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2016-10-16

ロビイングして最高速25km/h未満のパーソナルモビリティは無免許公道オッケーにしないと世界に置いていかれて死ぬって話し

パーソナルモビリティそのもの、あるいはパーソナルモビリティを活用した新サービスは今後大きく人類の移動を改革するだろう。で、その大きな新規ビジネスエリアを日本という国は法律・条例によって国際標準から大きくかけ離れた規制をかけており、このままでは自動車バイクと違って次世代の移動手段における国際競争力を大きく失うことになる。これはすごいまずいことなんじゃないか? と思ってて、同じ思いを持つ人達で寄ってたかってロビー活動して法改正に持っていってパーソナルモビリティ分野取りにいかないとやばいんじゃないの? というはなし。

退職金ほしさに大企業にしがみついてる窓際オッサンがあと5年もしがみついていればのうのうと生きられるのに対し、いま入ったばかりの20代社員は一寸先は闇状態...ってのとおなじ。仕事できないオッサンは容赦なく切る、なんてルールを20代が言い始めたらオッサンたちは死んでもルール改正反対するが、あと40年ほど今の20代社員が戦わねばならないその企業は、消え行く無能にコストを払って5年後にはガタガタの財務体質になってしまっていて....というような状況を想像してもらうとわかりやすい。



まず、日本のバイクメーカーにおける原付きは死んだ。まぁ原付きなんて日本にしか存在しないガラパゴス規格*1なんで、ガラケー死したのと同じ流れで死亡、と。ちなみに超バイク文化の東南アジアの実質的な標準サイズが125ccなので、まぁこうなる。

ヤマハ発動機ホンダ。1980年代にオートバイ過激なシェア争いを繰り広げた”因縁”の2社が手を組んだ。

ヤマ発は10月5日、2018年をメドに排気量50cc原付バイクの自社生産から撤退し、ホンダからOEM(相手先ブランドによる生産)による供給に切り替える方向で検討すると発表した。ヤマ発の渡部克明取締役は「自前で造り続ければ、50ccスクーターの事業が成り立たなくなる段階まで来ている」と危機感を募らせる。

かつてのライバル同士による提携は、一世を風靡したバイク文化の凋落ぶりを如実に示している。

http://toyokeizai.net/articles/-/139521


ちと古い記事だが日本の自転車メーカーも同様に死んだ。生ぬるく言うなら、ガラパゴス化して死につつある、という表現になるか。


東南アジアに近い台湾のサイクルショーは、今、これらの国々からバイヤーが集結する場となっているのだが、ブリヂストンパナソニックなど日本の自転車の完成車メーカーは出展すらしていない。会場で会った日本の自転車業界関係者に理由を尋ねると、こんな答えが返ってきた。「海外市場で勝負しても勝ち目がないと、あきらめているんです」

<中略>

どうにか食いつないでいるが、いずれは廉価な中国製などに市場を奪われる可能性が高いじり貧の市場でしかない。

http://toyokeizai.net/articles/-/13628




さて、別に原付きバイクや自転車を語りたいわけではなく、『パーソナルモビリティ』である。0-2km/hぐらいだけを人力ペダルで加速してそこからバッテリ+モーターですーっと走っていく『e-bike』はいまや国際自転車展示会の1/3以上を占める巨大市場に。Z-Boardが先鞭をつけたが中華に完全にうっちゃられつつある『電動スケボー型モビリティ』も見逃せない。バッテリ爆発で一世を風靡した中華ホバーボードや、神田さんが捕まって一世を風靡したセグウェイ改めNinebotなどの『完全電動非バイク型モビリティ』もアジアを中心にかなり伸びている。

何故伸びているかというと、詳しくは英語版Wikipediaのe-bike項に譲るが、欧州やアジアの主要国(カナダ、ドイツ、イギリス、マレーシア、シンガポール、中国など)においてe-bikeは免許不要で公道OKなのだ。電動アシスト自転車ではなく、完全電動で最高時速は25km程度も出る。漕ぎ出しの瞬間だけペダルを踏んでやる必要はあるが、実質的に原付バイク以上の使い勝手である。アメリカのカリフォルニア州では電動スケボーが合法化された。中国やシンガポールは歩道を『完全電動非バイク型モビリティ』つまりホバーボードやセグウェイ型でがんがん走れる。もちろんライセンス不要なわけだからナンバープレートなんて存在しない。

