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2009-09-20

「良い声」の正体…倍音とは


さて、今回は、声を語る上で欠かせない用語である「倍音」というものについて説明していきたいと思います。


最初に注意書きをしておくと…


「倍音」や「共鳴」などは物理学用語ですが、

ボイトレでこれらの言葉が語られる場合、若干オカルトが入ることがある

ということには注意しておいてください。

要するに、これから書くことには疑似科学が混ざっているかもしれません(笑)。

いや、疑似科学にならないようにできる限りの注意はするのですが、発声法を学びつつ解剖学を学びつつ物理学を学びつつ音響心理学を学び…なんてことはなかなかできないのです。

学問」としてではなく、「豆知識」と「ハウツー」として読んでいただきたいです。



○倍音とは


ある音が鳴っているときに、人の耳には「一つの音の高さ」が聞こえます。

ピアノの鍵盤のドの音を打鍵すればドの音が鳴りますし、ドの音程になるように発声すればドの音が聞こえます。

しかし、この時に鳴っている音を分析すると、鳴らしている「ドの音」以外の音が同時になっているのです。

すごく簡単に説明すると、鳴らしている音よりずっと高い音、鳴らしている音の2倍・3倍・4倍…の周波数を持ったすごく高い音が、複雑に混ざり合いながら同時に鳴っているのです。


詳しくはこちら↓

・倍音‐Wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%80%8D%E9%9F%B3


このような現象が起きているとき、

・最も強く鳴っている、元になる音→基音

・かすかに鳴っている、基音以外の音→倍音

と言います。

基本的に、どんな音であれ、必ず倍音を伴っています。

人の耳にはあんまり感じられないので実感しにくいですが、「基音だけ鳴らす」ってのはほぼ不可能です。



○倍音が音の印象(音色)を決定する


では、その倍音が「良い声」にどう関わっているかというと…

倍音は、声の印象(音色)を決定するのに非常に重要な要素なんです。

というか、「どんな倍音が含まれているかによって音色が決まる」と言ってしまってもいいかも。


たとえて言うなら、同じカレールー(基音)で作ったカレーでも、足した具材やスパイス(倍音)の種類や数や量によって味が変わってくる感じ。

余計わかりにくい…か?


倍音の少ない音の代表例は…例えば音叉やチューナーのような音取りに使われるもの(倍音が多かったら音が取りにくい)や、フルートリコーダーのようなエアリードの楽器は倍音が少なめだそうです。

あとは、時報の「プッ…プッ…プッ…」って音なんかをイメージしてもらえれば。


倍音の多い楽器としては、代表例はシンバルですかね。

シンバルについては、倍音が強すぎて、もはや基音が何なのかわからなくなることがありますね。

あとは、サックスはリコーダーより音が「明るくはっきりとした」感じに聞こえますね。

これは、サックスがリコーダーより倍音を多く鳴らす楽器だからです。


倍音が少ないと、「丸く、輪郭のぼけたような、暗い、こもったような音」になると言われています。

逆に倍音が多いと、「鋭く、輪郭のはっきりした、明るい、よく通る音」になると言われています。


同じ高さの「ドの音」を同じ音量で鳴らしても、ピアノと音叉とヴァイオリンエレキギターとあなたの声と他人の声と…が「ぜんぜん違う音」に聞こえるのは、含まれている倍音が違うからです。

倍音の「多い/少ない」もその原因ですが、他にも「特にどのような高さの倍音が強くなっているか」にもよりますね。

例えば、非常に高い倍音だけが強く鳴っている音と、全域で豊かに倍音が鳴っている音を比べたら、前者をちょっと不快に感じたりもします。



○「倍音」をしっかり鳴らして、良い声になる!


