだ。LiveShell PROのMSRPは5万円少々であり、その価格のうちアルミ筐体が占める費用割合は1/20以下で、金型費はゼロ円なのだから。

※厳密にはSLSタイプの3Dプリンタを使えば金属の出力は現時点でもできるのだが、アルミ無垢素材が持つ表面の美しさを再現することはまだまだ難しい。


3Dプリンタの現状と可能性

とまぁ3DプリンタDisっぽい話を書いてきたが、そうじゃないんだってばw  言いたかったことは『なんか3Dプリンタって言葉だけがバズってるけど、まだまだこれからの技術であって、現時点では特殊な一品モノと、量産品を作る際の試作に活用されている最新の技術で、ここ数年ですごい進化してきているんだよ』という以上のものではないよ、ということ。10-15年ぐらいでものすごい進化して一家に一台みたいな時代がくる可能性はあるし、そうなったらものづくりのやりかたは根本的に変わる。多品種少量生産に向かっているものづくりだが、1種類の超大量生産される臓物だけを買って、外装は店舗で好きなデザインのものを選んで出力、なんてことにもなるだろうし。様々な製品の外装をデザインする業者があらわれ、臓物はパナソニックが作るが外装は無数にある中小のデザインハウスが提供なんてことにもなるだろう。もっと進化して、ネットで有志が作ったデザインをダウンロードして出力、自分の携帯電話を自宅でカスタマイズなんて時代になるかもしれない。だが、恐らく一部のマニア層を除いて2013年2015年に起こることではない、ということだ。


それに引き換え、CNCはここ15年で恐ろしいほどこなれて、価格も下がり、量産品で使われるようになってきた。金型代がいらない、小ロット多品種生産に向く、3Dデータ次第で割りと何でも出力できるなど、3Dプリンタと大変似た部分も多く面白い技術なんだよ、ということが言いたかったのである。

今のCNCと、将来に期待がかかる3Dプリンタ、と書いてしまうと少々大仰だろうか。まぁでも言いたかったのはこういうこと。


そして最後にとっても大事なこと。3Dプリンタは家庭用の安いものがでてきて....という話がよく言われるが、CNCも家庭用の安いのが出てるんだよ、と。日本への送料込みで、1200 USD(10万円弱)で4軸CNCが買える時代になったのだ。これを使えば、20万円するMakerbot replicator2の倍ちかく大きなものだって削り出すことができてしまう。もちろん、騒音は3Dプリンタより大きいし、削りカスの問題もあるから誰にでもオススメというわけにはいかないが。

クリップボード02


おまけ

国内の3Dプリンタ出力加工業者に依頼するより、中国は深センのCNC加工業者に依頼して出力してもらったほうが安くで作れてしまうこともしばしばだったりするということだ。もちろん、3Dプリンタ出力よりも実際の最終製品に近い強度を持ったサンプルができるので、試作品としての検証などもやりやすくなる。最終製品をCNCで出力するという場合はなおさらメリットがある。CNCで試作品を削れない形状のものはCNCで量産することもできないからだ。まぁこのへんの失敗談やら何やらは色々あるので、またの機会にご紹介することにしたい。

MAKERS―21世紀の産業革命が始まる

MAKERS―21世紀の産業革命が始まる

*1:もっとも彼らはそこ以外のスピードが劇的に遅いので、大勢に大きな影響はないのだが

*2:試作機作るのも工場なんで、ちょっと歪曲した表現であることは理解している。わかりやすさを優先して書いたと理解して欲しい

2012-11-26

進まぬ『製品』レベルでの産学連携をクラウドファンディングで打破! 塚田先生×Cerevo、イーテルミン製品化へ向けて始動

イーテルミン・プロジェクトの概要

Cerevo DASHの新規プロジェクト『イーテルミン』について、ちょっと語っておきたい。

イグノーベル賞を受賞されたことでも有名な塚田 浩二(Koji Tsukada)先生株式会社Cerevoが連携して立ち上げたクラウドファンディング・プロジェクトで、大学の研究によって生まれたアイディアを現実的な価格の製品として世に、もちろん世界に向けて発売しようじゃないかという試みである。クラウドファンディングの仕組みについてはこちらの30秒でわかるスライドを参照。つまるところ、大学の研究室で生まれた商品アイディアを、製品化にむけての開発費リスククラウドファンディングによって抑えて商品化する、という新しい産学連携の試みである。