対する日本はどうか。時速6km以上絶対に出ないよう制限を掛けたもの、つまり電動車椅子シニアカー程度のものはノンライセンスでOK。しかし、ひとたび6km/hを超えると次は原付きの扱いまで何もカテゴリーがない。しかも原付きはライセンス制でナンバープレート管理でひじょーーーーーにガラパゴスな車体規定がある。具体的には座席がないといけない(スケボー型やホバーボード型はここで落ちる)、制動装置がないといけない(体重移動不可、モーター逆回転系も不可、座席ありセグウェイ型はここで落ちる)、ミラーとウィンカーがないといけず(これでスマートな形状ができなくなる)、前照灯、尾灯、制動灯(ブレーキランプ)が必要で、ライセンスプレート灯が必要。結果、車体形状に大きな制限がかかるわけだ。

で、いま海外のこういったパーソナルモビリティ系はどんな状況になっているかというと、すでにPCのように相当なコンポーネント化が進んでいて、中国の広州(Guangzhou)や深センに行ったら、タイヤ工場、ホイール工場、ブレーキ工場、インホイールモーター工場、専用バッテリ工場、座席工場(笑)、ECU(制御ユニット)工場などがそれぞれ独立で存在しており、どこにでもあるアルミ削り工場やプラ成形工場と組み合わせると、誰でも完成車メーカーになれてしまう状態。


これがECU中心に作ってる工場。

https://persino.en.alibaba.com/


これがインホイールモーター専業工場

https://cnjzdj.en.alibaba.com/


これがモビリティ用バッテリ専業工場

https://jneshine.en.alibaba.com/

ここはブレーキ『レバー』とウィンカー『レバー』の専業工場

https://liguang.en.alibaba.com/productlist.html

といった感じで嘘でも何でもなく本当にこのレベルで水平分業化されているのである。

で、じゃぁ日本も部品メーカーになろうとかそういう話しをしたいわけではなく、これって台湾自転車工場群に日本の自転車産業がヤラれちゃったパターンと全く同じ流れを辿っているということ。

さらにそこに道交法の壁が立ちふさがって日本マーケットってもんを消失させてしまっている現状、日本は次世代パーソナルモビリティというビジネスチャンスを完全に捨てていることになる。もちろんe-bike禁止、ホバーボードも禁止、禁止、禁止ィ! とガチガチにしてしまって海外製品が入ってこないようにしてしまえばホンダの原付き部門とブリヂストン自転車部門ぐらいは維持できてしまうかもしれないが、それでいいのかと。冒頭であえて刺激的に書いた、沈みゆく船にしがみつくオッサンじゃないのかと。現にヤマハの原付き部門は沈んだわけで。

そしてガラパゴスしがみつきだとやっぱり10年ともたずに死ぬよねというのは、ソニーNEC東芝が手放していったPC事業、三菱NECパナソニックが撤退していった携帯電話事業と見ていけば自明の理ではないかと。B-CASガラパゴスで守りきったかに見えたテレビ事業も決して安泰ではない状況下なわけで。

で、手伝ってるおまえがいうな的立場だけど、中国の電動バイクをベースにして日本仕様にカスタムして持ってきて販売するUPQみたいな業者も出てくるわけで、もう止められないわけですよ。

http://upq.me/jp/upq_bike/me01/



真面目な話、原付き業界どうせもう死ぬのが見えたんだし、自転車業界のことなんて気にせずさっさと時速25kmぐらいまでのパーソナルモビリティは(方式や形状、装備を問わず)無免許解禁にすべき。だいたい自転車治外法権すぎるのである。ギアつきの自転車なら、鍛えてない人でも30km/hは平気で出せるのに無免許ノーヘルOKなのだから。ミラーもなければ尾灯も制動灯もないのに、ね! おっと、別に自転車が憎いわけではない、頑張れば40km/hだって出せてしまう自転車より、25km/h程度に最高速を制限したパーソナルモビリティのほうがより安全なんじゃないの、と。原付きの課題は30km/h制限だよといいつつ60km/h出せてしまうハードウェアにある。25km/h制限のe-bikeはどう考えても40km/hですっ飛んでくる人力バイクより安全、さらにはe-bikeより軽量な20km/h制限の電動キックボードはより安全なのではないか? という仮説に基づく検証をしっかりやって、ロビイングをやって、法改正にむけて動いていかないと、あたらしいパーソナルモビリティ関連のビジネスで日本は大きく世界に遅れを取っていくんじゃないかなぁという危機感を強く持っている。すでに2周遅れぐらいの認識なんで。


