勇猛なるジャレグ―暗殺者ヴラド・タルトシュ

勇猛なるジャレグ―暗殺者ヴラド・タルトシュ (ハヤカワ文庫FT)

勇猛なるジャレグ―暗殺者ヴラド・タルトシュ (ハヤカワ文庫FT)

 面白かった。なるほどこれは確かにハードボイルドっぽいわ。不死種族ドラゲイラ(遺伝子操作されたエルフみたいな連中)の17氏族はマフィアのファミリーみたいだし、その間で苦労する主人公は、ハードボイルドの私立探偵とちょうど同じ役回り。異世界ファンタジーのガジェットたっぷりの中に現代的な考え方のキャラクターを放り込んだ感じ、と書くとなんだかよくある設定のような気もするけど、類例を探すとなるとぱっとは思い浮かばない。ファファグレなんかとはまたちょっと違うし。スラクサスか? むしろ漫画にありそうだな、こういうの。
 主人公の出自が「東方人」というのが、読んでてよくイメージが掴めなくて、東洋人のことなのかな、でもそういう描写というわけでもないよな、とか思ってたんだけど、著者のプロフィールを見て氷解。そうか、東欧あたりのイメージなのか。ヴラドという名前を見て気づかなんだのは不覚でした。