3Dゲームファンのための“Wiiの秘密”講座〜ハイデフ未対応でシェーダ未搭載で勝ちを狙うWiiのアンチ・ハイスペック戦略

E3で話題をさらったWiiですが、それについての解析記事もぼちぼちと出てきたようです。GAMEWatchで出てきたのが、表題の記事です。


西川善司氏について
まず、記事を書いている記者についてから。最近は各種ニュースサイトとしてのスタイルだけでなく、そこで書いている記者についても注目してニュースを見る必要があります。日経やCNETだからといっていつも特定の企業びいきと言うこともなく、どちらかというとブログと一緒で、記者の個性も表れるところがあります。(逆に言えば、ニュースサイトが違っても同じ記者が書いていれば似たような主張であることが多いです。
今回記事を書いている西川善司氏。いろいろな記事を書かれていますが、特に3Dゲームにおける各種アーキテクチャについての専門家、という立ち位置で記事を書かれているようです。
ITmedia アンカーデスク:トライゼット西川善司 執筆記事一覧
― 西川善司の3Dゲームエクスタシー ―【4Gamer.net】
また、3Dの画質にうるさい分、AVWatchでは大型ディスプレイに関する連載も持っているようですね。
大画面☆マニア【バックナンバー】
西川氏のHPを見ると、こうした仕事についてリンクが張ってありますね。
突(善)変異
ちなみに、この西川氏、古くはZ-MUSICで知られたプログラマーのようです。Z-MUSICと聞いてピンとくる方はかなりのマニアでしょうね。Z-MUSICとはSHARPがかつて出していた名機、X68000の世界では知る人ぞ知る高性能ミュージックドライバです。
Z-MUSIC Home Page
自分も元X68000所有者でしたので、Z-MUSIC向けにかかれたファルコムゲームミュージックのアレンジなどをいろいろ楽しませていただいたものです。ゲームなどの組み込みドライバとしてもよく使われていましたね。
ということで、バックグラウンド的には十分な実績を持っている西川氏のWiiに関する記事について見ていきたいと思います。


○3D性能について
記事全体の流れとしては、Wiiのテクノロジーについて、3D性能の細かい分析とWiiリモコンの仕組みについて解説されています。とくに、3D関連についてはこれまで「他機種より劣る」、「GCの延長」という漠然とした表現しか伝わってきませんでしたが、それについても詳しく述べられています。
まず3D性能。ハイビジョン未対応だが480P、16:9が標準というのは、前に宮本茂氏のインタビューでわかっていた内容ですね。もう一点、プログラマブルシェーダが含まれないという点。自分はあまり3Dゲームの技術には詳しくないのですが、オブジェクトの質感や形状を自由に変化させられる技術のようです。最近のPC用グラフィックカードではほぼ対応しており、リアルさが格段に増す技術のようですが、Wiiにはないとのこと。個人的にはそこの説明で出ているスーパーマリオギャラクシーのジャギだらけの絵の方が気になりますね。ゼルダもジャギジャギとかかれていますし、この辺は残念なところかも。解像度は低くてもいいのですが、ジャギだけは結構気になるのでアンチエイリアスしてほしかったのですが。


○コントローラについて
Wiiリモコンについては、PS3のコントローラとの比較。パクリ、プライドのかけらもないと言われているPS3のコントローラですが、なんだかんだ言ってWiiリモコンと近い動作はできそうです。とはいえ、あの形状で片手で持って振り回したりするとすっぽ抜けそうな感じもしますが。ポインティングWii独自とのこと。このポインティングの原理はまだ具体的には説明されていませんが、おそらくWiiリモコンの赤外線をセンサーバーの両端にあるCMOSセンサで撮影。その対応点を抽出して三角測量で距離計算というところなんでしょう。ちなみに、この記事には「キャリブレーションが必要」とかかれていますが、この点は特にまだアナウンスがなかったはず。記事からも、特に裏付けをとったわけではなく、予想で書いている感じがしますね。個人的にはキャリブレーションありで正確なポインティングできた方がいいですけど。


○筐体について
その他、Wii本体を実際にさわって、その様々な角度から見た外観についてもレポートされています。台座部分は何か秘密があるかと思いましたが、本当に単なる台座の様子。HDMIの可能性はノーコメント。まずあり得ないと思いますけど、否定しなかったのはちょっと気になるところ。さらに、本体左側のふたのところもあけてはだめと言われた様子。SDカードスロットがあることは確かなのでしょうが、まだ何か端子など隠し機能が隠されている可能性もあります。電源はACアダプタの様子。まあ、これも消費電力が小さいからこそできる芸当でしょうね。PS3は電源内蔵のようですが、下手に外に出すとXbox360のようにファン付き巨大ACアダプタになりかねませんから。8センチディスクについても、展示員の説明ではアタッチメント不要とのこと。ただ、ここで西川氏が述べているように、表裏逆に入れてしまった場合どうなるのかは心配なところです。縦置きだと、大人でも普通に間違えてしまいそうですから。傷つかない工夫がされていることを祈ります。


以上の記事を見る限り、たしかに印象としては「GCの省スペース版+拡張リモコン」という感じですね。ちょうど、薄型PS2にコントローラを拡張したかんじでしょうか。見た目も昨年のE3から対して変わっていませんし、今すぐ発売されてもおかしくなさそう。薄型PS2のように、本体に取り付ける液晶ディスプレイ(センサーバー機能付き)なんかが出ると、修学旅行とかそういった外出先でのイベントにまじめに持って行けそうでおもしろそうですね。HORIあたりがそういった周辺機器を出してきてくれることに期待です。3D性能の低さはたしかにネックではありますが、そこを犠牲にした分、ちゃんと安価な価格設定で消費者に還元してくれることを願います。