ロビイングなんてモンに興味はなかったけれど、この分野においては手をこまねいてないで仕掛けていかないとやばいんじゃないかと本気で思っている。

コアとなる部分はもうモーターとバッテリということで決まってきているわけで、あとはどうそれらを応用して最終製品のスタイルを作っていくか&その最終製品の運用形態(Uberじゃないけど)でまだまだチャレンジしどころがあるはず、きっとある。大事なことなので二度言いますがこのままだと全部諸外国に持っていかれますよ。


過激なことを書いたが、落とし所としてはまず現行道交法のママで、原動機付自転車の定義を変更するところからじゃないかと思っている。スケボーやホバーボード状のモノに立って乗るのも『座席(人がおさまる場所)』だという解釈にしてもらうというのが1つ。もう一つは制動装置の定義だ。モーター逆回転による制動効果をブレーキとみなす、というこれも定義変更で何とかなるはず。方向指示器は自転車とおなじくハンドサインで代行するならなしにしてもいいとかにできんかねぇと。尾灯・制動灯については現行ママでもさほど大きな課題にはならないと見ている。一番きっつそうなのはナンバープレートとナンバープレート灯ですなー。こればっかりは何か抜本的な手が必要そう。RFID化してしまう、より小型のプレートを手配する....などは警察庁が嫌がりそうなので、100歩譲って背中に付ければOK、とかね。そもそも原付きのナンバーは現状でも封緘がないので、ヘルメット後方やリュックサックにパチッと止めて後方から見えるようにしていればOKなどの規定にすれば、より小型の車体を実現することができるきがするのですよね。

*1:まぁEUの一部で50ccバイクは売られてはいるが

2016-01-14

え、ソニーが住設向け機器ビジネスに参入だって? 

ソニーのマルチファンクションライトっつぅ、まぁスピーカーとマイクとWiFiが入ったシーリングライト(天井照明)が『開発中であることを発表』した( http://japan.cnet.com/news/service/35076114/ )。まぁこれがまた今風というかアレだが(あんまりソニーは開発中で販売時期も表明しない製品情報を出さない傾向にあった)。でだ。このニュースがギョーカイ的に面白いのはそこじゃないw 

ソニーでは、2016年度前半の商品化を目指しており、電材卸事業者や住宅会社へ販売する予定

...ってところだ。電材(B2Bで住設業者販売されるチャネルの製品。高い。小ロット。)かぁ、と。ソニーは電材分野にはほとんど来ていなかっただけに、このニュースリリースはこのポイントが面白いところであり、読みどころ。パナはもともと電材強くてB2Bシフト、ソニーもそっちを模索しはじめたのかぁという感じで面白いわけだ。勿論SBS*1部隊も居るけどあっちは映像系専門だし、どこから出すんだろうもしかして住設専門の事業部作るのか? とか思ってみていたら下記オフィシャルニュースリリース

問い合わせ先: ソニー株式会社デバイスソリューション事業本部 L-Gadget事業室

http://www.sony.co.jp/Products/multifunctional-light/?j-short=/multifunctional-light/

....と書いてあるときた。ここ!これ! この商品のどこにも面白いポイントはないけど、この1行はすげー面白いわけだ。

だってデバイスソリューション事業部(以下DS部隊)ですよ。詳しくない方向けにいえば『ソニー半導体事業体』だ。

L-Gadgetはまぁリビングガジェットの略なんだろうが、ぐぐっても情報が出てこないので実質これが初のアウトプットなのだろう。


つまりこのニュースの面白いところは、半導体だけじゃなくてもっと最終製品に近いものをDS部隊が仕掛けてきた、しかも方向は住設で、これまで住設専門の事業部とかまだ無い状態から住設にいくぜーという方向なのねー、へー、ほー。というポイント。あと、DSってことは基本は半導体部隊なわけで、まぁたぶんB2C部隊にも相談はしたんだろうけどそっちでGo出なかったのを推し進められる強い決裁権者がいたのかなぁとか、色々読んでいて面白いニュースリリースなわけです。