イーテルミンの詳細についてはCerevo DASHの当該ページを見て欲しいが、1行で説明すると「具材を口に付けた瞬間に『パクパク』『ガブリ!』といった音が鳴るフォーク&スプーン」である。

design-image3

製品版イーテルミンの外装イメージCG

産学連携といえば要素技術ばかりで製品には遠い

きっかけは、日本の大学では素晴らしいプロダクトの種がそれこそ星の数ほど作られているというのに、製品化されることがほとんどないように見えたことだ。プロダクトの研究をなさっている塚田先生に聞いてみたところ、やはりその見かたは間違っていないという。ここでいうプロダクトとは、素材や加工方法・製造装置といったものではなく、最終製品のことを指している。

大学は基礎技術だけやっていればいいのか? あるいは素材、製造方法といった分野だけの研究をやるべきなのか? 私は3年ほど前に塚田先生と出会って、自身が生み出したengadgetならぬ"変ガジェット"を沢山見せてもらって、『いやいやそんなことはないだろう、だってこんなアイディア企業の商品企画じゃでてこないよ』と感じた。ただ、同時に『こんなアイディア、企業...特に大企業は製品化しないだろうなぁ』というのも同時に感じていた。

クラウドファンディング×極小コスト開発×小ロット生産でへグローバルニッチ

3年前にはなかなかいい解がなかったのだが、時流れて2012年。昨年からクラウドファンディングが流行し、これはいける!と思って塚田先生のところに何かやりましょうとご相談に伺ったのである。プロダクトを作るには設計費、金型費、認証取得費、その他もろもろたくさんの初期費用がかかる。イーテルミンもそうだが、こういったちょっとぶっ飛んだ商品は売れるかどうかを判断することが非常に困難であるため、誰がリスクを取って初期費用を払うんだという話にもなる。だが、ここ数年のインターネットによるモノづくり初期費用の激減っぷりは著しく、(このへんはこちらのエントリーを読んだあとにクリスのMAKERS―21世紀の産業革命が始まるでも読んでみるといい)シンプルな商品であればクラウドファンディングでもそのかなりの部分を賄える状況となってきた。

そこで、クラウドファンディングによる市場性の確認、つまり商品イメージを考える、デモ機を作る、デモをする、Cerevo DASHなどのクラウドファンディング・サービスに掲載する……というところまでを大学側が、その先の量産品の設計開発と販売をCerevoのような企業側が行うという分担ができれば、大学発商品の市場流入が加速度的に行われるのではと考え、実行に移したのがイーテルミン・プロジェクトというわけだ。

ここのところ取材や講演などで繰り返し言っていることだが、これから小ロット多品種展開のものづくりはHOTになる。家電業界は元気が無いとか言っているひとたちがいるが、それは単にワールドワイドで数百万台を売ることで高額な販促&流通コストをペイするというモデルが厳しくなっているというだけ。若い学生さんや研究員さんの柔らかい頭でひねり出した商品、最先端の研究内容が詰められた商品がニッチな層にしっかりと刺さるように企画・製品化されれば、高額な販促&流通コストを支払わなくても『欲しい!』と思った人たちが直販で買ってくださる。世界でここにしかない商品を作ることができれば、英語版Webページを作って展示会にちょこっと出すだけで、アメリカやEUだけではない世界中のあらゆる地域から『売りたい』という声が届く。現にCerevoが売っているLiveShellはユニークすぎる故か毎週のように聞いたことがない国から問い合わせが入り、社内では「XXってどこだっけ?」「えーと、地中海の右あたり?ww」「いや、ロシアの横だろ」といった謎の会話が繰り広げられている。ちょうど先週はリトアニアとトルコからそれぞれ売りたいというメールを頂いたところである。

まぁこのあたりの話は近日しっかりとまとめるとして、とにかく小ロット多品種生産がやりやすくなり、Webでの情報発信のみでグローバルな販売ができる仕組みが整ってきたというわけ。そうなると、あとは初期の開発費・製造費のリスクを誰がどう持つのか、という課題だけになる。そこに今流行のクラウドファンディングが最後のピースとしてパチリとはまったというわけである。

