法学教育に関する意見

いつも言っていることをメールで書く機会があったので転載:
I think the recent reform of the Japanese legal education was generally a success. I observe many new lawyers getting into our law firm have broader knowledge of law after studying at law school, compared with new lawyers who just focused on passing the bar exam under the previous system. Students, especially at top schools, are exploring wider fields of law while at law school, partly helped by an increasing number of practitioners who come to teach as visiting professors at law schools.
Still, because of relatively low passing rate (40-50%, which is low relative to US, of course much higher than the previous 2-3%) of the new bar exam, students and law schools, especially second tier and lower, are paying too much attention to passing bar exams. As in the US, because 2 or 3 year of study at law school require a large amount of investment (tuition, lost opportunity, living cost, etc.), students feel stressed about bar exams in a different way. (The stress under the old system was the total uncertainty of when you would pass the exam. The one under the new system is that you must pass the exam but you cannot be sure about it.)

What I don't like about the current system is the fact that the undergrad law departments survived the reform and most best students still go into law department (hogakubu) and take both LL.B. and J.D., which is non-sense. We should abandon LL.B. and channel potential JDs to study economics or other subjects before getting to law school.

The Japanese bar association and many lawyers generally oppose to the trajectory of increasing the number of lawyers. I oppose to such monopolistic view which is based on self-protective instinct of the elderly. The number of lawyers in Japan is still disproportionately small compared to other countries and need more supply of lawyers, which would increase the overall quality of legal service by way of competition.

弁護士がいらなくなる日


今日はHLSのバークマンセンターの主催で、The End of Lawyers?の著者であるRichard Susskindのレクチャーがあった。刺激的なタイトルであるが、趣旨は、クライアントの高まる要求のなかで、情報共有ツール等が一種のdisruptive technologyとなって、弁護士がクライアントにサービスを提供する形態はここ数年で大きく変わるだろう、という(まあ比較的穏当な)内容。

日本の事務所では、事務所内で使える契約書の共通フォーム(典型的な場合のモデル契約だけでなく、どういう場合はどう変える、といった注記が付せられている)やスタンダードメモランダムを作っているのがせいぜいである(そしてそれすらもあまり進んでいないのが現状)と思うが、大規模化が最も進んでいるイギリスの事務所では、(一定の種類の契約については)契約書生成プログラムが作成されているし、KPMGなどの会計・税務事務所では、それらプログラム自体を有償でクライアントに提供するサービスも進んでいる。さらに、コモディティ的なものについては、無償で提供されるようになるのではないか。弁護士からの反応として個々の案件は特殊であり一つ一つアワリーチャージで処理していくべきとの反論があるが、案件の内容は分離可能であり、多くの部分はシステマティックに処理することができるはず。オーストラリアやUKのように法律事務所が上場したりPEの投資を受け入れたりすれば、そのような業務の効率化も弁護士がやっていたのよりもはるかに速いペースで進んでいくはずだ、といった主張。
日本での実務の経験に基づいてちょっと考えてみると、契約交渉の結果キーとなる条項は力関係やら案件特殊の事情によって決まってきて、必ずしも合理的でない妥協をすることもある。新しい案件でドラフトをつくるときは、その辺を割り引いたり足したりして契約書を作らないといけないが、このへんは、多くの場合、一番下のアソシエイトがとりあえず前の案件をベースにドラフトして、シニアな弁護士がレビューする、という過程を経るなかでやっているだろう。理想的には案件が終わるたびにそういう細かなニュアンスも含めて記録して、共有できればいいのだが、実際は他の案件が忙しすぎて(あるいはアワリーチャージというインセンティブ構造のせいで?)そのような作業はなかなか行われづらい気がする。究極的には、クライアント、競業他社からのプレッシャーによりいずれは変わって行かざるをえないのだろうが、当面、事務所内ブログやら、twitterWikiといったツールを使ってできないだろうか?