え、CerevoのネタとCESネタ? そんなものは帰国して24時間後にまた深センに飛ばなきゃいけない現状で書いてる暇あるわけないじゃないですか(ぉ

*1Sony business solution、放送機器なんかを放送局とかに売ったり、大型映像表示機器なんかをシステム納入する部署

2015-10-09

OSMO発表。DJIが意外にコンシューマー寄り製品に来たなぁという話

DJI OSMO( http://www.dji.com/product/osmo )が発表された。っつかタイミング中途半端だなとw 欧州のNABといわれるIBCに併せてどうして持ってこなかったんだよと思うんで今度聞いてみたい...。will begin shipping October 15ってことは何をどうミスっていようと先月のIBC段階ではほぼ最終版の試作機できていたはずだしねぇ。

で、価格。USD $649 かぁ、思ったより安く出してきたねという印象。

まぁモノはInspire1用のカメラを3軸ギンバルに乗っけただけ....ってぇことはこいつは製品としてカメラ込みの価格なんで、やっすいなぁ、と。まぁ本当にInspire1用のカメラかどうかはバラしてみないとわからないし、そもそもInspire1用のカメラをバラしてみたことがないんでどんな出来なのかもわかりませんがまぁ、それはそれ。

で、ですよ。ここからが本題。DJIはInspire1とRONINのラインナップを見るに、よりプロフェッショナル仕様に振っていって後続のチャイナ格安ドローンベンダーと差別化していくんだろうなぁと見ていただけに、ちょっと意外。この方向は短期的にはどーんと売上が伸びるんでいいんだが、どっかで揺り戻しするだろうなぁと思っていて、さーて、いつまでどれぐらい伸びていって、どこで揺り戻すかというのを楽しく見ていきたいと思う。

ちなみにGoProはチャイナベンダーだけではなくソニー等の大手家電・カメラメーカーの追撃もあったのでHERO3が出たぐらいから高価格・業務用路線に転換、展示会のブースサイズや説明員配置なんかもウォッチしてたんだが、面白いようにCESよりNAB、という感じでシフトしていって製品価格もMCのたびに上げて行ってなるほどなぁと見ていたところ。ちなみにHERO4 Sessionは出してすぐに100ドルも値下げする&低価格帯のHERO+を投入、というおいおいな展開になっていて、おっとーGoProの高価格帯シフトも結構きついのかーなんてことをFacebookでちらっと書いたのがつい先月。

さーて、DJIはこの後どっちにいくのか。実態としては本人たちも悩みつつなんだろうなぁと思いつつ、にやにやと眺めていようと思う。

http://www.dji.com/product/osmo


※どーでもいいけどはてダもそろそろ潮時だなぁ、ぱっとURL貼ったらOGPついてくれるタイプのBlogServiceに乗り換えようかなぁ。Livedoor+独自ドメインかなぁ、などと考えているところ

2014-05-25

日本のモバイル決済、本命はSquareから楽天スマートペイに移る、か? 2014年版モバイル決済サービス比較表

mobilepayhment2014

丁度1年ほど前に手数料最安・支払い最速!モバイル決済の本命Squareと、Coiney, PayPal here, 楽天スマートペイとの比較表を作ってみたというエントリーを書いた。

その後、全てのプレイヤーがSquareのぶっ飛んだ手数料と支払いタイミングに合わせこんできたため、2013年後半には4者横並びの図式に近くなった。で、支払いタイミングデフレ(?)争いに参戦しなかったPayPal here、参戦したけど力及ばずやっぱり支払い遅いCoiney。Coineyはセゾンカードとの提携を発表し、セゾンカードの受付を可能に。そうこうしてるうちに楽天スマートペイが猛攻撃を開始し、JCB、AMEX、ダイナースに加えて日本では馴染みのないDISCOVERまでも取り扱うようになり、実質国内で入手できるほぼ全てのカードが使えるのは楽天スマートペイだけ!という展開に。SquareやPayPalはビザマス+AMEXのみ。

引き出し手数料はCoineyだけが都度200円取る方式を継続、ほかは*1全部無料になった。Coineyはちょっとした金額を決済してすぐ引き出すという使い方には向かない、と。

