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2016-12-04

スタートアップのPRバナシ (2) 〜 スタートアップのメディア露出はStep by stepで信用積み重ね。できることなら起業前から積んでおこう 〜

まえがき

スタートアップが広報をやっていくにあたり、だいじなことをシリーズ化しようと思ってはじめた『スタートアップのPRバナシ』シリーズ。なんと連載1回目がいつだっけなーと思ったら2年前という衝撃よwww

広報マーケティング Advent Calendar 2016【4日目】 の書き手が居ないってぇ話しだったので、じゃぁ2年ぶりにこのネタやるかぁということで。

用語(PR≠広告)

ちなみに当然だがPRはPromotionの略ではなくPublic Relationsの略。日本語でいうとこの『プロモーション or 広告』とは全く違う概念なのでお間違えなきように。スタートアップやるぞーという人の中にはこの用語辞典ですでにミスってる人が結構居るので注意。まずその時点でメディアの人には寒めの視線で見られてしまう。

(本題)スタートアップメディアとの関係を深めていくには、そのステップが超だいじ、というハナシ


NHKスペシャルとかガイアの夜明けみたいなTV番組をみていて、いいなぁああいう番組で取り上げてもらったらどかーんと売り上がが上がるんだろうなぁとか思うわけじゃないですか。


でも、物事には順番があるというのが今日の話題。起業したばかりの謎のスタートアップ*1、こういったテレビ番組に取り上げられることはほぼない。


先日某Webメディアの方&某TV局の方と飯食ってたときにこれはぜひBlogネタにしてくれと言って頂いたのでネタにするが、まずテレビ番組ってもんは手間がかかる。テレビの取材をもう数え切れないほど受けたが、ほとんどのテレビ番組は取材すると決めた時点で放送が決まっている。勿論ボツもあるのだけれどWebに較べて極めてすくない。なぜかというと、そもそも取材するコストがめちゃくちゃ高いからである。実際にテレビ取材を受けたことがある方はわかると思うが、カメラマンに音声さん、インタビュアーにディレクターさんと最低でも4名はいらっしゃる。ちょっと豪勢パターンになると、ADさんと照明さんが追加されて6名体制、これだけの機材を輸送するということでハイエース運転手さんが追加される。スタジオ撮影となると最低でも15名体制だ。これだけの手間をかけて、しょうもない内容だったんで放送やめます、というわけにはいかない。使用機材の減価償却のことなども計算すると、いかにテレビ屋が『ハズレの取材をするわけにいかない』かがわかるだろう。




なので、テレビに出たいという明確な目標を置いているとしても、まずはWebや紙といった媒体で何本もの記事を書いていただくというステップを踏むことをおすすめする。TV局の人たちは何か特殊な情報収集ネットワークを持ったCIAみたいな集団....なわけはなくて、彼らも日々ネットや紙(新聞や雑誌)のニュースを見ながら、どういったテーマで誰を取材しようかと考えている。テレビという特性上どうしても取材コストが高くなってしまうので、誰かが取り上げたネタを取材しにいらっしゃる傾向がとても高いというわけだ。実際局の人にヒアリングしても、やっぱりWebとか日経とか見て(どこを取材するか)考えていくよね、というコメントが多い。


こう言うと『紙ならやっぱり日経に』『WebならアスキーとかTechCrunch Japanに』と、またいきなり一流どころの名前が出て来るわけだが、これも我慢してStep by stepで。有名なメディアになればなるほど、マイナー企業を取り上げるデメリットが大きい。縁起でもない話しだが、詐欺だったら? 法に反することをしている企業だったら? なんてことは当然どのメディアも考えるわけだ。あなたが清廉潔白に頑張っているとしても、それを証明するいい方法ってものは存在しない。所属企業が有名上場企業であれば、企業がその安全を保証してくれる。残念ながらスタートアップにそこの信頼はないのだ。


じゃぁ、どうするか?


もう起業しちゃってるケース

おおきくわけて2つのステップがある。あなたがもう起業してしまっているなら、ちいさなメディアさんやブロガーさんからの取材依頼でも断らず、少しづつ少しづつ、メディア業界の中でのトラック・レコードを積み重ねていくことだ。名もないブロガーさんが記事にしてくれたら、それを見たちょっと有名なブロガーさんが記事にしてくれるかもしれない。そうすると、ちいさな商業Webメディアさんから取材依頼が来るかもしれず、それを見て1年後に中堅紙メディアからの依頼がくるかもしれない。この流れを続けていくと、有名Webメディアや地方新聞にたどり着くことができ、そこまで進むとやっと有名新聞系からお声がかかり始める。有名Webメディアや有名新聞に何度も掲載されているんだけどテレビからお声が掛からないんだねー、ぐらいに言っているころにやっとこさ地方のテレビ局だったり、ちょっと小さめのTV局の深夜番組あたりからお声が掛かりはじめる。コストの問題と、信用力の問題。これを理解してStep by stepで粘り強く進めていくことが、すでに起業してしまっている人にとっては重要である。


まだ起業してないよケース

あなたがまだ起業していなくて、それなりの信用力のある会社にいる場合。これは、今の会社にいる状態で『あなた自信』をしっかりとPRしてメディアの皆さんに知ってもらおう。怪しい人ではないことを理解してもらい、所属企業ではなく『1人の人としてのあなた』を理解してもらう。トヨタに勤めているカーデザイナーのAさん、自動車ベンチャーを立ち上げたいが....という状況を想像してほしい。『トヨタのAさん』ではなく、『Aさんはいまトヨタにいる』というふうにメディアの方に理解してもらうことが大切だ。具体的にやること? うーん、まずはメディアの知り合いを作るところからはじめたい。仕事のなかで出会うメディア系の方と仲良くなってもいいし、何か趣味を持ってオフ会に行ってたまたまそこにいたメディア系の人とつながるなんてのもあるだろう。気が遠くなるようなステップだって? そんなの、いくらでも手はある。いきなりNHKスペシャルの担当者さんと知り合いになりたい!というから難しいのであって、例えば先週行なわれていたAMN主催のブロガー忘年会に遊びに行くというのでもいいはずだ。参加条件はブログをもっていること、それだけなわけで。じゃぁ来年のブロガー忘年会(実施されるかどうかはさておき)のために今からブログを書こうでもいいわけだ。あるいは同じようにメディアの人と仲良くなりたいカーデザイナーを集めて『大手自動車メーカーのカーデザイン担当数人が語る飲み会』なんかを設定したら、面白いなと思ったメディア系の人が来てくださるかもしれない。