更新: 不況によって、たくさんの時間働いて稼ぐというアソシエイト弁護士のワーキングスタイルが変わりつつあるという記事を紹介したエントリがあったのでリンク:
元企業法務マンサバイバル : 変わり行くリーガルプロフェッションのあり方
レバレッジをたくさんきかせて若い弁護士に時間のかかる仕事をたくさんさせてもうけるというビジネスモデルは、早かれ遅かれ衰退していく、というSusskind氏の議論と整合的に理解できるだろう。不況がそれを加速しているにすぎない、と。単にローファーム全体として仕事が減るというよりは、混乱した経済環境においては、いわゆる伝統的な弁護士の業務形態=テイラーメイドでやらないとできない(しかし若手の力はそれほど必要としない)難しめの案件が増えてくるため、三角形の鋭角がだんだん小さくならざるをえないということ。とはいえ、誰もがみんな最初は若手なわけで、いわゆるリピートの案件を繰り返してはじめて難しいことができるようになる。その意味で場合によってはクライアントがそのぶん負担していたことになろうが、それを解消するとして、じゃあどうやって育てるのか。Susskindがいっていた情報共有ツールへの初期投資などと同じように、人的投資のアップフロントの負担を内部で吸収する必要がでてきて、法律事務所も(人員的でなく)資金的なレバレッジをきかせる必要が出てくるのだろうか。そうなると、(もちろん弁護士法等の改正が必要になるけれど)外部資金の受け入れも当然の選択肢として出てくるのだろう。これ、そんなに遠い先の話ではない気がする。

The End Of Lawyers?: Rethinking the Nature of Legal Services

The End Of Lawyers?: Rethinking the Nature of Legal Services

PS:
1ヶ月以上も更新せずにおりすいません。ブログを書く精神的余裕がなくなっておりました。。。

不況でサマーインターンシップが見つからなければ、起業しちゃえばいい


以前の記事で書いた(激動のアメリカ弁護士業界は今後どうなっていくのか? - 若江の日記ハーバードロースクールは法律事務所の経済学を教える - 若江の日記)とおり、ロースクール生のジョブマーケットの状況は相当に深刻だ。(にもかかわらず、ロースクールへのアプリケーションはかなり増えているらしい。とにかく弁護士になっておけば安心というわけではないが、これからロースクールで勉強する人たちは、この記事のようなアドバイスに従って、アカデミックな興味をおろそかにして妙に短期的で戦略的な行動ばかりとるようになるのだろうか。。。)

この厳しい就職事情は、Ph.D.(リンク先は経済学のPh.D.のジョブマーケットについてのWSJの記事)ビジネススクールの学生についても同じであるようだ。

ビジネススクールの学生は、1年目のRC (Required Curriculum)と2年目のEC (Elective Curriculum)の間の夏休みは、就職先候補の会社でサマーインターンするのがふつうで、企業派遣で来ているような人も、どこかの会社でサマーインターンをするのが、去年までは通例であったようだ。しかし今年は、サマーインターン先が見つからないという人が結構いる。

ビジネススクールの友人たちと話していてすごいなと思ったのは、彼らは、サマーインターン先が見つからないからといって無為に終わらないこと。複数の人から、夏休みを使って、自分の貯金をはたいて起業するという話をきいているし、法律に関する相談を持ちかけられたりもしている。状況に文句ばっかり言っていないで、とりあえず行動を起こし、自分を試してみるという姿勢。別に失敗したって、失われた出資額は授業料だと思えばいいじゃないか、別に有限責任なんだから。むしろ、そこから得られる人脈や、自分で一から全部事業をまわすファーストハンドの経験は、お客様に終わってしまいがちなサマーインターンよりもむしろ有益かもしれない。できる限りで応援したいと思う。

中国企業のアメリカ進出(万向集団)

Harvard Business Schoolで受講しているDoing Business in China in the Early 21st Centuryのセッションが、今日で最終回を迎えた。毎週2回ないし3回、ロースクールからYardを抜け、JFK Stをあるいてハーバードスクエアを通り過ぎ、チャールズ川をわたって川向こうのビジネススクールまで通うのも、これが最後かと思うと感慨深かった。


今日は中国企業の米国進出の一例として、中国の自動車部品メーカーであるWanxiang America(万向集団)のケースをとりあげた。彼らのこれまでの海外進出をみると、リゾートやら不動産やらをコングロマリット的に買いあさるところや、海外企業を買収した後も経営にあまり手をつけない(hands-off management)ところなど、往年の(今でも?)日本企業を想起させる部分もある。しかし、ゲストできていたPresidentのNi Pin氏が、予想を超えてさばけた考え方をする大変おもしろい人で、この中国企業は、意外と興味深い動きをみせるのではないか?と思った。特に最近話題のアメリ自動車産業のど真ん中の中西部で、労働組合との交渉を行ってきた経緯が興味深かった。日本企業はどんなふうにやってるんだろう?

