分岐点。

きびたきトンネル。

先日の会津の帰りに、以前から気になっていた場所へ
行ってきた。
その名は国道289号線『きびたきトンネル』。
1996年供用開始の比較的新しいトンネルであるが、
驚いたことにトンネル内で分岐があるのだ!!
それも供用開始から7年足らずで『分岐を造らざるを得ない』
状況になり、わざわざ分岐を造ったというもの。
なかなか曰くありげな感じが、何とも琴線をくすぐります。



初めてこのトンネルの存在を知ったのは、よくチェックしてるコチラのサイト
『山さ行がねが』←Click!
だったが、そのレポート時はまだトンネル内分岐を造っている最中であった。
しかしそのレポートにあった、トンネルの前に新たな坑口が立ちふさがっている
異様な画像に、何とも興奮を覚えたのも確かだ。
『甲子道路レポート』←Click!!


上記レポートにもあるが、概要を簡単に記せば
いままで3つのトンネルと2つの橋で結ばれていた区間のうち、一番奥(甲子峠寄り)の
石楠花トンネルの地下で地滑りが起き、このトンネルが危険となり放棄されてしまった。
そこで、一番手前のトンネル『きびたきトンネル』内で分岐をつくり、2つのトンネルと橋を
山側に迂回し、「石楠花トンネル」の脇へ貫通させる事で新規ルートとした。
 という、何とも思い切ったというか、大胆な工事を施工した結果のトンネル内分岐なのだ。


と、前置きはここまで。
現在のR289の終点、甲子温泉へ向かいました。まずは「きびたきトンネル」を通過。
確かに無理矢理な分岐がチラと見えますが、一旦通り過ぎます。
甲子温泉から引き返して、「きびたきトンネル」の甲子峠側坑口(石楠花トンネル脇)
を見ることにしました。
この道の現在の終点は甲子温泉だけなので、交通量も少なめです。それを幸いに
最徐行で撮影しながらトンネルに入ります。

<きびたきトンネル(甲子峠側坑口)>

まさに、まさに、異様!といった所です。坑口の前に坑口。
なんというか、メガネの上からメガネをかけたみたいな風景。
なかなか見れる景色ではありませんよ!
今まで見た中でも最上級にヘンテコな眺めです。


次は白河側のトンネル内分岐を観に行きます。
これまた幸いなことに、トンネル出口脇に駐車スペースがあり、そこから歩いて行けました。
コチラもまたヘンテコな風景で、無理矢理トンネルを左に曲げて分岐を造ってます。
もう既存のトンネルは使わないのだし、文字通り『塗糊』してしまっても良さそうなのに
既存のトンネルも残してあり、その向うに廃道化されたトンネルと橋梁が見えてます。

<きびたきトンネル分岐点>


折角なので、廃止側の道はどうなってるか裏へ行くと‥

<分岐裏側>
コンクリの塊が新しいトンネルに沿ってトンネルのアーチを覆ってます。
構造的に、この場所は弱くなると思うので、ガッチリと旧トンネルも埋め戻して
しまうのかと思いきや、この程度のコンクリで強度が持つものなのですね。
分岐を造ってしまうトンネル技術は大した物だと感心した次第でした。


分岐脇にはトンネル銘板がありました。

<新・トンネル銘板>
2006年竣工 全長896.3m 全幅7m 全高4.5mとのこと。


しかし、トンネル出口脇の旧銘板によると

<旧銘版>
1985年竣工 全長295m 全幅6m 全高4.5m
と、同じトンネルに全長が異なる銘板が掲げられていました。
なかなか興味深いですね。


という事で、今日は寄り道してまで行くだけの面白いものが見れました。
肝心のR289は来年度に全線開通して会津田島〜白河間が結ばれます。
その時に、分岐や旧トンネルが埋め戻されるのか等は分かりませんが、
今後も注目して行きたい所です。