でまぁ結論としては2014年5月現在では楽天スマートペイがめっちゃ使える、という展開だなぁと。手数料の話とかまぁネタとしては面白いんだけど事業者側としてはほぼ誤差範囲みたいな話で、JCB・AMEX・ダイナースが使えるというこの1点のみにおいて楽天スマートペイ最強だなぁと。

*1:指定銀行を使えば

2013-05-23

手数料最安・支払い最速!モバイル決済の本命Squareと、Coiney, PayPal here, 楽天スマートペイとの比較表を作ってみた

id:KoshianX さんの言葉を借りると『(他サービスと比較して)初期費用ゼロ、手数料最安、支払い最速!』というモバイル決済の本命Squareが本日、日本展開を発表しました。その驚きの支払いタイミングと手数料で業界騒然...とならふでしょう、たぶんw

と言うわけで秒速で他サービスとの比較表を作ってみた。

f:id:wa-ren:20130523173650p:image

でまぁ、何を言いたいのかというとSquare最強ということ。みんな決済手数料に目がいくが、決済手数料を業界最安値である3.25%に抑えつつ、資金繰りが厳しい飲食店なんかに対して翌営業日正午までの支払いとしているのが強烈に強い。この部分は楽天スマートペイも相当頑張っているものの、手数料約5%ってのは流石にねぇ...と。これはなかなかどうして面白いことになりそうですよと。

確かジャック・ドーシーが何かの動画で喋っていたけど、NYCのまちなかに山ほどいるワンボックスカーでホットドッグを作って売ってるような人たちにカード決済使ってもらおうよというようなアプローチで始めたみたいなことを言っていた記憶がある。そういう方々がキャッシュフローに余裕があって別に60日だって支払い待てますよ、なんて感じばかりじゃぁないと思うんですよね。つまり、今日の売上で明日の仕入れをする、というような小売業界の一部にあたって(まぁその割合は比較的大きいはずなんですが)はSquare強烈に強そうだなぁと。また、そもそもそういった人たちをターゲットにしてきたからこそのこういう仕様なんでしょうなぁと。身近な業界で言えば、激安家電やガジェットを売ってる店なんかもそう。支払いタイミングってほんとこういった薄利多売な商売においては重要なんです。

ちなみにSquareが強いのは、Star製のレシートプリンターやキャッシュドロワーとも連携していて、スマレジとかユビレジが取ろうとしてたあたりもまとめてかっさらって行こうとしてること。Coineyや楽天は追い追いこの辺やってこうとしていたんだろうけど、今からやると結構ビハインドするしこりゃ大変、と。Coineyは昨晩APIオープンを発表していたけれど、このへんのハード連携やりたくても時間がないor工数がないとかで仕方ないからAPIつまりパッシブ連携なのかなーとか勘ぐってしまったり。Coineyやってる皆さんは起業家仲間なので頑張ってもらいたいのですが...。

と言うわけでこわーい奴らが攻めて来たよ、しかも三井住友銀行が10億円も突っ込んでケツ持ちしてますよと言う始末。そこは国内に投資しようよと言いたくなりますがまぁ気持ちはわからんでもなく、何だかなぁというあたりで結論なく筆を置きたいと思います。むむーん

[rakuten:book:13693675:detail]

2012-11-26

進まぬ『製品』レベルでの産学連携をクラウドファンディングで打破! 塚田先生×Cerevo、イーテルミン製品化へ向けて始動

イーテルミン・プロジェクトの概要

Cerevo DASHの新規プロジェクト『イーテルミン』について、ちょっと語っておきたい。

イグノーベル賞を受賞されたことでも有名な塚田 浩二(Koji Tsukada)先生と株式会社Cerevoが連携して立ち上げたクラウドファンディング・プロジェクトで、大学の研究によって生まれたアイディアを現実的な価格の製品として世に、もちろん世界に向けて発売しようじゃないかという試みである。クラウドファンディングの仕組みについてはこちらの30秒でわかるスライドを参照。つまるところ、大学の研究室で生まれた商品アイディアを、製品化にむけての開発費リスクをクラウドファンディングによって抑えて商品化する、という新しい産学連携の試みである。

