犬が目覚めた日 このページをアンテナに追加 RSSフィード

他のサイトのコンテンツ

2007年06月09日 アスキーアートの法と慣習

[]アスキーアートと「盗作

初めに

アスキーアート(AA)は、自由なものだとよく言われる。「パブリックドメインだ」とか「だれにもしばられない」とか。また私も前回のエントリーで、AAはそのように認識されていると、ギコ猫騒動を題材にして書いた。

だがAAにおいて、「盗作」する自由は存在していない。ここでの「盗作」とは、「他人が作ったものを、自分が作ったものであるかのように発表すること」という意味である。いくつかの出来事を見て、AAにおいても「盗作」は禁止されていると思うようになった。

今回のエントリーでは、その思いから出発した「アスキーアートにおける盗作の位置づけ」を考えてみたい。AAにおいて「盗作」はどのように見られているのか。なぜ自由が信条であるAAでも、「盗作」をする自由はないのか。以上のようなことを書いて行こうと思う。

私の考えとしては、AAにおいてもオープンソース文化と同じように評判(名誉)が重視されているため「盗作」が禁止されている、と結論*1を出した。ただしAAの場合は、2ちゃんねるという名無しワールドが存在したため、ハッカーよりは評判(名誉)が抑制されている。

事例

今回の事例としては、次の二つを取り上げる。一つは、次のようなものである。

2000年12月8日に、顔文字板に「2ch顔文字パクリサイト・・・(怒)」というスレッドが立てられた。内容は、ユンカースという人物が運営するサイトにて、ユンカース氏が他人の描いたAAを自分の作品として発表しているというものであった。

スレでは、ユンカース氏への非難のレスがつき、サイトのBBSにて荒らし炎上)行為を行う者も現れた。

2時30分頃に、ユンカース氏本人と名乗る人物が現れる(IP付)。自身のホームページログインできないことを伝え、ある2ちゃんねる住人からのアドバイス(命令)により、他のサイトにて謝罪文を載せた。

もうずっと人大杉

もう一つの事例として、あるAA描きが書いた以下の文章を取り上げる。(転載の許可をいただき、ありがとうございます)

マジメなAAの話

いきなりマイミクしてきた知らない人の話。

なんだかAAを描いている方のようなので

「おー、やったー」

なんて思いながらマイミク承認をしました。

日記を見る限りmixiで小ネタAAを投下しているようで、

「おお、なんか最先端(?)だなー」

とか思いながら見てみました。

日が経つにつれ「?」と思うことが多くなってきました。

なんか日記にある小ネタの殆どが、目にしたことのあるAAなんです。

気のせいかな?と思い見ていたのですが、

最近始められた「いじめ撲滅日記」と称されてる日記は、

間違いなく長編板にあった「いじめられっこ」というスレにあったAAでした。

(インパクトがあったので覚えていました。)

それをまるで自分の作った物のように振舞っていたので、

何度か「コピペじゃないか」と言ってみました。

しかしその度「それは禁句」という返事をされました。

(数日後には自分の書き込みごと消されてました)

ちょっと出しゃばりだったかもしれませんが、

見ていてなんだかお腹がムカムカしてきたので

「せめて元ネタが何かくらい記しなよ」

といった感じのことを言うと、次の日(今日)マイミクから

外されていました。

日記も方も「友人まで公開」に設定されていました。

いくらAAでも、他人の作った作品(?)を、そのままそっくり

自分の手柄にするのはイカガナモノカ…

せめてその作品の保管サイトとかのURLを貼るとか…ねえ?

「盗作」とは

本論に入る前に、「盗作」について考えておきたい。

本エントリーでは、「盗作」の定義を「他人が作ったものを、自分が作ったものであるかのように発表すること」とした。これは、広辞苑に書かれていた定義*2を少し弄ったものである。

このような定義にしたのは、広辞苑に書かれていたからという理由と、この部分が「盗作」と他の著作権侵害(無断転載・無断貸与・無断改変)との違いを特徴付けていると考えているからである。

現在、唐沢俊一氏の「盗作」問題がネットを騒がせている。ここでは、「無断改変」でも「無断コピー」でもなく、「盗作」の問題と言われている。このようになっているのは、漫棚通信氏の名前を出さなかったからだろう。著作者の名前の有無が、この問題を「盗作」の問題としている。

また「盗作」はこの定義の要素があるため、著作権侵害の中で唯一、文字通り「盗み」と言える行為であると考えたからだ。本来、情報としての著作物において、「盗み」は存在しない。「盗み」を所有者である人物を非所有者にする行為とするなら、無限にコピーすることができる情報は、所有者を増やすことはあっても、所有者を減らすことはない。改変やコピーなどの著作権侵害は、「盗み」とは言えない行為である。

それに対して「盗作」は、作者が所有している「自分がその作品の作者である状態」を盗む行為である。本当の作者は、「自分がその作品の作者である状態」を奪われ、単なる「者」になってしまう。

個人的に「盗作」は、一般の著作権侵害より非が重いと感じている。それは、「盗作」が単なる著作権侵害ではなく、本当の「盗み」だからではないだろうか。

ハッカーの慣習を参考にして

では、このような「盗作」は、AAにおいてなぜ禁止されているのか。

もちろん、「盗作」が禁止されているのはAAだけではない。ほとんどの著作物に関して、「盗作」をすることは、嫌な顔をされる行為である。そうするとこの場合は、著作権に鈍感と言えるはずのAAにおいも、なぜ「盗作」に関しては敏感なのか、がより適切な問いであろう。

私はこの答え*3として、AAにおいてもハッカーの慣習が当てはまるからだと考える。この場合の慣習とは、エリック・レイモンド氏が「ノアスフィアの開墾」で掲げた「贈与文化」と「評判ゲーム」である。以下に、その概要を書く。

要約

まずレイモンド氏は、オープンソース文化において三つのタブーがあるとする。一つに、プロジェクトの分岐、二つ目に、モデレータの許可なしに、ソフトに関するプロジェクトを変更すること、三つ目に、ソフトウェア製作に関わった人の名前を管理者リストなどからのぞくこと、である。

レイモンド氏はこれらのタブーが生まれた理由を、オープンソース文化が「贈与文化」であり、その中で「評判ゲーム」が行われているからだとする。

レイモンド氏によれば、「贈与文化」とは「希少性ではなく過剰への適応」であり、「それは生存に不可欠な財について、物質的な欠乏があまりにも起きない社会で生じる」。そして、「贈与の文化では、社会的なステータスはその人がなにをコントロールしているかではなく、その人が何をあげてしまうかで決まる」とする。