普通のビジネス雑誌だとここまでで『さぁどんな面白い商品が出てくるのか?』で終わってしまうのだが、アイディアを細かい仕様に落とせる人、試作機を作るところまで進められる人というのはそれほど多くはない。さらに、ある程度の金が集まったからといって、小ロットで量産機を作ることができる人や会社というのはこれまたレアである。さらにさらに、出来上がった製品を情報発信して世界で売っていける人や会社というのは輪をかけて少ない。

仕組み、お膳立ては完全に整ったというのに、新しい仕組みゆえにその膳を食らうに相応しい人がいない、という状況なのである。そこで大学×小ロット量産・世界で売る企業という組み合わせでまずは実例を作ってやろうじゃないかというのがイーテルミン・プロジェクトの陣容、塚田先生×Cerevoというわけだ。

注意点

このやりかたで難しいのは、クラウドファンディングに載せる前の段階で製造・販売する会社と綿密な調整を行うことである。すなわち試作機ができて、クラウドファンディングに幾らの価格で載せようか、どんな外装形状で載せようか、ということを考えている時点で、量産バージョンを作る予定の企業を見つけておいて、いったいどれぐらいの費用で開発できるのか、生産したら1台幾らになるのか、利益分配をどうするのか、といった話をすすめておく必要があるということだ。実際に量産品を設計・開発して量産を行い、流通に載せたことがある会社や個人でなければ量産品の設計事情がわからないし、何といっても価格を決めることができない。MOQ*1はいくつで製造してくれるのか、xxx台で製造したらどれぐらいの価格感になるのか、だからこういう素材を使うべきだ、あとこの部分の形状は何度傾けるべきだ...etc といった山のような議論・提案・調整を経てはじめて、価格とおおまかな形状が決まる。関連法規(PSE等)もあるし、PL保険なども含めた様々なリスクヘッジなんかも忘れてはいけない。これらも必要経費に加えなければプロジェクトのどこかで歪がおきるか、最悪破綻する。

だが、経験豊富な小ロット量産品スペシャリストがいる会社であれば、前述した『山のような議論・提案』が数日で済んでしまう。奢るわけではないが、今回のイーテルミンディスカッションも3回ぐらいで済んでしまったのだから。勿論これは塚田先生がCerevoの量産に向けたコメントを真摯に聞いてくださり、仕様の調整などに手早く合意してくださったからなのだが。

おわりに

若い学生さんや研究員さんの柔らかい頭でひねり出した商品、最先端の研究内容が詰められた商品などが世に出てくることはいちユーザーとしても素晴らしいことだ。よくわからないけどあの仕様にしとけばこの層に売れるだろう的な商品を仕方のない消去法でむりやり買わされることも減るだろう。

コラボ一発目の題材として、イーテルミンはちょっとイロモノに走りすぎたかなぁという思いがなくもないが、宴会での一芸や、プレゼントにちょうどいい一品になるかとは思う。そして何よりも、日本の産学連携における画期的な1歩を実例として作り上げられるかどうか? が残り約75万円が集まるかどうか、という1点に掛かっている。

イーテルミン欲しいな!という方はもちろん、この取り組みを応援していきたいという方、この取り組みが成功してイーテルミン商品化され世界で売られるようになったら成功事例としてうまく仕事や研究に使えそうだという方も、ご支援のほどよろしくお願いいたします。


ご支援はこちらから

*1:Minimum Order Qty, 最低発注数量

2012-10-18

商品写真撮影にも使える!200円静物撮影ボックスにさらに200円追加して影のない美しい静物写真を撮ろう

消費税入れると厳密には210円なんだけどまぁ気にしないでw 以前ご紹介したら1700ブクマとかすごい話題にして頂いた「和尚式撮影ボックス」だが、これに100均アイテムを2点追加するだけで影をほぼ完璧に消した美しい静物写真が撮れますよ、というハナシ。

百聞は一見に如かずということでまずはサンプル写真を。上部照明(トップライト)が1灯、下部照明(ボトムライト)が1灯、合計2灯での撮影である。ホワイトバランス取れてねーよとかそういうツッコミは本題ではないのでなしの方向でw

こういう複雑な形状は必ず下部に影が出るもの。そこを下部照明で打ち消してやるとこんな写真が撮れるというわけ。

IMG_8888IMG_8886

では影消し対策をしなかったらどうなるのか? 同じアングルの比較写真を作ってみたので見ていただきたい。上部からの1灯照明のみで撮影したものである。それでも「和尚式撮影ボックス」のディフューズ効果で相当影を薄めてはいるのだが、どうしたって1方向からの照明だとこのような影は出てしまう。これを打ち消して上記のような影のない綺麗な写真を撮ろう、というのが今回の目的である。

