大学へ行かない選択

《「人を守る仕事したい」=土砂崩れ生還の優太君―夢は自衛官中越地震10年》
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141018-00000010-jij-soci
 このニュースを読んでいて、思わず目頭が熱くなった。そうか、あの大地震から10年も経つのか……。ちょうど中越地震のあったときにワシャは防災部門にいた。だから居ても立ってもいられなくて、上司を説き伏せて新潟の現場に入ったものである。その現場を知るものにとって、皆川優太君の救出された現場は、奇跡の舞台として記憶に残っている。
2004年10月27日午後2時のことである。余震にゆれる土石の中から、92時間を経て優太ちゃん2歳が救出された。通常は72時間と言われている救出の限界を20時間も上回っている。優太ちゃんが見つかったあたりの足場はまことに悪かった。これは実際に救出したレスキュー隊の証言だから間違いない。そんな不安定な場所で、たった2歳の幼児が生きていた。これは奇跡以外のなにものでもない。おそらく一緒になくなられたお母さんとお姉ちゃんが、魂となって優太ちゃんを守り通したということなのだ。今でもこの時の話を思い出すと泣けてくる。
http://d.hatena.ne.jp/warusyawa/20130305

 10月17日の日記でも触れたが、朝日新聞は大学進学率が少ないことが、いかにも悪いことのように書いている。しかし、奇跡の優太ちゃんはどうであろう。中学1年生で「人を守る仕事がしたい」という決断をしている。成長して、自らの命が誰に助けられたか、第一は、お母さんとお姉ちゃん、第二は、自らの危険も顧みず災害現場に駆けつけてくれた自衛隊、消防、警察であることを、彼はよく学んでいる。2歳の幼児には解らなくとも、長じるに従い、父や祖父母、あるいはいろいろな情報から、自分の身に何が起こったかを知ったのだ。そして彼は一つの結論を導き出す。
「人を守りたい」
 おそらく彼の意志は変わらない。そうすると高校を出た段階で自衛隊を受けるんでしょうね。きっと凛々しい自衛官が誕生する。優太ちゃんは半ば冬眠しているような中途半端な大学生活などは決して望まない。土中で優太ちゃんを守ってくれたお母さんやお姉ちゃんの分まで一生懸命に生きるはずだ。きっと素敵な人生になるに違いない。

 でもね、朝日新聞によれば新潟県は大学進学率が悪く「貧乏人は教育が受けられない」ということなのだそうな。
 違うよね。新潟県岩手県も、未曾有の災害を経験し、しっかりとした人生の目標をもって10代20代を生きていこうと決意する若人が増えてきたのである。へたれ大学に進学し、ただれたようなモラトリアムを過ごそうというぼんくらが少ないと言うことに他ならない。
むしろ大学進学率が低いところこそ、有益な人材が育っていると前向きに考えたい。その証拠がまさに優太ちゃんなのである。