この辞める前に人としての信用力....は言い過ぎかもしれないが、どこの誰とも知らないヤツではなく、どこそこの企業で何をやっている人、というのがしっかりメディアのみなさんに理解れている状態で起業する人ってのは起業直後から有名メディアにばんばんと載りやすい。もちろん、取材に値するだけのネタを持っているという最低条件をクリアしていればの話しだが。


先日FacebookではShareしたが、元マイクロソフトの砂金さんがMSを退職されるにあたり、アスキーがその送別会を記事にした( http://ascii.jp/elem/000/001/240/1240501/ ) 。これはすばらしいことだし、砂金さんがメディアの皆さんと『MSの砂金』ではなく『砂金さんという人そのもの』をしっかりとメディアの皆さんに認知させたからだと思う。砂金さんはLINEに移られたが、仮に彼が起業をしますとなっていたら、初っ端から各大手メディアさんが記事にしたことだろう。元AWSの玉川さんしかり、である。




おっと時間がきたので記事を公開してしまうが、とりあえず言いたかったのは『いきなりNHKスペシャル狙いじゃなくってStep by stepで信用積み重ねていこうぜ』ということ。

*1:後述する個人としての信用が無いケースにおいて

2014-10-28

スタートアップのPR戦略バナシその1「プレス発表会のやりかた・手順書」

10/31にとある発表会をやるんだけれども、その関係でちょうど今週はごちゃごちゃとやっていたところなんで、メモがてら。

7/1 13時から発表会をやると仮定しよう。だいたいCerevoがいつもやるやりかたはこうだ。

Timeline

  1. . 5/1頃 こういう記事のタイトルで掲載して欲しい!というタイトルをきめる
  2. . 5/5頃 当該タイトルだと文中にどんな写真が入るか考えて、想定解をきめる
  3. . 5/5〜6/30 チームの開発風景やら何やらを眺めながら、おっ、これは想定解の写真になりそう!というシーンを写真に収める
  4. . 6/1頃 社内で発表予定日(6月31日)を決める
  5. . 6/14迄に何をどうやって発表するか、場所・時間など全部決めておく
  6. . 6/15 プレスの皆様&リリース投げ込み窓口に対して一斉Email
  7. . 6/16 どうしても来て欲しい重要メディアの担当者には社長個人アカウントから連絡(Message、ケータイメール、電話、LINE、FB Message、Linked in等様々)
  8. . 6/25-6/27 取材対応FAQをつくる
  9. . 6/27 事前取材プレゼン資料FIX
  10. . 6/28 事前取材DAY(関係者は終日予定をあけておく) ※親しい記者さんはできれば1日目に
  11. . 6/29 事前取材DAY(関係者は終日予定をあけておく) ※怖いメディアさん、怖い記者さんは2日目に
  12. . 6/29 当日の配布資料FIX
  13. . 6/30 当日のプレゼン資料 FIX(事前取材の内容・質問を踏まえて調整)
  14. . 7/1 発表会当日

いくつか重要なポイントを解説していこう。


記事タイトルを自分で決める?!

記事のタイトル決定権は記者・ライターさんにしかない。が、それをある程度コントロールできるのが発表側である。商品企画の責任者か、マーケの責任者か、はたまた代表取締役かはわからないが、当該商品の方向性について主導権を握っている人がタイトルを考えに考えて想定する。こう書いてもらったらバズるんじゃないか、こう書いてもらったら仕入れ数量が増えるんじゃないか、こう書いてもらったら人材採用がうまくいくんじゃないか、など。今回のリリースによって会社が得たいものは何かを考え、タイトルを考える。本当は、タイトルだけではなくリード(見出し文)まで考えるのが理想だ。WebMediaではリードがつかないところが多いけれど、付いているところを見て勉強すればだいたいリードとはなにかが理解できるはず。ちゃんとリードが入っているWebメディアといえばITmediaが有名ドコロか( 革新的な製品を作り続ける――パナソニック出身者が立ち上げた家電ベンチャーの新戦略 )。こちらの記事だと

家電やロボット自動車などさまざまなモノづくりの分野でベンチャー企業が躍進している。2007年創業Cerevo(セレボ)もその1つだ。インターネットと連動するさまざまな家電の開発によって注目を集める同社社長の岩佐琢磨氏にインタビューした。

というくだりがリードだ。リードはだいたい150文字以下だと思ってもらうといい。


ちなみに、この作業はほかのどの作業よりも難しいので執筆業経験があるスタッフを入れてやることをオススメする。

タイトル「1日3秒でOK! 劇的な歯磨き時間短縮を実現した’超電磁歯ブラシ’とは」

リード「元歯ブラシメーカーXX出身のXX社長が起こしたスタートアップ、XX社。怠け者の社長が毎日歯ブラシできるようにと考え、ABC技術を応用して実現したのが'超高速振動による歯磨きの高速化'である。」


150文字という制限がかかると、そう多くは書けない。また読者の目を引きたいと思うと魅力的なタイトルじゃないとだめだ。経験がないうちは、実際にITmediaImpressといったWebメディアのスクリーンショッをと撮って、画像合成して自分で作ったタイトルを入れてみるといい。

f:id:wa-ren:20141025184856j:image

違和感なければ、このタイトル、リードとなるようにプレスリリースの文面を作っていく。社長が元歯ブラシメーカー勤務であったこと、社長が怠け者だったんですよーという具体的事例、ABC技術についての説明、他は3分かかるけどこっちは3秒なんだぜってのをひと目でわかるような動画なり写真なり、などなど。

この順番で作り上げたプレスリリースは、取材にこないで記事を書いたとしたらもう自分たちで想定した表題にしかなりえない。もちろんそのものずばりのタイトルをつけてくるメディアさんなんてほぼありえないんだけれど、基本的には想定どおりの内容となることは間違いない。

