ハーバードロースクールは法律事務所の経済学を教える


前回激動のアメリカ弁護士業界は今後どうなっていくのか? - 若江の日記にて紹介したセッションに引き続き、今日も、ロースクールのOCS (office of career services)主催のセッションに参加してきた。今日のテーマはLaw firm economics、講師はモリソン・フォスター(Morrison & Foerster LLP)のchairman(元サンフランシスコ・オフィスのマネージング・パートナー)、Keith Wetmore氏

内容は、law firmの経営に関する基本的な仕組み(つまり、弁護士あたりの時間あたり単価(rate)と、billable hoursとを乗じたvalueがあり、これにpremiumを足し、discountやwriteoffを減じたrealizationがあり、そこからアソシエイト・スタッフへの給料がその太宗をしめるexpenseを控除したものが、パートナーへの配分の原資となるnet incomeとなる)と、経営にあたってみるべき指標、それらが金融危機後の経済状況においてどのような影響を受けているか?といったところ。おもしろかったポイントのみ列記:

  • 昔は地域ごとに単価が違った(物価の高いニューヨークが頭一つ抜けていた)が、2000年代前半、某シリコンバレーのローファームがニューヨーク並みに引き上げたのを受けて、横並びになった。再び、地域ごとに差がつく時代がくるのではないか。
  • 事務所内で同年次の弁護士について異なる給料を設定するのは、多くの事務所において、提案されるたびに強烈な反対を受け導入されていない。しかし、少しずつ導入へ向けた動きが出ている。→この点は、アソシエイトの報酬については、日本のN事務所やA事務所のような仕組みが実は先をいっている?
  • 弁護士事務所において、特にパートナーの報酬の額をカットするのは大変難しい。だが、ショック、怒り、拒絶を経て、もうすぐ「受容」の段階に至るのではないか。

M事務所から来ているAさんもいっていたけれど、こういうことをちゃんとロースクールでやるのってすごいし、有益と思います。