イーテルミンの詳細についてはCerevo DASHの当該ページを見て欲しいが、1行で説明すると「具材を口に付けた瞬間に『パクパク』『ガブリ!』といった音が鳴るフォーク&スプーン」である。

design-image3

製品版イーテルミンの外装イメージCG

産学連携といえば要素技術ばかりで製品には遠い

きっかけは、日本の大学では素晴らしいプロダクトの種がそれこそ星の数ほど作られているというのに、製品化されることがほとんどないように見えたことだ。プロダクトの研究をなさっている塚田先生に聞いてみたところ、やはりその見かたは間違っていないという。ここでいうプロダクトとは、素材や加工方法・製造装置といったものではなく、最終製品のことを指している。

大学は基礎技術だけやっていればいいのか? あるいは素材、製造方法といった分野だけの研究をやるべきなのか? 私は3年ほど前に塚田先生と出会って、自身が生み出したengadgetならぬ"変ガジェット"を沢山見せてもらって、『いやいやそんなことはないだろう、だってこんなアイディア企業の商品企画じゃでてこないよ』と感じた。ただ、同時に『こんなアイディア、企業...特に大企業は製品化しないだろうなぁ』というのも同時に感じていた。

クラウドファンディング×極小コスト開発×小ロット生産でへグローバルニッチへ

3年前にはなかなかいい解がなかったのだが、時流れて2012年。昨年からクラウドファンディングが流行し、これはいける!と思って塚田先生のところに何かやりましょうとご相談に伺ったのである。プロダクトを作るには設計費、金型費、認証取得費、その他もろもろたくさんの初期費用がかかる。イーテルミンもそうだが、こういったちょっとぶっ飛んだ商品は売れるかどうかを判断することが非常に困難であるため、誰がリスクを取って初期費用を払うんだという話にもなる。だが、ここ数年のインターネットによるモノづくり初期費用の激減っぷりは著しく、(このへんはこちらのエントリーを読んだあとにクリスのMAKERS―21世紀の産業革命が始まるでも読んでみるといい)シンプルな商品であればクラウドファンディングでもそのかなりの部分を賄える状況となってきた。

そこで、クラウドファンディングによる市場性の確認、つまり商品イメージを考える、デモ機を作る、デモをする、Cerevo DASHなどのクラウドファンディング・サービスに掲載する……というところまでを大学側が、その先の量産品の設計開発と販売Cerevoのような企業側が行うという分担ができれば、大学発商品の市場流入が加速度的に行われるのではと考え、実行に移したのがイーテルミン・プロジェクトというわけだ。

ここのところ取材や講演などで繰り返し言っていることだが、これから小ロット多品種展開のものづくりはHOTになる。家電業界は元気が無いとか言っているひとたちがいるが、それは単にワールドワイドで数百万台を売ることで高額な販促&流通コストをペイするというモデルが厳しくなっているというだけ。若い学生さんや研究員さんの柔らかい頭でひねり出した商品、最先端の研究内容が詰められた商品がニッチな層にしっかりと刺さるように企画・製品化されれば、高額な販促&流通コストを支払わなくても『欲しい!』と思った人たちが直販で買ってくださる。世界でここにしかない商品を作ることができれば、英語版Webページを作って展示会にちょこっと出すだけで、アメリカやEUだけではない世界中のあらゆる地域から『売りたい』という声が届く。現にCerevoが売っているLiveShellはユニークすぎる故か毎週のように聞いたことがない国から問い合わせが入り、社内では「XXってどこだっけ?」「えーと、地中海の右あたり?ww」「いや、ロシアの横だろ」といった謎の会話が繰り広げられている。ちょうど先週はリトアニアとトルコからそれぞれ売りたいというメールを頂いたところである。

まぁこのあたりの話は近日しっかりとまとめるとして、とにかく小ロット多品種生産がやりやすくなり、Webでの情報発信のみでグローバルな販売ができる仕組みが整ってきたというわけ。そうなると、あとは初期の開発費・製造費のリスクを誰がどう持つのか、という課題だけになる。そこに今流行のクラウドファンディングが最後のピースとしてパチリとはまったというわけである。

普通のビジネス雑誌だとここまでで『さぁどんな面白い商品が出てくるのか?』で終わってしまうのだが、アイディアを細かい仕様に落とせる人、試作機を作るところまで進められる人というのはそれほど多くはない。さらに、ある程度の金が集まったからといって、小ロットで量産機を作ることができる人や会社というのはこれまたレアである。さらにさらに、出来上がった製品を情報発信して世界で売っていける人や会社というのは輪をかけて少ない。