オープンソースの世界もこのような「贈与文化」であり、その中では「仲間内の評判以外に地位を獲得する方法は、まずない」(評判ゲームの出現)。そのため、オープンソースの世界にいるハッカーはソフトウェアを共有し、自身の評判をリスクにさらす結果になる上記のことをタブーとしているとする。

その中でも、3番目の「だれかの名前はプロジェクトからはずすことは、文化的な文脈では究極の犯罪」であるらしい。

AA文化の「贈与文化」

AA文化においても、このオープンソース文化と同じ「贈与文化」と「評判ゲーム」が働いていると思う。AAも無限に複製することができるものであり、「物質的な欠乏」が起きない世界である。またAAは、オープンソース・ソフトウェア以上に金には縁遠い世界であり、評判の価値が相対的に高い。

「他人が作ったものを、自分が作ったものであるかのように発表すること」というのは、いわば評判が盗まれることである。「評判」がAA描きの重要な財産であるとするなら、AAが「盗作」に対して敏感であるのも納得がいく。ユンカース氏や「マジメなAAの話」の人物は、この「評価ゲーム」においてルール破りをしたため非難の対象となったのではないだろうか。

名無しワールドでのAA

と、本来ならここで筆を置きたい。だが、単にAA文化をオープンソース文化と同じとするなら、疑問が出てくる。それは、AAでは必ずしも基ネタを書く必要がないということである。例えば、2ちゃんねるなどにコピペするとき、そのAAの作者の名前を一緒に書くことは普通行われない。自分のAA作品に他者のAAを入れる場合でも、その作者の名前を入れることはあまり行われない。ようするに、明確に作者を偽る場合は別にして、「盗作」と考えられる敷居が高いのである。

「評判ゲーム」のみが存在するのなら、上記のような場合に作者の名前を共に書くことが推奨されるのではないか。

これの答えとしては、名前を一緒に書くことが面倒くさい(AAを作るうえでも作業効率を落としている)、何回もコピペされているため本当の作者が誰か分からなくなっている、という理由が考えられる。

その他に私は、2ちゃんねるという名無しワールドの影響が働いているのでないかと考えている。2ちゃんねるは、一般に名無しであることが推奨されている。自身の作品にコテを付けることがあるAA描きにしても、多くは2ちゃんねるの住民である。この2ちゃんねる文化が、AAにおける「評判ゲーム」の程度を下げているのではないか。

更新履歴

2007年12月13日-「評価」となっていたところを「評判」に訂正。

*1:というより仮説

*2:「他人の作品の全部または一部を自分のものとして無断で使うこと。剽窃(剽窃)」:広辞苑第五版

*3:というより仮説

2007年03月30日 アスキーアートの法と慣習(連絡)

[]「アスキーアートの法と慣習」をまとめました。

連載物の書庫

 右のリンクにも貼ってありますが、ブログで連載している「アスキーアートの法と慣習」の現在までにできたものをまとめました。

 読みやすくするために、大部分を編集・修正してあります。

 読んでいただければ、幸いです。

謝辞mixiにて、サイトのデザインなどにアドバイスをいただきました。ありがとうございます。

2007年03月16日 アスキーアートの法と慣習ァ”堋蟯掲載

[] アスキーアートは誰のものか。

目次

概要

 これまでは、,ギコ猫騒動に対する2ch外部の反応、△破‥側面、で西村氏の反応、い2chを中心とした人々の反応を書いてきた。

 ここからは、エントリーの本題である、ギコ猫騒動から見えるアスキーアート*1の権利意識・規範を取り上げる。「取り上げる」と言っても様々な面があるが、今回は「アスキーアートは誰のものなのか」「誰がアスキーアートの権利を持つのか」という「所有の主体」「権利の主体」を考えたい。

 結論を述べるなら、アスキーアートの「権利主体」は、「個人(創作者)」「集団(2ちゃんねる・あやしいわーるど)」「パブリック(所有するものがいない)」という三つの要素が相互作用することで決まっている。そして、相互作用の結果として「アスキーアートはパブリックである」に落ち着いている。

 しかし「アスキーアートはパブリックである」は、幸運なほど弱い「個人」を背景としている。「個人」が力を持ったとき、この慣習は怪しいものになる。

三つの権利主体

 アスキーアートの権利を誰が持つかは、「個人」「集団」「パブリック」の相互作用によって決まる*2

 「個人」とは、著作者、創作者を指している。これは、現在の著作権法が原則として権利主体としている存在である。

 法律だけでなく、一般的な意識の面でも「個人」が一番強い主体となっていると思う。例えばJASRAC批判の中で、JASRACに作品の権利を委託しているために、作曲家・作詞者が自由に使えなくなっている、という批判がある。*3 *4。これは、法的な権利がその人になくても、著作者を権利の主体と考えているからだろう。また、白田秀彰氏の「著作権の原理と現代著作権理論」によると、「公表権、氏名表示権、剽窃を禁じる権利」のような「著作者の権利」は「自然法という発想以前から当然のように認められてきたもの」という*5

 「集団」とは、ギコ猫騒動で言えば「2ちゃんねる」や「あやしいわーるど」のことである。

 実際に、集団(コミュニティー)に権利がある(とされかけている)ものとしては、「フォークロア(TCEs:伝統的文化表現)」がある。フォークロアとは、「地域コミュニティーや特定の民族によって創作され伝承されてきた有形無形の文化資産」*6のことである。近年、フォークロアを法的に保護しようという動きが出て来ている。具体的には、WIPO(世界知的所有権機関)の「IGC(知的財産と遺伝資源、伝統的知識及びフォークロアに関する政府間委員会)」で議論されており、現在次のような条項案ができている。

第2条:受益者

伝統的文化表現・民間伝承の保護は、当該地域の人々や伝統を受け継ぐ他の文化的諸地域(地域・地方、国)の利益のために適用されねばならない。

  1. 現地の習慣や慣例によって、伝統的文化表現・民間伝承の保管、管理、保護手段を委託されている上記の人々や諸地域。
  2. 自らの文化的、社会的アイデンティティや文化遺産に特有なものとして、伝統的文化表現・民間伝承を継承し、用い、発展させている上記の人々や諸地域。

(上記の訳は、私が一度訳したものをマガモ氏に大幅に修正していただいたものです。あらためて、お礼を申し上げます。)

