テレビという驕り

 テレビをあまり見ていないのでネットからの情報でしかないのだが、このところ民放テレビの凋落がひどい。そんなものは勝手に凋落してくれということなのだが、それが視聴者をも巻き込んで、どんどん低劣化していくので困ったものだと思っている。

《布川敏和、元妻つちやかおりの共演理由にぼう然》
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161107-01735052-nksports-ent
 TBS系のバラエティーに離婚した夫婦タレントが同席した。そんなものを視聴者は見たいのかなぁ。のぞき好きな人は多少はいるだろうから、それはいいとしても、タレントと言う種族は有名になるためだったら恥も外聞もないということがよく理解できた。つちやかおりは自分の著作のPRをするためだったら、布川とぶつけられようがなんだろうがオファーに応じたということ。有名になれば政治家にもなれるし、本も出版できる。それでいくばくかの銭になる。離婚でも事故でも破産でもなんでもいい、とにかく名を売れば勝ちという昨今の芸能界の風潮ははっきり言って下品だ。

 ヒルナンデス「丁字路」問題は、テレビ局の阿呆さ加減を露呈したものであるが、視聴者だって「丁字路」と「T字路」の区別のつかない人が大方であったろう。「丁」か「T」かという話は本質的にどうでもいい。問題は、マスコミ、タレントが一般の人たちを根っから見下しているところにある。
 ワシャは2004年のこの日記
http://d.hatena.ne.jp/warusyawa/20040223/1077515016
に「釣瓶の家族に乾杯」が嫌いだと書いた。マスコミ、タレントの横柄さが、このころはプンプン臭ってくるようだったからである。最近は、釣瓶も年齢を重ねて、番組内で配慮が見られるようになったし、例えば、火野正平の「日本縦断こころ旅」では、火野さんの人柄もあって素人とからむのがほほ笑ましい。この点については、NHKは学習をしている。
 ところが民放のほうは相変わらずひどい。この「丁字路」問題は、それが顕在化したということなのである。放送局も個々のタレント攻撃で幕引きするのではなく、自分たちもきっちとけじめをつけるべきである。無理か。

 林修というタレントがいる。予備校の講師らしいが、なにか「決め台詞」を言ったことから注目されて名前が売れた。その人、博覧強記を売り物にしているらしい。この人が、何の番組だったか忘れたが、おバカを売り物にしているタレントを前にして、突然にホワイトボードに図を描き出した。○にTの字を書いて、タレントに対して「これは知っていますよね」と言い出した。ワシャも見ていてなにを言い出したのか量りかねた。当然、タレントは「判りません」と答える。林講師、この応答に「え?」と顔色を変えたが、間髪を入れず、猛然と「丁字路」と「T字路」の話をして、「丁字路」を知らないタレントたちを見下したような発言に終始した。延いては、生徒のタレントを通してカメラの向こうにいる視聴者をバカにしている。
 でもね、林講師、そもそも交通標識は「○にT」ではなくて「◇にT」だし、意味は「T形道路交差点あり」という警戒標識なのだ。標識は「丁」(てい)ではなく「T」(ティー)なのだ。博覧強記を売り物にしている人物自身が大した知識を持っていない。タレントへの尋ね方からして、教師としては素人だと思った。しょせん、入試のための技術を教えるだけの人でしかない。学歴がどうのこうの、博覧強記だからどうのこうのではないのである。自分の知識をひけらかすにしても奥行きや哲学が感じられない。

 それにしても人間っておもしろい。ババを引かずにジョーカーを引いたか。