海外版『応援団』“Elite Beat Agents”レビュー

DSならではの音ゲーとして、ユーザに非常に高い評価を受けている「押忍!闘え!応援団」。DSレビューサイトでは、未だにランキング1位の座を維持し続けています。
NDSレビュー集「押忍!闘え!応援団」

この作品は、海外でも輸入されて好評を博しており、応援団という珍妙なJapanっぽさも併せて強く指示されていました。ただ、応援団の曲はどれもJ-Pop、しかもほとんど世界的には知られていない曲ばかり。そういうことで、このたび海外向けに曲目やキャラがアレンジされた「Elite Beat Agents」が11/6に北米で発売されました。

Nintendo.com Games : Elite Beat Agents

曲目およびそのPV一覧を、以前に以下のエントリーにまとめていますので、そちらをご覧ください。
わぱのつれづれ日記 - 海外版「押忍!闘え!応援団」、“Elite Beat Agents”曲目リスト&参考PV

E3の時から海外では注目を集めており、発売前のレビューでもかなりのハイスコアをたたき出していました。10点満点中の9点、さらに6人ほど一般ユーザのレビューも足されていますが、それらの平均も9.5と、絶賛の内容になっています。

Elite Beat Agents DS Review, Elite Beat Agents Nintendo DS Review

日本国内での購入

このElite Beat Agents(以下EBA)、国内でも通販で以下のところなどで購入することができます。

自分も前回のPVリストの時に発注しており、ようやく到着した形です(メール便だと翌々日到着となるので注意)。今なら海外ゲームを扱っている店舗で直接購入できるかもしれませんので、近くにそうした店がある人はそちらの方がよいでしょう。

冒頭の写真が購入したパッケージの表裏、下の写真が内容物とマニュアルを開いたところになります。

 

すでに2chなどでは秋葉店頭などで購入した方のレビューなどがいろいろ載っていますが、ここでも自分が体験して見た感想などを以下に記してみたいと思います。なお、レビューは応援団で言う「一本木」にあたる「エージェント J」を一通りクリアした状態でレビューしています。自分の紹介より詳細な情報については、以下の2chのEBAスレまとめサイトをご覧ください。
応援団&EBA まとめ

日本版『応援団』の不満点を着実に改善

まずは、日本版「押忍!闘え!応援団」(以下、応援団)と比較して、改善されたところ、増えたモードなどを紹介してみたいと思います。主な改善点は以下の通り。

  • 前奏スキップの追加
  • リプレイデータの保存
  • ゴースト体験機能
  • 失敗箇所レビュー機能
  • 1カートリッジ対戦
  • リプレイデータシェアリング機能
  • 振動機能対応

応援団で不満点としてあげられていたものを、EBAではいずれの項目にもきちんと対応してくれているというかんじですね。以下に個々の機能について見ていきます。

待望の前奏スキップ機能

応援団では前奏カットがついていませんでした。特に最後のReady Steady Goは難易度が鬼でなかなかクリアできないくせに、前奏が長く、何度も何度も長い前奏演出を見せられるという、非常な苦痛を味あわされました。これに対して、EBAでは前奏カット機能は全ての曲に搭載されています。このおかげで、難しい曲で何度もゲームオーバーになっても、すぐにリズムパートから再開することができます。これは何度もプレイする高難易度では非常にありがたいものですね。
欲を言えば、スコアアタックやSランククリアを目指す際のため、「後奏スキップ」もつけて欲しかったところ。一本木にあたるJをクリアした後、田中にあたるSpinをクリアしていたのですが、かなりたるんですよね。後奏部分の演出はそれほど長いものは無いですが、それでもカットさせてくれるとより快適だったように思います。

充実のリプレイデータ保存&活用

EBAでは、リプレイデータのセーブ機能が付いたことは本当に大きいですね。応援団ではリプレイはステージクリア直後にしか見えず、せっかく苦労してクリアしたステージのリプレイなども、ずっと残しておくことができませんでした。今回は各ステージごとにリプレイデータをセーブできるので、後から自由に見ることができます。

さらに、このリプレイセーブデータを使った面白い新機能もあります。それは「ゴースト対戦」と「リプレイデータ配信」。ゴースト対戦は、その名の通り自分一人でも過去のリプレイデータを用いて自分のゴーストと対戦できます。応援団では対戦では特別にステージが用意してあるくせに2カートリッジで相手がいないとプレイできなかっただけに、このゴースト対戦はうれしい機能ですね。

今回も、対戦は5種類ぐらいあり、曲によってどのステージが使われるかが決まっています。ゴースト対戦をなんどかやってみましたが、難しい曲ほどゴーストが強い。そりゃ、クリアするときは必死でやりこんで、ようやくクリアできたときのデータですからね。自分のある意味限界に近いところでゴーストを作っていると、それにさらに打ち勝つにはマーカーのタイミングなどをさらにとぎすますなどの努力が必要になってきます。得意・不得意の性質が同じなだけに、なかなか手強い勝負になっておもしろいです。