ここでは、「個人が受益者になるべきではなく、あくまでコミュニティー等が受益者となるべきである」*7 とされている。

 「パブリック」とは、権利の主体が存在しないことを表している。法律で言えば、パブリックドメインがこれにあたる。

 ちなみに、関わる人数で言えば「個人→集団→パブリック」という順番で増えていく。

 しかし、「パブリック」になりやすいのは、「集団」ではなく「個人」の方である。なぜなら「個人」の場合は、その「個人」が権利を捨てれば、即「パブリック」になれるからである。また、「個人」はいつか必ず死に、権利もいつかは消滅する。

 一方、「個人」と違い「集団」はなかなか消えることはない。集団の一部の人が権利を捨てようと言っても、「集団」としては捨てたことにはならない。実際、フォークロア保護の議論でも「伝統的な文化保護・保存の観点と、それら既存の文化の自由な利用の、双方のバランスをめぐる議論」*8となっている。

 では、それぞれの主体がアスキーアートにおいては、どのように捉えられていたかを見てみよう。

アスキーアートでの「個人」

 私は、ギコ猫騒動において「個人」の存在は弱かったと考える。それは、次の理由による。

  • 多くのアスキーアートは、誰か一人が描いたのではない。多くの人が関わっている。
  • アスキーアートは、「匿名」掲示板(「名無し」掲示板)という、「個人」の存在が消される中で生まれた
  • 匿名掲示板では、そのアスキーアートを書いたことを証明することが不可能、もしくは難しい

 これに加えて、先ほど書いた「個人はパブリックに近い」が起こっている。つまり、

  • AA描きは、自身のアスキーアートがコピペされることを望む傾向にある
  • AA描きは、作品を作る際、他者のアスキーアートをよく使う。よって、自分の作品の権利を主張することもあまりない
前者の説明

 今回の騒動で、「個人」は「ギコの作者って誰?」という疑問の形で現れた。これは、かなり難しい問題である。なぜなら、ギコの作成には多くの人が関わっているからだ。*9

 多くの人が関わっているということは、一人ひとりのギコ作成に関する重みが分散することを意味する。これによって、「何をやった人が『創作者』なのか」という問題が浮上し、明確な「個人(創作者)」が生まれなくなる。つまり、「個人」という存在が薄まることになる。

 もっとも、薄くなると言ってもパソコン通信時代のように個人を識別できる状態では、薄まりにも限界がある。なぜなら、識別できる状態では「作成に関わった個人」と「作成に関わっていない個人」を分けることができ、「作成に関わった個人」を際立たせることができるからだ*10

 しかし、ギコが生まれた場所は匿名掲示板(名無し掲示板)だった。ここでは、個人を識別することは不可能である。そのため、どうしても「2ちゃんねらー」や「ぁ民」のような抽象的存在として捉えられる。

 言うなれば、「はてなちゃん」を作ったのは「はてなの住民」ではなく、id:kanose氏、id:ululun氏、id:km37氏 etc…となるが、ギコを作ったのは、「2ちゃんねるやあやしいの住民」となる。

 さらに、「個人」が認識されにくいだけでなく、描いた人自身が「描いた」ことを証明することもほぼ不可能であった。2ちゃんねるは、2003年1月7日までアクセスログを取っていなかった。トリップ機能が導入されたのは、2001年8月9日からである。

後者の説明

 ここでは、「個人」はとことん牙を抜かれる。そして、自ら牙を抜いている。

 「AA描き自身がコピペされるのを望む傾向にある」のは、「コピペ」が自身の生み出したAAキャラクターが流行っていることと同じ意味だからである。金銭的な利益が望めないアスキーアートの世界では、キャラクターが有名になることが製作者側の主な望みになる。

 またAA描きは、他者が作ったアスキーアートを自分の作品の中で使うことが多い。そのため、アスキーアートの権利を認めることは、自身の首を絞めることにつながりかねない。2005年5月28日には2ちゃんねるの書き込み規約が変更され、書き込みの著作権が西村氏に譲渡されている。このとき、確かに、AA描きのコミュニティスレではいくつか話しはされていた。しかし、さほど大きな騒ぎにはならず、現在でもAA系の板ではアスキーアート作品が生み出されている。

 AA描きであるしι氏の以下の発言は、このようなアスキーアート文化を表したものであると思う。

こんな風に、AAを貸したり借りたりしてお互いややこしい権利の言い争いをしないことで手続きを省略化*4し、AAの技を磨く環境を築いてきたように思っています。だから「僕の作ったキャラを勝手に使わないでください!!!(><)」と言うのは作者の権利だけれども、それを言うとキャラを自ら殺すことになるのが解っているからです。

アスキーアートを保護? - アスキーアート・エッセイ(廃墟)

アスキーアートでの「集団」

 集団は、それなりに大きな力を持っている。ギコ猫騒動では、「2ちゃんねる」と「あやしいわーるど」という集団が登場した。

 「わやしいわーるど」は自分がギコの発祥地だとして、「2ちゃんねる」は自分がギコの流行った場所、育った場所だと主張し、争う場面があった*11。この二つの争いからは、「集団」がギコの権利主体であることが分かる。同時に、「個人」の存在が消されていることが分かる。可能性としては、「あやしいわーるど」でギコの作成に関わった人が「2ちゃんねる」にいる可能性もあるにも関わらず、そのことは殆ど触れられていない。

 「集団」と「個人」の関係を表しているものとしては、時間は後になるが西村氏の次のような言葉がある。ここでは、「個人」の書き込みが2ちゃんねる全体のものになっていることが分かる。

:こういったAAって繰り返しコピペされますよね。

ひろゆき:だれかが作って、別の人がコピーしてまた貼る(書き込む)。同じスレッドだけでなく、ほかのスレッドにも。

:それって問題ないのですか? 他人の著作物を、別の人が複製することになります。

ひろゆき:2ちゃんねる的には、オッケーですよー。

牧野:どこかに書いてあるんですか?