難しいのはここでキャッチーなワードを作って埋め込むこと。超電磁歯ブラシ!じゃないけれど、何かメディアの人が書きたくなるようなワードを作る。そして、プレゼンやリリースの随所にそのワードを散りばめる。元歯ブラシメーカー勤務、超電磁歯ブラシ、ウルトラスペシャルグレートモーター、まぁ何でもいい。


ちなみに大失敗例はこうだ

タイトル「家電メーカーA社、短時間での歯磨きが可能な新歯ブラシを発売」

いやー、ちょっと、ちょっと!と言いたくなる見出しだけれど、最初にちゃんとした見出しを想定していないとこうなっちゃうのである。気をつけたい。

用語の揺れには気をつける

調理機器と言うのか、クッキングデバイスと言うのか、はなまたスマート鍋と呼ぶのか。ちょっとした言葉の選び方が記事の印象をがらっと変える。『これは調理器具ではありません、スマート鍋です』てなプレゼンから入れば、調理器具を発売!なんてベターっとした記事にはならない。ただ資料やプレゼンの中で調理器具といったりスマート鍋といったり、はたまたクッキングデバイスと言ったりするとどの言葉が使われるかわからないし、その上記者の方がうける言葉のインパクトも弱い。用語えらびとあわせて揺れには気をつけたい。


発表会の時間・曜日

敏腕記者さん・ライターさんは夜も関係者と飲み歩いて情報収集してネットワーク作っていらっしゃる。朝早いのはちょっとねということで、なるべく午後に設定したいところ。あと、大手メーカーのウルトラ大規模発表は株式市場が閉まる15時以降か、午前中というパターンが多い。なので、午後1時ぐらい(13時)がいいってわけだ。

月曜日や連休明けはネタが集中するので避ける。金曜日は翌日が土曜なのでWebMediaに当日乗ったとしてもあんまりビジネスパーソンが見てくれないのでものすごく消費者寄りのリリースでなければ避けるのが王道。ただし、この王道があるため小ネタであっても上位掲載を目指せるというメリットがある。また、一度いいポジションに掲載されてしまえば、通常土日で企業のリリースがくることはないので2日間上位掲載のままキープできるという可能性もある。ただし上級者向けなので、通常は王道にしたがって火〜木を選ぶとよい。


事前取材の重要性

当日13時-14時で発表会をやったら、もっと話をききたい!というメディアの方に出会える可能性がある。もし「もっとききたい」人が5名いらっしゃってそれぞれ30分を割り当てて対応したら、最後5人目の方は発表会終了から2時間待ちぼうけだ。ありえない。

また、メディアによって聞きたいことは結構違う。日経エレクトロニクスの記者さんにとってはどこのチップ(プロセッサ)を使っているかは重要な情報だし、TechCrunchの記者さんにとっては販売スキームとかの話に興味津々だろう。デジカメWATCHの記者さんは具体的な画質についての話しが聞きたいかもしれない。

ちゃんと事前取材に来て頂ければしっかり時間を取って話せるし、事前に記事を9割仕上げておいていただければ、当日発表会の雰囲気写真を貼って載せるだけでも十二分にいい記事になる。もちろん発表会を最後まで聞いていただいての記事というのが一番嬉しくはあるのだが。

取材対応FAQ

これだいじ、めっちゃ大事。ちょう大事。ちなみに書き方だけどまず質問をばばーーーーっと作る。一番いやな質問から作っていく。悪用されたらどうするんですか?みたいな。「A社からも同様の商品が出ていて値段も安い、売れんのか?」ってな感じ。うわー、おまえそれ聞くかよ、ってヤツ。続いて、答えづらい質問にうつっていく。「総開発費はいくらですか」「売上目標台数は」「前モデルの販売台数は結局何台だったんですか」ってな感じで。

言えないことは言わなくていい。裁判所ですら黙秘権が認められている国である。ただ、裁判所と違って黙秘するわけにはいかないので、言えないことはスパッと「ご興味を持って頂いたことは大変嬉しいのですが、XXについては非公開です」と言えないとだめ。記者さん的には痛いとこ突いてやろうぜ感ありありで来るので、スパっと言えないと「XXについて聞いてみたが答えを濁された」みたいな書き方をされると損。ふふふ想定してましたよその質問、だけど言えないんだよごめんねという感じじゃないと。

逆に、FAQを作ればうまい逃げ解答も用意できる。面倒と思わず作るべし。あと、FAQ作成には必ずエンジニアを入れる。ものすごーくテクニカルな内容もFAQへと入れましょう。かなり専門的な記者さんもいるので、答えられないと気まずい。HDMIのバージョンは? 対応している無線周波数は? 内部メモリ容量は? LCDはIPSか、VAか? タッチパネルの最大同時反応数は? 感圧ペンの分解能は? エンジニアも楽しくFAQを作ってくれると思うので、やるべし。


事前取材プレゼンは3〜5枚で10分以内

飢餓モデル、と勝手に名づけているのだけれど3枚から5枚ぐらいのかるーいプレゼン資料にとどめてしまうのがおすすめ。ほんとに概要と、どーーーしても伝えたい重要要素ぐらいしか話をしない。そうすると目の前に座っている記者さんから沢山質問が飛んでくる。A機能はあるのか? 解像度はいくらか? 開発に何ヶ月かかったのか? などなど。それをメモしておいて、本番の発表会までに資料を修正する。そうかー、やっぱみんなA機能気になるかー、って感じで。

本番のプレゼンは15から20分

本番プレゼンとその資料作成については長くなってきたので別エントリーでまとめることにしたいと思う。が、長いプレゼンは要点が見えづらいので15-20分でまとめたい。

さいごに

ホントはもっとたくさん気をつけなきゃいけないことがあるのだが、冗長になってきたのでシリーズ化(?) することにして本稿はここまてとしたい。一度の発表会にあまり多くのネタをつめこみすぎてはいけない、という話し的なww

