金田一耕助ベストテン

実は昨日からスカパーを導入したのですが、早速、ミステリチャンネルで『火曜日の女』シリーズ「いとこ同志」を見ました。

http://www.mystery.co.jp/program/itoko.html

いとこ同志 全集 [DVD]

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「火曜日の女」は、1969年〜1973年にかけて日本テレビ系で放送されたサスペンスドラマシリーズで、のちの「火曜サスペンス劇場」の母体となったものです。

当時は2時間ドラマという形態がありませんでしたので、一回一時間で六〜七回程度の、連続ドラマとして作られていました。



このシリーズでは、コーネル・ウールリッチ笹沢佐保など内外の小説を原作としており、この「いとこ同志」は横溝正史の『三つ首塔』を原作としています。

ヒロインは島田陽子、相手役は佐々木剛という仮面ライダー』色の強いキャスティングで、金田一耕助は出てきません。


同枠では、『犬神家の一族』『悪魔の手毬唄』も、『蒼いけものたち』『おんな友だち』というタイトルでドラマ化されていますが、これらにも金田一耕助は出ないんですね。


当時はまだ金田一耕助ブームが来ておらず、名探偵という古めかしい存在が敬遠されたんでしょうか。



さて。



横溝正史先生にも、自作ベストテンを選んでいただいたことがありました。

1976年から77年という、金田一ブーム真っ只中に毎日新聞日曜版に連載されたこのエッセイでは、「私のベスト10」という一章があります。


自作について謙遜することしきりだった横溝先生のことで、さすがに自分で選んだのではなく、評論家の田中潤司氏によるベスト5の引用にとどまっているのですが、

  1. 門島
  2. 本陣殺人事件
  3. 犬神家の一族
  4. 悪魔の手毬唄
  5. 八つ墓村

となっています。これに続き、ご自分で選んだのが

であり、この下には、「文庫本の売れ行きからすると」というデータ主義的な選定基準で

  • 三つ首塔
  • 女王蜂
  • 夜歩く

が選ばれているのですが、

むろん私はこれらの作品にも深い愛着を持っているのだが、ベスト10に入れるとなると躊躇せざるを得ないのである。

と、謙遜深い姿勢を見せる横溝先生なのでありました。

しかし、その創作意欲はまだまだ旺盛で、

私にはまだ数編書く歳月が残されているはずである。そのなかからこれぞベスト10作品というのを、少なくとも三編は書きたいと思っている。

と、その章を結んでいます。



横溝正史は、それから亡くなるまでに『病院坂の首縊りの家』『悪霊島』という二つの長編を完成させましたが、それらをベストテンに入れるかどうか、は微妙なところですね。