また、まだ試せていないですが、リプレイデータのシェアリング機能というのも面白そうです。つまり、自分のリプレイデータを、通信で相手の端末に送れるというものです。このリプレイデータは単に他人のリプレイを見ることができるだけなのか、ゴースト対戦のようなことが可能なのかは、試せていないのでよくわかっていません。あと、タイトル画面でしばらく放置しておくと、このリプレイデータを使ってデモプレイを流してくれます。ここでもリプレイデータを活用している感じですね。

3D化したステージ選択画面

ゲーム中の各ステージですが、まずマップが前の2Dスライド式マップから、3Dの球状マップに変更されています。トゥーンシェイド気味で、あんまり綺麗じゃありません。テイルズオブザテンペストWiiのGTproといい、安易なトゥーンシェイドは単にしょぼいグラフィックに見えるだけ、ということがあると思うのですけど。ドラゴンボールみたいに、意味のある使い方ならいいのですが。前の応援団の2Dがあまり使い勝手がよくなかったので、それよりはEBAの方がまだ視認性がいい気もしますが、逆に3Dで自由に回転する分どれがどのステージなのかをパッと判定しにくいところもありますね。
なお、各曲目について、クリアすると金のバッジが表示されます。また、プレイ中3つの中間審査があるのですが、その3つを全て○でクリアすると星形が付くようになっています。

演出クオリティはアップするものの熱さはやや低減したプレイシーン

ステージ開始時のデモは、キャラデザが応援団よりややリアル目にかかれており、普通のマンガ絵になってますね。応援団はちょっと劇画風な輪郭になっていましたから。デモシーンも結構長いものが多く、アニメーションも応援団の時より凝っている印象がしました。

ただ、全般的に応援団ほどのバカっぽさというか、はじけっぷりが無い感じ。助けを呼ぶときもシンプルに「ヘーールプ!」ってだけなので、やっぱり「お、お、おうえんだーん!」の方が味が合った感じ。また、毎回指令の「Agents are GO!」のかけ声でエージェント達が登場するのですが、応援団のようになぜか陶芸しているとかばかばかしい登場の仕方でなく、普通に飛行機や車で登場してきたりするのも、ちょっと物足りない印象です。(ちなみに、GO!のかけ声からステージ開始まで約3秒ぐらいかかります。おそらく曲データ読み出しだと思いますが。)プレイ中の背後にあった炎の演出が無くなってしまったのも残念。デモ版まではあったようなんですけどね。

ゲーム中のダンスについてですが、こちらはEBAの方がバリエーションが踊りが豊富ですね。応援団は、どうしても応援団の振り付けという縛りがありましたが、EBAは普通にダンスできますからね。マドンナの曲では女性っぽい(キモイ)振り付け、軽快な曲だと軽快なステップ、などいろいろ曲ごとにもバリエーションがあったりします。プレイ中はなかなか落ち着いて彼らのダンスを見ることはできませんが、リプレイも保存できますし後からリプレイを見て楽しむのもありな感じです。このあたりのプレイ中の画面は、すでに海外で多数YouTubeで公開されているのでそちらをご覧ください。ステージ選択などの実際の感じも確認できます(撮影しながらのプレイでミスが多いですけどねw)。

音質が向上、ヘッドホンでのプレイを推奨

今回はROM容量が増えたようで、応援団よりも曲数が増えただけでなく音質も上がっています。前がAMラジオ程度なら、今回はFMラジオぐらいになった印象ですかね。応援団に比べ、明らかに音がクリアになった印象がしました。
また、プレイされる際はヘッドホンの使用を強くおすすめします。DS Liteのスピーカーでも普通にプレイでき、実際自分も最後の曲までは本体スピーカーでやっていたのですが、最後の曲でヘッドホンに変えたところ、印象ががらっと変わりました。特に、低音のビートが明らかに変わります。EBAの起動画面でも「ヘッドホンをつけて適切な音量でプレイすること推奨」というアナウンスが出ていますので、ヘッドホンなしでのプレイはEBAの楽しさを一部損なっているとすら言えるかもしれません。プレイする際は是非ともヘッドホンを利用して頂きたいですね。


※注意:以下、ネタバレを含むのでご注意ください。

ステージ&曲一覧+歌詞

以前、曲目リスト&参考PVをまとめましたが、ここではステージ別に整理してのせておきます。さらに各曲名に歌詞サイトを関連づけてあります。応援団の時は何度もプレイして曲を覚えてしまうため、結果カラオケのレパートリーが増えました。今回も、今までに無いほどディープに洋楽に触れることになると思うので、以下のサイトで歌詞を確認されてみてはいかがでしょうか?有名な曲も多いですし、カラオケでネタにできるかもしれませんし。YouTubeのPVと併せて見るとよりいいかもしれません。