Ni Pin:
中国は資本主義の国、アメリカは社会主義の国で、中国で機能することがアメリカでは機能しないこともある。

Ni Pin:
経営が低迷していた会社のマネージャーたちとのミーティングをしたら、彼らは4分遅れてやってきた。僕が「遅刻ですよ」といったら「市内で車が混んでいて」などと言い訳をしてきたから、僕はこういった。「あなたたちはもっと前にくるべきだった。2年以上遅刻している。」
さんざん長いミーティングが終わって、誰がいつまでに何をやるべきか宿題を決めて解散した。しかし、その彼らからは何もその後の報告がなかった。彼らは破綻した。

日本語だと、愛知大学の国際中国学研究センター「海外進出する中国経済」のなか、中国企業による米国市場への参入についての章で、万向集団もふれられている:
李 春利「中国企業の米国市場参入戦略の分析」

海外進出する中国経済 (叢書現代中国学の構築に向けて)

海外進出する中国経済 (叢書現代中国学の構築に向けて)

中国発・多国籍企業

中国発・多国籍企業

アメリカ在住のロースクール生が使って便利なアプリ(その3)

その1その2に引き続き、iPhoneアプリの紹介。

(5) NetNewsWireNetNewsWire

Macで最も使いやすいといわれるRSSリーダーであるNetNewsWireと連携して使えるiPhoneアプリ。ブログ、はてなブックマークdeliciousソーシャルブックマークロースクール・大学・その他のアップデート情報その他RSSリーダーはメールと同じくらい重要な情報ツールである。すきま時間で、気になるエントリのみクリッピングしておき(あとでパソコンでゆっくりみる、ソーシャルブックマークにあげる、などなど)つつ、大量のRSSをさっさと消化していけるのは大変便利。

(6) Wikipanion+Wikipanion Plus

Wikipediaブラウザ。昔のルームメートの彼女によると、「Wikipediaは今世紀最大の発明」らしい。iPhone上のSafariでそのままWikipediaをみると字が小さくて見づらいが、これでみると見やすいし、閲覧した記事の履歴をとっておいてくれるので助かる。

(7) 模範六法模範六法 2009 平成21年版

こちらで勉強をしていて、日本の法律はどうなっていたっけ?と思うときがあり、パソコンがあれば総務省http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxsearch.cgiをみればいいが、iPhoneしかもってないときはこれでみる。

(8) Wisdom英和・和英辞典ウィズダム英和・和英辞典

前回紹介したi英辞郎と併用する。

(9) iConvertiConvert

単位換算ソフト。ポンドとかマイルとか言われてもよくわからない、、、ということはよくあるので、重宝する。

(10) RecorderRecorder

ボイスレコーダアプリ。iPhone 3.0では標準で提供されるようだ。

(11) Amazon.com

日本のApp Storeでは提供されていないが、iPhone上でAmazon.com上のほぼすべての商品を検索し、ショッピングカートにいれ、また直接注文することもできるアプリ。Amazon.comは書籍・CD・DVDの簡易データベースとして使うことができ、出先で気になったときはこれで調べる。(店で買うよりAmazonで買った方が安いときは、これで買ってしまうことも。)

(12) HopStopHopStop

乗換案内アプリ。Google Mapsと違い、ボストンの地下鉄やバスにも対応しており、相当程度正確な情報を教えてくれる。

(13) Easy Wi-FiEasy Wi-Fi

無線LANのオートログインソフト。Harvardの構内は無線LANの電波がキャンパス中(一部はキャンパスの外にも)飛んでいるが、ロースクールの外だとIDとPINでのログインが必要。また、Starbucks等でも無線LANが使えるがこれもIDとパスワードのログインが必要。これを自動的に行うソフト。
なお、iPhone 3.0では標準提供されるらしい。

(14) Tasks

Googleの提供するウェブアプリ。http://google.com/tasks/を登録する。iPhoneのカレンダーソフトはなぜかTo doを同期しないので、僕はGmailからアクセスできるTasksにてTo doを管理している。

(15) Gmail

これもGoogleのウェブアプリ。iPhone標準のメールソフトの弱点として、過去のメールの検索ができないところがある(この点はiPhone 3.0で改善され、IMAPサーバー上の過去のメールも検索できるようになるらしい。)ので、それを補うために使っている。待ち合わせ場所や人の電話番号等、調べることは結構多い。

