GoogleVideoやYouTubeはタイムマシン

さて、今日は前々回のエントリ『YouTubeがやったこと』で、取り上げた映像に名前を付けることの意味について引き続き考えたいと思います。

その記事でこう書きました。

by しあわせのくつ『YouTubeがやったこと』


もうちょっと難しい言い方をすると、YouTubeがやったことというのは、

1. メタデータの付与
2. URIの付与

だと言えると思います。

ウェブで情報を整理するためには、情報の情報(メタデータ)と、情報の場所(URI)が必要だと言われています。

動画はこれが難しかったけれども、YouTubeがそれを簡単にした、という見方ができると思うのです。

結局、YouTubeがやったのは、セマンティックウェブで言われている『動画コンテンツへの、コンピュータが理解できる情報(メタデータ)の付与』と『動画コンテンツへの場所情報(URI)の付与』をユーザの力とチープ革命の力を利用して実現した、ということなのではないでしょうか。


そして、たまたま、今日これに関連したGoogleVideoのニュースがありました。


by ITmedia News 「このビデオのここから見て」がGoogle Videoで可能に


 ビデオの見所となる特定の箇所を指定してURLを作成できる機能が、Google Videoに追加された。

 特定箇所を指定するには、ビデオのURLの末尾に「#」記号に続いて、指定したい部分の時間(h)、分(m)、秒(s)を追加する。

 例えばInvisible Boardという1分46秒のビデオの中で、見所となる1分26秒の箇所から再生されるようにしたい場合、URLの末尾に「#1m26s」を追加して、次のようなURLを作成する。

http://video.google.com/videoplay?docid=6396990712930217422#1m26s

 このURLを電子メールなどで送って相手がクリックすると、1分26秒目からビデオ再生が始まる仕組み。

GoogleVideoでコンテンツにURIが付与されただけでなく、その時間まで指定することができる様になったわけです。
これは、時間にまでURIが付与された(=アドレスがつけられた)ことに他なりません。


そして、これと同じ様なテーマで、アンカテさんがすばらしい記事を書かれています。

by アンカテ(Uncategorizable Blog)


Youtubeが問題なのは、コピペし放題なことが問題なのではなくて、URLで映像の断片を指差すことが可能になって、それがブログと同様の参照のネットワーク取りこまれてしまうことだ。コピペ権はそれを防ぐ為の口実。詳細は下記参照。

この記事が参照している『 BBもRemixableにされてPax Googlicaに飲みこまれるでしょう』もすばらしいので、是非合わせて読んで欲しいです。



こういった様にURIが時間軸に対してまで付けられる様になると、本当にウェブは時空を超えることが容易になってきます。
今までは主にウェブサイトに対してURIは付与されていたわけで、これはそのサイトが置かれているサーバにアクセスするためのアドレス(=場所情報)に過ぎませんでした。
今回、動画コンテンツの時間軸に対してもURIが付与されたことで、場所だけでなく、時間まで指定して情報リソースにアクセスできる様になった訳です。


今はGoogleVideoだけですが、これが次第にYouTube等にも広がって行き、そこに保管されるコンテンツが現在の様にTV放送を録画したものや個人投稿ビデオから、あらゆる動画コンテンツにまで広がった場合、本当にタイムマシンの様な世界が実現してきます。
あらゆる事象が映像で記録される様になり、それにアクセスできる様になったら、擬似的なタイムマシンだと思うのです。

そのうち、『〜さんの○年○月○日○時の映像が見たい!』とか『2010年クリスマスのパリのシャンゼリゼ通りの様子は?』なんて、検索が可能になるのかもしれません。


インターネットによって時空が超えられる様になってきたとこれまでも言ってきましたが、今回のGoogleVideoの動きは、その発展を加速させるための大きな一歩になるのではないでしょうか。