つまり、この「倍音」というものをコントロールできれば、声の「音色」をコントロールできることになりますね。


一般的に、人は、倍音の多く含まれている声を好むとされています。

まあ、時と場合によりますが、普通に考えて「ぼけた、暗い、こもった声」より「はっきりした、明るい、通る声」の方が気持ちいいですよね。

あと、ものすごく高い倍音(高周波)が適度に含まれている声を聞くと、人間は快感を感じる…らしい。

(念のためにもう一度注意しておくと、時と場合によりますが。)


なので、豊かな倍音が出せるようなボイストレーニングを紹介していきたいと思います。


倍音の量を増やすには、体内での声の「共鳴」を増やすことが重要である、と言われています。

体内で声の共鳴が起こるとされている主な場所は、「胸」「喉」「鼻腔」の3箇所です。


・胸

以前から「豊かなチェストボイス」を何度か紹介していますが、胸で共鳴を起こすことで、「低めの倍音」を強く鳴らすことができます。

・ボイトレで春までに「モテる声」になって、4月からの新生活の始まりをいい感じに飾りたい件‐烏は歌う

http://d.hatena.ne.jp/wander1985/20090323/1237812952


・喉、口(咽喉、口腔)

最も共鳴がイメージしやすい部位で、ここをしっかり共鳴させることで「中〜高めの倍音」を強化することができます。

安定した共鳴を得るには、口を正しく開けた上で、しっかり喉を上下に開いて咽喉腔に共鳴させることが必要です。

・いい声が出せる「口の開け方」‐烏は歌う

http://d.hatena.ne.jp/wander1985/20090401/1238592800

・「喉を開く」について、再度まとめ‐烏は歌う

http://d.hatena.ne.jp/wander1985/20090818/1250526924


・鼻腔

鼻腔は「高めの倍音」を響かせるのに適していると言われています。

「高音発声」や「通る声を出す」ためには欠かせない共鳴です。

・典型的なダメ声、「鼻声」とは?‐烏は歌う

http://d.hatena.ne.jp/wander1985/20090329/1238322492



○バランスの取れた倍音構成=豊かな声


で、この3つの共鳴腔の「バランスを保ちながら」良く響かせることが重要なんです。


バランスが崩れた状態では、倍音をいくら強く鳴らしても、むしろ不快な声になってしまいます。

例えば、

・鼻空共鳴と咽喉腔共鳴は強いが、胸部共鳴が弱い

→高めの倍音ばかりが強調されてしまい、「硬すぎてうるさい声」「キンキン声」に。

・咽喉共鳴と胸部共鳴は強いが、鼻腔共鳴が弱い

→高い倍音が鳴らないので、「詰まったような声」に。

というような感じになってしまいます。


なので、3つの共鳴腔のバランスがとれているか、確認しながら練習していきましょう。


なかなか「バランスのとれている状態」を自覚するのは難しいのですが、まずはそれぞれの共鳴腔にしっかり響かせられるように練習した上で、色々な声のバランスを試しながら、「あなたにとってベスト」な声を探っていきましょう。

知恵袋から来ますた知恵袋から来ますた 2011/08/10 22:54 咽頭・口腔・鼻腔には声は行くので「共鳴」で良いのですが、胸には声は行かないので、正確には共鳴ではなく共振です。

wander1985wander1985 2011/08/10 23:29 とりあえず、「共鳴」と「共振」という用語については、一般的に「使い分けることもあるし使い分けないこともある」…という似たような物理用語なので、このブログではあえて使い分けておりません。


Wikipediaより「共鳴」と「共振」
・http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%B1%E9%B3%B4
>物理現象としての共鳴・共振は主にResonanceの訳語であり物理学では共鳴、電気を始め工学的分野では共振ということが多い。
・http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%B1%E6%8C%AF
>共鳴と同じ原理に基づく現象であるが、電気や固体については「共振」の語がよく用いられる。


