京都からすま和田クリニック 和田洋巳の相談室

がん専門医の和田洋巳が40年近くのがん治療の経験で感じた「がんが住みにくい体づくり」について書いていきます。そのほか興味深いがんの症例やがんを防ぐ基礎知識など。

「第6回―がんを招く生活―」

前回までIGF-1を止めるための2つの方法を説明してきました。今回は、生活習慣がなぜ体にがんを招いてしまうのか?少し難しいですが、物理学の側面から説明をしてみたいと思います。

人の体の中、それは非線形でできています。非線形とは線形ではない、ということですが、食べすぎたから太るわけではなく、食べ過ぎてその分運動をしなかったから太るというように、体の変化に対する原因が直線的に説明できないということです。
なぜ非線形が我々の体の中で起こってくるか、要するに体を構成するのは元素です。元素が分子を作り、分子が細胞を作ります。その細胞のネットワークが臓器を作り、臓器が集まって人間の個体になります。この各々は全て、分子の幅でゆらいでおり、一定の幅の中でゆらいでいる場合は良いのですが、幅を超えてゆらぐような生活をしてしまうと、ネットワークが破綻します。その結果は直接的にくるのではなく、カタストロフィー(力学系の分岐理論の一種を扱う理論)と言いますか破局と言いますか、あるときに、この破綻の結果、がん化するということを、物理の先生方は、方程式を立てて説明されています。無茶をしたら体は戻る方向にいけない状態になる、ということです。

次回は、この典型ともいえる患者さんをご紹介したいと思います。