ひろゆき:暗黙の了解ですけど。あまりにも当たり前すぎて書いていなかったような……。2ちゃんねるに載ることに同意して書き込みしているので、それが2ちゃんねる内の別のところに載っても文句はないでしょう、ということです。

牧野和夫, 西村博之 2ちゃんねるで学ぶ著作権 p121

 そのほかにも、「ギコは2chのものです」*12という主張や、「ギコのグッズ作らせてやるから2chの鯖代払え!」*13のような主張も、集団に属していると認識している例である。

アスキーアートでの「パブリック」

 しかし、それでも今回の騒動で、アスキーアートは誰のものでもないというのが一般的であったと思う。

 それは、この意見が常にあったということと同時に、一番深く議論されたであろう2ch批判要望スレでの議題が、「どうやってアスキーアートのパブリックを守るか」にあったからである。加えて、このスレでは、「AAはだにもしばられません」というバーナが登場し、受け入れられていた。

f:id:wanda001:20070316165112j:image

 「ギコはパブリックである」という意見は、先の「2ちゃんねる」と「あやしいわーるど」の対立の際には、「タカラの独占が問題なのであり、2ちゃんねるは独占していない」という趣旨の意見で現れた。この意見は、「ギコはあやしいわーるどの出身である」への反論の中心となっている。また、「2ちゃんねるのもの」を否定して「パブリックのもの」という意見は見られた。しかし、「パブリックもの」を否定して「2ちゃんねるのもの」を肯定する意見は見られなかった。

 このような意見が取られたのは、人々が「あやしいわるーるど」を否定して「2ちゃんねる」が権利を持つとするのに、無理があると認識したからだと思う。

「AAはだれにもしばられません」が「個人」にどれほど力があるのか?

 以上のような理由から、私は「アスキーアートの権利主体はパブリックである」が、アスキーアートに関しての権利意識・規範になっていると思う。

 ただし、この慣習が「個人」に対して強制力を持つものなのかは怪しい。

 ギコ猫騒動の際、少ないながら「パブリック」に対して「個人」の権利を重視する意見があった*14 *15。それは要約するならば「『アスキーアートは自由である』と言っているのは、そのアスキーアートの作者ではない。他の人が勝手にそう決めいているだけ」というものである。

 この意見には、「作者も自由を望んでいるはずだ!」という意見が返された。所謂「暗黙の了解がある」ということだろう。確かに、AA職人がアスキーアートを独占することは少ない。

 しかし、本当にその作者がアスキーアートの自由を望んでいるかは、結局のところ分からない。例えば、今回の騒動の中で「タカラの社員が『自分は前から趣味で2ちゃんのAA職人をやっててギコ猫も実は俺が作ったんだ』とか言い張ったらどうなんの?」という疑問が出された。「証拠を求めればいい」「ギコは2chが発祥じゃない」という反論が出されたが、「本当に証拠みせたら?」「あやしいでもいい」と返された。

 「暗黙の了解」はあくまで「暗黙」でしかない。

 もっとも、先に書いたようにギコは「作者」を特定(証明)するのが難しい。不可能と言ってもいいと思う。アスキーアートにおける「個人」は、多人数参加、匿名掲示板という状況によって、そして「個人」自身の意志によって目立った存在ではなかった。

 しかし、もしその状況が崩れ、「個人」自身が権利を主張したら、アスキーアートはパブリックなままなのだろうか。

 ギコ猫騒動以前、以後を見た限りでは、何人か権利を主張するAA描きがいた。結局は、彼らも縛ることができなかったようだ。

 ただ、縛ることへの抵抗は力技と言っていいものであり、その批判は「AAが自由なのはAAだから」のような同意語反復的な根拠に思えた。「コピペ自由」「改変自由」(場合によっては、商用利用もOK、作者の名前も載せないでいい)という他の芸術作品に比べて格段に高いアスキーアートの自由度を支える根拠としては弱いと思う。

 そのため、私は「AAはだれにもしばられません」を正当化する根拠が、まだ未完成であると思う。

これからの課題

 ギコ猫騒動に関する考察は、これで終了する。ここで、今後の課題を書いておく。

アスキーアートキャラクターの特性は、アスキーアート全般に当てはまるのか?

 アスキーアートは、キャラクターだけではない。イラストのトレース*16、背景*17、拡大*18など様々なものがある。それら全て、同じ規範・慣習のもとに置かれているのか?

  • 現時点の仮説:見てきた限りでは、キャラクター以外のアスキーアートも同じような慣習のもとにある。
アスキーアートの規範・慣習は、どのような「内容」なのか

 今回は、「誰が権利を持つのか」に焦点をあてた。今度は、「誰がどのような権利を持つのか」という「内容」を調べる必要がある。いくつかの事件を見る中で、「ただし、○○はしてはならない」というタブーは、確かに存在している。それには、どのようなものがあるのか?

  • 現時点の仮説:現時点では、「自分が書いたと偽ってはならない」という規範は一般性があると考えている。不確定なのでは、「商用禁止」「二次作品の独占禁止」などがある。
アスキーアートを作る側と使うのみの側は、同じアスキーアート感を持っているのか?

 のまネコ騒動を知っている方の中には、「アスキーアートはパブリック」であると聞いて、驚く方もいるのではないだろうか。「のまネコ騒動は、2ちゃんねらーが『モナー』を自分たちのものであるとした事件ではなかったか」というふうに。

 実際のまネコ騒動では、AA描きの中に「反のまネコ」に批判的な人が出るなど、ギコ猫騒動はだいぶ異なっていた。

 なにが、このような違いを生み出したのか。

重要スレ

ギコ猫騒動の資料 - アスキーアートの法と慣習 - livedoor Wiki(ウィキ)

*1:今回は「ギコ」というキャラクターが問題となっている。そのため、今回言うアスキーアートとは「アスキーアートキャラクター」を中心としている

*2:ここに四つ目の要素として、「超集団」というのを考えている。「超集団」というのは、何か特定の集団を超えた存在、つまり「みんな」が所有しているというという意味である。何か具体的な対象を考えているわけではなく、抽象的な観念としての「みんな」をさしている。ただし、ある方に「『超集団』というのは、無意識的・抽象的な『集団』のことではないか」という趣旨の指摘を受け、現在考え中。

*3:「オーケン事件」。ただし、一次情報は発見できず

*4:現在は条件を満たした上で、手続きをすれば、使用料を払う必要は無いhttp://www.jasrac.or.jp/contract/member/faq.html#02_2

*5:その一方で、「コピーライト」という作品の複製に関する権利は、近世イギリスの「国王大権による特権の付与」(白田秀彰 コピーライトの史的展開 (知的財産研究叢書)p19)から始まる

*6【コラム】IT資本論 第67回 コンテンツ流通論(8) フォークロアの逆襲 (MYCOMジャーナル)

*7:伊佐進一「第8回知的財産と遺伝資源、伝統的知識及びフォークロアに関する政府間委員会の概要―事務局提示案の解説と議論の今後」『コピライト』[2005.9] p23

*8:同上 p20

*9:日本の著作権法では、元著作物を作った人(Aさん)にまず権利が発生する。そして、Bさんがその元著作物に新たな創作性を加えて二次的著作物ができた場合、その二次的著作物の権利は、BさんとAさんが持つ