それと、Wikipediaの共振の項では

>楽器や発声にあっては、発音体(発音物質、弦やリードなど)の振動がより大きな物体(筐体、共鳴腔)に伝わり共鳴することで

とあったので、胸というか身体のような「筐体」におこる現象も「共鳴」と呼ぶことに私は違和感を覚えません。

…ソースがWikipediaかよ、というツッコミはご容赦ください(笑)。


口腔のような空間での現象を「共鳴」、骨や肉などの固体での現象を「共振」…という分け方も合理的ではあるとは思います。
しかし、今回は使い分ける必要を感じなかったので、使い分けませんでした。


ご指摘ありがとうございました。

知恵袋から来ますた知恵袋から来ますた 2011/08/12 02:11 そうですね。話をいちいち細かくしなくても良かったですね。
素早いご返答ありがとうございます^^

もももも 2012/07/16 00:10 はじめまして。
趣味で宅録のボーカル活動をしています。
長年こちらのブログにはお世話になっています。
私が目指しているのは中毒性のある歌声なのですが、どうしたら中毒性のある歌声で歌うことができるのでしょうか?
記事に「バランスのとれた倍音構成」とありますが、やはりもって生まれたモノが大きいでしょうか?
宇多田ヒカルさんの歌声は曲を聴き終ってもまたすぐに聴きたくなってしまう中毒性のある声だと私は思っていて、ボイストレーニングでいくらがんばっても宇多田さんレベルの中毒性のある歌声は無理なんじゃなかろうかと半分あきらめている状態です。
私の歌声はどの帯域もわりとまんべんなく出ているそうです。自分で自分の歌を聴いていると1曲でお腹がいっぱいになります。
声の成分が詰まりすぎているというか…。聴いていて疲れてしまいます。癒し系の歌を歌いたいのに現実とのギャップに失望しています。

何かアドバイスがあれば伺いたいです。
いきなりの相談で申し訳ないです。

wander1985wander1985 2012/07/18 15:35 そうですねー、宇多田ヒカル氏が「歌の上手さ」を語っているのを引用した記事がありまして、
http://d.hatena.ne.jp/wander1985/20100615/1276600136

>>
「友達とカラオケなんか行くとよく「どうやったらうまく歌えるの?」なんて聞かれるんだけど・・・(私も知りてーよ)。
簡単に言うと音符一つ一つの、入り方、のばし方、終わらし方、だよね?
フィギュアスケートのジャンプでいうところの、ステップからの踏み切り、回転、着地、みたいなもんか?

ほんとに可能性は無限大で、「あ〜♪」ひとつとっても、入り方だけでもちょーオプションありまくりで、
音程きっちりで入るか、ちょっと上から落ちるように登場するか、低めの音から上がるように入ってくか。
声の音量は全開でいくかのどに引っ掛けながら艶っぽく入るか小さめか。
その後はヴィブラートかけるかかけないか、音量に大きな波をつけてみるか。
息の量を増やして明るく開放的にするか制限して沈んだ声にするか。
最後はフェードアウトするかぷつっときるか、どこまでのばすか、クセを出すために終わった後に口と息でなんか音をつけたすか。
などなど!言い出したらキリがないか!
<<
だそうです。



相談を聞いてみて思うに、「いい声」を出そうとしすぎて頑張りすぎているのではないかなー、と思います。
>自分で自分の歌を聴いていると1曲でお腹がいっぱいになります。
>声の成分が詰まりすぎているというか…。聴いていて疲れてしまいます。
ということですので、例えば
「あえて音量をとことん押さえ気味にして、息をかなり混ぜてみる」とか
「音の入りや終わり方に特徴をつけてみたり、あえて全く装飾をつけないようにしてみたりする」とか
「抑えるところはとことん抑えて他を引き立てる」とか
「とにかく休符、間を大切に、長めにとる」とか
「わざと声楽的にはよろしくない声をスパイス的に使ってみる(胸式呼吸とか変な姿勢で発声とか喉声鼻声とか音程やリズムをわざと無視気味に歌ってみるとか)」とか…
そういう感じの歌い方も試してみると、幅も広がってくるのかなー、と。



