Hatena::ブログ(Diary)

静岡の高速バス倉庫 Blog Side


■購読上の注意
・本Blogは執筆者の個人的意見の表明であり、特定企業や団体の意見ではありません。
・内容は可能な限り正確な情報を記載するよう努めていますが、正確であることは保証しません。
・本Blogの閲覧者が本Blogを閲覧したことに起因する不利益に対しての責任は負いません。
・各種情報に関しては、必ず各社及び団体の公式発表を確認してください。
・本Blogは議論を目的として設置するものではありませんので、コメント欄は閉じてあります。
・本Blog管理人の業務内容と本Blogの記載内容は一切関係ありません。

■ご案内
・本Blogで扱う内容は、静岡市内発着高速バス関係ネタを中心にした興味あるもの全てです。
・「静岡の高速バス倉庫」を運営しております。
・頂いたメールは全て拝読していますが、全てのメールに返事をお出しするものではありません。
・リンク等は自由ですが、写真を転載される際には一言ご相談ください。

2007-05-03

格安に変わる価値観とは?

 「高速ツアーバス 格安競争の裏で」の再放送を本放送代わりで見たんですが、まぁ、思った事なんかを適当に書いてみようかと思ったんですが、既に3月2日のエントリで色々と書いていたりしました。それへの補足って言うか何と言うか別の視点からもう一度書いてみたく。
***
 確かに安いバス代で買いたたくと言う旅行会社の行動は目に余るものがあるんですが、これはこれで旅行会社の本来的な性格〜手数料で稼ぐ〜と言う事を考えると仕方ない部分がありますし、「格安で移動したい」と言うニーズに対応して安いツアー代金を提示する事によって稼ぐ、と言う目の付け所は間違って無いと思います。まぁ、元々は「こだま」号の空席を埋めるためにJR東海ツアーズが売り出した「ぷらっとこだまフリープラン」とか「スキーツアーバス」にその起源を求める事はできますからね。また、既存路線バス会社のサービス向上へのきっかけを作った事はもっと評価されてしかるべきだと思います。
 その一方でバス会社側を見ると、正直言って余りにも「杜撰な事業計画」だったのではないかと思う訳で。全体のバス業界(貸切)の需要が低下している中で自由化が行われ、全体としての事業者数が増えてしまえば結局は価格競争による消耗戦を強いられてしまう訳で。既存のバス会社が立ち行かなくなっている状況で「別の方策」を考えるべきだったのではないのか?と思います。余程の大手旅行会社や大口顧客を持っている、もしくはカリスマ的な営業担当者が自分のお客さんをがっちり持っていると言うような収入見込みがない限り、参入する事は避けた方が良かったのかもしれないのでは?と思う部分がある訳で。そう思うと、結果的に強いられてしまう消耗戦の中で「安全」と言う運輸事業者が死守しなくてはならない部分を切りつめなくてはならない、その結果が2月の事故ではないかと思うのです。
 今回番組に出てきた貸切事業者も、様々な事情があるにせよ、本当にその事業をすべきだったのか?と残念ながら思わざるを得ない状況です。むしろ、今までの事業を固めて行った上で地元の小規模な需要をこまめに拾うことが出来るような事業をやった方が良かったのではないでしょうか。
***
 とまぁ、敢えて色んな感想とは正反対の事を書いてみた訳で。
 確かに旅行会社の阿漕な商売には嫌悪感を覚えますし、運行会社の経営状況を見ると「何とかしたい」って思う所はあります。ですが、単純にそれらの方向を「バス代の是正」と言うような方向で解決した場合に、誰が一番の損失を受けるのか?って言う事を考えると、基本的には乗客になってしまうのではないかと思うんです。バス代の値上げによって運行会社の経営状況は安定するかもしれません。旅行会社の値上げによる収益減少はまぁいいにしても、既存バス会社のサービスレベル低下による顧客離れが発生するかもしれませんし、値上げやサービス低下によって影響を受けるのは顧客になって来るんですよね。それを考えると、確かに現状は望ましいものではないにしても、このフレームを壊してしまう事は不味いのでは?と思う部分があったりします。まぁ、正直現在の国の姿勢も問題有りなんですが。
***
 色々と考えていくと、結局は「旅行会社」が「バス会社」と言う現場を知らないのでは無いか?って言う部分に行き着くと思うんですよね。バス運行にかかるコストを考える事無く買いたたくと言う行為そのものが問題だと思うんです。実際、自分なんかも旅行会社の営業をやっていたころにはバスの手配を何回となくやっていましたが、やはり公示運賃の下限は可能な限り守っていましたし、仮に下限を切る運賃で見積を出すような場合には所長の許可を貰ってやっていました。それでもバス部の課長からは怒られる事もありましたが、それは旅行会社とバス会社が同じ会社の事業部として存在していたからかもしれません。
 確かに考えてみれば、合い見積もりの競合相手はいずれもバス会社が同じグループ内にある会社でしたし、そこらへんは繁忙期にはお互いのバスを融通しあったりする事もあったので「下手な事は出来ない」と言う仁義はあったのかと今更ながら思ったりもします。T/Cで乗る時にはやっぱりドライバーさんとガイドさんにはコーヒーの差し入れをしたりとか、色々とドライバーさんが安全に仕事を出来るように気を配っていた訳で。
***
 確かに「安全」にはお金がかかりますし、バス会社もその「安全」に対するコストを切りつめたくないって思うんですよね。それはバス会社にとっての「倫理」ですし、ドライバーさんそれぞれの「誇り」ですし。
 一度、こんな事をドライバーさんと話した事があります。


「お前、良くもまぁこんな仕事取ってきたなぁ」
「ええ、苦労しましたよ・・・。」
「何か相当安く見積もり出したんだって?」
「ええ、競合相手が信じられないバス代を出してきたもんで・・・」
「結局幾らだ?」
「ええ、(自主規制)円です。」
「俺の仕事も安いもんだなぁ・・・。」
「申し訳ありません。」
「まぁ、仕事にゃ変わりないし、お前の大事なお客さんだから、精一杯やってくらぁ」

 とてもではないですが、値段は書けません。ですが、自分としては可能な限りドライバーさんとは話をするようにしていました。結局このお客さんは「値段だけ」で選んだ訳で、次年度以降は使って貰えなくなってしまった訳で。やはりバス代が色々あったようです。自分も出せる範囲で安く出した、けど、それじゃ高い。何とも言えませんぜ。
 多少なりともドライバーさんの大変加減を知っていれば、「提示できる値段」って言うのは見えてくるって思うんですよね。バス会社の経営努力も必要ですが、その経営努力を支えるだけの旅行会社の努力って言うのも必要でしょう。その旅行会社の努力って言うのは、バス会社に競争させて優劣を競うって言うものだけではなく、どうやってお客さんを自ら取りに行くような経営体制に持って行く事が出来るのかって言う事もあるでしょう。ただ単に安いから使う、と言う形ではなく、双方にとって良好な関係をどうやって築いていくのかって言う部分になってくるでしょうね。少なくとも今のままでは旅行会社の一人勝ちな状況なだけに。
 もっと現場を旅行会社が知悉し、双方が「パートナー」としてお互いを認め合えるような関係づくりが求められているのではないでしょうか。

Connection: close