(16) Google Mobile AppGoogle Mobile App

iPhone上の連絡先情報等やウェブ上の情報を串刺し検索できるソフト。また、iPhoneに向かって検索したいキーワードを発音するだけで検索してくれるという機能もあるが、僕の劣悪な英語の発音ではあまり快適なエクスペリエンスが得られない(泣)。
iPhone 3.0ではOS標準で検索機能がつくようなので、あまりいらなくなるかも。

ハーバードの日本人独身男子が自炊する理由


こちらに来てから、ハーバードロースクール、ハーバードビジネススクール及びケネディスクールのいわゆるプロフェッショナルスクールに在籍する人たち以外にも、ハーバード及びその周辺の大学でPhD(ないしMDやポスドク)をやっている日本人と知り合いになる多くの機会に恵まれた。東京で弁護士をやっていては知り合う機会のない、学問の各分野の先端を走っているトップクラスの研究者及びその卵たちと話すのは、それ自体、新鮮で刺激的な体験だ。いや、実際はだらだら飲んでいるだけなのだが(笑)。

そのなかでびっくりしたのが、PhDの独身男子がほぼ例外なく自炊することだ。ホームパーティーをすることがあれば、男子たちが厨房にたち、あるいは手料理を持ち寄るが、どれも素晴らしい出来映えで、日頃から料理をしていることが伺われる。これに対し、僕が東京で弁護士をしていたときは、男性アソシエイトが一人で食べるご飯は、昼も夜も外食又はコンビニのご飯が当たり前だったし、飲み会は、ほとんどの場合レストランやバーを予約していた。(もう一つ文化の違いを感じたのは、よほどの大人数でない限りレストランを予約する習慣がないことだ。ニューヨークでは必須のZagatOpenTableは、ケンブリッジではあまり使われない。)

こちらにきてからしばらくたつが、僕は、ご飯をたいて卵と納豆とキムチで毎朝ごはんを食べ、夜、たまにミックスベジタブルと魚又は肉を買って野菜炒めを作る(これらは料理の範疇に入るまい。)以外は、東京にいるときと同様、まるで料理をしない。


この違いはなぜなのか。同じくPhDの女の子(彼女の料理もまた素晴らしい)にこの点を指摘されたとき、まず忙しさの違いに原因を求めようとしたものの、弁護士はたしかに忙しかったが、PhDがおそらくLLMよりもずっと忙しい生活を送っていることからすると、それでは説明がつかない。では、ボストンのPhDの学生の間では性的役割分担に関し男女平等が徹底していて、僕が保守的かつ怠慢ということなのか? 何人かに話を聞いてみると、彼らは、東京ではぜんぜん自炊などしていなかったが、ボストンに来てからやむを得ず自炊を始めた、という人が多い。どういうことか? いろいろ考えてみたが、自炊するかしないかというbehaviorを決定するのは、主として環境要因であり、あとはせいぜい味覚の違いなのではないかと思う。つまり、一定レベル以上の味覚を持っている人にとって、一定レベルの外食を支える収入又は貯蓄があってかつ日本食にこだわりがないという条件を満たさない限り、ボストンにおいては、自炊するしか選択肢がないのだ。結局、行動を規定するのは、思想ではなく、環境にすぎないのだ。