仕組み、お膳立ては完全に整ったというのに、新しい仕組みゆえにその膳を食らうに相応しい人がいない、という状況なのである。そこで大学×小ロット量産・世界で売る企業という組み合わせでまずは実例を作ってやろうじゃないかというのがイーテルミン・プロジェクトの陣容、塚田先生×Cerevoというわけだ。

注意点

このやりかたで難しいのは、クラウドファンディングに載せる前の段階で製造・販売する会社と綿密な調整を行うことである。すなわち試作機ができて、クラウドファンディングに幾らの価格で載せようか、どんな外装形状で載せようか、ということを考えている時点で、量産バージョンを作る予定の企業を見つけておいて、いったいどれぐらいの費用で開発できるのか、生産したら1台幾らになるのか、利益分配をどうするのか、といった話をすすめておく必要があるということだ。実際に量産品を設計・開発して量産を行い、流通に載せたことがある会社や個人でなければ量産品の設計事情がわからないし、何といっても価格を決めることができない。MOQ*1はいくつで製造してくれるのか、xxx台で製造したらどれぐらいの価格感になるのか、だからこういう素材を使うべきだ、あとこの部分の形状は何度傾けるべきだ...etc といった山のような議論・提案・調整を経てはじめて、価格とおおまかな形状が決まる。関連法規(PSE等)もあるし、PL保険なども含めた様々なリスクヘッジなんかも忘れてはいけない。これらも必要経費に加えなければプロジェクトのどこかで歪がおきるか、最悪破綻する。

だが、経験豊富な小ロット量産品スペシャリストがいる会社であれば、前述した『山のような議論・提案』が数日で済んでしまう。奢るわけではないが、今回のイーテルミンのディスカッションも3回ぐらいで済んでしまったのだから。勿論これは塚田先生がCerevoの量産に向けたコメントを真摯に聞いてくださり、仕様の調整などに手早く合意してくださったからなのだが。

おわりに

若い学生さんや研究員さんの柔らかい頭でひねり出した商品、最先端の研究内容が詰められた商品などが世に出てくることはいちユーザーとしても素晴らしいことだ。よくわからないけどあの仕様にしとけばこの層に売れるだろう的な商品を仕方のない消去法でむりやり買わされることも減るだろう。

コラボ一発目の題材として、イーテルミンはちょっとイロモノに走りすぎたかなぁという思いがなくもないが、宴会での一芸や、プレゼントにちょうどいい一品になるかとは思う。そして何よりも、日本の産学連携における画期的な1歩を実例として作り上げられるかどうか? が残り約75万円が集まるかどうか、という1点に掛かっている。

イーテルミン欲しいな!という方はもちろん、この取り組みを応援していきたいという方、この取り組みが成功してイーテルミンが商品化され世界で売られるようになったら成功事例としてうまく仕事や研究に使えそうだという方も、ご支援のほどよろしくお願いいたします。


ご支援はこちらから

*1:Minimum Order Qty, 最低発注数量

2009-05-13

高度オープンソースハードウェアの現状とビジネスモデル 〜チップを売るにはOpenSourceHardware化!?〜

先日Arduino関係のイベントをやって、オープンソースハードウェアについて少し説明する時間があったので、会で話した内容を含めてもう少しだけ詳しくオープンソースハードウェアの現状とビジネスモデルについて説明しておこう。尚、長いのでオープンソースハードウェアはOSHと略す。

3つのOSH

GainarやArduinoといった安価小規模マイコンに開発環境などがセットになった類のOSHはどちらかというとあんまりビジネスのにおいがしない。あるとしても、これらのボードを売って利益を得ようというケースだったり、関連書籍で売上を上げようといったものが多い。どちらかというとNPO的な出自に近いと言えるかもしれない。実際Gainarの出自はアカデミック(大学)だし、Arduinoもアカデミック向けに作り始めたのが元だと聞いている。これが1つ目。

