未踏の空間

 今朝の朝日新聞に「ボイジャー太陽系脱出」という見出しが躍った。
http://matome.naver.jp/odai/2135465012395494601
 1977年に打ち上げられたNASAの宇宙探査機「ボイジャー1号」が36年かかってようやく太陽系を脱する。
 なんとも悠長な話ではないか。時速6万キロという途方もないスピードで飛んでも直系10万光年の銀河系の点を克服するのがやっという、これが人類の叡智の限界である。
 ようやく太陽系の端っこにたどり着いたが、その先の道のりの遥かなることいかばかりであろうか。
 大宇宙の広大さに思いを馳せる時、地球の希少さ、貴重さ、そして人の命のはかなさを感じることができる。

 午前5時、涼しい庭で新聞をくつろげて「ボイジャー太陽系脱出」の見出しを見つけて、「よっしゃー、今朝はこれだ!」と確信した。
 ワシャの頭の中では、星野之宣という人名が浮かんでいた。星野さんのコミックにボイジャーをテーマにしたものがあったのだ。物語は、かなり進化した人類が宇宙空間で未確認の宇宙物体と遭遇する。犠牲を出しながらも調査を進めていくと、それはボイジャーを核としてつくられた宇宙船……というような話だった。
 まずは、資料とするためにそのマンガを探さなければいけない。が、現在、書庫が満杯状態なので、マンガはひとまず段ボールに入れて、書庫に隣接する納戸に積んである。その箱数……数えていないのでよくわからないが、40箱くらいかなぁ。
 とにかく思い立ったら即実行ということで、早朝から納戸で段ボールをひっくり返してマンガを探すという大変な状況になってしまった。一応は整理しているのだが、星野之宣といっても何箱かに別れている。『2001夜物語』など何冊かは発掘したが、そのどれにも目的の話は掲載されていなかった。
結局、1時間で資料を探し当てることはできなかったのである。
『蔵書の苦しみ』(光文社新書)の著者の岡崎武志さんが言っていたが、「本は段ボールに入れた瞬間に死蔵となる」、まさにそのとおりだなぁ。本棚に、星野之宣がずらりとならんでいたときならば、間違いなく5秒で目的の本を手にしていた。段ボールに入れて積みはじめてから本の検索が難しくなっている。
 ううむ、太陽系とか宇宙空間とか、そんなことを言っている場合ではない。ワシャの家の猫の額のようなスペースですら、未踏の森になり果てている。人類の進む先は実に険しい(笑)。