*10:「作成に関わった個人」にどうやって権利を割り当てるかの問題は残るが

*11http://news.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1023089748/391

*12http://news.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1023008632/147

*13http://news.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1023008632/542

*14http://news.2ch.net/test/read.cgi/liveplus/1023132627/822

*15http://school.2ch.net/test/read.cgi/shihou/1023012821/266

*16:アニメやマンガのキャラクターのアスキーアート。顔文字板AA職人辞典

*17:主に、物語系のアスキーアートにて背景として使われるアスキーアート。風景・背景アスキーアート保管庫Plus

*18:主に物語系のアスキーアートで使われる、モナーやギコのアップのアスキーアート。★モナー拡大AA選手権大会★

2006年12月30日 アスキーアートの法と慣習ぁ”堋蟯掲載

[]2ちゃんねるでの反応―アスキーアートの法と慣習

目次

全体の概要

 2002年での2ちゃんねるの利用者数は約340万人*1であり、現在の3分の1ぐらい*2である。ギコ猫騒動は、主にニュース系の板、モナー板、2ch批判要望板で盛り上がっていた(この時期の2ちゃんねるのスレッド(現在、既読は約7060スレッド)を読んで)。この中で、2ch批判要望板は西村氏が登場したこともあり、議論が中心のスレッドとなっている。また、モナー板ではAA描きによる作品も作られている。ニュース系の板ではときおり議論も交えながら、雑談が主となった。

 ちなみに、ギコ猫騒動において全員に同じ問題が共有されていたわけではない。つまり、「『ギコ猫』という文字商標が登録されたらどうなるのか?」を正しく把握している人と、把握していない人がいたのである。具体的には、AAとしてのギコも使えなくなるのではないか、ギコを2ちゃんねるに書き込むことが出来なくなるのではないか、ギコから派生した「しぃ」も使えなくなるのではないか、などである。また、ある部分は正しく認識しているが、ある部分は間違って認識しているという人もいる。このようになるのは、「商標法」があまり一般的な法律ではなく、それでいて「独占」というイメージだけは強いことが原因であると思う。このような勘違いは、「NPO商標問題」*3 *4時においても発生している。

 もちろん、正しく把握している人もいる。問題は、正しくに把握している人としていない人の比率である。だた、匿名掲示板というレスを判別することが不可能な環境であるため、実際はどちらの比率が多いのかは分からない。そのため、ここでは人々の認識が一様ではなかったということにとどめておく。*5

  • 把握の例

422 名前:( ´∀`)さん[sage] 投稿日:02/06/03 00:18 ID:nfEnURo6

>>412 いや、可能性としてはそれもある。

ツーはまだ大丈夫かもしれないけど、フサギコ(長毛種)、しぃ(雌)あたりは

ヤヴァイかもしんない。

ギコ猫のいない風景

608 名前:朝までギコ猫( ゚Д゚)さん [sage] 投稿日:02/06/03(月) 09:11 ID:K7CP+Zwl

自分としては商標なんて何処が持っててもいい。

ココでギコが皆に愛されてた事は自分が知ってるしな。

ギコの商品を出してもらえるならそれはそれで嬉しいし。

が、AAとしての使用が制限されてしまうのなら納得はいかん。

【2ch】株式会社タカラが「ギコ猫」を商標登録出願中{6/2}★12

38 名前:ゲームセンター名無し [sage] 投稿日:02/06/03(月) 02:01 ID:TzZL6pbo

簡単に書くとAAでギコ張り付けたらタカラが

「それは俺達の物なんだから勝手に使ってんじゃねーよボケ」と言える

株式会社タカラが「ギコ猫」を商標登録出願中★

798 名前:朝までギコ猫( ゚Д゚)さん  [みんなで共有できるキャラやん] 投稿日:02/06/02(日) 23:36 ID:/BlLYOV3

タカラの主張が認められても、従来通り自由にAAは使えるんだろうけど、

なんか「閉塞感」のような物が感じられてイヤやね。

【2ch】株式会社タカラが「ギコ猫」を商標登録出願中{6/2}★8

651 名前:朝までギコ猫( ゚Д゚)さん [sage] 投稿日:02/06/03(月) 05:25 ID:uoNtb4zp

>>635

商標登録ですからAAそのものは使用できます

営利目的でなければ使用できる可能性は高いです*6

【2ch】株式会社タカラが「ギコ猫」を商標登録出願中{6/2}★11

630 名前:朝からギコ猫( ゚Д゚)さん [] 投稿日:02/06/03(月) 09:16 ID:sl3A+rg8

AAとしての使用は問題ないと思われ。

【2ch】株式会社タカラが「ギコ猫」を商標登録出願中{6/2}★12

2ch批判要望板

 2ch批判要望板での様子は、こちらを参照。

  1. 犬が眠った日 : AA事件簿-ギコ猫騒動―議論スレでの流れ
  2. 犬が眠った日 : AA事件簿‐ギコ猫騒動―議論スレでの流れ
  3. 犬が眠った日 : AA事件簿‐ギコ猫騒動―議論スレでの流れ
  4. 犬が眠った日 : AA事件簿‐ギコ猫騒動―議論スレでの流れ

モナー板

 モナー板は、雑談・議論に関してニュース系の板とそう違いは無い。しかし、アスキーアートに一番関わりが深いであろうAA描きが議論にしたこと、そのAA描き達が今回の騒動に対するAAを作ったことが特徴である。また、のまネコ騒動においては、一部のAA描きの間から反のまネコ側に対して非難の声が上がっていたという違いがあるのも特徴である。

議論系
アスキーアート作品
AA系板以外のAA描きの発言

作られたアスキーアートの性格と反応

 ギコ猫騒動において作られたアスキーアート作品は、どのような性格のものであったのだろうか。モナー板で一番盛り上がったスレは「ギコ猫のいない風景」である。このスレでは、それまでに「ギコ」が使われていた有名なアスキーアート作品やその1コマに、「ギコ」がいないアスキーアートが作られた。また、AA描きによる今回の騒動をテーマにした作品も作られている。内容は、2ちゃんねるから「ギコ」が消えるということを基本としている。

 法的に考えれば、2ちゃんねるからアスキーアートの「ギコ」が消えるということはほぼ100%無い。正確に現状を伝えるならば、「ギコ猫」という名前が消えることをテーマに描くべきだろう。このスレにも次のような反応があった。

553 名前:( ´∀`)さん[sage] 投稿日:02/06/03 00:49 ID:A.Z0fjmA

著作権じゃなくて商標だろ?