まぁでもほんと、二回のリリースに分ければよかったのにーって案件は、よく目にするので気をつけたい。

2014-01-15

これがシリコンバレー流か!Anki DRIVEのブースがぶっ飛んでいた@CES2014

Facebookに書きかけていたんだけれど、今年はBlogでしょうもない情報であってもちゃんと発信していこう年間と決めたのでBlogにする。で、Anki DRIVEのブースがスゴかったという話。

今年話題になったApp toy(スマホ・PC・タブレット連携玩具)はCES 2014にはほとんど出展してたんじゃないかってほど出ていた。で、WWDCで話題になった(…ってもう半年も前か!!)AIミニカー玩具『Anki DRIVE(アンキドライブ)』もCES 2014のLVCC South Hall Level1にでっかいブースを構えて....いた....んだけどこれがすごい変態的。

ブースは3×3(30ft x 30ft)の9コマという出展料だけで500万円近い場所を取っているのに、写真の通り四方を高い壁で囲んで中に入ることもできない。壁にはさぞかし宣伝文句が書いてあるのかとおもいきや、"Think you can win? It does too"と"It's ALIVE"の文字だけ。で、ブースの外には『俺たちとMeetingしたかったらces@anki.comまで"CES Meeting request"って件名のメールをおくってね』という看板がちょこんと置いてあるだけ。

もう知名度は完璧だから無駄な説明員コストなんて掛けず、Invited onlyで必要な商談だけしようじゃないかというスタイル。これがAppleお墨付きのシリコンバレー流Apptoy start-upのやりかたかぁ、と関心というかびっくりした次第。横綱相撲感半端ない。


Anki DRIVE CES2014Anki DRIVE CES2014Anki DRIVE CES2014


.....と、ここまで書いて思ったのだけれど、Anki DRIVEは2.4Ghz帯のBluetoothを使っている。実際に遊んでみたがかなりタイミング勝負なところもあって、テンポよく通信できないと結構辛い。CESの会場は世界で一番2.4Gz帯が混線するんじゃないかというほど2.4Ghz帯機器だらけでめちゃくちゃな環境になっているので、もしかするとそれを嫌って実機デモを広く公開しなかったのか? という気がしなくもない。100%の性能を見せられずに(混線のことを知らない素人に)悪い評価を書かれてしまうぐらいなら、クローズドで分かる人にだけ見せるほうがいいんじゃないか、という判断だったとしたらそれはそれで面白い話。真実は闇の中だけれど今度知り合いつながりでAnkiの人と会えたら聞いてみたいと思う。


※どーでもいいけどこの壁つくるだけで100万とか掛かるw

2013-03-04

サブブランドとメインブランドの狭間で 〜どうしてPanasonicはeneloopブランドをぶっ壊したのか〜

まず、本エントリーの執筆にあたってPanasonic関係者1名たりとも話を聞いていないので、すべて推測と妄想と予想で書かれている空想科学読本みたいなもんだと思って読んでほしい。

元ネタはこのへん『新しいeneloopのロゴデザインが酷すぎると話題に(痛いニュース)』など多数。

パナのブランドまわり予備知識はこっちで。

で、まとめBlog界隈や観測範囲のヲチャー達の論点はだいたい一致していて

  1. eneloopというすごくいいブランドがあったのにこれを蔑ろにするとは何事だ
  2. eneloopという定着したブランドを捨てると売上悪化するだろうが
  3. パッケージのデザインがかっこわるくなった
  4. 買収しました自慢みたいに感じるよね

えーと、まぁ4は論外として1と2、ちょい3について。

サブブランドって本来的には使い方がすごくむずかしい。このBlogを読んでくださるようなアイアムビジネスマーン(シャキーン) アイライクニッケーイ(ジャキーン)みたいな人は全日本人の多数派ではない。いまや単三形ニッケル水素電池なんてものは中学生からシニアまで誰もが買う、歯磨き粉や整髪料レベルの商品カテゴリになったと言える時代。そんな一般的な顧客からみて、eneloopと三洋電機が結びついている人は少数派だったろう。笑い話だが、Panasonicが出していたコブラトップっつぅ超絶懐かしいラジカセを中学・高校時代愛用していたけれど、まさかそれが松下電器産業株式会社の製品だなんて大学二回生になるまで知らなかったからねw まぁ個人的な無知の話はさておき、あそこまでブランドネームを前面に押し出すと、本当に誰が作っているかわからなくなり、ブランドだけが独り歩きしていって当該商品カテゴリはものすごく強化されるんだけれど、コングロマリット的超大企業でやってる意味がなくなる。つまり、eneloopが売れまくって認知されまくった結果、GOPANが売れる、Gorillaが売れるという話になってほしいわけである。

確かに定着したブランドを差し替えると変えると顧客が離れる可能性はいくばくかある。しかし、圧倒的な市場シェアを握ってしまった後であれば、これを変えてメインブランドの訴求に使ってやろうというのはなかなか良い方法ではあるのだ。圧倒的シェアを持っているということは市場の大半がブランド名なんてどうでもいいと思って買っている層であり、パッケージデザインで半ば自動的にかごに入れるぐらいとなっているはずだからだ。

わかりやすい話で例えよう。今日から平和堂のロゴがヨークマートのロゴに変わったとして、これは嫌だから、これは疑わしいから他の店(イオン等)に行こう、とはならない。ちなみに小ネタだが、平和堂とヨークマート(セブン&アイHD)のロゴは酷似していてどちらもスーパーマーケットなのだが、平和堂はセブン&アイHDの傘下企業ではなく、れっきとした独立企業である。


読者の皆さんが当事者にならないと話が理解しづらいというのなら、逆パターンをイメージしてみるといい。いつも使っているトマトケチャップ、どこの会社が作っているか知っているだろうか? 『デルモンテ!』と答えた人はeneloopと三洋電機が結びつかない人と(食品業界においては)同レベルだ。パッケージをよーく見てみると、キッコーマンと書いてあるはず。でも、デルモンテトマトケチャップのパッケージがデザインそのまま文字だけ明日からキッコーマントマトケチャップに変わっても、多分人は気づかずいつものデルモンテだと思って買う。普及したブランドとはそういうものだ。トマトケチャップにおいてはカゴメとハインツがいるので話がややこしくなるが、実質的にデルモンテトマトケチャップが日本国内シェア90%というような状況であれば、上述した例は説得力があるはずだ。eneloopはいま、そういう状況なのである。

