子供の頃は夏は定番のように暑い日は鯨汁が食卓に出て来た。その時は今以て理由は分からないが、決まって一緒に夕顔が汁に入っていた。私はこの鯨汁が大嫌いで、今も好きになれない。汁には油がギットン、ギットンと浮いていて、味噌汁を台無しにしているように思えた。
以来、坊主憎けりゃ袈裟まで憎いではないが、一緒に入っていた夕顔まで嫌いになった。お袋が夕顔を買って台所に置いてあるのを見ると、ああ、今日は鯨汁だなと分かるので、うんざりしたものである。そんな時に限って我が家の食卓は貧しいので、鯨汁でも飲まなけりゃ、食べる物が無いのである。
「鯨汁は栄養があるし、夏バテにいいんだよ」などと言われても、嫌いな物は嫌いなのだ。大体先ほども言ったように何で夕顔を入れるんだ？私は決して夕顔そのものを食べられない訳ではないし、嫌いでも無い。現に鯨汁を飲む時は鯨を避け、夕顔と汁だけを戴いていたくらいである。しかし、この鯨と組み合わせた印象が今以て私の脳味噌を支配していて、自分から進んで夕顔を買ったことは未だ嘗て無い。
そういう私fだったのだが、先日畑を貸して戴いているＯさんから夕顔を戴いた。夕顔は皆さんご存じのようにとんでもなくでかい。だから1本なんて要らないのだが、くれる方は「じゃあ半分だけ」と言う訳には行かないから、やっぱり1本となる。
はい、今晩はこれを使って味噌汁を作りましたが、当然鯨なんぞ入れるはずがありません。鯨さえ入れなければ、夕顔だって毛嫌いしないんです。ひょっとして私のように鯨汁嫌いが高じて夕顔嫌いになった人も大勢いるのでは？ いずれにしても鯨汁に夕顔を入れるのは止めてくれ〜。トラウマになっちまうよ〜ん。
あ、ちなみに私、鯨汁は大嫌いなんですが、鯨の缶詰は子供の時から大好物なんです。(変なの！）えー、そこん所一つよろしく。あ、ついでに言うと歯鯨の肉より髭鯨の肉の方が美味しいので、出来ればそちらの方で。（何の話をしている？）
