仁義なきサンタ戦争
毎年この時期になると、フィンランドから政府公認サンタクロースが来日するのが恒例になっています。
http://photo.sankei.jp.msn.com/highlight/data/2012/11/22/10santa/
サンタがジェット機でやってきた!? 被災地も訪問
クリスマスを約1カ月後に控え、サンタクロースが22日午前、故郷フィンランドから中部国際空港(愛知県常滑市)に到着した。帰国する来月27日まで、東京や大阪でイベントに参加したり、保育園を訪れて子どもと触れ合ったりしてクリスマスムードを盛り上げる。東日本大震災の被災地、岩手、宮城両県の小学校なども訪れる予定。サンタはヘルシンキ発の便で到着し、プレゼントで膨らんだ白い袋を背負い、笑顔で手を振りながら飛行機の中から登場。報道陣に「日本の子どもは大好き。被災地を元気づけたい」と話した。サンタの来日はフィンランド航空のPRの一環。空港ロビーでは、保育園児約10人がクリスマスソングを歌って歓迎した。サンタは、子どもたちにチョコレートを配ったり、旅行客から一緒に写真に納まるよう頼まれたりと大忙しだった。
このサンタは、11月25日には東京ミッドタウンを訪れ、
(via:http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2913332/9896882)
26日には札幌市に飛び、札幌の姉妹都市であるミュンヘンのクリスマスを模したイベントに華を添えました。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/sapporo/422573.html
28日まで札幌に滞在し、来月はわかさ生活の招聘で京都を訪れる予定だとのこと。
http://www.zaikei.co.jp/releases/76132/
これは2005年から続いている恒例のイベントで、昨年までに12,500人以上の子どもたちと交流してきたそうです。心温まる話です。
フィンランドにいるサンタさんは、「水曜どうでしょう」でどうでしょう班の訪問を受けたこともあり、日本では有名です。おそらく「公認サンタクロース」「本物のサンタクロース」といった場合、多くの人がこのフィンランド政府公認のサンタを思い浮かべることでしょう。
※追記:中部国際空港に降り立ったサンタと、ミッドタウンやわかさ生活のサンタは別人のようです。
フィンランドはラップランド州政府公認、サンタクロース村にはオフィシャルサイトがあり、そこでサンタの基礎知識が載っています。
http://santaclausvillage.jp/knowledge/
サンタクロースの基礎知識
サンタクロースの起源
4世紀、小アジア(現在のトルコ)に実在した聖人、聖ニコラウスがモデルといわれています。不幸な人々を助けるために様々な奇蹟(奇蹟者)を起こす庶民の味方として親しまれていました。貧困のために身売りをしようとした娘の家の煙突へ金貨を投げ入れ、その一家を助けたという伝説は、そののちサンタクロース・ストーリーの原型といわれています。
サンタクロースの出身地は?
北欧? 北極? 1925年アメリカの新聞に掲載された、フィンランドのラップランド出身説です。ラップランドにはトナカイもいます。フィンランド国営放送は1927年、ラップランド東部のコルヴァトゥントゥリ(耳の山)をサンタクロースの住居と宣言したのです。
サンタクロースの住処
北緯68度、サンタクロース村から300km北、ラップランドのコルヴァトゥントゥリの山中でサンタクロースのお手伝いをする妖精(トントゥ)と一緒に住んでいます。
サンタクロースは、フィンランドのラップランドに住んでいるというのが公式設定だそうです。
ところが。
日本人唯一の公認サンタクロースとして知られる、マンボミュージシャンのパラダイス山元氏が、ツイッターでこんなことをツイートしておりました。
こ、これは穏やかでないぜ!
どういうことなのか推理してみると、7つめのツイートが鍵になります。
ここで挙げられている国は、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、カナダ、ドイツ、フランス。
そう、フィンランドは抜けているんですよ!