Chumbyのアプローチは割と変態的だ。Webサービスプラットフォームを抑えておき、ここに接続することを前提としてHW仕様を開示してしまうというパターン。インフラ押さえて端末はFree、というそのビジネスモデルは電話会社(キャリア)に近いといえなくもない。昔々NTTが黒電話を作って配布しました、次にその仕様を開示して誰でも電話機を自由に作って売ってもいいよ、としました...という流れみたいなものだ。そのかわり、黒電話の仕様を用いるからにはNTTの電話網につなぐように作ることを強制する、というライセンス条項があったと思えばいい。これが2つ目。

で、本日の本題でもあるBeagleBoardやSheevaPlugといった、最新鋭チップセットを使った高度なEVMをOSHとして提供している事例。これはそれらの最新チップのベンダ(BeagleならTexasInsturments)が、チップを売りたいがために資金を投じて設計・開発・販売するという目的で行われているOpenSource化だろう。特にTIのように多種多様な電子部品を作っているベンダにとっては、BeagleBoardに搭載されているOMAP3530というメインSoCだけではなく、オーディオ&パワマネ用ICであるTWL4030やDVIトランスミッタであるTFP410などもすべてTI製で固めることができる。そうなると、BeagleBoardの回路図をベースに作った派生商品ではオーディオはTWL4030、DVIまわりはTFP410でおのずと固まってしまう。TIとしてはBeagleBoardの開発に資金を投入したとしても、またBeagleBoardに対しては破格でICを提供したとしても、元が取れるというわけだ。MarvellがやっているSheevaPlugも先のBeagleと同じようなもの。TIほど豊富に自社チップを持っていないものの、SheevaPlugのBOMを見るとMarvellの88E116RというGbE PHYなどが載っている。

高いチップを載せたOpenSourceHardwareとOpenSourceSoftwareのいい関係

組み込み、特にBeagleやSheevaといった高周波で動くハイテク系組み込み機器への回路設計やらアートワークやらといったハード側の作業は勿論容易ではないが、ドライバ回りのソフトウェア側もかなり大変だ。一応ベンダーから提供はされているもののバグバグだったり、特定機能の操作部分についてはそもそも提供されていなかったりすることも普通である。

そこでOpenSourceSoftwareの強みが出てくる。OpenSourceHardwareとしてバラまかれたボードとこれに付随するオープンソースのソフトウェア群は、沢山のユーザーコミュニティの後押しによってソフトが改善され、より使いやすいものへと昇華してゆく。

結果、Beagleの回路図のとおりBeagleのBOMリストにある部品をつなぎこめば、かゆいところに手がとどくソフトウェア群の恩恵を受けることができるようになるわけだ。そうなると、なるたけBeagleのレイアウト、部品リスト(BOM)を変更しないでモノを作ろうと考えるのが普通だ。そしてTexasInsturmentsの本業である「部品売り」にきれいに繋がってゆくというわけだ。


特に中小案系では、電子部品におけるオープンソースのドライバまわりの整備状況は部品選定に大きな影響を与えることが多い。TIとしても中小案件に細かくかかわっている余裕はないので、Give and takeでBeagleをOpenSourceHardware*1で提供することで開発者コミュニティからOpenSourceSoftwareを受け取ることで、中小の案件を取りやすくしてゆく仕組みだ。一種、チップセットベンダーのロングテールかっさらい作戦と言えなくもないだろう。



従来の「EVM一台何十万円」「付属ソフトはNDAベースでしか使えませんよ」といったシステムや「関連ドライバは有料で提供しまう」といったビジネスモデルもこれはこれで確立したものではある。が、EVMそのものをチップベンダーが提供していなかったり、付属ソフト・関連ソフトはこれまた関係会社が作って飯のタネにしたりしていた。

OSHとOSSの組み合わせで激安EVMをばらまくというBeagleやSheevaPlugのアプローチは、チップベンダーによるEVMメーカーや関連有償ソフトベンダーを中抜きした新しいやりくちと言えなくもない。



まだまだこれからのビジネスモデルではあるが、まわりの組み込み屋さんのBeagleBoard等への注目度やこのあたりのSoftwareUpdateペースを見ていると、これはきっとそれなりに来るモデルなんじゃないかと思うと同時に、小資本でネット家電を作るぞというCerevoの動きと合致していてなかなか良いじゃないかと感じる次第。

多分ESECあたりでもいろいろ面白い展示が見れるんじゃないだろうか。

*1:もちろんSoft部分も大きいが