んなら別に大丈夫じゃん。

「ギコ猫」の名前を使って商売しなけりゃ良いだけの話。

ここに「ウォークマン」とか「コカコーラ」とかと書いても別に訴えられたり使うなといわれたりはしないだろ?


これに対しては次のような批判が行われた


558 名前:( ´∀`)さん[] 投稿日:02/06/03(月) 00:50 ID:UZXdkHYE

>>553

そういう話じゃない



誰のものでもない

560 名前:( ´∀`)さん[] 投稿日:02/06/03(月) 00:51 ID:gsdrnsmY

>553

Linuxの商標騒ぎを勉強しなおせよ。

576 名前:おしぃ ◆iiKvOSlI[sage] 投稿日:02/06/03(月) 00:53 ID:QICF07GA

>>553

違うんだよ。

そうじゃないんだよ。

ギコは商品なんかじゃないんだよ。

俺、そのものなんだよ

お前、そのものでもあるんだよ・・・

2ch、なんだよ・・・。


また、次のようなやり取りも行われている。*7


151 名前:( ´∀`)さん [sage] 投稿日:02/06/02(日) 23:18 ID:a/IwtRyY

「ギコ猫」が駄目で、AA自体は名前変えればいいのかな?

どちらにしてもむかつくが

152 名前:( ´∀`)さん [] 投稿日:02/06/02(日) 23:18 ID:1vPU92Hw

あからさまに名前を出すのはよくないのでは?

ギ○とか○コというふうに伏せ字を使わないと駄目だと思いますよ?

161 名前:( ´∀`)さん[sage] 投稿日:02/06/02 23:19 ID:GzRzjHlg

>151-152

なんでモナー板発祥のギコの名前をいちいちモナー板で伏せなきゃいけないんだYO!

そんなの絶対やだYO!・゚・(ノД`)・゚・


前者の場合、2ちゃんねるに書き込むことは規制されないという発言に批判はされているが、否定はされていない。これらを見るに、私はこのようなアスキーアート作品が出来たのは、正しく現状を把握していなかった可能性と、「ネタ」としての面白さ・良さから「2ちゃんねるから『ギコ』が消える」方を選んだ可能性があると考える。

 このようなアスキーアートが作られた「ギコ猫のいない風景」のリンクは他板にも多く転載された。そして、「ギコ猫のいない風景」のスレッド内だけでなく、リンクが貼られたスレッドでも多くの感想が寄せられている。感想としては、


272 名前:朝までギコ猫( ゚Д゚)さん [sage] 投稿日:02/06/03(月) 07:51 ID:GhS1LB1v

TOPの壺がギコに替わってたから変だと思ったらこーゆーことか。

>>262 

ホント悲しくなってきた

【2ch】株式会社タカラが「ギコ猫」を商標登録出願中{6/2}★12

895 名前:心得をよく読みましょう[] 投稿日:02/06/03 01:06 ID:sqe+bUkC

http://aa.2ch.net/test/read.cgi/mona/1023024788/-100

このスレ見てるだけで泣けてくる

いかにギコが重要なキャラだったって事がよくわかる

タカラのギコ猫商標出願についてひろゆきや管理側には連絡あったの?

761 名前:朝までギコ猫( ゚Д゚)さん[] 投稿日:02/06/02 23:33 ID:WfiI3e6n

みんな、ここを見てくれ。俺は本気で涙が出た…。。・゚・(ノД`)・゚・。

ギコ猫のいない風景

http://aa.2ch.net/test/read.cgi/mona/1023024788/

【2ch】株式会社タカラが「ギコ猫」を商標登録出願中{6/2}★8


のように、悲しさを表したレスが多くを占めている。加えて、


54 名前:名無しでGO![] 投稿日:02/06/02 23:48 ID:9/Fyj4uh

ギコ猫のいない風景

http://aa.2ch.net/test/read.cgi/mona/1023024788/

泣けた。

赦すマヂ573。

【祭りの】タカラが「ギコ猫」を商標出願中【予感】

35 名前:壁に耳あり、障子にメアリーさん[sage] 投稿日:02/06/03 12:16

ギコ猫のいない風景

http://aa.2ch.net/test/read.cgi/mona/1023024788/

泣けた

ひろゆき!なんとかしてくれ!

【2ちゃんの秘密 ある程度教えます】 Part2


のようにコナミへの怒りや危険への切迫感を奮い立たせたりしているものもある。また、


60 名前:ちひろ[] 投稿日:02/06/03 03:40

台詞がついても タカラのキャラクターになるのは嫌だな

どうせなら2ch発で

でもさ ひろゆきも動いてくれる様だし 

多分 >>19-20に貼ってあるスレのようには ならないと思う

あのスレ読んでると なんか切なくなるよ

【商標】『ギコ猫』はタカラの猫?【申請中】


336 名前:朝までギコ猫( ゚Д゚)さん[] 投稿日:02/06/03 00:18 ID:H7/em4Tp

http://aa.2ch.net/test/read.cgi/mona/1023024788/

こうなって欲しくはない

【2ch】株式会社タカラが「ギコ猫」を商標登録出願中{6/2}★9


のように、恐怖の未来(本当に来るかどうかは別として)として見る感想もあった。

 これらから、私はギコ猫騒動で作られたアスキーアートはプロパガンダの一種であると思う。プロパガンダ - Wikipediaによると、プロパガンダの特徴とは「主に政治的な目的を達成するために」「事実の誇張・歪曲」や「理性よりは感情に訴えること」であるという。政治的かどうかは微妙だが、「2ちゃんねるから『ギコ』が消える」という誇張や、「悲しい」という感情に訴えたことは当てはまる。同様のことは、FLASHにも当てはまると考える。*8

あやしいでの反応

 ギコの発祥の地とされるあやしいでも、いくらかの話はされている。残念ながら、いくつかのログが消失しており、完璧に当時の様子を知ることはできない。ログが残っているあやしいわーるど@本店のログを見る限り、ギコ猫騒動そのものに関わっていると言うよりも、ギコ猫騒動に関わっている2ちゃんねらー・西村氏を見て、それに対する感想を書くものが多い。

訂正・追記情報

続き

犬が目覚めた日 -  アスキーアートは誰のものか。

*1:具体的な数字が無いので、「ウェブメディアの発展史 2000-2006」(33p)からの目分量

*2:同上。一番新しいので、Web広告研究会の2005年9月の990万人

*3NPO - Wikipedia

*4[意見]「NPO」「ボランティア」商標登録取り消しについて

*5:個人的な感触としては、ある程度正しく理解している人が多いように思える。法律系の板での相談や、弁理士と名乗る人物からの発言が正確な知識を得るのに役立っていた。

