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遼東の豕

2019-01-13

今日こそ阿修羅

 次から次に気になるニュースや事歴が出てくるので、肝心の文化的関心についていつまで経っても書けない。今も、フェイクペーパーの朝日新聞を眺めていたら、早速おもしろいのを見つけてしまった。相変わらずの「日曜に勝手に想え」というコラムである。ううう……このコラムにケチをつけたい。編集委員に言いたいことが脳内にあふれ出している。しかし「阿修羅」を「またあしゅら」などと言って先送りしてきたので、ここはぐっとこらえて「阿修羅」について触れたい。

 一昨日の1月11日が「阿修羅の日」だった。天平6年(734年)、光明皇后釈迦丈六像とその群像釈迦眷属十大弟子と守護の八部衆を西金堂に納めた日である。その中に阿修羅立像がある。もちろん、これらの天平芸術群は、そのどれもが素晴らしいものばかりである。なのだが、その中でも屹立して見事なものが阿修羅立像だと思っている。これほど美しい御仏があるだろうか。
http://www.kohfukuji.com/property/cultural/001.html
 これね。この均整をそなえた猛き少年神。少しひそめた眉、切れ長の澄んだ目、強い意志を顕した口元、それらを柔らかい曲線の頬が引き締めている。
 この像を始めて見たのは小学6年の時だったか……。天平芸術を初めて目の当たりにしたガキンチョは、そのあまりの美しさに、その生々しいお姿に、腰を抜かしたのだった。
「世界の造形の中に、これほど魅力的なものが存在するだろうか」
 大して世界の造形を知らなかったが、それでも小ガキ生はそう思ったんだからしかたがない。
今にも、薄い丹色の皮膚をやぶって、中性的な細身の少年が現れるような錯覚を見ていた。
 阿修羅三面六臂怪物である。異形の神である。顔が3つあって腕が6本伸びている。普通なら化け物ですよね。でも、この阿修羅立像にはただならぬ気品がただよう。現代アートで、この気品を醸し出すことは、ほぼ不可能だろう。それを1300年前の天平仏師麻布を漆で張り合わせて造り上げた。その技術たるや、芸術的センスたるや、目を見張るものがある。そして、よくぞ、何度もの戦禍を潜り抜けて、平成の世まで生き残ってくれた。
 この憂いを帯びた表情を三つも持つ美しい仏様が、1300年にわたって、どれほどの人間の心を癒し、導き、救ってきたことだろう。まさに仏である。
 そのお顔であるが、もちろん正面の少年のような少女のような中性的なお顔が有名ではあるが、ワシャは正面のお顔も好きだけれど、左面のお顔が気に入っている。正面のお顔より男性的で凛々しいところが好ましい。興福寺では、左面はよく見えない。確か「東京国立博物館」にお出ましになった時だったか、横からも拝見することができた。そうしたらね、眉間から右頬にかけてひびが入っているのを発見した。一瞬、ギョッとした記憶が残っている。だが、そこも戦いの神である阿修羅の戦痕のようで、それがまたリアルなのである。
 こういった民族の宝が在野の寺に1300年にもわたって保存されているところがうれしいではないか。政権が変わるたびに、過去に造り上げてきたものを破壊することでしか自分たちのアイデンティティを確保できない連中がいる。例えば、バーミヤン大仏を爆破したクソ野郎どもだが、そういった輩を育まない風土・歴史をもつ国でよかった。
 阿修羅立像一つを見ても、日本は誇りのもてる素晴らしい国だと思っている。

東京国立博物館」でこんな話を思い出した。
《日本、高麗遺物の貸出を拒否》
http://japanese.donga.com/Home/3/all/27/1503263/1
 韓国で「大高麗展」というのを開催したいと思ったらしい。しかし、なにしろ半島では体制が代わるたびに、前政権の遺物は破壊されたり散逸したりして、ごく少数しか残っていないんですわ。
そこで韓国は考えた。「そうだ日本から借りるニダ」。ううむ、その考えは正しい。日本は、高麗から伝わった文物を大切に保管してきたし、なにがあっても歴史的な文物を一時の劣情で破壊したりしない国柄だからね。
 例えば東京国立博物館が所蔵している「阿彌陀三尊図」
https://webarchives.tnm.jp/imgsearch/show/C0044940
などを「貸してほしいニダ」と申し込んだ。でもね、東博は貸さなかった。あたりまえだ。貸したら最後、裁判所が「阿彌陀三尊図はもともと我が国のものなニダ。日本に返す必要はないニダ」と言い出したら、日本には二度と返されることはない。「返さなくていいニダ」という法律があるんだもの。そんな国に誰が貸すか!
韓国にあれば国宝や宝物に指定されていたはずの文化財です。(韓国外にあるので惜しいのですが)積極的に韓国内展示を誘致して、研究と観覧をすべきなのに…」
 と韓国博物館関係者が嘆いているという。
 自業自得でしょ。おまえら全部燃やしちまったじゃん。自分たちで失くしておいて、他の国のお寺が大切に保存していたものを、コソ泥が盗んでいって、それを「これは韓国のものなニダ」というような国である。貸したら最後、返ってこないと世界中の博物館が思っている。

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