IMG_8883


それでは具体的な方策についての説明を進めていこう。照明器具をもう1つ用意する、という以外に必要な100均アイテムは以下のとおりである。

100均で買ってくるべしなアイテムその1: この手のどこにでもあるプラスチック製半透明バスケット

100均で買ってくるべしなアイテムその2: 乳白色の使い捨てまな板


あとはバスケットの取ってを外して逆さにし、撮影ボックスの被写体置き場の下にレイアウト。光を拡散するためのまな板をバスケットの上に敷き、上部照明とは別の照明を用意してバスケット内にほうりこむだけ。ちょっとわかりにくいので写真で説明する。

IMG_9804

↑これがベースとなる撮影ボックス(作り方はこちらのエントリ参照

IMG_9806

↑こんな感じで被写体置き場の下にバスケットを配置、バスケット上に使い捨て乳白色まな板を重ねて準備完了

IMG_9808

↑上部照明をあえて消して下部照明だけつけると、被写体置き場が下から照らされているのがよくわかる

IMG_9809

↑上部照明とあわせて点灯すると、下部照明はあまり目立たない。が、これがキレイに影を消してくれるのである


..........簡単でしょう? まぁ、騙されたと思って200円(税込210円)払って試してみてほしい。きっと美しい静物写真が撮れてびっくりして頂けるかと思う。コツは照明を『ちょっと離し気味に当てる』こと。ボトム・ライトはあまり強く当てるとお化けライトになってしまう。お化けライトとは、懐中電灯をアゴの下から当てて『うらめしやー』とやる、あれである。下からの照明が強いと、お化けのようなおどろおどろしい絵になってしまう、ということ。もし下部照明が強力すぎるなと感じたら、照明から撮影ボックスまでの距離を遠ざけるか、コンビニの乳白色ビニール袋を2重か3重照明器具に巻いてやるといい。*1


下部照明を買う際には上部照明と色温度をあわせるのを忘れずに!

失敗すると下記イングラムの写真のように上部(あるいは下部)だけがピンクがかったりします。

IMG_9300

最後にシュール*2な影消し写真例を挙げて締めたいと思う。もちろん、左が影消し用下部照明ナシ、右があり、である。こうやって比較すると違うよね、というのがよくわかると思う。

IMG_8877IMG_8878



....追記。ここまでずっと影消しについて話を続けてきたものの、下部照明は何も影消しのためだけではない。下記、遠坂凛の写真をみてほしい。左がトップライトのみ、右がトップライトに加えてボトムライトを少し当てたもの。右側のほうが艶やかというか、いきいきとした感じで見えはしないだろうか。こんな感じで静物写真撮影においてボトムライトは影消しだけではない効果が得られる。たった数百円、ぜひ一度トライしてみてほしい。 ※本作例においてうっかり左はF6.3、右はF13で撮ってしまったのでApple2Appleになっていないが、そこはツッコミご容赦いただきたい

遠坂TOPライト遠坂両方ライト絞り

※本エントリ内で紹介した写真作例はすべてTAMRON SP AF 90mm F2.8 172Eを付けたCanon EOS Kiss X3にて撮影

*1:白熱灯だとビニルが溶けてしまうので、LED蛍光灯といった低発熱電球を使ってほしい

*2:シュールという言葉の典型的な誤用例だが、あえて使っているのでツッコミなしの方向で

2012-09-23

iPhone5と4Sのカメラ比較。ちょいワイド化、コントラスト比とAWB精度は向上。HDRは派手さがなくなった

iPhone4SからiPhone5に買い替えたので、カメラ比較をやってみようということで違いがわかりやすい静物にてテストしてみた。光源は2400kの蛍光灯×2。これを以前のエントリで紹介した撮影用ボックス経由で照射して撮影している。手振れの影響など出ぬよう、クランプを使って三脚に固定しての撮影とした。尚、4SはiOS5、5はiOS6を使っている。

