仏の首にナワかけろ

俳優の山田吾一が亡くなった、との報せが舞い込んできました。


http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121015/k10015764021000.html

俳優の山田吾一さんが死去

NHKのテレビドラマ「事件記者」の新聞記者役などで知られ、テレビや舞台で幅広く活躍した俳優の山田吾一さんが、13日、心不全のため、神奈川県内の自宅で亡くなりました。
79歳でした。

山田さんは、昭和8年に北海道で生まれ、高校を卒業後、いったんは会社員になりましたが、東京の俳優の専門学校に入り、演技を学びました。
その後、劇団四季などを経て、昭和33年に、NHKのテレビドラマ「事件記者」に出演し、正義感あふれる「ガンさん」という愛称の新聞記者役を演じ注目を集めました。
また昭和44年放送の大河ドラマ天と地と」や、昭和57年から翌年にかけて放送された連続テレビ小説「よーいドン」など、多くのドラマや映画に出演し、現代劇から時代劇まで幅広い役柄を演じました。
平成2年には、独り芝居の劇団「吾一座」を旗揚げし、舞台でも活躍しました。
山田さんは、近年も映画やテレビを中心に精力的に活動していましたが、13日、神奈川県内の自宅で、心不全のため亡くなりました。通夜は今月18日、葬儀は19日に、いずれも横浜市内の葬祭場で営まれる予定です。


山田吾一といえば、記事中にもあるドラマ『事件記者』が有名ですが、ぼくの世代だと、千葉真一から変身した宍戸錠に「ついてゆけぬ」と三行半を叩きつける、『仁義なき戦い・完結篇』がまず思い浮かぶところです。

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そしてひときわ印象的なのが、『必殺仕置人』第5話「仏の首にナワかけろ」ですね。

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山田吾一が演じていたのは、念仏の鉄(山崎努)の佐渡金山時代の仲間で、江戸へ出てきた焼き芋屋の安蔵。いっけん善人ですが、実は他人を利用して成り上がろうとする小悪党でした。自分によくしてくれた下駄屋の夫婦を殺し、一人娘にも手を出すという鬼畜です。ちなみに、レイプされる一人娘は、当時28歳ながらすでに貫録充分だった藤田弓子です。思わず「えぇっ?」という声が漏れます。


中村主水の調査によって安蔵の正体が露見したものの、鉄はかつて落盤事故から救われた恩のため、安蔵の仕置には踏み切れません。
「安蔵がおめえを助けた本当の目的は(鉄がふんどしに縫い込んでいた)金針じゃなかったのか?」
「よしんば欲得ずくだっていいじゃねえか、誰もが逃げ出したあの地獄で、人助けをするなんざ、よっぽどのことだぜ」


しかし、安蔵が埋めた下駄屋の死体を発見して、鉄はついに仕置を決意します。


撓めた木の枝に何本もの縄を結び付け、首に縄を掛けた状態で一本ずつ縄を切っていく(当たりは一本で、残りはダミー)首吊りロシアンルーレットという陰惨な仕置は、現在の放送コードでは考えられないですね。


ちなみに、山田吾一古今亭志ん朝は親友同士で、顔が似ていることでも有名でしたが、志ん朝が最後に演じた噺は、山田吾一と間違えられて歓待を受ける『山田吾一』という漫談だったそうです。

年下の志ん朝が先に亡くなり、山田吾一もまた亡くなりました。謹んでご冥福をお祈りします。