*6:実際は、営利かどうかは関係ない

*7:繰り返しになるが、2ちゃんねる上でなら名前を変える必要は無い

*8:以上の言及は、私が思ったアスキーアート作品の性質を書いたものであり、それぞれのアスキーアート作品の評価を書いたものではないことを記しておきます。「プロパガンダ」に悪い印象を持った方がいるかもしれませんが、ピカソの『ゲルニカ』も岡本太郎の『明日の神話』もジョン・レノンの『イマジン』もプロパガンダの一つです。評価を求められるのなら、いい作品であると答えます。

2006年12月29日 アスキーアートの法と慣習 不定期掲載

[]人々の反応-アスキーアートの法と慣習

目次

西村氏の反応

 2ちゃんねる管理人、西村博之(通称ひろゆき)氏は、タカラが「ギコ猫」の商標を出願したこと対してどのような態度を取ったのだろうか。まず西村氏は、2chに登場して「タカラに、抗議文とか送ってみようかと思う今日このごろ。」*1と、タカラに抗議文(質問状)を出すことを決めている。

 そして、その後西村氏はあやしいわーるど@本店に現れている。


■ こんばんはー。 投稿者:ひろゆき 2002/06/03(月)01時02分36秒

しばさんの連絡先ってどちらになるかわかりますか?

あやしいわーるど@本店 過去ログ検索結果 (@検索)


訪れた理由は、あやしいわーるどの初代掲示板管理人であった芝雅之(通称しば)氏との連絡方法を住民に聞くためであった。そして、芝氏が主催していた「@ML(通称しばML)」というメーリングリストで連絡を取ることになった。


■ 投稿者:ひろゆき 2002/06/03(月)01時04分35秒

あのMLのアドレスでいいんですかねぇ?

■ >ひろゆき 2002/06/03(月)01時05分29秒

メール出してダメだったらもう一度聞きに来い、ハゲ

■ 投稿者:ひろゆき 2002/06/03(月)01時05分41秒

了解ですー。

あやしいわーるど@本店 過去ログ検索結果 (@検索)


これが、本当に西村氏の書き込みであるという確かな物的証拠は得られなかった。*2

 だが、2ちゃんねる、あやしいわーるど、その他のサイトで西村氏が@MLにメールを流したという発言がいくつかあり、実際にいくつかのメール内容も貼られていることから、あやしいわーるど@本店の書き込みも西村氏本人である可能性が高いと考える。


137 名前:ルクダル ◆ruKUDARU [] 投稿日:02/06/03 03:07 ID:PoIjTAok

おお、ひろゆきがしばさんのMLにメール出してるよ。

http://ruku.jfast1.net/gline/gikoml.htm

けっこう本当に本気らしい。

vsタカラのガイドライン

■ 2002/06/03(月)04時24分45秒

しばMLで何かあったのか?

ちょっとメールチェックしてみるか

■ 2002/06/03(月)04時26分30秒

ひろゆきがしばにギコ猫の著作権についてピントはずれな相談してる

■ 2002/06/03(月)04時28分12秒

読んだ

つかピンと外れなのはむしろ芝の方だと俺は思った

あやしいわーるど@本店 過去ログ検索結果 (@検索)

メール内容

 現在、@MLは閉鎖しているらしく、メール内容の全体を見つけることはできなかった。以下に、一部ではあるが、2ちゃんねるや他のサイトに貼られたのを引用し、西村氏のギコ猫騒動に対する考えを見ていく。


投稿者:   投稿日:2002/06/03(月)03時11分58秒  ■  ★  ◆

> @MLが面白くなりそうだよヽ(´ー`)ノ 編集者注:しばMLに投稿された博之氏のメールの転載

こんばんは、いつもお世話になってます。

2ちゃんねるのひろゆきです。


この度、相談したい件があり、ご連絡差し上げました。


ご存知かわかりませんが、タカラ社が

「ギコ猫」の商標申請を行いました。

http://members.tripod.co.jp/giko_2ch/


僕は、ギコ猫が生まれたのはしばさんのところで、

育てたのはインターネットのコミュニティーであると考えています。


法律上は、著作権者ではないので、

僕やしばさんの出番ではないのかもしれませんが、

コミュニティーで生まれて育ち広がってきたものが、

第3者の企業の一存で自由に使えなくなってしまうのは

いかがなものかと思っております。


そこで、タカラ社に対して以下のような内容の質問状を送ろうかと考えています。

しばさんや、もし見ていらっしゃるとしたらギコ猫を生み出した方のご意見が

頂けるとありがたいです。


よろしくお願いいたします。



*************

突然のご連絡の失礼をまずお詫び致します。


2ちゃんねるという掲示板の管理者をしております西村と申します。


御社が「ギコ猫」を商標登録出願中だという事を知りました。

商標登録は先願主義であり、

「先に登録したものが所有者である」ことは存じております。

しかしながら、「ギコ猫」ははインターネットのコミュニティーで

生まれて広まったものであることをご考慮頂きたいです。


キャラクタービジネスは、作者が手塩に掛けて育てたキャラクターを

使って行うビジネスであり、

互いの権利やビジネススタイルを尊重して、育てる人、普及させる人など

共同作業によりキャラクターの浸透と利益を

考えるものだと思っておりました。


インターネットのコミュニティーで生まれたキャラクターの重要性、

それを愛する人々の気持ちが分からないはずが

無いと思いたいです。


今まで、アスキーアートを元にしたグッズや書籍など、

様々なものが生み出されております。

そういった自由にキャラクターを育て、

自由に使える状況を存続させるために

私自身で商標を登録して、

様々なユーザーに自由に使ってもらえるように

しようと考えていた矢先の出来事でした。


そこで、御社がどのようなスタンスで出願されたのか

お教え頂けるとありがたいです。


私が考えていたように、

他社の出願によって様々なユーザーが

自由に使えなくなってしまうのを防ぐ目的で出願してくださったのか?

あるいは、御社が商標の権利者として、「ギコ猫」と名前のつくものにたいして、

権利主張するためなのか?

どちらが御社の考えでしょうか?