デルモンテトマトケチャップがキッコーマントマトケチャップに名称変更してその他キッコーマン商品のブランド強化に寄与させる、ということができないのは、トマトケチャップ市場に強大なライバルが2社いるからに他ならない。デルモンテ名を捨てた瞬間にケチャップ市場でのシェアを大きく失う可能性があるからだ。しかし、eneloopにはその可能性がほとんどない。なぜならばほぼ1社独占といえるほどの市場シェアを誇っているからだ。であれば、変更して他ブランドに良い影響を与えてやったほうが得というわけ。


結果、至る所でPanasonic柄の電池が目撃されるようになり、ブランドが刷り込まれ、そこまで深く調べて買おうということのない商品を買うときにPanasonic製なら安心かなとか、よくわからない、なんとなくな理由によりPanasonic製を選ぶ人が増えてくれる。その"なんとなく"はなるたけサブブランドを抑えてメーカー名を全面に出したコモディティプロダクトが醸造してくれるというわけ。なので、一般的にはコモディティ品ほどサブブランドを避ける方向に行く。ニッケル水素電池って5年前はまだまだコモディティになってはかったのでサブブランドありだったのだろうが、今の普及具合を見るともうその時期は終わったのかなと読む。単にブランド統廃合の手間かかっただけなのかもしれんけどさw

そういう意味....つまり、サブブランドが爆発的に普及して市場を寡占してしまったらメインブランド名に戻して他商品への+α効果を期待する、というアクションが一般的だとすれば、モバイルブースターをやめてパナソニックのモバイル電源ってしたのはちょいとだけ早すぎた気もしますが、英断だったのかなーという気はする。あの件について、業界人は名前がダサいよねという話にはなるんですが、それは先の例に出したデルモンテトマトケチャップがキッコーマンになったらきっとみんなダサいというでしょw それといっしょかなと。 



もっとも、そういう世界は徐々に狭くなってきている。少しでも調べれば豊富に情報が出てくる時代となり、何となくのブランドイメージでものを買う文化は縮小傾向だ。だからこそ、こういう仕事をやっているのであるw

おまけ: LUMIXはPanasonicでは異色中の異色

そうそう、一応これ書いておこう。私の知る限り、Panasonicロゴよりサブブランドやプロダクトネームが大きく、目立つよう表示されている商品は今のところLUMIX系だけである。結構面白いので調べてみるとよい。ちなみに国内有名カメラメーカーの製品で前面にメーカー名が出ていないのはリコーのGRとPanasonicのLumix系のみである。リコーはGXRでは前面メーカーロゴを復活させていることから、全モデルでサブブランドのみを前面表記しているのはPanasonicだけということになる。だからどーしたという話だけれどw

おまけ2: ソニーのバイオ&エクスペリア系サブブランドについて

ソニーがバイオをサブブランドと設定しているのかプロダクトネームと設定しているのかは知らないが、ここでは仮にサブブランドと呼ぼう。

ソニーのモバイル機器まわりのサブブランドは結構色々あってヲチしていて面白い。ノートPCを中心としたブランドとして知られるが実は1号機はAV編集用デスクトップPCだ。家庭用PC/AT互換機参入、ってことで付けられたサブブランドだったわけだが、その後ノートPC中心とするサブブランドとして確立。一昨年から携帯電話ブランドのXPERIAが合流した中でiPadショックが起き、さぁこれからはタブレットもやらにゃいかんぞとなったとき、気合が入りすぎたのか、『ソニータブレット』として驚きのソニーブランドでの展開を開始。

ちなみに商品名にソニーって入ってるソニー商品って実はめっちゃ少ないのでは?

まぁそれぐらい気合入れて飛び出したソニータブレットの結果がいまいちだったのかどうかは知るよしもないが、翌年モデルから『XPERIAタブレット』にまさかの名称変更。最初は某通信キャリアさんとのお上同士の話し合いでメーカー名を製品に入れるのはやめてくれ的な話だったりしたのかなーとか勘ぐっていたんですが、海外の展示会でもSony tabletの名称をやめてXperia tabletというものだから、これはやっぱりブランド設定で何かあったなと。まぁ平易に勘ぐるならうまくいかんかったんでしょうねと。さっきのeneloopの話とは逆方向ですが、大きな会社であればあるほど本体ブランドで攻めるというのは商品のカラーが薄まることになる。当然、大きな会社とは様々な商品を出していることが多く、様々な他商品のイメージからユーザが勝手に商品のイメージをつくりあげてしまう。

ソニーといえばオーディオ機器という感じのユーザからは、『ソニータブレットってんだから、音にこだわってるんでしょ?』という感じで。そういう方向でハードルを上げて商品を見に行って、そこが拘られてなければ落胆してしまう。本当はソニーといえばレコーダー、というユーザの心を掴みたくて作ってDLNAまわり作りこんだのに!!という裏があったとしても、前述のユーザには伝わらない。で、肝心のレコーダーのユーザーはレコーダーのブランドを冠してないが故に目にも止めてもらえず二兎を追って両方外した的なことになりうる。だったらスゴ録タブレットとかにすればよかったじゃない!というのが現状で、Xperiaブランドで再出発となったんだろうなぁと。あ、レコーダーユーザー向けに作ったとかは例え話で勿論嘘っぱちですよw DLNA周り頑張って作りこんでいたのはしっているけど、あくまでオマケって感じだったし。

eneloopの事例に近いけれど、ちょっと違うところでSonyは最近この業界では珍しい『サブブランドやーんぴ』をやった。それが例に出したレコーダーだ。10年ぐらい続けたスゴ録というサブブランドをやめて、『ソニーのブルーレイ』に帰ってきた。これはちょっと面白い流れ。ちなみにレコーダー業界では、TOSHIBAもバルディアをやめてつい最近『レグザブルーレイ』に名称変更した。こちらはサブブランドをやめたのではなく、ブランド名変更である。レグザブランドとの相乗効果を狙ったものと思われる。

