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京都からすま和田クリニック 和田洋巳の相談室 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2016-06-05 講座:新しい概念を用いたがん治療13 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

前回まで、ミサトールを例として、私の治療方針におけるハーブ・サプリメントの役割について話してきました。

ミサトールに含まれるウルソール酸をはじめとするトリテルペン類には、強力な抗炎症作用があることで、抗がんに効果的な働きをすることがわかってきていますが、少し炎症についておさらいしておきたいと思います。

炎症という言葉は、さまざまな場面で用いられますが、その定義についてはあまり考えたことがない方も多いのではないかと思います。

炎症について調べてみると、「炎症(えんしょう、英: Inflammation)とは、生体が何らかの有害な刺激を受けた時に免疫応答が働き、それによって生体に出現した症候である。さらにその免疫応答の結果によって生じる病理学上の変化を示す病理学用語でもある。」とあります。

炎症は、いわゆる細菌やウィルス感染により引き起こされるような急性炎症と、肥満や糖尿病、がんなどが発生している状態において引き起こされる慢性炎症の2つに大別されます。

これまで当ブログでも、NF-kBとがんとの関連性が強いことを再三指摘していますが、これはNF-kBが慢性炎症を引き起こす中心的な因子であることがわかっていることに起因します。更に言うと、慢性炎症は、NF-kBを活性化させるIKK活性を刺激することもわかっており、炎症、NF-kB、IKK活性といった負のサイクルが連鎖することで、継続的に慢性疾患が維持・拡大していくことを示唆しています。

このことからもがんに対する対処の仕方として、患部の切除や患部への攻撃を行うのではなく、まず炎症を抑えることが、必須であることがおわかりいただけるのではないかと思います。

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今回は、このような炎症を抑える(がんを抑える)ために、私がクリニックで患者さんに指導している、もう一つの重要な治療方針について紹介していきます。

がん細胞は、成長・増殖のため、大量のブドウ糖を取り込みエネルギーを獲得します。ただ、エネルギーを獲得する際に、水素イオン(プロトン)を産生するため、そのままの状態でいると酸性度が高まり細胞死してしまいます。がん細胞には、プロトンが大量に溜まりすぎる状態を避けるために、細胞外のアルカリ性のイオンと交換するポンプがあります。特にナトリウムイオンと交換するポンプは強力で、ナトリウムプロトンポンプ(Na/H exchanger:NHE)と呼ばれています。

私のクリニックでは、このNHEの活性を抑えるように体質・生活習慣の改善を行うように指導しています。

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下の図は乳がんにおけるNHEの分布を示すものですが、がんが悪性度を上げるに従って、NHE活性が強くなっていることを示しています。

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また、がん細胞には、下の図のように、pHを調節するための機構(ポンプ)が少なくとも7個あることがわかっています。

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では具体的に何をすれば良いのか、ということになりますが、NHE阻害剤というものもこれまでに開発されているものの、すべて命に関わる副作用で販売が中止されています。

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一方で、民間療法の中には、このNHE活性を抑える働きを持つものがあります。これはゲルソン療法と呼ばれているもので、単純に言うと、ナトリウム摂取の制限を行いつつ、ナトリウムを排泄する上で重要なカリウムを大量に摂取するという食事療法です。

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この食事療法は私のクリニックでは、すべからく、患者さんに取り入れてもらっていて、実際に尿中のカリウム/ナトリウム比が高い値を示すようになった状態で抗がん剤治療を受けてもらうことで、少ない抗がん剤で最大限の効果が得られるケースが少なくありません。

食事療法はがん治療においては、意外と軽視されがちですが、がんを抑えるには、とても重要な意味を持つことがおわかりいただけるかと思います。

次回からは、これまでのおさらいをしていきたいと思います。