  • 味覚(そもそもの食事に対するこだわりの有無):たとえば、ロースクールの学食(Hark)は最高だ、Harvard Squareにあるメキシカンはどれもおいしいとどうやら本気で思っている同級生がいる(彼は驚くべきことにこっちにきてから米を一回も買っていないのだ!)が、彼はどんな場所に住んでも外食だけで幸せに暮らせるだろう。あるいは三食シリアルフードでもいいという修行僧のような人もいると聞く。かれらは可哀想に人生の楽しみの半分をすでに失っているが、それ以外の半分で十分な幸せを勝ち取っているに違いない。
  • 近辺における満足のいく食事の入手可能性:一定レベル以上の味覚を有することを前提として、満足のいく食事がある程度のお金を出せば外食で入手可能か。ニューヨークはNippon Club、Restaurant Nipponはじめ、すばらしい日本食の店がたくさんあるうえ、各国料理を含めればおいしいレストランは星の数ほどある。他方、ボストンはこの条件をいちおう満たすが、日本食へのこだわりは捨てる必要がある。ドクターペッパーを愛飲し、生野菜をばりばり食べる僕の味覚はアメリカ人なので、ぜんぜん大丈夫である。ただ、ボストンは、東京・ニューヨークに比べると全体的に質がかなり低いことは否めず、味覚の劣化は避けられない(だいぶ味覚が衰えた気がする。)。さらに、プロビデンス等の地方都市にいくと、外食は一定の例外を除き絶望的なものとなる。
  • 満足のいく外食に要する費用に対する、その人の収入ないし貯蓄の額:店を選べば昼でも夜でも1,000円以下でバランスのよい食事が食べられる東京と違い、ボストンで手頃な料理となると、一定の例外を除き、ピザなどの栄養が偏ったファーストフードになってしまう。留学・研修中の弁護士であっても、貯蓄が底をついてくると、自炊せざるをえなくなってくるだろう。他方、自分の収入や貯蓄が不十分でも、親からの仕送りや将来キャッシュフローへの期待に頼って外食を続けることができる人もいるであろう。
  • 自炊を始める心理的抵抗:料理が習慣になると、おいしい料理が作れるようになり、また手間もかからなくなってくるし、逆に手間がかかっても楽しいと思えるようになる、とのことだ(あくまで伝聞)。しかし、始める当初は勝手がわからないのでやたら手間がかかるうえ大したものが作れず、がんばってつくったものが結果としてカフェテリアのごはんよりまずいかもしれない。そうすると、自炊を始めるかどうかは、外食というoutside optionと、自炊を始める心理的抵抗の強さとの比較によって決まるというべきだろう。そして、大学時代一人暮らしだったか実家だったか、実家が共働き(あるいは片親)だったか専業主婦だったか、料理のお手伝いをしていたか、性的役割分担についての考え方等いろいろな要因によりこの心理的抵抗の強さは決まるのだろうが、上記環境要因によって現実的に自炊しか選択肢がなければ、その強さにかかわらず自然と自炊することになるだろう。


このような環境要因によって自炊の習慣を身につけた男子は、結婚した後もすすんで料理をしつづけるのか。将来日本に帰るとして、日本に帰ってまったく異なる食環境に入った後どのような行動をとるのか。興味深いところだ。まあ、実は一番扱いやすいのはきっと、フローチャートの一番上で「外食でOK」に至ってしまう、味覚が欠如した男たちなんだろうけど。(そして僕は、料理もできないくせに舌だけはやたら肥えた、一番扱いづらいタイプだ。)

ハーバードロースクールは法律事務所の経済学を教える


前回激動のアメリカ弁護士業界は今後どうなっていくのか? - 若江の日記にて紹介したセッションに引き続き、今日も、ロースクールのOCS (office of career services)主催のセッションに参加してきた。今日のテーマはLaw firm economics、講師はモリソン・フォスター(Morrison & Foerster LLP)のchairman(元サンフランシスコ・オフィスのマネージング・パートナー)、Keith Wetmore氏

内容は、law firmの経営に関する基本的な仕組み(つまり、弁護士あたりの時間あたり単価(rate)と、billable hoursとを乗じたvalueがあり、これにpremiumを足し、discountやwriteoffを減じたrealizationがあり、そこからアソシエイト・スタッフへの給料がその太宗をしめるexpenseを控除したものが、パートナーへの配分の原資となるnet incomeとなる)と、経営にあたってみるべき指標、それらが金融危機後の経済状況においてどのような影響を受けているか?といったところ。おもしろかったポイントのみ列記:

  • 昔は地域ごとに単価が違った(物価の高いニューヨークが頭一つ抜けていた)が、2000年代前半、某シリコンバレーのローファームがニューヨーク並みに引き上げたのを受けて、横並びになった。再び、地域ごとに差がつく時代がくるのではないか。
  • 事務所内で同年次の弁護士について異なる給料を設定するのは、多くの事務所において、提案されるたびに強烈な反対を受け導入されていない。しかし、少しずつ導入へ向けた動きが出ている。→この点は、アソシエイトの報酬については、日本のN事務所やA事務所のような仕組みが実は先をいっている?
  • 弁護士事務所において、特にパートナーの報酬の額をカットするのは大変難しい。だが、ショック、怒り、拒絶を経て、もうすぐ「受容」の段階に至るのではないか。

M事務所から来ているAさんもいっていたけれど、こういうことをちゃんとロースクールでやるのってすごいし、有益と思います。