iPhone5 HDR-ONiPhone4S HDR-ON
iPhone5 HDR-ONiPhone4S HDR-ON

HDR同士で比べると、iPhone4Sはかなり派手なエフェクトをかけていて、コントラスト比も高い。シャープネスもかなり効いている。対するiPhone5は大変おとなしく、これほんとにHDR効いてる? と疑ってしまうぐらい。まぁ好き嫌いのある部分なのでどっちがいいとは言わないが、4Sのほうがより『HDRらしい』写真が撮れるとは言えるだろう。上記サムネイルではまったくもってわからないと思うので、下記比較画像を見ていただければと思う。左がiPhone5、右がiPhone4Sだ。

iPhone5/4S HDRの違い


iPhone5 HDR-OFFiPhone4S HDR-OFF
iPhone5 HDR-OffiPhone4S HDR-Off

続いてHDR-OFFでの比較。iPhone4SではWBをうまく合わせられず、大分と赤みがかってしまっている。また、白っぽく霞がかったような絵となってしまった。これは何度か同一条件で撮影しなおしても変わらずであったことを付け加えておく。その際のサンプルはFlickrにSETを作っておいたのでそちらで見ていただければと思う。

コントラスト比についてはiPhone4Sが低すぎ。iPhone5のほうはコントラスト比が高く、シャッキリとした絵となっている。

わかりにくいのでこちらも部分拡大画像を載せておこう。服の端にあたるギザギザ部分と、ネクタイのグラデーションを見てもらうとコントラスト比が引き上げられているのがよくわかると思う。わずかにシャープネスも掛けているのかもしれない。左がiPhone5、右がiPhone4Sだ。

iPhone5/4S HDR-OFFの違い


以上、簡単ではあるがiPhone5iPhone4Sにおける静物撮影比較である。まとめると以下のような変更となる。まぁ正直なところ『フツーの人にはちょっとワイドになったかな、ぐらいで違いがわからん』というのが正直なところ。まぁ気になるマニアな人は原寸大写真を置いておいたので確認するなりご自由にどうぞ。

  • AWB(オートホワイトバランス)の精度がUP
  • レンズが変わってちょいワイドに(35mm相当だったレンズが33mm相当に)なった
  • HDRの効果が抑えられ、派手さがなくなった


※どーでもいいけどiPhoneフィギュア写真って結構いけるのね、固定めっちゃ大変だけどw

最後におまけてEOS Kiss X3 + TAMRON 90mm F2.8マクロにて同一条件(照明は変えず、カメラ位置は変更)で撮影したサンプルも置いておく。比較用にどうぞ。

Kiss X3+90mm単焦点マクロ

2012-09-21

SBM版iPhone5は海外SIMを使うことができないタイプのSIMロックだった(ソフトバンクモバイル版)

iPhone5はまったくもってわくわくしない端末で、HDD容量とプロセッサが変わってちょっとデザイン変更かかった新型ノートPCが出ましたよってレベルの話でしかないんだけれど、まぁ仕事なんで買いましたよ、ええ。で、iPad3の3G版がドコモロックだったのでiPhone5 ソフトバンクモバイル版もドコモロックであってSIMロックではないだろうと買ってきたわけですが、これが残念ながら従来通りのSIMロックでしたよ、という報告。

あと、従来のSIMロックとは挙動が異なります。従来のiPhone4/4SのSIMロック板では『不正なSIM』と表示されるが一応WiFi環境で使うことはできるという状況でしたが、iPhone5(iOS6によるものかも?)では許可されたSIM以外をぶちこむと、一定時間(1分ぐらい)で強制リブート(厳密にはRespring)がかかり、端末が未アクティベーションであると表示されます。で、アクティベーションしようとすると、このSIMじゃアクティベーションできませんよと下記画面が出て終了。

IMG_0001


面白いのは、ここでSIMを抜けば『SIMなし』状態でアクティベーション済端末として使えることです(笑) 実際にアクティベーションされていないわけではなく、アクティベーション済みなんだけれども新SIMを検知したら一度サーバに確認しにいって、やっぱり不正だよってことであればその画面でエラーを出す、という挙動のようです。

尚、試験は神州行(中国SIM)、中華電信(台湾SIM)、Doc○mo SIMの3種類で試験。全て同じ結果となりましたとさ。

IMG_0002




....ま、シャッター音はするわ海外で現地SIM使えないわなクソ端末は綺麗に使ってヤフオクで売り飛ばして香港出張時に香港版に買い替えでFAですな