どうしてソニーは無印に戻ってきたのか? は色々と思うところはある。でも、スゴ録は以前からすごく違和感があるサブブランドで、商品にロゴが付かなかったんですよね。そりゃ、日本語はかっこ悪いでしょ、という話なんだけれども。あれだけスゴ録!ってCM打ってたのに商品にロゴなしってのも珍しいケースでしたなぁと。


ちなみにシャープはそもそもDVDレコーダー時代、HDD/DVD時代で出遅れ、AQUOSブルーレイから実質参入してきたようなものだが未だAQUOSブランドで統一のまま。

PanasonicはDVD時代の頭はサブブランドなしとし、HDD/DVD時代最初はHS系の名前だったがすぐDIGAとし、テレビのVIErAと併存を現状も維持。

東芝はRD→VARDIA→REGZAレコーダと迷走している感じ。

ソニーはClip-onという名機に続く無印(RDR)・スゴ録・PSX・CoCoonの怒涛4並列時代を過ぎたらスゴ録だけが生き残ってその後"ソニーのブルーレイ"へ。

まとめ

サブブランドなし時代→サブブランド時代→→→またまたサブブランドやめる時代、って流れなのかなーと。ソニーのレコーダーはまさにその流れを通しでやった感じ。SANYOからパナソニックに変わったので違和感あはるが、SANYO電池→eneloop→SANYO電池(社名変わったんでPanasonic電池だけど)となっただけで、この業界よくある話じゃないのさ?というのが個人的な感想である。個人的にはPanasonicがひっそりとD-Snapブランド最後の一品であるポータブルオーディオプレイヤーをディスコンとし、数十年続いたポータブルオーディオプレイヤーを商品群から外したのが残念でならない。最初はカメラだったのにいつのまにかオーディオ機器のブランドになっていた変態プロダクトネームだったのになぁ、D-Snap(www


[rakuten:hmvjapan:11249500:detail]

2009-09-11

日本の家電メーカーが出す商品はなぜ”もっさい”のか

もっさい

標 準 語:かっこ悪い・ダサイ

使 用 例:なーんかあれはもっさいよね

意  味:なんかあれはかっこ悪いよね

http://inadani.jp/c13/dt/001265.php



twitterで @shi3z さんと喧々囂々と話していたネタが面白かったので軽くまとめてBlogネタに。

実は日本だけでなく、世界のどの会社も、Apple以外はiPhoneが作れなかった。それは経営者が美的感覚を軽視し、それを磨くことを怠っていたからだ。 by shi3z

というtwitをきっかけに

んー。形状判断を意思決定者がデザイナーあるいはデザインセンスのある社員に権限委譲できればいいはず。大手メーカーはできてないけど。 by warenosyo

なんてふらりと突っ込んだのが運の尽き(笑)

@warenosyo 結局、形状の判断は性能や価格の判断に比べて優先されない。これは最終的には意思決定者の問題。意思決定とは最終的には経営のこと。どんな会社でも社運のかかったような製品は役員プレゼンをするはずでしょう by shi3z

ときて

@shi3z うーん、そうなんだけど、役員が気に入ったものしか作れないなら、日本の家電メーカーは50代の人が気に入る家電しか作れないことになる。まぁ割と相当それが現実なんだけどw でもある程度の規模の会社の役員が判断するのは個人の価値観じゃないはず。できてるかどうかは別にしてw

俺はこいつの美的感覚はわからんが、お前がいいというなら出せというパターンか、あるいは何人中何人のターゲットユーザがいいといってるならGo、というパターンはあってしかるべきかと。女性向け商品とかそんな感じ(PやSHにおける美顔機器とか) by warenosyo

と返す・・・てなやりとりが色々と。まぁ詳しくはtwitterの過去ログを見てもらえればと思うが、デザインと家電の関係について色々面白い問題提起がでてきて、これはReplyしていくだけでBlogネタになるなぁということで活用させてもらうことにした。

脳みそデフラグぐらいの気分で軽く、ね。揚げ足取りでもなければ個人攻撃でもなんでもなく、問題提起に対するいち意見なので悪しからず。視点によって見え方が違うプリズムみたいなもんで多分正解のない話。

日本家電メーカーでもプロトはかっこいい

大枠としては日本の家電メーカーの商品がダサイ、デザイン的に尖ったものがなんで出てこないの?という話。「優れたデザインは結局役員プレゼンの段階で弾かれ、無難で凡庸なものが生き残る」という意見をもらったが、10代女子ロック好きにとって優れているデザインと、55歳男性趣味はゴルフてな人にとっての優れているデザインはこれまた違う。BMW M5をカッチョイイというのはオッサン中心だし、パッソがかわいいというのは若い女の子中心だろう。

このあたり、役員がデザインについてどうこう言うくせにデザインセンスがないから問題だ、という話ではないはずだ。勿論、中には彼らが下手に意見してめちゃくちゃになったプロジェクトの話なども聞いているのでさもありなんなところもあるが、実際デザイン部門や外部デザイナーを入れて作った最初のプロトはめちゃくちゃカッコ良かったり、かわいかったりしてよくできているものだ。

日本大手家電メーカーのデザインでも、コンセプトモックアップは確実に製品よりクールだ。たとえば最近発売されたオリンパスE-P1だってコンセプトモックは結構よかった。縦横比は奇麗に1:2だし、ロゴも目立ちすぎず、上面もアクセサリシュー以外フラット。レンズ全面に無粋なホワイトレタリングが入っていないのもいい感じだ。オレンジの革や青い帯がなければもっとシンプルカッコよくまとまっていただろうが。

でもこれが製品になると、こうなっちゃう。変なラインが上のほうに入ったり、グリップ素材のまわりに妙なリブがついたり、無粋な形状の大型ストラップホールがついたり。

車でも同じで、コンセプトカーはかっこいい。そういうものだ。E-P1の例はまだ頑張ったほうで、実際にはもっとひどい。プロトでは洗練されていたものが、量産品ではとんでもなくダサくなってしまうのはいつものことである。これはインハウスデザイナーの腕がない、育ってないという話ではなく、さまざまな会議・決裁を経て量産品に到るまでの過程の問題である。