「先日来日していた公認サンタ」というのは、11月9日に女優の武井咲とイベントに出演していた、この人たちのことでしょう。
http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2012/11/09/kiji/K20121109004517150.html
武井咲 サンタにキッパリ「ことしは真面目。悪いことしてない」
女優の武井咲(18)が9日、都内で行われた「イオン“メニークリスマス”」記者発表会にサンタクロースの衣装で登場した。
「なかなか着たことがなかったのですごくうれしいです」と笑顔。イオンが提案する“メニークリスマス”は当日だけではなくシーズン中に家族や友だち、恋人など大切な人と何度でもクリスマスを楽しむというコンセプト。クリスマス当日が誕生日ということもあり、これまでは家族と過ごし、母の手料理を食べることが多かったという武井。今年のクリスマスは「スタッフさんと家族も含めてパーティーをしたいな」。昨年のサンタさんからの贈り物は「グッチのピアスが届きました」とし、今年欲しいものを聞かれると「ハンドクリーム」と即答した。
この日は、世界8カ国から集まった23人のグリーンランド国際サンタクロース協会公認サンタクロースたちと一緒に、日本初の世界サンタクロース会議に参加。「最初ビックリしたんですけど国によって衣装が全然違って、テンションが上りました。かわいかったですね」とニッコリ。悪いことをした子にはお仕置きをするというドイツで有名な“ブラックサンタ”も来日。今年を振り返ってざんげしたいことは?と聞かれると「ことしは真面目に過ごしてきたので悪いことしてない。悪い事してたとしても、ここでは言えないですね」とはにかんだ。
このサンタたちは、フィンランド政府ではなく「グリーンランド国際サンタクロース協会」公認のサンタとのこと。
こちらはデンマークはコペンハーゲンに本部があり、デンマーク、スウェーデン、ノルウェーを中核とする国際団体。年に一度、国際サンタクロース会議を開催し、世界で120人ぐらいのサンタを公認しています。
つまり、この団体はフィンランドのサンタクロースを認めておらず、「あれは偽者」と言っているわけです。
山元氏のツイートはフィンランド政府まで激烈に批判しているので、こりゃ穏やかでないですね。
フィンランドのサンタクロース村の存在を踏まえて、グリーンランド国際サンタクロース協会の公認サンタであるパラダイス山元氏のサイトを見てみると、なかなか興味深いです。
http://www.santaclaus.jp/where.html
末尾の一文にフィンランドへの対抗心を感じる!
http://www.santaclaus.jp/authorized.html
フィンランドはキレイに除外されとる!
フィンランドのサンタクロース村で最大の呼び物である「サンタの手紙」については、こちらでは
http://www.santaclaus.jp/letter.html
サンタクロースさんへの手紙
みんなサンタクロースさんに伝えたいことがありますか?
サンタクロースさんにもし会えたなら、いっぱいお話してみたいと思っているよい子が多いことは知っています。でもなかなか会えないので、サンタクロースさんに手紙を送りたいというよい子もたくさんいるみたいだね。
書いた手紙を、どうやったらサンタクロースさんが読んでくれるかみんなは知っているかい?
サンタクロースさんにお手紙を読んでもらいたかったら、クリスマスイヴの夜に枕元に置いておくんだよ。サンタクロースさんが来るのは夜だから、なるべく目だつように置いておいてね。
もしかしたらサンタクロースさんは、書いた手紙を読み終えたら、その手紙をまた枕元にそっと置いていってくれるかもしれないんだ。それは、大人になってから、自分が書いた手紙を読み返してほしいっていう合図だから、その手紙は大切にしまっておいてね。
お手伝いのニッセより
完全にDISっとる!
サンタというと優しいイメージがありますが、ちゃんと現実に生きている以上、こういった生臭い、本家の元祖の争いみたいなもんと無縁でいられるわけではないってことです。
いちおう付け加えておくと、フィンランドのサンタも、商業的イベントには出ずテレビ出演もせず、子どもたちとの交流につとめており、決して金儲け目的でやっているわけではないようです。真面目にフィンランドと日本の国際交流、ならびに観光促進を目的にしているとのことです。
2010年のパラダイス山元氏のインタビューを読むと、「フィンランドのサンタクロースの悪口を言いたいわけではない」と語っていましたが、
http://www.timeout.jp/ja/tokyo/feature/1402
今回はかなり口が滑っているというか。
国際的にはグリーンランドのほうが主流だ、とする意見もありますが、そもそもサンタの起源はトルコなんだし、あんまりいがみ合わないで欲しいなぁ。
- 作者: クロードレヴィ=ストロース,中沢新一,Claude L´evi‐Strauss
- 出版社/メーカー: せりか書房
- 発売日: 1995/12
- メディア: 単行本
- 購入: 3人 クリック: 14回
- この商品を含むブログ (18件) を見る