突然の質問状であり、ご困惑されていらっしゃるとは存じますが、

こちらとしても対応を考えなければなりませんので、

お早めにお返事下さると幸甚に存じます。


よろしくお願いいたします。


〒●●●

東京都●●●(●は引用者)

西村 博之 2ch@2ch.net

*************

--

ひろゆき 2ch@2ch.net

擬古猫(その3)

5 : ◆MS06FH.. :2002/06/03(月) 07:45 ID:???

> ぎこ猫が生まれたのはおれがもう管理してないとき

> (退避用非公認か電機メーカあたり)なので、

> おれがどうこういうのもいかがなもんかとも思いますが。


> GPLの著作権の考え方の援用で、商標登録することで権利を確保し、

> フリー(自由かつ無料)でユーザーが使えるように位置付けであるならば、

> おれは異論はないです。


> ただ、おれは権利者じゃないので、

> 権利者には権利者で別の考えがあるかと思います。


From: しば

To: xxxxxxxworld@egroups.co.jp

Sent: Monday, June 03, 2002 3:55 AM

Subject: Re: [@ML] ギコ猫について

――

われ関せずといったところでしょうか。。

ぁゃιぃ界隈もそれほど騒ぎにはなってないような雰囲気です。


b+(仮) - 2ちゃんねる情報局+α【2ch2】

42 名前:朝までギコ猫( ゚Д゚)さん[sage] 投稿日:02/06/03 12:38 ID:/6sEZHjv

こんばんは、ひろゆきです。

> ぎこ猫が生まれたのはおれがもう管理してないとき

> (退避用非公認か電機メーカあたり)なので、

> おれがどうこういうのもいかがなもんかとも思いますが。

>

> > 私自身で商標を登録して、

> > 様々なユーザーに自由に使ってもらえるように

> > しようと考えていた矢先の出来事でした。

>

> というところがみんなが引っかかるところだと思いますが。

>

> GPLの著作権の考え方の援用で、商標登録することで権利を確保し、

> フリー(自由かつ無料)でユーザーが使えるように位置付けであるならば、

> おれは異論はないです。

元々、他の会社と組んでグッズを出そうという話があったのですね。

おいらは、商標を登録をする必要はないと考えていたんですが、

商標登録をしてないグッズを出すというのは

前例がないのでやりづらいという話しがあったんです。

しょうがないので商標の登録はするけれども、

今まで通り自由にしたいなぁと思ってたわけですよ。

んで、申請した後に、「勝手に使ってくださいね」みたいな文章を出そうと

思ってたんですが、それ以前にこういうことが起きたわけです。

> ただ、おれは権利者じゃないので、

> 権利者には権利者で別の考えがあるかと思います。

それはその通りですね。

ちなみに、おいらのグッズプランの場合は、

著作権者用のプールはしておくつもりなので、

もしグッズがだせたときにはご連絡くださいまし。

>権利者さん


--

ひろゆき

2ch@2ch.net

【2ch】株式会社タカラが「ギコ猫」を商標登録出願中{6/2}★14


同様の抗議文(質問状)は、ほぼ同時間に2ちゃんねるにも西村氏の手によって貼られている。

 商標権と著作権を混同していると思われる発言がいくつか見られるが、ここから分かる西村氏の主張は

  • ギコを自由に使えるべきだと考えていること
  • 「コミュニティーで生まれて育ち広がってきたもの」とあるように、個人より集団に重きが置かれていること
  • その一方で、「著作権者用のプールはしておくつもりなので」とあるように、権利者にも配慮を見ていること

が挙げられる。

その他

 また、グッツ職人である雪氏のサイトには2ちゃんねるグッツに関しての西村氏のコメントが載っている。


〓ひろゆきさん本人からグッズ作成についてのコメントをいただきました〓

ひろゆきさん→ひ


雪:ひろゆきさん、ちょっとお聞きしたいのですが。


ひ: はいー?


雪:2ちゃんねるグッズって勝手に作って平気なのですか?


ひ: うーん、微妙なところなんですよねぇ、、

著作者が「俺がつくった!」とかいいだすと面倒なんすよね。


雪:でも著作者は今の所謎、なんですよね?


ひ:謎なんすよねえ。


雪:なるほど、 2ch関係のグッズはあくまでもグレーゾーン、ってことですか?


ひ:そっすねー。


雪: 「2ちゃんねる」に関して商標登録申請されてる、とのことですが、商標登録された場合、「2ちゃんねる」を冠してのグッズ作りはアウト!になってしまったりするわけですか?

たとえば「2ちゃんねる、モナーぬいぐるみ」とか・・・。


ひ:別にあうとではないと思われ。でも儲かったらなんかください。。。

=========================================

と、いうことです。グッズ製作関係者にとって、参考になるのではないでしょうか。

快くログの掲載を了承してくださったひろゆきさんありがとうございました (´∀`)

コメント


 「『2ちゃんねる』に関して商標登録申請されている」というのは、西村氏が2001年8月7日に出願した「2ちゃんねる(出願番号:2001-075790)のことを指している。特許庁の経過情報検索で調べたところ、この商標出願は最終処分として、2003年1月10日に出願却下処分を受けている。商標出願後のフロー(商標登録出願)を参考にするならば、西村氏は拒絶査定は受けいないので、私は*7の所で却下処分となったと思う。つまり、「登録査定の謄本の送達を受けた日から30日以内に登録料を納付」しなかったと考える。以上のことから、今となっては「『2ちゃんねる』を冠してのグッズ作り」どうこうの話は無意味となっている。

 ただ、コメントの会話から、西村氏はアスキーアートキャラクターの著作権者(著作者)を意識していることは分かる。

変更・更新履歴

  • 続き

犬が目覚めた日 - 2ちゃんねるでの反応―アスキーアートの法と慣習

*1タカラのギコ猫商標出願についてひろゆきや管理側には連絡あったの?

*2:次のようなcnvに関する書き込みは、あやしいわーるど@本店(同リンク)にあった。当時、ひろゆき氏のプルバイダーはkitanetだっという。(参照:2ch用語誕生スレをここに集めろ!の66)
─────────────────────
■ 2002/06/03(月)01時08分39秒
fw135189.kitanet.ne.jp 210.237.135.189 - - [2002/06/03(月)01時05分22秒]
http://strange.kurumi.ne.jp/bbs.cgi/ Sleipnir pon@ugtop.com 
fw135189.kitanet.ne.jp 210.237.135.189 - - [2002/06/03(月)01時05分21秒]
http://strangeworld-honten.com/cgi-bin/bbs.cgi?m=t&c=b00&s=4062657 Sleipnir

■ 2002/06/03(月)01時10分44秒
本物かよ(;´Д`)糞タラコのくせに