問題は「経営陣の美的センスのなさ」ではない

実際問題として大手メーカー上層部がそれほど高いプロダクトデザインのセンスがあるとは思えないし、よしんばあったとしてそれはあくまで特定のユーザー層(50代男性、趣味ゴルフ、車はセルシオとか的なユーザ)におけるセンスであって万能ではない。

経営陣だけの話ではなく『美的センスを判断基準として重要なものにするという文化を会社のポジション的に持てないから』ということ。結論はこうだが、そこに到る流れを説明しないと事実を見誤るような気がしたので補足。

どういうことかというと、社内で美より大事なものが色々と定義されていて、そのための役職・組織が存在していて力関係としてこれらの力が大きいのである。この関係上、プロジェクトによっては美を追求したい・追求すべきとの判断となった場合でも、美以外の要素によって美が阻害されるという苦しい展開が待っていて、結論として美とならないという流れになるわけだ。

じゃぁなんで阻害されるの?美を追求したらいいじゃないという話になるが、そうはならないのだ。

なぜか。大手家電メーカーは大変大きな企業体なので、マスのなかのマスを相手に商売をすることを前提にした組織体系・意思決定機構になっている。Appleのようにニッチを狙うことに慣れていないのである。マスを狙うためには価格勝負をしないといけないし、品質的にもマスクオリティが必要とされる。返品リスクも低減しないといけない。その他様々な「ド・マスを狙うからこそこうしなければいけない理論」があって、それは今のところ限りなく正解に近い。だからこそ大手家電メーカーは高い株価をつけ、安定した事業を行っている(ようにみえる)わけだ。

結果、美を追求したいというデザイナーや尖った商品企画担当者の欲求は叶わず、デザイン妥協してコストを下げるだとか、デザイン妥協して視認性上げるだとか、デザイン妥協して耐久性上げるだとかの話になってくるわけだ。

決裁者にセンスがないというよりは、決裁の仕組みの中においてデザイン以上に優先される要素がいっぱいある、それは企業規模と狙っているマーケットからきているよ、という話。

じゃぁそれが問題なんだからデザイン優先させましょうよ、とPanasonicはSharpで実践したら多分会社がつぶれる。そういうものを求めているのは(PanaやSharpが見ている市場規模からすると)一部のユーザーだから。彼らはでかくなりすぎたのだ。

トヨタが全てのラインナップをTVRみたいなデザインにしたら業績急落して消滅の危機に陥ることは間違いない、という話と同じ。

解はないのか?

ひとつ可能性があるとすれば、ソニーがやったクオリアブランドのようなやりかたはあるかもしれないが、難しいだろう。もうひとつの可能性は、これまたソニーにおけるSCEのような独立愚連隊を作って、本社は手を出さない、というぐらいぶっ飛ぶしかないかもしれない。

こういう大手メーカーが『わかっちゃいるけど変えられない』部分を突いて中小の家電メーカーが勃興していってくれると面白い。Cerevoを立ち上げた背景も、今回話題にしたデザイン面とは違うが、ネット連携やネット企業とのアライアンス、ユーザーとのネット経由対話という点で『わかっちゃいるけど(ry』の部分を見出したためである。


まぁメーカーも賢い人たちが集まった集団なので、ええかげんAppleに一部市場をボコられ続けて10年ぐらい経てばちょっとは何かを見直そうという動きをしてくるはず、なのだが・・・。実態としては海外ケータイはすでにNOKIAやMotorolaにボコられ終わってiPhone何それ状態になってるし、PC市場はDell HPにボコられまくった後にASUSとACERにまでボコられてもういいや状態になっているだけに、本丸のテレビやデジカメにやってこられない限りは動きはないかもしれないが。

あとがき

なんか眠くて最後何を言いたいのかわからなくなってきたので後日加筆修正するかも、です

2009-07-30

ペイドパブが有効というかペイドパブ記事のほうが一般購入者の記事より有用な事例は多い!?

ペイドパブとは、ブログ執筆者に商品を無償貸与したり、有料施設に無料招待したりして記事を書かせるマーケティング手法のこと。...と、仮に定義する。

で、こういう記事は裏でカネのにおいがするから信憑性に欠けるし、そもそもユーザが自分の意見を言うBlogつぅメディアの基本理念を逆手に取ったケシカランやり方で、知らずに読んで内容を信じちゃう情弱涙目....ってなことになるからよくないよね。という意見が多く聞かれる。

シンプルにいえば「バイアスかかった情報なんじゃねぇの?」と言いたいわけだ。

勿論そういうケースも多々あるとは思う。が、実は無料モニター系、無料招待系ペイドパブは実際に金払って購入したユーザーよりも中立的で役に立つ情報を発信してくれる、というパターンも結構あるはずだ。



どういうことか説明しよう。まず、高価な商品を無償使用、またはもらっちゃう、という場合。

一見すると「よくないけどタダでもらったからいいこと書こう」となるようにも思うが、数万円出して商品を購入した一般の方のBlogのほうが、バイアスがかかっている可能性がある。

スペック表など何らかの事由に基づいて複数候補の中から特定の商品を選択したユーザーは、自分の選択が間違っていなかった、と考えたがる傾向にある。実は自分の選択は間違っていたかもしれない情報をあとから見聞きしても、自己の選択を正当化したがることは自明の理。特に購入直後はこの傾向が顕著だ。結果、Blog上では自らが選択した商品を『いいよ!とってもいいよ!』と宣伝する形になりやすい。商品に厳しいコメントをすればするほど、自己否定に繋がるからである。例えばノートPCを買って、実際に使ってみたらバッテリーが持たなかった、となると「じゃぁもっとバッテリー持つモデルを最初からちゃんと調べて選べよw」となるわけだ。高度に訓練されたアルッファーブロッガァー(笑)な皆様ならば自己のミスを笑って認めて後に続くユーザのために情報を公開する、ということができるかもしれないが、通常はなかなか難しいものである。

逆にペイドパブで商品を無償で貸与されたユーザは、商品に厳しいコメントをしても自己否定につながらない。先のノートPCでは「使わせてもらいましたが、バッテリーがほとんど持ちませんねー。外出先での利用が多い私には向かないかも」で済むわけだ。