それと、やはり人間「もともと持っている声」というものがあるので、それを生かせるような演奏プランというか演出プランを考えてみるといいですね。
「癒し系」と一口に言っても、イージーリスニング系でなんとなく聞き流してたら気持よくなってくるような癒しもありますし、逞しい生命力あふれた声で歌われる力強いエールを感じさせるような癒しもありますね。

piorepiore 2012/10/28 06:11 こんばんわ。
いつも楽しく勉強させてもらっています。

倍音が上手く出るよう、上記の3つを気をつけて練習をしていますが、
高音になると胸の共鳴(手を胸に当ててみています)がほとんどなく、
これで良いのか疑問です。
必ずしも3つ平均でなければならないわけではないと思いますが、
高音(裏声を含める)を出す時も胸の辺りは共鳴・共振するのが
ベターなのでしょうか?
ご回答いただけると助かります。ちなみに女性です。

wander1985wander1985 2012/10/28 16:50 高音になればなるほど、胸への共鳴感はなくなります。
なので、無理に胸に響かせようとする必要はありませんね。

piorepiore 2012/10/30 14:41 お早いご回答ありがとうございます。

そうでしたか。安心しました。
ありがとうございます(^-^)

nullnull 2014/08/24 18:10 ---------
倍音が少ないと、「丸く、輪郭のぼけたような、暗い、こもったような音」になると言われています。

逆に倍音が多いと、「鋭く、輪郭のはっきりした、明るい、よく通る音」になると言われています。

---------
と書かれていますが,逆では無いでしょうか・・・

wander1985wander1985 2014/08/24 22:04 nullさん

逆では無いです。

倍音がたくさん出ていても、その倍音がバランス良く配置され、かつ「不快な倍音が十分に殺されている場合」は、「丸い音色」と言われたりもしますが。
単に「倍音の絶対量がランダムに多い」場合は、「鋭く、輪郭のはっきりした、明るい、よく通る音」になります。


この言い方がフィットしないなら、
倍音が少ない→「存在感・主張の少ない、ソフトな音」
倍音が多い →「存在感・主張の強い、パワフルな音」
と読み替えていただければ。

wander1985wander1985 2014/08/24 22:10 nullさん

それと、参考までに、その部分の具体的にどのワードに違和感を感じたのかを教えてもらえると、とてもありがたいです。

nullnull 2014/08/24 23:41 どうやら,私の思い違いのようでした.

>>>倍音の少ない音の代表例は…例えば音叉やチューナーのような音取りに使われるもの(倍音が多かったら音が取りにくい)

の『(倍音が多かったら音が取りにくい)』を
倍音があるとはっきりとした音ではなくなり,存在感が無くなるのでは?(=基音が埋もれてしまうのでは?)
と勝手に思い込んでしまったようです.
確かに高音域の倍音があれば存在感は上がりそうですね.
なので私が最初に疑問を持った文章も納得行きました!

あと一つ疑問点が・・・

>>>「倍音の絶対量がランダムに多い」場合

というのは時間と共に倍音成分が変化すると存在感が上がるという事でしょうか?

質問に質問を重ねて申し訳ありませんが,お願いします.

wander1985wander1985 2014/08/25 11:52 そうですね、時間による倍音の変化というのもあります。

また、倍音にも2倍音、3倍音、4倍音、5倍音…とたくさんの倍音というものがあるわけですが、これの「どれが強くて、どれが弱いか」によって、音色って決まってくるわけです。

で、
比較的「気になりにくい倍音(低次偶数倍音はそういう傾向があるらしい)」と、
比較的「気にさわりやすい倍音(高次の倍音や奇数倍音はそういう傾向があるらしい)」ってのがあって、
単純に倍音の絶対量が多いと比較的「気にさわりやすい倍音」も多くなりやすい、ということです。

nullnull 2014/08/25 12:15 なるほど!

分かりやすい丁寧な解説ありがとうございます!

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