エキストラステージは、トータルスコアを稼いでいくと登場するようです。ちなみに、歌は全部本人ではありませんでした。

各ステージのストーリーに対する印象

ストーリー的に今回、面白かったのはSeptemberです。子どもと久しぶりに週末ピクニックに行けるというキャスターの女性が、降水確率100%の天気を無理矢理晴れにしていく、という展開がぶっとんでいて面白かったです。You’re the Inspirationは日本でのOver the distanceにあたる静かな曲ですが、ストーリー部分は応援団の時よりずっと「泣ける」感じになってます。マーカーの配置まで応援団のものと似ているのが、プレイしていて思わずにやり、とする感じでしたね。そのほかは、あんまりピンチというピンチではなく、自業自得なものや、サクセスストーリーを目指すものが多く、その辺はちょっと乗り切れないところはありました。各ステージのマンガの台詞は英語ですが、それほど難しくはないのと絵を見ていれば内容は理解できるのであまり問題ないでしょう。(ただ、一部長文が一瞬だけ表示されるところは、自分も読み取れてませんが。)

あと、なにより最後のステージの曲に入るときの演出が最高です。Agentsが石にされてしまい皆が落ち込んでいる中で、クリスマスステージの女の子が「E.B.A!」コール。その「E.B.A!」コールがどんどん広がりを見せる中、コールに合わせて徐々にJumpin Jack Flashのギターが裏から入ってくるところは、マジでしびれましたね。特に最後の曲が何になっているのか分かっていないところで、Jumpin Jack Flash自体が最高にノリのいい曲だったのでなおさらよかったです。

相変わらずなしびれる難易度

難易度は、相変わらずですね。Agents Jの場合、序盤のステージはクリア自体は簡単ですが、そのランク判定はかなり辛いです。CやDとかで一発クリアというのが続きましたね。最初に詰まったのは「Canned Heat - Jamiroquai」。忍者のステージなのですが、冒頭から全くタイミングがとれず。初めてReview機能を何度も使うことになりました。これ以降は難易度も上がりなんどかやり直しが出ましたが、そこまでつまるところはなし。ただ、最後の最後、「Jumpin Jack Flash」(以下、JJF)が激ムズ!最終ステージは2段構成になっており、最初のステージはたいして難しくなかったので、「こんあものか」と半ば失望していたのですが、この最後のJJFで全てその不満を払拭してくれました。
応援団の時も最後Ready Stedy Go(以下RSG)が激ムズでしたが、それを何十回と挑戦してクリアするこそ、何とも言えない達成感が味わえたわけです。このJJFもその難易度は健在。曲は幾分RSGよりも単調なのですが、そのマーカーの配置などが流石最終ステージという感じです。とくに中盤の「マーカー→回転→マーカー→回転→マーカー→回転→マーカー」のコンボがかなり強烈でしたね。マーカーもそれぞれ配置が違うので、覚えるまでがかなり大変でした。最後の方の演出も、基本的には応援団と一緒なのですが、今回はエイリアンが襲ってきた感じなっている分、応援団の時よりは「敵がいる」という感じがして、演出もよかったです。難しければ難しいほど、プレイしていて思わず「ありえねーw」とにやけてしまう、そんなちょっとマゾい楽しさがあるのも、応援団ならではの楽しさな気がします。

ゲーマーなら買いの一品

以上、レビューしてきましたが、まだ団長、チアレベルをクリアしておらず、まだまだこれからが本番と言うところもあります。あと、振動機能も自分がカードリッジを所有していないので試せていません。
しかし、ここまででも、十分に楽しさが味わえています。応援団自体が神ゲーだったので、それの不満点を改善しながらさらにボリュームが増えた形で、応援団が楽しめた人なら間違いなく楽しめるはずです。また、DSで教育ゲームが多く、歯ごたえのあるゲームが少ないと嘆いている人なら、是非とも挑戦してみて欲しいところですね。
エンディングのスタッフロールを見ても、開発者はほとんど日本人、曲目も日本人にもなじみのある曲がそろっています。濃く、難易度も高いソフトなだけに、爆発的に売れまくるというソフトではないのはたしかですが、任天堂ならそういったニッチな層にもフォローしてほしいところ。せっかく日本でいまいちな売れ行きながらも続編を作ったわけですので、是非とも日本語に逆翻訳して発売してほしいところですね。
とはいえ、現状ではまだ日本語版の計画はないので、とりあえず輸入版の購入を強くおすすめします。価格も5000円前後と日本のDSソフトと大して変わりませんし、やる価値ありです。