先のエントリーで紹介した富士急の鉄骨番長のように長時間並ぶアトラクションなどへの特別招待や、有料施設への無料招待でも近いものがある。


普通2時間待たされて楽しんだアトラクションには、2時間分の自分の時間をかけただけのありがたみがあり、よっぽど酷いものでなければ、なかなか否定しづらいものである。その点特別待遇でさらりと楽しんだユーザからはより中立的な、ストイックな意見が出てくる可能性が高い。勿論、並ぶ際の注意事項や並んでいる時の悲喜交々は実際に並んだユーザからしか出てこない意見ではあるのだが。


というわけで、何万円とする家電のレビューや高額イベントのレビューなどにおいては、『実はペイドパブで書かれているBlogエントリーのほうがより中立的な(あるいは冷静な)評価となっている』こともあり、一概にペイドパブによる行灯記事はダメだ、という結論にはならない。


雑誌やWebメディアのPR記事では出稿社が記事内容を確認して、気に食わないところは片っ端から直させるのでまったくもってレビュー記事としての意味をなさないが、少なくともCyberBuzzやAMNが行っているブログを用いたペイドパブは記事内容に制限をかけないやり方で統一されているので、上記理論があてはまると思うのだ。

2009-06-17

簡単に社内Goが出ちゃうマーケティング施策では爆発的話題にはならない

少ない予算しか持たない小さな会社が、ユーザーによる口コミなどをうまく使ってマーケティングをするときのことを考えてみたい。大企業における小さな部署が、と読み替えてもらってもいい。

少ない予算なりに、自社マーケ担当者や広告代理店などから、商品の特性を活かした様々なマーケティング施策が出てくるだろうが、そこで自分の上司やそのまた上司あたりから"それならよし"と1回の会議で簡単にGoが出るような企画はまぁ、バズらない(クチコミとして弾けない)だろう

上司から罵詈雑言を浴びせられ、そんなマニアックな企画に反応するのはたった数百〜千人程度のユーザーであり、もっとジェネラルに、一般の人でも理解できるようなことをやれとたしなめられる……それぐらいの企画でないと弾けない(爆発的な話題拡大とならない)と思うのだ。といっても、数百人だけで盛り上がって終了、というケースが8割以上を占めてしまうのは確かだが。


マーケティングプランを立てるとき、1つの施策(例えばTVCM)にすべての予算を注いだりはしない。Web広告にタイアップ記事と、複数の施策で組み立てるのが一般的だ。というわけで、プラン組み立てにあたり必ず1〜2個はピンピンに尖った、いわゆる”ぶっ飛んだ”企画を入れるべきだと私は考えている。

そんなのだめだと思う関係者が10人いようと、たった1名であってもターゲットユーザー相当の担当者が鼻息荒く提案書を手汗でくしゃくしゃにしながら握りしめて300%絶対ハマります!と叫ぶ企画でなければ、尖った企画とは言い難いだろう。皆がそれなりに納得したような顔でふんふんと頷いているような案では、本当に刺したいユーザーにずばりと刺さって爆発飛散して周りまで被害甚大……なんてことにはなりえない。だって、ありきたりなネタをネタにするほど、"マニアックな発信者"達は情報に落ちぶれていないからだ。


これは、本命に8割の金を掛けつつ、のこり2割で穴馬馬券を買うようなもの。本命は本命であり、何万倍という倍率がつくことは考えにくい。無難にバナー広告とAdwordsを買って、雑誌でパブ記事を1〜2本・・・なんて展開で話題になることはまぁ稀だ。特に小予算となればなおさら。ダイヤを何千個も配れたり、SIMフリーの携帯電話を1500台配れたりするような予算があるなら話は別だが。*1

"マニアックな発信者"たちが「そ、そう来たか、くっ・・・w」ってぐらいに反応してくれるぐらいの局所的話題作りを徹底的に小コストで行う。それには「わかってるねぇ、企画したひと(にやっ」ってな反応を局所ユーザーの心の中に生ませなければならない。"同類でない人"の意見が入ったような企画に"マニアックな発信者"が「おおっ!」と反応してくれるわけがないのだから。


マーケ施策だけではなく、商品企画サイドも重要だ。マーケ施策連動型商品企画……なんて造語を作りたくなるが、そういう感じのやり方である。そもそもプロモ費なんてほとんどゼロでっせ、なんて商品においても前述したような尖りかたができればそれなりの勝機は十分にあるはず。メジャーなところでは萌え米なんてのは確実にこのパターンだろう。ちょっとマニアックなところではタカラトミーが発表したけどなぜかイーレボリューションから発売されたツンデレワンセグTV*2など。イーレボ社(現ワコー社)は家電業界にいる私ですら知らない会社だったわけだが、ツンデレワンセグの情報だけは局所的に有名となり、目にした方も多いはず。惜しむらくはこのハードウェアをうまくマニア層に差し込んで行く"局地戦的"マーケ施策が伴っていなかったことだろう。

繰り返しになるが、アニメやゲームといった方向に振れというわけではなく、局所的にしか理解できないが、局所では多いにネタになるような施策を突っ込むべし、という話である。

あ、そうそう。もう1つだけ重要なポイントがある。メーカー側の施策をネタにしてくれるユーザーさん達が、ネットコミュニティなどでの発言頻度が高く、発言力を持っている、というのがとっても重要なファクターだということ。某うめっちが日本のWebはサブカル系が強すぎて残念とか言っていたが、それだから故に萌え米や女子高生キムチで勝負していく、という流れが目立つのは致し方ないというか正攻法というかなんというかそのへん。


大企業が100万台販売を目指す機器のマーケティング施策ではないことは明らかだが、十数万台狙いぐらいまでは十分に効果的な穴馬の買い方なはずだ。

...ってな話を、数日前別のうめっちと話した。


※執筆BGMは↓

D

*1:勿論、本命筋でうまくやって話題を作る例もあるので、それはそれで素晴らしいことなのだがとっても難易度が高いという認識

*2:確か声優は非公開だけどくぎゅっぽい、という噂だったはず